■ 若干落ち着いてきたCES会場 CES 2006の3日目は土曜日となり、来場者の数も微妙に減ってきている。木曜金曜で会場を回り、土曜日は観光、日曜日に帰るというのが、どうも米国人のパターンのようである。中には出展者さえも早々とブースを閉めてしまっているところもあり、お祭りもそろそろ終盤といった感じだ。さて本日のCESレポートは、毎回多数の新製品が発表されるヘッドホン関係の話題を、まとめてお送りする。
■ Bluetooth採用のワイヤレスヘッドホン
「JENSEN」は日本ではほとんど目にすることがないが、米国では「COBY」と並んで廉価版ヘッドホンやイヤホンでよく目にするブランドだ。実はこのJENSEN、先頃カノープス買収で話題となった仏Thomsonグループ傘下のブランドであるため、Thomsonブース内にある。 「WBT212」は、Bluetooth対応のワイヤレスヘッドホン。片側に内蔵マイクがあり、BlueTooth対応PCや携帯電話と接続して、音楽のリスニング以外に通話も可能となっているのが特徴。 一般的にこの手の製品は、音楽を聴くときにはブームマイクが邪魔なものだが、マイクが目立たないところがいい。米国ではすでに販売されており、価格は199.95ドル。 「WBB100」はBluetoothトランスミッタとヘッドホンを1パッケージにした製品。デジタルオーディオプレーヤーに使えるほか、同じく内蔵マイクを使って携帯電話にも接続できる。白いボディが特徴的で、iPodに合わせるには悪くない。
こちらもすでに販売開始されており、ブース内で知り合った米国人記者によれば、昨日さっそく電器店で買って使っているという。米国では229.95ドル。
■ ソニー、新ヘッドホン4モデルを展示
事前のプレスカンファレンスではレポートしなかったが、ソニーはブース内で新ヘッドホン4モデルを展示した。うち2モデルはすでに日本では発売済みだ。ここでは初公開の2モデルをご紹介する。 「MDR-V900HD」は、スタジオモニターシリーズの新モデル。ネオジウムマグネット採用の直径50mm「ハイディフィニションドライバ」を使用し、周波数特性を上限80kHzまで拡張した。イヤーカップが反転してDJ用途など片耳でのモニタにも対応する。米国での発売は4月で、価格は約300ドルを予定している。
インナーイヤー型の「 MDR-EX90LP」は、ネオジウムマグネット採用の13.5mmドライバを搭載した新モデル。ハウジングにアルミを使用し、不要な共振を押さえている。3サイズのシリコン製イヤーラバーと、専用レザーケースを同梱する。米国での発売は4月で、価格は約100ドル。
■ SENNHEISERからカナル型の新製品
先日も日本でバックアーム型の新モデルなどが発表され、日本でも人気の高いSENHHEISER。だがCESの出展ブースは、年々規模が小さくなっているように思える。 今年のブースでは、先日発表のモデルも新型として展示されていたが、国内では未発表のカナル型イヤホンの新製品、「CX 300」を発見した。残念ながら試聴はできなかったが、昨今人気のある低域出力を強化したモデルのようだ。周波数特性は18~21kHzとなっている。 色はシルバーのブラックの2色があり、3サイズのイヤーアダプタが付属する。ケーブルは右側が長いタイプで、ケーブル全長では850mm。米国での価格は、約50ドル。
マニュアルには残念ながら日本語表記がないが、最近はシリコンラバー採用の小型イヤホンは、ライトなノイズキャンセリングとして利用され始めている。音質的に問題がなければ、日本でもぜひ販売して欲しいところだ。
■ ALTEC LANSINGからもノイズキャンセリングヘッドホン多数
古くは劇場用スピーカーシステムのメーカーとして名を馳せたALTEC LANSINGだが、最近はPC用2.1chスピーカーや、iPodとドッキングして使えるスピーカーなど、ライトな製品で一般にも知名度が上がってきている。そんなALTEC LANSINGが、今回はノイズキャンセリングヘッドホンを大量に展示している。 「AHP812」は、ノイズキャンセリング型の上位モデル。キャンセリング機能は、ハウジング部のスイッチでON/OFFする。電池ケースも同じくハウジング内にある。ケーブルの中間に付けられているボックスには、ミュートスイッチと簡易ボリュームがある。 音質的にはやや低域が硬いものの貼りのある音で、フィット感も悪くない。長時間のフライトなどで、気軽に使えるモデルだろう。米国での価格は199.95ドル。 ブース内のあちこちで展示されていた「AHP712」は、ノイズキャンセリングのミドルレンジ製品。ケーブル途中のボックスは電池ケースで、ノイズキャンセルのON/OFFと簡易ボリュームも備えている。
ノイズキャンセリングの効果は上位モデルと大差ないが、フィット感が少し劣る。また音質面でも若干低域が不足することもあって、音楽用というよりも、映画やゲーム向きといった感じだろう。米国での価格は149.95ドル。
「inMotion iM716」は、カナル型の3段イヤーチップを備えた、いわゆる耳栓型のイヤホン。「ER-4」シリーズなどで知られるEtymotic Research(ER)の「twofer」技術のライセンスを受けて作られている。 ケーブル中間部にあるユニットには、ベースブースト用スイッチとボリュームを備えている。残念ながら試聴できるモデルがなかったが、3段イヤーチップがデフォルトという一般向け製品は珍しい。米国での価格は199.95ドル。
「inMotion iM616」はiM716の廉価モデルで、twofer技術は採用されていない。またケーブル中間部のユニットもなく、その代わり胸元に留めるクリップが付いている。こちらは米国価格で149.95ドル。
ノイズキャンセリングではないが、DVDおよびゲーム用としてSRS 3-Dというオーディオエンハンス機能を搭載した「AHP625」というモデルもなかなか面白い。ケーブル中間部が電池ボックスとなっており、スライドスイッチをONにすることでサラウンド感が強調される。
一応うたい文句としてはノイズリダクション効果もあるそうだが、ヘッドホン自体のフィット感が悪く、顔とイヤーパッドの間に若干の隙間ができてしまうため、あまり効果が感じられなかった。ただこれは単に筆者の顔がデカいだけかもしれない。米国での価格は、79.95ドル。
■ 好調のSHURE、Eシリーズのフラッグシップモデル
ここのところ波に乗った感のあるSHURE。CESのブースも年々規模を拡大しているようだ。 SHUREといえばE2cからE5cに至る、いわゆる「Eシリーズ」の人気が高いわけだが、今年はさらにそのフラッグシップとなるモデル、「E500」が登場した。 ユニットはナス型にやや大きくなっており、内部にはツイーター×1、ウーファー×2の合計3ドライバを内蔵している。実際に試聴してみたところ、低音を異様に強調するようなサウンドではなく、エッジ感のある押しの強い低音に特徴があるようだ。 ケーブル中間部にあるボックスはPush-to-Hear(PTH)というユニットで、内部に単4電池1本を収納し、スイッチを押すと外部の音が聞こえるようになっている。電池はマイクを動作させるためのもので、この機能を使う必要がない場合は、電池なしでも音は出る。 Eシリーズのようにフォームラバーで耳栓をしてしまうタイプのイヤホンは、密閉率が高くノイズも聞こえないのだが、その代わり人の声を含めた外部音をすべて遮断していることになる。誰かに話しかけられたときなどは、イヤホンを抜くしかないのだが、このタイプは再装着が面倒なため、不便に感じていたユーザーも多いことだろう。 E500のイヤーパッドのサイズはE4cと同じで、同梱されるパッドの種類もE4cと同じく8種類。5月発売予定で、価格はE5cと同じ499ドル。 またこのPTHユニットは別売も予定されており、従来のEシリーズユーザーも利用できるようになるという。こちらの価格は59ドル。
また従来のE2c、E3c、E4cをゲーム用にリファインしたモデル、E2g、E3g、E4gもお目見えした。PSPを意識してカラーリングが黒になり、ケーブルもハンディなゲーム機に合わせて15cm短くなった以外は、スペックも値段も同じ。 ちなみに米国での価格は、E2c/gが99ドル、E3c/gが179ドル、E4c/gが299ドルとなっている。
またSHUREでは、拡大が続くアジアパシフィック市場の拠点として、新たに香港にオフィスを設置するという。 ほんの数年前まではキワモノっぽい扱いであったノイズキャンセリングヘッドホンだが、ここに来て多くのメーカーからの参入が相次いでいる。確かに都会の騒音には効果絶大であるため、今後ポータブル市場では1つのジャンルを形成しそうな勢いである。
ヘッドホンも、ホームユースとポータブルユースで、サイズ以外の個性が求められる時代となってきているようだ。
□2006 International CESのホームページ(英文)
(2006年1月9日)
[Reported by 小寺信良]
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