【バックナンバーインデックス】



「PCレス」ソリューションを実現する多機能コンポ
ラジオ録音の革命「トーク」と「音楽」を自動分類
ソニー ネットジューク「NAS-M90HD」
11月18日発売
標準価格:オープンプライス
店頭予想価格:10万円前後



■ ネットジュークにも注目

 高音質を謳って登場したソニーの新型ウォークマン「S700F/S600」シリーズ。ノイズキャンセル機能を内蔵するなど注目度の高い製品で、発表された週のアクセスランキングでトップを記録した。

 だが、同時に発表されたHDDコンポ「ネットジューク」はランク外といういささか悲しい結果。ウォークマンとの連携機能に目がいくためか、“ウォークマンのオプション品”というイメージを持たれがちのようだ。だが、保存した楽曲を解析して、自動的にジャンル分けする「おまかせチャンネル」など、様々な新機能が追加されており、「PCレス」の利用提案を行なうソニーの、文字通り「母艦」とも言って良いコンポに仕上がっている。ここではそうした新機能を体験してみたい。

 なお、新ネットジュークはいずれもHDDを内蔵しており、80GB HDDを搭載した「NAS-D50HD」(実売65,000円前後)と「NAS-M70HD」(実売8万円前後)が10月21日発売。250GBの「NAS-M90HD」(実売10万円前後)が11月18日発売。型番に「M」が付く「M70HD」と「M90HD」がMDデッキも内蔵しており、最上位の「M90HD」はスピーカーに大口径アルミコーンユニットを搭載するなど、音質面にもこだわったモデルになっている。今回はこの「M90HD」を試用してみた。


■ クレードルを格納可能

 外観は従来のネットジュークと同様に、メインユニットとスピーカーが分離したセパレート構造。メインユニットにはCDドライブ、MDデッキ、HDD、アンプ、AM/FMチューナ、カラー液晶ディスプレイなどを搭載している。外形寸法は483×282×254mm(幅×奥行き×高さ)で、奥行きは30cm近い。デジタルアンプ「S-master」を採用しているので、もう少しコンパクトになって欲しいところ。また、背面に排気ファンを備えているので、背面と壁の隙間は確保したい。購入前に置き場所をシミュレーションしたほうが良いだろう。

フロントパネル。下部にUSB端子やメモリースティックスロットを備える CDドライブ部。MDドライブはボリュームの上に配置されている

 液晶画面は4.3型でこれまでのモデルと同じだが、GUIは進化。各機能にアイコンの一覧表示からアクセスできたり、デザインも黒を基調としたものと、白を基調としたものを切り替えられるなど、視認性だけでなくカスタマイズ性も向上している。表示される文字の配置もスッキリした印象。年配のユーザーでも見やすいだろう。

総合メニューにあたるファンクション画面。各機能モードがアイコンで表示され、わかりやすい 画面デザインは黒を基調としたものと、白を基調としたものを選択できるようになった

 メインユニット中央にはボリュームコントローラーを備え、MD/CDの操作ボタンが並ぶ。液晶の下には十字方向に押せるコントロールボタンと、「ファンクション」、「オプション」、「戻る」、「設定」などのボタンを用意。これらは液晶画面を見ながら利用するボタンで、まったく同じ配置でリモコンにも同様のボタンが用意されている。リモコンと本体で操作体系が統一されているので、どちらかを覚えてしまえば戸惑うことは少ない。ただ、「設定」と「オプション」の役割が似ているので、それぞれの項目で使える機能を覚える必要はある。

本体の液晶下にはコントロールボタンなどを用意。同じデザインのボタンがリモコンにも搭載されており、操作体系は統一されている

 フロントパネルにはCDドライブとMDドライブを備えている。さらに、前面下部にはUSB端子も用意。ウォークマンやUSBメモリ、USB対応のポータブルプレーヤー、PSPとも連携できる。また、USB端子は背面にも1系統搭載されている。両方に機器を接続した場合は前面が優先される仕組みだ。また、USBの無線LANアダプタを接続することで、ワイヤレスでエニーミュージックやDLNAの連携機能が利用できるようになる。コンポの置き場所の制約が無くなるうれしい対応と言えるだろう。

前面と背面にそれぞれUSB端子を用意 背面。エニーミュージックやDLNAで利用するEthernet端子も備えている

 さらに、背面USB端子には面白い使い方がある。メインユニットの天面パネルを外すことができ、あらかじめ用意された丸いパーツを取り外すことで、天面にウォークマン用のクレードル「BCR-NWS700」(別売/実売2,000円前後)を組み込むことができるのだ。

 背面USB端子はクレードルとの接続に利用し、コードも天面パネルに隠せる。組み込み後の外観は、まるで最初からウォークマン用クレードルが内蔵されていたかのような一体感だ。接続したウォークマンへの楽曲転送や充電ももちろん行なえる。

背面のストッパーを持ち上げると、天面パネルをスライドさせ、取り外すことができる 取り外した天面パネル。円形の部分を回すと外れるようになっている

円形パーツを外したところ。この穴にクレードルを合わせる 別売のクレードルを組み込む クレードルを組み込んだところ。サイズがピッタリなので最初からクレードル機能を備えていたかのようなデザインになる


■ PCレスのソリューションを体験

CD再生画面

 まずは音楽CDをHDDへ取り込み、ウォークマン(NW-S703F)へ転送してみよう。ネットジュークに電源ケーブルを接続すると、自動的に設定作業が行なわれ、1分程度操作できない。一度設定が終われば、次からは10秒程度で起動する。HDDへの取り込み作業は音楽CDの再生画面から、「オプション」を選び「設定」画面に入ると、録音時のフォーマットやビットレートが選択できる。

 葉加瀬太郎のアルバム「VIOLINISM」(12曲入り/50分48秒)をHDDに録音したところ、ATRAC3plusの256kbpsの場合7分12秒、MP3 128kbpsの場合6分21秒、PCMでは4分。公称スピードはPCM時で最大16倍速なので、テストでは12~13倍程度といったところ。体感スピードは速く、大量のCDもストレスなく取り込めるだろう。ただし、録音時に高速回転するドライブの動作音は「フィーンフィーン」とかなり派手なので、寝ながら取り込む場合には邪魔になりそうだ。

【録音形式とビットレートの一覧】
フォーマット ビットレート
ATRAC3 66kbps
105kbps
132kbps
ATRAC3plus 48kbps
64kbps
256kbps
PCM -
MP3 96kbps
128kbps
160kbps
192kbps
256kbps

 本体にGracenote CDDBの約35万アルバムの楽曲情報が登録されており、アーティスト名や曲名はほぼ自動的に挿入される。ネットワークに接続しておけば最新の楽曲情報も取得可能だ。また、MDやライン入力など、CD以外から取り込んだ楽曲についても、波形データを解析し、タイトルが自動入力される。

 PCでGracenoteの「MusicID」に対応したソフトを利用すれば同様のことはできるが、PCレスソリューションという観点で見れば、コンポ単体で対応した意義は大きい。「全部のライブラリをネットジュークに録音しよう」という意欲が沸くだろう。リモコンから文字入力を行ない、直接楽曲データを更新することも可能だ。

 ポータブルプレーヤーへの楽曲転送は、HDD再生画面でファンクションメニューを呼び出して行なう。転送先を選択するのだが、転送先と転送可能なフォーマットが決まっているので注意が必要。また、ファイルとしてMP3形式で書き出せるのはUSBストレージ(ストレージクラス対応のポータブルプレーヤー含む)のみ。USBストレージにPCMで書き出すことはできない。また、MDへ転送する場合はATRAC3plus/MP3は自動的にATRAC3へ変換しながらの転送となる。

【転送先とフォーマットの関係】
転送先 転送可能フォーマット
ウォークマン(S700F/S600) ATRAC3/ATRAC3plus/MP3/PCM
携帯電話 ATRAC3/ATRAC3plus/MP3
PSP
USBストレージ MP3
MD ATRAC3/ATRAC3plus/MP3
メモリースティックDuo

 転送はメニューから転送したい楽曲を、アルバム単位、もしくはプレイリスト/楽曲単位で指定するだけ。ウォークマンとUSBストレージにはフォルダ単位でも転送できる。また、ウォークマンを利用した場合は「かんたん転送」機能が選択できる。これは、前回転送した楽曲を記憶しておき、転送メニューを表示した際に、ネットジュークに新しく取り込んだ楽曲に転送チェックを自動的に付けてくれるというもの。「自動差分転送」といったところだ。

 また、本体とリモコンに用意された専用の「転送」ボタンには、転送先をあらかじめ設定した「転送プロファイル」を登録可能。「かんたん転送」を登録しておけば、転送ボタンを押すだけで、まだ転送していない楽曲にマークが付くようになる。

ウォークマンに転送する場合は標準の転送に加え、「かんたん転送」も利用可能。通常はトラックやアルバム、プレイリストを指定するが、「かんたん転送」は新規楽曲に自動的に転送チェックが付く 転送ボタンを押した際の動作を指定できる

 楽曲情報やアルバムジャケットが登録してある場合は、そのデータもそのまま転送される。エニーミュージックで購入したデータもジャケット込みで転送可能。ジャケットサーチモードがある新ウォークマンでは活用できる機能だろう。

 こうした楽曲の取り込み、タグ情報付け、管理、転送のプロセスは、PCで同様の処理を行なうよりもわかりやすい。それでいて、PC並に細かな管理が行なえるのが特徴。

従来モデルと同様、エニーミュージックも利用可能 エニーミュージックを利用し、Moraで楽曲を購入。ジャケット写真のデータがある場合は、そのままウォークマン(S700F/S600)へも転送される


■ HDD内の楽曲を有線放送のように楽しむ

 もう1つの目玉は楽曲の解析機能。独自の「12音解析技術」を投入しており、取り込んだ楽曲の曲調やリズムを判断し、25のチャンネルに自動分類。「おはようタイム」、「ウォーク」、「ダンスフロア」、「シフトアップ」など、時間帯や雰囲気に合わせたジャンル(チャンネル)に振り分けてくれる。

おまかせチャンネル画面。HDDに保存されたコンテンツが25のチャンネルに自動分類される

 「おまかせチャンネル」メニューに移動すると、既に録音したコンテンツが分類され、それに沿ったチャンネルが作られている。チャンネルは上下のキーボタンで、ローリングするように選択できる。「朝のおすすめ」では爽やかなクラシックなどが、「ハッピーのファイン・デイ」チャンネルでは早いテンポのポップスが……といった具合。実際に聴いてみても、曲調に的確な分類がされているようだ。大量に登録して、スクロールさせながらチャンネルを選んでいると、有線放送のチャンネルを回しているような気になってくる。

 起動時に再生するチャンネルを指定することもできるので、例えば「おはようタイムチャンネル」を起動時再生に指定し、目覚まし再生で同チャンネルを鳴らすといった利用も可能だ。

 また、おまかせチャンネル再生中にリモコンのA(Artist)、Y(Year)、M(Mood)ボタンを押すと、再生中の楽曲に関係のあるA/Y/Mのチャンネルが一時的に作成可能。50年代のジャズを聴きながら「Y」ボタンを押すと、その年代の他の楽曲が抽出され、チャンネル登録されるといった具合だ。

 これらのチャンネルは、「自動的に作成されたプレイリスト」とも言い換えられる。そのため、オプションメニューからチャンネルをプレイリスト化することが可能で、ポータブルプレーヤーへの転送時にそのプレイリストを選択することで、チャンネルが抽出した楽曲のみを転送することも可能。

 なお、チャンネルは25個用意されているが、1つのチャンネルに5曲が貯まるとそのチャンネルが表示されるようになる。また、自動解析は電源がスタンバイモードの時に行なわれる。60分のアルバムを解析するのに約15分が必要なため、一度に大量に楽曲を取り込んだ際は解析に時間がかかる(解析の中断も可能)。


■ ラジオ録音で威力を発揮する楽曲解析機能

 大量に蓄積した楽曲の楽しみ方として魅力的な「おまかせチャンネル」だが、その真価は「ラジオ録音」にあるとも言って良い。前述の解析機能を利用して、ラジオを録音しながら、DJやパーソナリティによる「トーク」の部分と、「ミュージック」の部分に自動分類してくれるのだ。この機能と予約録音機能を併用することで、ネットジュークは強力なラジオサーバーとしても利用できる。

 予約録音は、日時と開始/終了時間、ラジオ局(周波数)、録音フォーマットとビットレートを指定することで完了。番組タイトルなどを入力することも可能だ。また、10/30/60/120分、およびレベルシンクによるトラックマーク付けも可能。さらに「オート」というトラックマークモードが用意されており、これが「トーク」と「ミュージック」の区別を自動で行なうモードだ。

 予約日は「毎日」、「月~土」、「月~金」、「毎週の月/火/水/木/金/土/日」に加え、4週間先までの日付指定も可能。ラジオ録音のことがしっかりと考えられた曜日モードが用意されているので、録音機能に不満を持つことはないだろう。

ラジオの受信画面 毎週予約、毎日予約、日付指定と、柔軟な予約スケジュールが設定できる 予約時にトラックマークを「オート」に指定すると、トークと音楽の自動分類が行なわれる

予約時に番組名を登録することも可能。携帯電話の文字入力に採用されている予測変換機能も備えているため、リモコンからの入力でもストレスは少ない タイマー予約は最大10件まで登録可能

 試しにFM番組を6時間ほど連続で録音してみた。驚くほどミュージックとトークが綺麗に分割されている。FMラジオの場合、NHK以外ではほとんど音楽のイントロにDJのトークがかぶってくる。例えば「……そんな東京都にお住まいのヨッチャンに、この曲を贈ろう!! ジュディーアンドマリーの散歩道……」というような曲紹介があった場合、音楽は「東京都にお住まいの……」のあたりでフェードインしてくる。

 その場合、ミュージックジュークは「曲を贈ろう! ジュディーアンドマリーの散歩道!」の言い出しでトラックを切っている。どうやら音楽が大きくなり、「ここから先は音楽だ」と認識した瞬間から数秒遡ってトラックポイントを打っているようだ。そのため、曲名をDJが叫び、音楽がスタートする「良いカタチ」の録音ファイルが多く、気になった楽曲をCDやエニーミュージックで購入する際は、曲名がすぐにわかって便利だ。

 欲を言えば、FMの文字多重放送用データをエニーミュージックから取得できるので、その楽曲情報を自動的に録音ファイルに入力してくれると完璧だったろう。また、BGMが入っているCMが挿入されると、それも音楽トラックとして扱ってしまうことが多い。だが、逆にこれがラジオ録音としては便利な誤認識(?)で、CMの前後でトラックが分かれるため、ざっくりとしたCMスキップ機能として利用できるのだ。

ラジオ録音時の画面

 同じように深夜のAMラジオも録音してみたが、こちらでも面白い使い方ができる。AMの番組(特に深夜放送)には音楽が少ないのでトラックポイントも少なくなりがちなのだが、トーク番組でコーナーがスタートする時のジングルミュージックにトラックポイントが反応する。例えば「“今日のゲンナリした出来事のコーナー!!" ジャジャーン♪」と音楽がスタートすると、そこで区切られるといった具合だ。

 録音した長時間のトーク番組を聴く場合、好きなコーナーが最後の方にあると、そこまで延々と早送りしなければならない。ポータブルプレーヤーでは数分の音楽をメインにしているため、数十分単位の早送りスピードが遅く、イライラさせられることも多い。しかし、トラック分割(ファイル分割)されていれば目的のコーナーまで簡単に飛ぶことができ、非常に便利だ。

 録音されるファイルにはT(トーク)/M(ミュージック)のアルファベットが自動的に挿入される。HDD再生モードではこれらのファイルを時間軸に沿って再生できるが、前述の「おまかせチャンネル」にはエアチェック専用の「エアチェック(Talk)」、「エアチェック(Music)」が用意されており、各チャンネルではトーク部分のみ、音楽部分のみを聴くこともできる。

録音したラジオファイルをHDD再生モードで再生している場面。ファイル名の頭に[M]や[T]と書かれているため、音楽とトークのファイルが一目で区別できる おまかせチャンネルのエアチェックチャンネルを利用すれば、トーク、もしくは音楽だけのファイルを連続して聴くこともできる

ファイル名にも放送局や録音時間に加え、T/Mの文字が入る

 なお、従来モデルと同様にDLNAガイドラインのVer.1.0に対応しているため、対応サーバーソフト(VAIO MediaやWindows Media Connectなど)を起動させたPC内の音楽ファイルを、ネットワーク経由で再生することもできる。共有ファイルにアクセスし、そこからコンテンツを取り込むことも可能だ。だが、ネットジューク内のコンテンツをPCなどで吸い出すことはできない。

 つまり、HDD内に大量に貯まったラジオファイルをCD-RやDVD-Rにライティングして保存する場合は、MP3で録音し、USBメモリなどに書き出し、PCへ移動させる必要がある。もっとも、250GBものHDDを搭載しているNAS-M90HDの場合、一杯になることはまずなさそうだが。いずれにせよ、ラジオ録音サーバーとして非常に強力な機能を備えていることは間違いない。


■ 手軽に得られる高い音質

M90HDに付属するブックシェルフ。アルミコーンウーファとソフトドームツイータを採用している

 音質面のトピックは、独自のデジタルアンプ「S-master」を採用したこと(下位モデルのNAS-D50HDは非搭載)。M70HDとM90HDのスピーカーにはアルミコーンウーファを採用。M90HDはソフトドームツイータとなっている。エンクロージャはバスレフ。

 ミニコンポらしくメインユニットと離さずに設置し、試聴してみた。再生音はデジタルアンプの恩恵で、実にクリアで雑味がない。高域も抜けが良く、付属のスピーカーはそのアンプ特性をストレートに出すキャラクターだ。似たようなサイズのブックシェルフとしてビクターの「SX-V05」(ペア60,900円)と付け替えてみた。ウォーム系の音が特徴のスピーカーだが、M90HDと組み合わせると低音の分解能の高さが印象的。しかし、全体的なバランスはやはり付属スピーカーの方が上だった。

アンプ側のスピーカーターミナルは独自形状

 低音の量感は小型ブックシェルフとして標準的。ただし、デフォルトでは低音増幅回路である「M.BASS」がONになっているので、豊富というか、若干過多にも感じられる。ただし、増幅された低音はブーミーではなく、芯が1本通っており、ガツンと下まで響く。原音に忠実とは言えないが、これはこれで心地良い。デジタルアンプならではの解像度の高さもそなわっているので、「解像度の高いドンシャリ」といったイメージ。低価格なミニコンポやラジカセとは次元の違う再生音で、手軽にこのクオリティが楽しめるならば満足感は高いだろう。

 ただし、背面のスピーカーターミナルは独自のソケット式で、一般的なスピーカーケーブルは利用できない。付属ケーブルのスピーカー側はコード剥き出しなので、そのケーブルを使いまわせば好きなスピーカーと組み合わせることができる。


■ PCレスを実現できる高機能コンポ

 DLNAクライアント機能やネットワーク経由での楽曲取り込みなど、PCとの親和性を保持しながら、楽曲認識やジャケット画像転送などをサポート。クレードルも格納できるなど、ソニーが推進する「PCスタイル」と「PCレススタイル」の両方に対応できる多機能なコンポという印象だ。

 ネットワーク再生ではWMAファイルが再生できなかったり、ネットジュークのHDDに貯めたファイルをPCからネットワーク経由で吸い出せないなど、今後サポートして欲しい機能はあるが、現状でも音楽サーバーとして必要十分な機能を備えている。ポータブルプレーヤーとの連携もわかりやすく、「ポータブルプレーヤーが使いたいけれど、パソコンができないので購入に踏み切れない」といった層にもソリューションとして訴求できるだろう。

 楽曲の自動分類と「おまかせチャンネル」も、大量の音楽コンテンツをできるだけ簡単に再生できる機能として完成度が高い。個人の部屋だけでなく、リビングなどに設置してBGM的に、その日の天候や気分に合わせてチャンネルを指定しておくというのも面白そうだ。チャンネルをプレイリスト化して転送できるので、インテリジェント機能を持たないウォークマン以外のプレーヤーでも、関連付けされた楽曲を持ち歩くことができるという点も見逃せない。

 また、ニーズとしては必ずしも多くはないと思われるが、ラジオ録音機能の充実もポイントが高い。特に音楽とトークの分類はDVDレコーダのCMカットやハイライト再生機能を横目に、悔しい思いをしていたエアチェックマニアには革命的な機能と言っても良いだろう。「ラジオを録音し、プレーヤーで持ち歩く」という利用は、大手メーカーの製品ではこれまで軽視されてきたが、ソニーが本腰を入れたインパクトは大きい。同時に、需要と供給が一巡し、そうした細かいニーズにも応える必要が出てきたポータブルオーディオ市場の成熟を印象付けたとも言えるだろう。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200610/06-1012C/
□ネットジュークの公式ページ
http://www.sony.jp/products/systemstereo/
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(2006年10月27日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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