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タッチパネルUI/2.5型液晶搭載のビデオプレーヤー
ライバルはワンセグケータイ?
コウォンジャパン「COWON D2」
2月9日発売
標準価格:オープンプライス
直販価格:24,980円



■ 今度こそ来る? ポータブルビデオプレーヤー

 iPodに代表されるデジタルオーディオプレーヤーの普及以来、「次はビデオ」と各社が取り組みを進めている。代表格のiPodもビデオに対応。さらに、PSPや、各社のビデオプレーヤーなど様々な選択肢が登場しているものの、多くの人が日常的に使いこなすというまでには至っていない。

ブラックとホワイトの2色を用意する

 一方で、主に携帯電話に搭載される「ワンセグ」については、さほどデジタル機器に詳しくない人にまで浸透しており、ケータイ選びの大きなポイントとなっている。通勤/通学時やちょっとした暇つぶしの動画、という位置づけのビデオビューワとしては、テレビ放送をそのまま視聴できるワンセグがデファクトスタンダード化した、といえるのかもしれない。

 そうした中、コウォンジャパンが発売するのが「COWON D2」。ワンセグ機能は備えていないが、2.5型/320×240ドット液晶と、2GB内蔵メモリを備えたビデオ/オーディオプレーヤーで、WMVやAVIファイルの再生に対応。SDメモリーカードスロットも装備している。

 価格は2GBモデルで24,980円と通常のオーディオプレーヤー比較すると若干高価だが、大型液晶に加え、ユニークなタッチパネルUIも搭載するなど意欲的な製品となっている。



■ 重量感あるボディ。うっすら光るタッチパネル

同梱品

 同梱品は、スタイラスとUSBケーブル、ACアダプタ、イヤフォン、CD-ROMなど。

 外形寸法は78×55.4×16.6mm(幅×奥行き×厚み)、重量は91g。操作部はほとんど液晶パネルということもあり、小型のビデオプレーヤーとしてユニークなデザインになっている。アイリバー「U10」なども近いが、U10の1.5型液晶に比べると、かなり大きな液晶で迫力がある。一方、4型液晶/HDD内蔵の「COWON A2」と比較すると持ち運びやすく、今までのビデオプレーヤーではあまり無かったサイズだ。

 2.5型/320×240ドットのタッチパネル式カラー液晶を装備。上面には、電源/HOLDスイッチを備えるほか、メニュー用の[M]ボタン、ボリュームボタンを装備する。

 右側面にはストラップホールを備え、付属のスタイラスを取り付けられる。またストラップホールにスタイラスを差し込んで、スタンドにもできる。左側面にはヘッドフォン出力を装備。本体カバーを開くとUSBミニB端子と、充電などに利用する専用端子が現れる。下面にはSD/MMCカードスロットを装備し、SDカードを追加してメモリ容量の拡張が可能。ただし、容量4GB以上のSDHCカードについては現時点では対応していない。

本体前面。2.5型/320×240ドットのタッチパネル式カラー液晶を装備する 本体上部。中央にマイク入力、電源スイッチやボリュームボタンを備える。ボリュームボタンの中央はMENU呼び出しボタン タッチパネル操作用のスタイラスが付属する
下面にSDカードスロットを装備する ヘッドフォン出力や、USB端子、外部出力用の専用端子などを備えている

スタイラスをスタンドとして利用できる。50度/75度の傾斜角を選択できる


■ ユニークなタッチパネルUI

 PCとの接続はUSB経由で行なう。また、USB端子脇の専用端子はACアダプタからの充電用のほか、オプションのビデオ出力ケーブルを利用したテレビ出力に活用できる。

 電源/HOLDスイッチは本体上部に装備。起動には5秒程度かかる。電源ボタンの上部には再生/停止とボリュームボタンを備えているが、再生ファイル選択などの操作は液晶へのタッチパネルを利用する。COWON D2では「バーチャルクリック」と呼ばれる新しいUIを採用しており、触れるとメニュー画面が現れる。

メインメニュー画面

 メインメニューには、音楽/ビデオ/写真/テキスト/FMラジオ/録音/設定の各項目を表示。ここで音楽やビデオなどの機能を選択すると、それぞれのファイルの選択画面に移行する。

 各機能のアイコンをクリックするとファイル再生画面に移行し、動画再生時には、コンテンツを表示しながら、再生/停止、スキップバックなどが可能なUIが現れる。動画の一部を隠してしまうものの、内容を確認しながら操作が行なえる。

 また、音楽再生時でもタッチすると、再生/一時停止や、スキップ/バックなどの各種操作UIがオーバーレイ表示され、再生情報を確認しながら、操作が行なえる。もちろん、本体上部の再生/停止、スキップ/バックボタンでも操作できる。

 それぞれのモードで、MENUボタンを押すと、スクリーン上にBROWSERなどのアイコンがオーバーレイで表示される。BROWSERをクリックするとフォルダ検索メニューに入り、オーバーレイ表示された左右ボタンでフォルダ階層移動、上下ボタンでフォルダ内の移動が可能となり、ビデオや楽曲の検索が行なえる。

BROWSERモードで、ファイルを検索 ビデオの再生中にOSDを表示して操作できる



■ 画質は良好。対応ファイルはやや寂しい

 それではメイン機能といえる、ビデオ再生を試してみよう。

JetAudioの動画コンバータ機能

 対応ビデオファイルは、AVIファイルとWMV。解像度は最高320×240ドット、ビットレートはAVIが約2Mbps、WMVは768kbpsまでサポートする。AVIファイルは付属のビデオ変換ソフト「Jet Audio」でDivXやMPEG-2から変換して、転送できる。

 JetAudioでは、AVIが「自動 標準品質(VBR50)」、「自動 高品質(VBR75)」、「AVI 512kbps」、「AVI 756kbps」、「AVI 1Mbps」、「AVI 1.5Mbps」の各モードを用意。解像度はいずれも320×240ドット。AVIを選択した場合は映像コーデックにXviD、音声がMP3となる。

 WMV用モードとしては、「自動 標準(VBR50)」、「自動 高品質(VBR75)」、「WMV 512kbps」、「WMV 756kbps」の4モードが用意される。COWON D2をUSB接続しておけば、JetAudioで変換後に直接プレーヤー側にも転送してくれる機能も備えている。

 同種類のビデオプレーヤーだと、他のソフトで作成したDivX系のファイルも、転送すれば大抵再生できるのだが、COWON D2ではDivXファイルの再生はできなかった。同様にPSPやiPod用のH.264やMPEG-4ファイル、MPEG-2ファイルも認識されず、拡張子を.aviや.wmvに変更しても再生できなかった。

 また、Windows Media Player 11から転送をテストしてみた。MPEG-2などのソースを自動認識してWMP側でWMV形式に変換してくれると予想していたのだが、COWON D2の場合はそのままCOWON D2の[Video]フォルダに転送された。要するにUSBストレージとして直接転送した時と同じく、転送こそされるものの、MPEG-2では認識できなかった。JetAudioはバッチエンコードなどにも対応しているので、動画を準備するにはJetAudioを活用するのが一番良さそうだ。

JetAudio VXの動画コンバータ機能 変換後のファイルをCOWON D2に直接コピーも可能

ビデオ再生画面。再生しながら各機能ボタンが現れる

 JetAudioを利用しなくても、USBストレージクラス対応なので、パソコンとUSBで接続すれば特に問題なく転送が行なえる。SDカードスロットも備えており、内蔵メモリとは別パーテションとして認識されるが、フォルダ階層をたどれば、内蔵メモリと同じように扱うことができる。

 メインメニューから[ビデオ]を選択して、BROWSERから任意のファイルを選択すれば、ビデオ再生が開始される。液晶がタッチパネル式ということもあり、輝度が足りなかったり、色再現がイマイチなのではないかと思ったが、ほとんど問題はない。

 若干色味が淡くなりがちな傾向はあるが、色再現性はきちんとしており、ニュースの字幕もしっかり確認できる。画質については基本的に不満はほとんど感じない。正直、JetAudioで作成したファイルについては、AVI、WMVのいずれも画質差はさほど感じない。きちんとした変換前のソースを用意することの方が重要だろう。受信状況の良いワンセグ端末を越えるぐらいの十分なクオリティの動画再生が可能だ。


SDカードも問題なく認識できる

 操作は、新しいインターフェイス「バーチャルクリック」を利用する。パネルをタッチすると、停止とスキップ/バック用のボタンが画面に現れるほか、下部にBROWSER、SETTING、MENU、CLOSEの各ボタンが現れる。

 BROWSERをクリックすれば、フォルダ階層を表示して、ファイルの検索が行なえる。また、SETTINGからはリピート設定や音質設定が可能となっている。MENUを押すとトップメニューに戻る。また、再生中にBROWSERボタンを押すと、ファイルをブックマークに登録したり、ブックマークの呼び出しなどが行なえる。

 少々慣れが必要だが、ビデオ再生の場合、「画面を見ながら操作できる」という点で、OSDでタッチパネル操作というのは、理にかなっているように感じる。付属のスタイラスのほうが確実に操作できるが、直接指でクリックしてもほとんどミス無く操作できた。


ブックマーク登録機能なども備えている TV出力などの設定も行なえる


■ 音楽再生時の楽曲情報表示料は魅力。FM/ボイス録音にも対応

表示情報量の多い音楽再生画面

 音楽再生についても基本的な操作体系や、BROWSERなどの検索画面はほぼ同じ。操作も基本的にはタッチパネルを利用する。

 楽曲再生画面では、ジャケット表示も可能。情報表示量が非常に多く、楽曲情報のほか、ファイルのビットレートやファイルタイプ、BBEやMach3Bassなどの音質改善機能の設定確認などを画面上で全て表示できる。再生画面の表示情報には全く不満が無い。

 ただし、基本的に画面を見ながら操作するというインターフェイスのため、例えば電車に乗りながら片手で操作したい、といった時の操作の気軽さには欠ける。視認性と手軽な操作性という点でのトレードオフがあるので、自分の利用スタイルにあわせて考えておきたい。

 対応オーディオコーデックは、MP3、WMA、OGG、FLAC、WAVに対応。また、後日のアップデートでロスレスコーデックAPEにも対応する予定。ただし、WM DRM10には現時点では非対応で、Napsterでダウンロードした楽曲の転送を試みたが、エラーとなってしまった。今後のサポートに期待したい。

 音質はCOWON製プレーヤーらしく、艶やかな高域が特徴的なサウンドで、聞きやすい。出力も37mW×2ch(16Ω)とポータブルプレーヤーとしてはかなり高く、低域にも勢いがある。付属イヤフォンのクオリティも十分だ。特にBBEの効果が大きいが、ソースによってはやや誇張が過ぎる時もあるので、このあたりは自分に最適なセッティンングを見極めたい。

ブックマークや音質設定などもバーチャルクリック上から行なえる 付属のイヤフォン

 フォトビューワも内蔵し、スライドショーやズームなどの操作も可能。ただし、500万画素のJPEG画像を転送したところ、1枚の読み込みに2秒程度かかった。付加機能としてはさほど不満を感じるレベルではないが、ビデオやオーディオの快適なレスポンスに比べると、使い勝手は今ひとつだ。

 また、FMチューナやボイスレコーダも搭載。別売のラインケーブルを使ったライン録音も可能。録音形式はMP3で、ビットレートは32~256kbpsが選択可能だ。テキストビューワも備えている。電源は内蔵リチウムポリマーで、WMVビデオ再生時で約10時間、MP3音楽再生時で約52時間の再生が行なえる。

フォトビューワも備えている FM録音にも対応する ボイスレコーダ機能も装備


■ ユニークなビデオプレーヤー。競合製品はケータイ?

 小型かつユニークなデザインを採用し、画質も十分なクオリティ。動作レスポンスも良く、ビデオプレーヤーとしての使い勝手もしっかりしている。また、サイズや独自のインターフェイスなど、ガジェットとしてのおもしろさも備えている。癖があるのだけれど、慣れてくると使いやすいという点は、新たに採用したUIと本製品の共通点かもしれない。直接の競合製品が少ないこともあり、市場での位置もユニークなところだ。

 ただ、再生可能な動画ファイルについては、DivXやiPod用MPEG-4など、専用のAVIやWMV以外のファイルも増やして欲しいところだ。

 また、2.5型/320×240ドット液晶というサイズだけ見れば、携帯電話でもより大型/高精細なものを採用している製品もある。競合製品はポータブルのビデオ対応プレーヤーよりは携帯電話ということになるかもしれない。

 もちろん、プレーヤー機能に特化している分、特にビデオの使いやすさという点ではCOWON D2の方がアドバンテージがある。ただし、ワンセグケータイも増えている昨今、携帯電話との競合という点を考えると、D2にもワンセグ機能が欲しかった。韓国ではCOWON D2でもモバイル型の放送規格「DMB」に対応しているほか、CESに出展した「COWON A3」では日本のワンセグ対応も予定しているとのことで、同社のメディアプレーヤーの今後の展開も期待したい。

□COWONのホームページ
http://www.cowonjapan.com/
□ニュースリリース
http://www.cowonjapan.com/zeroboard/zboard.php?id=A02&category=&no=158&bmenu=support&category=0
□関連記事
【1月31日】COWON、2.5型カラー液晶搭載のWMV対応プレーヤー
-タッチパネルGUI採用。SDスロットも装備
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070131/cowon.htm
【1月15日】【CESその他編5】COWONがワンセグ対応ビデオプレーヤー
-Samsungの薄型プレーヤーや新iPodスピーカー、など
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070116/ces20.htm

(2007年2月2日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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AV Watch編集部

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