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第237回:アニメDVD-BOXの最終兵器?
「機動戦士ガンダム DVD-BOX」

 「買っとけ! DVD」として連載を続けてきた本コーナーですが、HD DVDやBlu-rayタイトルのリリースが開始されたこともあり、今後は、紹介するタイトルをDVDだけではなく、HD DVDやBlu-rayタイトルにも広げます。コーナータイトルは、取り上げるフォーマットにより、「買っとけ! DVD」、「買っとけ! HD DVD」、「買っとけ! Blu-ray」と変化します。
 コーナーのコンセプトは従来から変更なく、編集スタッフ各自が実際に購入したソフトを、思い入れたっぷりに紹介します。「Blu-ray/HD DVD発売日一覧」と「DVD発売日一覧」とともに、皆様のAVライフの一助となれば幸いです。


■ 待望の「ファースト」がBOX化!

機動戦士ガンダム DVD-BOX1/2

価格:37,800/31,500円
発売日:2006年12月22日/2007年1月26日
品番:BCBA-2620/BCBA-2621
収録時間:約600分(本編)/約475分(本編)
画面サイズ:4:3
音声:日本語(ドルビーデジタル モノラル)
発/販売元:バンダイビジュアル株式会社

 「ガンダム」という名前を耳にした時、つい幸せな気分になる人は多いと思う。知らない、または興味がないという人でもこの単語を耳にしたことはあるはずだ。特に30代男性を中心にファンの多いこの作品は、未だにテレビの深夜番組でガンダム好きの30代芸人が集まって1時間近くのトーク番組を展開してみたり、ついにはガンダムの主人公である「アムロ・レイ」のモノマネだけを売りにした芸人まで登場してしまうほどだ。

 また、ガンダムの新作も未だにリリースされ続けている。特に最近放送して人気になった「機動戦士ガンダムSEED」で初めてガンダムを知った人も多いことだろう。

 だが一部には、最初に放映された「機動戦士ガンダム」、通称「ファーストガンダム」しか認めない人もいる。そんなファーストガンダムがついにDVD-BOXとなって、2006年12月より発売を開始した。

 これまでも他のガンダムシリーズが次々とDVD化されていったのに対して、本作品のみDVD化されずに2006年まできた。なかなか発売されなかった真相については不明だが、「LD-BOX発売イベントで、DVD-BOXは出さないとバンダイの人間が宣言した」、「ガンダムは同社の発売する最後のDVD-BOX製品だから、そう簡単に発売しない」などなど、色々な噂や都市伝説が飛び交っていた。

 2006年4月、そうした噂を一蹴するべく本作品発売の報が届いた時には、ついにきたかと小躍りし、その後、Amazon.co.jpにて予約注文を行なった。先日、BOX2が諸事情により発売日より少し遅れて郵送にて自宅に届き、BOXが2個揃った。

 価格はDVD-BOX1が37,800円、BOX2が31,500円で、合計すると69,300円とかなり高額。日本のアニメーション作品のDVDビデオは基本的にどれも高額設定だが、ガンダムも幅広い層に向けて特に廉価にすることなく、高めの価格設定がされているようだ。

 本放送は'79年4月から'80年1月までの全43話。視聴率の悪さやスポンサーの経営悪化などの理由から打ち切りとなってしまったものの、その後、再放送を経てブームが到来。特にガンダムのプラモデル、通称「ガンプラ」が社会現象になるほどのヒット商品となり、連日おもちゃ屋や模型店には子供が押しかけた。

 その後もテレビの再放送回数は数知れず。最近ではアニマックスなどガンダムの再放送が売りのCSチャンネルもあるため、見ようと思えば今でも比較的容易に視聴できる。


■ 子供向けの皮をかぶった大人向けアニメ

 宇宙世紀0079という近未来の地球とその周囲の宇宙が舞台。増えすぎた人口を宇宙へ移民するようになって半世紀以上が過ぎた。宇宙には人が住める巨大な建造物「スペースコロニー」があり、そこで人々が生活をするようになった。また、人類は国家の枠組を超えた地球連邦政府により統治されていると言う設定。

 その状況の中、地球から最も遠くに建造されたコロニーの1つである「サイド3」が「ジオン公国」を名乗り、地球連邦政府に対して宣戦布告。後に「1年戦争」と呼ばれる独立のための戦争を開始。戦闘は激しく、この戦争において、総人口の半数が死ぬほどの大規模な物となる。その後、戦争は膠着状態が続き、半年が過ぎたところから話は始まる。

 主人公である「アムロ・レイ」は、父が軍事技術者のため、サイド7に一人で暮らす、機械好きで知られるごく平凡な少年だった。ところが、彼の住むサイド7が戦場となってしまい、ひょんなことから、地球連邦の開発した新型ロボット(モビルスーツ)「ガンダム」に搭乗し、敵のモビルスーツ「ザク」を撃退したことがきっかけとなり、軍人として戦いへの道を進むことになっていく……

 ガンダムが他のロボットアニメと比較して革新的とされるのは、当時放送していた子供向けロボットアニメ、通称「スーパーロボット」物において、当たり前であった「主人公=正義」であり「敵=悪者」というシンプルな構図をぶち壊したこと。戦争を作品のテーマとし、ロボット(モビルスーツ)を兵器という位置付けにしたことも評価されている。

 実際に視聴していると、ジオン軍兵士の視点からのエピソードが含まれていたり、ジオン軍を離れた元兵士のエピソードなど、彼らが単なる悪者キャラではなく、いかに主人公たちと同じ人間であるかを描いているシーンが多く共感できるのに対して、逆に味方であるはずの地球連邦軍側では、主人公たちを裏で邪険に扱う上層部の人間が登場するなど、これまでの構図では常に味方だったはずの地球連邦側に対して100%肩入れができない。

 もちろんジオン軍にもタチの悪い人間は多く登場するし、また地球連邦軍にもいい人は大勢いるが、どちらの陣営にも色々な人がいるという構図そのものが、当時のアニメーションとしては斬新な要素の1つだったと言える。

 とは言うものの、そんなガンダムもテレビシリーズ全43話を改めて見てみると、スーパーロボットらしさを感じる点も多々ある。ジオン軍の戦艦や、艦橋、モビルスーツなどのメカがいかにも「敵」であり「悪」っぽいデザインだったりするため、一見すると悪役にしか見えない。また、モビルスーツ=兵器と定義した作品と呼ぶにしては、主人公ロボのガンダムはやけに白/青/赤が目立つヒーロー配色で、兵器としてはやや不自然さを感じたりもする。

 実はこうした見た目の印象と中身のギャップこそ、ガンダムを今なお魅力的作品たらしめた要因ではないかと個人的には考えている。実際自身が小学生の頃見たガンダムは、正義のロボットであるガンダムがジオン軍という悪者と戦う、スーパーロボットと変わらない構図で見ていた記憶がある。

 ところが、中学生くらいになって改めて再放送のガンダムを見ていると、どうも主人公のはずのアムロがイジイジしていて、腹が立つ。むしろ同じ味方陣営でも、サブキャラクターの「カイ・シデン」など、状況を常に斜めに見るようなキャラクターや、アムロのライバルであり、ジオン軍のエースパイロット「赤い彗星」こと「シャア・アズナブル」などの方が好感を持てたりするなど、今までと見え方が変わったことに衝撃を覚えた。

 また、大人になって改めてみると、主人公陣営だけでなく、むしろジオン軍の一兵士や、シャア失踪後にライバルとなる恰幅のいいオヤジであるはずの「ランバ・ラル」から感じる雰囲気や「大人の事情」的な行動原理に対して感心できたり共感できる部分が増えていた。

 なぜ、視聴時の年齢によって見えてくる物が異なるかを考えると、物語の中に練りこまれたドラマが非常にリアルなものだった点に他ならない。

 もちろん単にリアルという点で言えば、ガンダムの後、高橋良輔監督により描かれた同じく日本サンライズの「装甲騎兵ボトムズ」の方がよほどリアルな戦争物アニメだと言える。ガンダムに感じる不思議なリアリズムは、個性のあるキャラクターの台詞や立ち振る舞いなど非常に細かい部分のこだわりの集大成なのだと思う。

 作画については、いつの世もテレビシリーズのBOXを買うと感じることだが、回によって絵柄の落差が激しい。特にガンダムの場合、今でも視聴に耐えうるほど高レベルの作画で構成された劇場版3部作が存在するため、これのイメージが強い人ほど落差にガッカリすると思われる。

 今回BOX購入に際して改めて全話を視聴してみたが、劇場版では、テンポよくすっきりしたエピソードになっている話の多くが、テレビ版では2話構成で展開するなど、比較的のんびりした流れとなっている。ただこれらのんびりしたエピソードの合間に前述のように、テレビシリーズでしかお目にかかれないへんてこな敵メカが登場したり、小粋なエピソードを交えたりするので、目が離せず結局最後まで見てしまうのが恐ろしいところだ。


■ ビットレートはかなり高め。映像特典に不満

 ディスク枚数構成はBOX1が6枚、BOX2が5枚の計11枚で、1枚には各4話収録。全てのメディアが片面2層で、ビットレートはいずれも9Mbps弱とかなり高め。そのためブロックノイズなどは皆無で、色合いもかなりにぎやかになっている。劇中に登場するサブキャラクターの「ブライト・ノア」の髪の毛は本来ダークグリーンなのだが、通常のテレビやCSでよく流されている再放送では黒髪に見えていた。今回DVDで見て髪の色がはっきり分かるなど、比べてみれば格段の高画質と言える。この辺りはフィルムを1コマずつハイビジョンでスキャニングしデジタルデータ化したという「HDプレミアムマスター」ならではというところだろう。

 ただ、期待しすぎるのも禁物で、例えばフィルムの傷や完全に除去しきれていないゴミなどが、黒背景では特に目立ってしまい気になった。また、やはり20年以上前の作品ということもあり、表示デバイスにソニーの40型フルHD液晶テレビ「KDL-40X2500」などを使って見ていると、ソースに起因する粒状の粗さが目立つなど、HDプレミアムマスターの力ではどうにもならない部分もあるようにも感じた。

 音声は日本語2chのみで、字幕なども一切含まれていない。アメリカでもガンダムのDVDは発売されており、個人的には英語音声のガンダムにも興味があったので、DVD-BOXに収録されていることを期待したが、残念ながら収録されていない。

 また、映像特典もかなり少なく、ノンテロップOP/ED、第1話予告、番組宣伝用のテレビCM2本のみ。これらは全てBOX2の最終話収録ディスクに同時に収録されており、BOX1には何も含まれていない。

 個人的には、プラモデルのCMやおもちゃ、お菓子のCMなど、当時の雰囲気を楽しめるものを期待していたので、この点も非常に残念。メインディスクの最終巻は本編3本+映像特典の構成だが、前述の特典だけでは20分にも満たない。ディスク容量的にももう少しゆとりがあるようなので、前巻とのバランスを考えると、映像特典だけで1枚用意するなどあってもよかったと思う。単品販売も開始しているだけに、BOX購入者向けに、こういう面での配慮がほしかったところだ。

先行予約特典「1/200 RX-78 GUNDAM Limited Version」。小さい割によく動く

 封入特典はストーリーダイジェストがBOXにつき1冊。また、放映当時発売された「ガンダム記録全集」というムックから一部を抜粋、再構成した小冊子が1冊付属しており、新たにガンダムを知る人としては、うれしい特典と言えるが、昔からのコレクターにとっては微妙なアイテムとも言える。

 とは言え、先行予約特典の「1/200 RX-78 GUNDUM Limited Version」の出来はすばらしい。1/200とかなり小型ながら、色塗りや可動部のギミックなど、しっかり作られており、コレクターなら押さえておきたい一品に仕上がっている。


【DVD Bit Rate Viewerでみた平均ビットレート】
Disc01(1話〜4話) Disc02(5話〜8話) Disc03(9話〜12話) Disc04(13話〜16話)
Disc05(17話〜20話) Disc06(21話〜24話) Disc07(25話〜28話) Disc08(29話〜32話)
Disc09(33話〜36話) Disc10(37話〜40話) Disc11(41話〜43話 + 映像特典) 【参考】レンタル版Disc01(1話〜3話収録)でも、平均ビットレートは同等だった


■ 劇場版が楽しめたなら、未見の人でもオススメ

 高価なBOXセットなので、ガンダムを全く知らない人にオススメするのは難しい。そこでガンダムを知らない人には、まずガンダム劇場版3部作を見てほしい。

 劇場版3部作は、テレビシリーズ全43話を3本の映画にまとめたダイジェスト版とも言えるものだが、再編集/作画修正を行ない、話がすっきりとまとめられているため、おおまかな話の流れが理解できる上にガンダムの「ポイント」とも言うべき点はきちんと抑えているので、初見の人でも楽しめると思う。実際、最近ガンダムを知った人の多くは、7時間前後で全部見られるこの劇場版で満足しているのではないかと思う。

 この劇場版3部作を見終えて、何かを感じられたなら、その時こそBOXを手にしてほしい。ただ、その場合も一度CSなどの再放送で一通り見てからでもDVD-BOXの購入は遅くないかもしれない。

 個人的には、ガンダムの真の魅力は劇場版などではカットされた細かい話にこそあると思っている。当然カットされるくらいなので、話としては本筋から外れているため、どうでもよかったり、ストーリー的に重要であっても、作画の荒れがひどくて丸々使われなくなった話などもある。おそらく劇場版を先に見ていた人が、テレビシリーズを見ると、驚きの連続だと思う。特に劇場版ではカットされており、その最後を見ることのできなかったキャラクターたちのラストシーンは色々な意味で必見だ。

 また、メカ好きにとってもテレビシリーズは欠かせない。と言うのも、劇場版では省略されたエピソードにのみ登場する敵メカも多く存在する。さらに、ガンダムを支援するサブメカである「Gアーマー」は劇場版では全て「コアブースター」に変更になっているため、Gアーマーの勇姿と意味の分からない合体変形っぷりはテレビシリーズでしか楽しめない醍醐味と言える。

 今回のガンダムDVD-BOXは完全にコレクターズアイテムと言える。手元に置いておき、ふとした拍子にガンダムが見たくなった時、すぐ見られる環境のための一品だ。ガンダムを「ちょい見」したい人や、永久保存版として手元に残しておきたい人に最もオススメだ。

 実際、ガンダムトークで盛り上がる時というのは、お互いちょっと前の記憶で話をしているため、話が食い違うということがよくある。大筋の話での食い違いはないものの、ちょっとしたキャラクターの名前(1話で登場する2機のザクのパイロットの名前とか、大気圏突入時に帰還に失敗して燃え尽きたザクのパイロットの名前など)が思い出せなかったり、それぞれ覚えている名前が異なったりするのだ。

 そこで手元にDVD-BOXがあれば、こうした時に険悪なムードになることなく、事実確認ができるという幸せな使い方ができる。

●このDVDビデオについて
 購入済み
 買いたくなった
 買う気はない

前回のHD DVD版「ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT」のアンケート結果
総投票数455票
購入済み
30票
6%
買いたくなった
172票
37%
買う気はない
253票
55%

□バンダイビジュアルのホームページ
http://www.bandaivisual.co.jp/
□ニュースリリース(PDF)
http://www.bandaivisual.co.jp/pdf/2006/pr060407-4.pdf
□機動戦士ガンダムのホームページ
http://www.gundam.jp/
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【2006年12月25日】ファーストガンダムのDVD-BOXが出荷数12万個を突破
−同社のBOX商品の中で、過去最高の出荷数
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20061225/bandai3.htm
【2006年4月7日】バンダイビジュアル、ファーストガンダムを初DVD化
−BOXを12月22日より順次。レンタルや単品販売も
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060407/bandai1.htm

(2007年3月13日)

[AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]


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