前回の三洋「LP-Z2000」に引き続き、フルHD透過型液晶プロジェクタ製品を紹介する。今回取り上げるのは、透過型液晶パネルの製造メーカーである、エプソンが自らが手がけた製品「EMP-TW2000」だ。 エプソンは昨年、D6世代パネルを採用した同社初のフルHD透過型液晶プロジェクタ「EMP-TW1000」を発売しており、今回のEMP-TW2000は2世代目のフルHDモデル。その進化ぶりが期待される。
■ 設置性チェック ~ボディデザインに変更なし。ランプやオプションも前モデルを踏襲
筐体デザインは先代TW1000とほぼ同一。投射レンズ横にDEEP BLACKロゴとx.v.Colorのロゴマークが配されている以外は、先代からの外観デザイン上の大きな変更点はないようだ。ただし、ボディカラーは白から黒へと変更され、インテリアとしての高級感が演出されている。 ボディサイズは406×310×124mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約5.6kgとTW1000からの変更は無い。今年のフルHDプロジェクタの中にあっては小型軽量の部類だといえる。奥行きに関してはLP-Z2000よりもさらに狭いので、部屋の後部に設置した棚の天板に設置するような、オンシェルフ設置も行ないやすい。 天吊り金具はTW1000と同じ「ELPMB20」(47,250円)。ELPMB20は、2005年発売のEMP-TW600から設定されている金具であり、TW2000の焦点距離はTW600のそれをカバーするので、EMP-TW600ユーザーはボルトオンでアップグレード可能となっている。これは嬉しい配慮だといえる。 投射レンズはTW1000から変更はなく、LP-Z2000とほぼ同等の光学2.1倍マニュアルズーム(F2.0-3.17、f:22.5-47.2mm)を採用する。ズーム倍率、フォーカス調整、レンズシフト調整はすべてマニュアル(手動式)で行なう。TH-AE2000、VPL-VW60、LVP-HC6000といった競合機では電動リモコン式に変わってきているので、そろそろ次期モデルあたりで対応を検討して欲しい。設置、収納を繰り返すカジュアルユーザーであればあるほど電動リモコン式が重宝されるだろう。軽量小型のEMP-TW2000のようなモデルにこそふさわしい機能だと思う。
100インチ(16:9)の最短投射距離は約3.0m、最長投射距離は約6.3m。6~8畳の小さめの部屋だけでなく、16畳程の大きな部屋の最後部からの投射でも、画面を不用意に大きくすることなく目的の画面サイズに投射できる。 レンズシフトは、上下方向±96%(約3画面分)、左右方向±47%(約2画面分)のシフト量となっている。100インチ(16:9)投射時に最大上方向にシフトした場合は(ズーム倍率によらず)、約58cm映像を打ち上げられる。これならば比較的低いテーブルに設置しても思い通りの高さへ映像を投射できるはずだ。下方向シフトも同様なのでかなり高い位置にオンシェルフ設置しても映像を下におろすことができる。設置性はかなり高いといえる。
輝度スペックの詳細は後述するが、TW1000の1,200ルーメンからTW2000では1,600ルーメンへとあがっているのにもかかわらず、光源ランプはTW1000と同じ170WのUHEランプ「ELPLP39」(31,500円)が利用できる。ランニングコストも、まずまずの安さといったところではないだろうか。 光源ランプに変更がないため、消費電力は245Wで、TW1000から据え置き。公称スペックでは騒音レベルはTW1000の26dBから24dBへ低減されている(低輝度モード時)。 ただし、多くの人が利用することになる高輝度モードの騒音レベルを聞いてみると、動作音はLP-Z2000よりだいぶ大きく、1m程度の距離でも「フー」という排気音が聞こえる。映像の視聴を妨げるほどではないが無音状態の部屋ではEMP-TW2000が動作しているんだな……ということが意識できる音量だ。できれば視聴位置から離して設置したい。 エアフローは本体底面から吸って投射レンズ横のスリットから排気する設計。排気スリットからは若干の光漏れがあるが、その光漏れを投射方向に出さないよう、スリットがうまくレイアウトされている。光漏れが映像に与える影響はないと思ってよい。側面および後面には吸排気スリットがなく、オンシェルフ設置や台置き設置などの場合にも設置レイアウトにそれほど神経を使わなくてもよいのがありがたい。また、排気風を映像正面には出ないように横に流すようにスリットに工夫がなされているので、風や熱が映像を揺らすようなこともない。このあたりはさすが、老舗のプロジェクタメーカーといったところか。
■ 接続性チェック ~D端子を削除し、HDMIを2系統に強化
ボディデザインに変更がないEMP-TW2000ではあるが、接続端子については変更されている。 まず、HDMI端子はEMP-TW1000の1系統から2系統に増やされた。HDMIバージョンは1.3で、x.v.Color、Deep Colorに対応。また、フレームレート変換無しの1080/24pリアル表示にも対応している。現行のHDMI関連のスペックは一通り満たしており、大きな死角はない。 アナログビデオ系はコンポジット入力とS映像入力は1系統ずつで変更がないが、コンポーネント入力系は変更されている。EMP-TW1000では、D5端子とRCAタイプのコンポーネントビデオ入力が各1系統ずつあったが、D端子がカットされ、RCAのみが残されることとなった。 PC入力はアナログビデオ入力のD-Sub 15ピン端子を1系統実装。DVI端子はないが、HDMI-DVI変換アダプタなどを利用した、デジタルRGB接続は可能。実際に、1,920×1,080ドットのデスクトップをドットバイドットで表示できることを確認した(NVIDIA GeForce8800GTX、Windows Vista)。 なお、HDMI経由でのPC接続を行なった際はオーバースキャンをちゃんとキャンセルすること。さもないとデスクトップが欠けて表示されてしまう。やり方は簡単で「映像」メニューにて、「出画率変更」を「100%」とするだけだ。また、LP-Z2000の時にも触れたが、標準ではHDMIのカラーモード(階調レンジ)がビデオ向けの16-235となっているので、PC接続ではこれを0-255としないと黒浮きと白飛びが発生しがちとなってしまう。この設定を切り換えるにはやはり「映像」メニューにて「HDMIビデオレベル」を「通常」設定から「拡張」設定とする必要がある。PLAYSTATION 3などのゲーム機を接続する場合もこのあたりには配慮する必要がある。 この他、リモート制御用のRS-232C通信ポート、稼働中にDC12Vを出力して外部機器との連携動作に利用できるトリガ端子も実装されている。D端子を省き、HDMIを増設したことは時代の要求と言うことで不満はない。あえて要望をいうならば、PC接続時に前述の出画率やカラーモードの変更が面倒なので、アナログ/デジタル兼用で利用できるDVI-I端子の実装を検討して欲しいと思う。
■ 操作性チェック ~充実の調整機能。操作系はエプソン流の完成形か リモコンはEMP-TW1000から引き続き、中央がくびれたバータイプのものが付属する。塗装はつや消しの黒で、先代の真っ白と比べると手垢や埃が目立ちにくい。
リモコン最下段にはリモコン上の全ボタンを自照式に点灯するライトアップボタンが配されている。ライトアップボタンはその他の操作ボタンから離れており暗がりでも指で当たりをつけて押しやすい。また、電源オンボタンが大きく緑に光り、一方電源オフボタンは小さく赤く光り、なおかつ、くぼみの中に収まっておりわざと押しづらくなっている。暗がりでの操作に配慮したリモコン設計にも、老舗メーカーとしての経験の豊富さを感じる。 電源オンからEPSONロゴが表示されるまでが約12秒、HDMI1の入力映像が投射されるまでの所要時間は約18秒であった。これは先代と全く同じタイム。最近の製品としてはまずまずの速さといったところ。ちなみに映像が出てくるまでの所要時間は競合のLP-Z2000よりはだいぶ高速だ。 リモコン上には[HDMI1]、[HDMI2]、[Component]、[PC]、[S-Video]、[Video]と、各入力系統に1対1に対応したボタンをレイアウトしており、入力切換操作は希望の入力切換ボタンを押すだけで非常に直感的に切換えやすい。入力切換所要時間はHDMI→Sビデオ入力で約2.6秒、Sビデオ→コンポーネントビデオで約2.5秒であった。こちらも先代から高速化はなされていない。とはいえ、希望の入力先へ一発で切り換えられる利便性は大きく、遅さは全く気にならない。 一方、アスペクト比の切り換えは[Aspect]ボタンによる順送り式。切り換え速度はほぼゼロ秒で高速だが、入力切換のダイレクト切り返し機と比べると野暮ったい。使用頻度が高い、4:3維持と、16:9のパネルフル表示は独立ボタンを実装して直接切り換えられるようにして欲しい。もっと言えば、疑似ワイドやレターボックスの使用頻度は低いのでこうした特殊アスペクトはメニュー階層から設定を行なう操作系でもかまわないと思う。 EMP-TW2000に搭載されているアスペクトモードは以下の通り。
LP-Z2000と比較するとアスペクトモードは少なく、最低限のものを実装するにとどまる。とはいえ、実用上は問題ない。プリセット画調モードの切換も[Color Mode]ボタンによる順送り式切り換え方式。切り換え所要時間は約1.5秒で、意外なことに先代のTW1000よりもやや遅くなっている。
調整可能な画調パラメータは「明るさ」「コントラスト」「色の濃さ」「色合い」「シャープネス」などの基本要素以外に、「絶対温度(色温度)」「肌の色調整」「輝度切換」「オートアイリス」などの設定が調整できる。 「絶対温度(色温度)」は5,000/5,500/6,000/6,500/7,000/7,500/8,000/8,500/9,000/9,300/9,500/10,000Kから選択可能でかなり細かい設定が可能。
「肌の調整」は0/1/2/3/4/5/6の7段階調整で真ん中の“3”を基準値としており、値が小さいほど人肌に関連する色が赤みを帯び、値を上げていくと緑を強くできる。人肌を選択式に調整するとはいえ、実際には人肌のハイライト色になる白付近までに影響がでるので落としどころがなかなか難しい。 「輝度切換」では、ランプの輝度モードを「高輝度」と「低輝度」の二段階に切り替えられる。高輝度にするとその分、冷却ファンノイズは大きくなり、静穏性は犠牲になる。プリセット画調モードで言うと「シアター・ブラック」系のモードはすべて低輝度モードが採用されている。 「オートアイリス」は投射映像の平均輝度に応じて光量を動的に絞る機構のこと。LP-Z2000ではこの動的絞り機構の応答速度の設定ができたのだが、EMP-TW2000では「オン」「オフ」の設定しか行なえない。
一般ユーザーであれば、以上の調整ができれば文句はないだろうが、さらに進んだカスタマイズを行ないたい人向けに、「アドバンスドメニュー」が搭載されている。 珍しいのが、シャープネスの「アドバンス」カスタマイズ機能だ。映像のソフトネス、ディテール強調の具合を上げ下げできるだけでなく、映像の高周波成分(ディテール)と低周波成分(エッジ)のそれぞれを、異なる強調度合いを設定でき、さらにはその周波数成分を横方向、縦方向に調整できる。 この他、「アドバンスメニュー」にはガンマ補正のカスタマイズ機能を細かく行なうためのモードも用意されている。ガンマカーブはプリセットとして2.0/2.1/2.2/2.3/2.4が用意されているが、「カスタム」設定を選択することもできる。「カスタム」設定モードを起動すると、表示映像が停止して9バンドのスライダーが出現。この表示映像を見ながらスライダーを上げ下げしてオリジナルガンマカーブを作り出すことができる。
調整は選択したプリセット画調モードをベースに行なっていくことになるが、パラメータを書き換えたプリセット画調モードは、そのまま保持されてしまう。しかし、「画質」メニュー階層下の「初期化」を実行することで簡単に工場出荷状態に戻すこことは可能だ。そのため、積極的にプリセット画調モードを調整用のテンプレートに用いても問題はない。 調整結果は用意された10個のユーザーメモリへの登録ができ、リモコンの[MEMORY]ボタンから随時呼び出すことができる。メモリとして記録されるのは「画質」メニュー階層下の全パラメータで、ランプ輝度やアイリスの設定までが記録される。なお、10個のユーザーメモリは全入力系統で共有される管理方式となっていた。 メニューの作り込みや機能設計は良くも悪くもデータプロジェクタ的な印象がある。テレビ的な調整メニューを想像していると、ちょっと戸惑うかもしれない。しかし、総じて使い勝手自体は悪くないと思う。 あえて気になった点を挙げるならば、「映像」メニュー階層下の「プログレッシブ変換」、「2-2プルダウン」、「ノイズリダクション」、「出画率変更」、「EPSON Super White」、「HDMIビデオレベル」などのパラメータの調整結果がユーザーメモリに記録できない点だろうか。実はこのあたりの特性はEMP-TW1000と同じ。「画質」メニュー、「映像」メニューは、字面的にもわかりにくいので、このあたりのメニューアイテムの整理がなされるともう少しわかりやすく、使いやすくなると思う。
■画質チェック EMP-TW2000は、D7世代プロセスの0.74型フルHD透過型液晶パネル「C2FINEパネル」を採用しており、先代EMP-TW1000との決定的な違いはここにある。ちなみに、先代EMP-TW1000は、D6世代の0.74型2FINEパネルが使われている。C2FINEパネルの特徴は「無機配向膜」、「ノーマリーブラックの垂直配向液晶」にあり、この点についての技術的解説は本連載第52回にて行なっているので、興味のある読者はそちらを参照して欲しい。
同じC2FINEパネルでも、D6とD7との違いは画素開口率の向上、そして画素開口部がより正方形に近づき表示映像の粒状感が低減されたこと。とはいえ、DMDパネルやLCOSパネルと比較すると開口率は半分程度であり、ズーム拡大率を上げた150インチオーバーでは結構画素粒状感が目立つ。しかし、100インチ程度の画面サイズで2mも離れて見ればほとんど感じない。 公称最大輝度は1,600ルーメン。光源ランプに変更がないのにTW1000から400ルーメン輝度が向上しているのも、D7パネルの開口率が向上したことが大きく起因していそうだ。画調モードを「ダイナミック」や「リビング」(後述)とすれば、投射映像は相当明るく、蛍光灯照明下でも映像の概要は普通に見られてしまうほど。ニュースやバラエティ番組などを蛍光灯照明下で食事をしながら見る……といったテレビ的な活用も十分できるはずだ。 公称コントラストは50,000:1とあるが、これは画調「ダイナミック」モードで、動的絞り機構(オートアイリス)をオンにしたときの最大輝度の白と最低輝度の黒の対比によるもの。これはスペック表記のための数値なので過度な期待は禁物だ。とはいえ、実際に投射映像を見てみると、ネイティブコントラストは明らかにTW1000よりも向上していることが分かる。透過型液晶プロジェクタの映像なので、やはり明部の絶対的な輝度の高さに視覚が引っ張られ、暗部が相対的に暗く見えるという「体感コントラストが高い」という特性はあるにはある。しかし、黒も相当に暗くなっているのだ。
この暗部の沈み込みの鋭さは、D7液晶パネルに組み合わされた光学位相補償フィルタの「DEEPBLACK」が効いているためだろう。 垂直配向液晶方式でも液晶パネルを90度位相の違う偏光板で挟み込んでおり、理想的にはノーマリーブラックの垂直配向液晶の黒表示の画素は、出口側の偏光板を通り抜けることができない。しかし、実際には液晶分子に衝突した光は微量だが複屈折を起こしてしまい、位相が微妙に回転し、これが出口側の偏光板を抜け出てきてしまうのである。これがLCOSを含め、液晶画素の黒浮きの大きな原因の一つとなっている。この微妙な位相回転を補償する微細光学系がDEEPBLACKになる。これにより黒表示画素の「光漏れ」が一様に低減されるため、暗部階調は全体的にもっと暗いところから始められるようになる。 開口率の向上により最大輝度の向上と、DEEPBLACKによる暗部のさらなる沈み込み。この2つがEMP-TW2000のネイティブコントラスト向上の最大の理由なのだ。 LCOSプロジェクタと比べれば、まだまだ黒浮きはあるが、それでも暗いシーンが薄明るくてスクリーンの素材色そのものが知覚されてしまうようなことがない。「映像として暗い色」がちゃんと視覚できるのは透過型液晶プロジェクタの映像としては衝撃であった。
今回の視聴はレンズシフトを左右±0、下方向に50%程度にシフトしたオンシェルフ設置にて行なったが、投射レンズのフォーカス性能は及第点といったところ。フォーカスむらはないわけではないが、実用上不満のないレベル。色収差による色ずれも多少あるが、最外周でも半ピクセル以内のずれに収まっており、大きな解像度劣化にはなっていない。白地に1ドット単位で描かれた黒文字もちゃんとピクセル輪郭が描き出せている。 今回の視聴評価は、主にBDビデオの「ダイハード4.0」を、EMP-TW2000とはHDMI接続したPLAYSTATION 3にて再生して行なった。プリセット画調モードは「ナチュラル」を使用。 発色傾向は記憶色再現よりは原信号忠実再現指向を感じ、イヤミがない。純色のパワーバランスも良好。青と緑には深みがあり、水銀系ランプが苦手なはずの赤も、青や緑に負けない鋭い発色が実現できている。公称スペックではNTSC115%のカバー率を実現しているとのこと。 色深度(色ダイナミックレンジ)も深い。2色混合のカラーグラデーションにマッハバンドが出ないのはもちろん、純色から黒への階調グラデーションでは、かなり暗部付近にまで色味が残っていると感じられる。これは、NTSC115%の広色域と、輝度(ダイナミックレンジ)向上、ネイティヴ12bit階調駆動による相乗効果によるものと思われる。この色の「伸びの良さ」はLP-Z2000にもよく似ている。これはD7パネルの特徴といえるのかもしれない。 人肌の発色もナチュラルなチューニングで、不用意に赤みを添加しておらず、水銀系ランプのクセのある黄味がかった色にもなっていない。血の気を帯びた柔らかい肌色と透き通ったハイライトの乗った白い肌とがリアルに描き出せている。色深度も深いので肌の肌理の表現にもリアリティが際だつ。 階調表現のリニアリティは液晶らしいアナログな感じが好印象だ。そして、なにより、DEEPBLACKの効果もあり、透過型液晶とは思えない黒の沈み込みと暗部の暗さは素晴らしい。ただ、明るいシーンの中の黒領域、暗部領域にはやはり透過型液晶特有の黒浮きはある。しかし、EMP-TW2000の場合、輝度パワーがあるので相対的にはこれが気になる局面は少ない。 この黒浮きがどうしても気になるというケースに対応すべく搭載されているのが「オートアイリス」だ。この機能の設定はオン/オフの二段設定のみしか行なえず、競合他機種のような、絞り幅や絞り速度の調整ができない。オン時での視聴も試してみたが、明暗の移り変わりの激しいシーンでも不自然な挙動は見られなかった。いくつかのシーンで実験した限りでは、シーンの明暗変化と絞り制御の連動速度はゆっくりかつ緩やかな制御になっていることが分かる。プリセット画調モードによってデフォルトではオフ設定のものもあるが、基本的にはオンで常用しても問題ないと思う。
評価最終段階で気がついた点を少し記しておく。今回の評価では、画質については量産品同等の試作機を約10日間、設置位置は変えずにほぼ毎日数時間使用したが、使い続けるにつれて完全黒表示時に緑や赤や青のうっすらと見えるしみが増えてしまった。 レンズを拭いても落ちないので、おそらく投射系内部への埃の混入によるものと思われるが、エプソンは、「量産品では埃対策を施しており、問題は生じない」としている。 各画調モードの活用方針とインプレッションは下記のとおりだ。
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