東芝、小型/薄型スピーカー向け高音質化技術を京大と開発
-原音以外の音を逆位相で打ち消し、時間領域を改善
株式会社東芝は16日、小型/薄型AV機器向けスピーカーの高音質化技術を、京都大学大学院工学研究科 都市環境工学専攻 伊勢史郎准教授と、有限会社アクティモ(京都大学のベンチャー企業)との共同で開発したと発表した。
今回開発された「音忠実再生技術」は、従来のイコライザなどのように「周波数領域」からのアプローチではなく、「時間領域」の改善に着目。具体的には、筐体や支持部分の剛性不足によりメインスピーカーから発した原音以外の音を、補助スピーカーから発生させる逆位相の音で打ち消すことで、原音に忠実な再生を図る。原音パルス波形のみを残す「インパルス応答最適化制御」により、スピーカー出力波面を、時間領域で忠実に整形できるという。
一般的なスピーカーからは原音以外の音が全体の約4割程度発生し、小型/薄型機器で用いられる薄肉のABS筐体ではそれと同等以上が発生するとされており、同技術の基礎実験においては、その原音以外の音を90%以上低減させたという。さらに、結果として周波数領域のフラット化についても、従来のイコライザなどによる改善と比べ、同等以上の効果を実現したとしている。
今後は、製品への搭載に向けた課題解決を中心とした研究開発に取り組む予定。3月17日から開催される日本音響学会2009年春季研究発表会において発表される。
(2009年 3月 16日)
[AV Watch編集部 中林暁]