JRIA、2012年までの記録メディア世界需要予測を発表
-「BDは'12年までに国内2億枚突破」
日本記録メディア工業会(JRIA)は24日、BDやDVD、ビデオテープなどの記録メディアの世界需要予測を発表した。
2012年までの3年間の中期予測が行なわれており、いずれも2009年の推定実績に基づいてまとめたものとなる。今回は、これまで行なわれていた暦年(1~12月)でなく、年度(4月~翌年3月)に変更しての需要予測となる。この変更の理由として、「JRIA会員各団体の要望」(JRIA)としている。
対象となる記録メディアとして、これまで青紫色レーザーディスクとして発表してきた次世代光ディスクをBlu-ray Disc(BD)に一本化。そのほかのメディアは、DVD±R、DVD±RW、CD-R/RW、オーディオテープ、録音用MD、ビデオテープ、ムービーテープ(ミニDVカセット)、フロッピーディスク(FDD)。小型メモリーカード。
なお、ムービーテープはCカセット/8ミリといったアナログテープの需要規模が極端に減少してきたことから、ミニDVカセットに集約。前回まで対象であった3.5型MOは、需要規模/取り扱いメーカーの減少から需要予測を中止した。
さらに、小型メモリーカードは需要予測精度の確保が難しいことから、世界需要予測を中止し、国内需要予測に変更した。
■ BDは前年増。'12年までに国内2億枚を突破
BDの世界需要は、2009年の推定実績が前年比244%増の4,400万枚、2010年予測は同223%の9,800万枚、2011年予測は同189%の1億8,500万枚、2012年予測は同168%の3億1,000万枚と発表。
構成は国内需要が中心となっており、2010年の国内需要の構成比は83%となっている。JRIAは「国内市場では、DVDレコーダからからBDレコーダへの買い替えが進み、BDレコーダ内蔵テレビの普及など明るい材料が多く、2012年には2億枚を超える需要規模を見込む」と分析する。
また海外需要に関しても、「欧州を中心にBDレコーダの販売が始まっており、2012年からの本格的な需要の高まりに期待が掛かる」とした。
2009年推定実績 | 2010年予測 | 2011年予測 | 2012年予測 | |
日本 | 38(253%) | 81(213%) | 143(177%) | 210(147%) |
その他地域 | 6(200%) | 17(283%) | 42(247%) | 100(238%) |
世界合計 | 44(244%) | 98(223%) | 185(189%) | 310(168%) |
■ そのほか光ディスクは減少基調
追記型の記録型DVDの需要については、2010年は前年比94%の49億6,100万枚、2011年は46億6,700万枚(同94%)、2012年は43億7,200万枚(同94%)で減少基調と分析。「将来はBDへの需要のシフトが予測される」としている。
書換型の記録型DVDについても、2010年が2億8,000万枚(前年比84%)、2011年は2億3,600万枚(同84%)、2012年は1億9,800万枚(同84%)と減少を予測。減少の主な要因について、「近い容量で競合する小型メモリーカードやUSBメモリなどにアクセス速度で劣るのと、書換型ストレージとしてのポータブルHDDやHDDレコーダの普及が考えられる」としている。
なお、記録型DVDのタイプ別国内需要予測も発表。録画用DVD(追記型/書換型DVDの合計)は、2010年が前年比96%の5億6,600万枚(構成比/追記型:書換型 84:16)、2011年は同93%の5億2,400万枚(同85:15)、2012年が同92%の4億8,200万枚(同85:15)。
また、データ用DVDは、2010年が前年比94%の4億500万枚(構成比/追記型:書換型 99:1)、2011年が同95%の3億8,500万枚(同99:1)、2012年が同94%の3億6,200万枚(同99:1)。
書換型8cmDVDは、今後特に落ち込みが激しくなると見られ、2010年が前年比72%の1,800万枚、2011年が同78%の1,400万枚、2012年が同57%の800万枚と分析。「現在ムービー市場は、HDD/メモリカード対応機が主流で、DVDムービーは発売の予定がなく需要の減少が続く」と見ている。
録音用CD-R、データ用CD-R需要も減少基調となっており、録音用では、2010年が前年比84%の1億7,700万枚、2011年が同84%の1億4,800万枚、2012年が同82%の1億2,100万枚。データ用では、2010年が同86%の44億1,600万円、2011年が同84%の37億3,100万枚、2012年が同84%の31億2,500万枚となっている。
■ メモリカードは好調に推移。磁気メディアは大幅な減少
SDカード、メモリースティック、CFカード、xDピクチャーカード、スマートメディア、MMCを含む小型メモリーカードの日本需要予測も発表。2010年が前年比108%の7,000万枚、2011年が同109%の7,600万枚、2012年が同105%の8,000万枚と予測。容量別内訳では、4GB以上の2010年構成比が44%、2012年には77%に達し、大容量化が加速すると分析している。
オーディオカセットテープの世界需要は、2010年が前年比71%の8,600万巻、2011年が同70%の6,000万巻、2012年が同68%の4,100万巻、録音用ミニディスク(MD)は2010年が同61%の1,900万枚、2011年が同63%の1,200万枚、2012年が同50%の600万枚と、ともに大幅な減少と予測。「ポータブルオーディオプレーヤーや音楽配信の普及が大きく影響している」とする。
ミニDVカセットも大幅減少基調で、2010年が同70%の6,500万巻、2011年が同66%の4,300万巻、2012年が同65%の2,800万巻となっている。
登壇したJRIAの山口温敬氏は、「記録メディア自体が減少傾向にある。昨今インターネット環境が発達し、データをネットを介して送れる。こういうことからも、容量の少ないメディアの減少は仕方がない。ただ、大容量のBDメディアやメモリカードはまだまだ伸びる。JRIAとして、大容量メディアなどのニーズのある商品を供給できるよう、取り組んでいく」と述べた。
(2010年 2月 24日)
[AV Watch編集部 大類洋輔]