CEATEC JAPAN 2009【Microvision/TDK編】

超小型レーザープロジェクタと10層320GB光ディスク


会期:10月6日~10月10日

会場:幕張メッセ

入場料:大人1,000円/学生500円
    (事前登録で無料/最終日は無料)

  Microvisionのブースでは、光源にレーザーを使った超小型プロジェクタ「SHOWWX」を出展している。サイズは118×60×14mm(縦×横×厚さ)、バッテリ込みの重量が122g。

SHOWWX。iPod nanoと接続したところ
 RGBのレーザーの光をMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の超小型ミラーでブラウン管のように走査させ、スクリーンに映像を描写する仕組みで、同社ではエンジン部を「PicoP」と名付けている。解像度は848×480ドットで、輝度は10ルーメン。アスペクト比は16:9。リフレッシュレートは60Hz。レーザー光の波長は赤が642nm、青が442nm、緑が532nm。コントラスト比5,000:1。

 最大の特徴は、レーザーを用いることで投写用レンズを不要としている事。そのため、通常のプロジェクタで必要となるレンズのフォーカス合わせがいらず、どこでも投写すれば、その映像は全てクッキリと描写される。

 スクリーンに対して本体を平行に設置する必要すらなく、例えば本体をスクリーンの斜め下から、上向きに投写して、映像が台形や扇状などにゆがんだ状態でも、ピントが合ったクッキリとした映像が描写される。


 

投写口側面
投写画像斜め下から投写。ゆがんだ状態でもクッキリと描写されているのがわかる

マネキンが着た白いTシャツなど、曲面にも投写できる
 プレゼンテーションや壁への投写といった、通常のモバイルプロジェクタとしての使用だけでなく、服飾店の店頭に置いたマネキンの白いTシャツに、店名を投写するといった使い方も可能になる。6インチから100インチまでの投写に対応し、レンズが無いため画面サイズは、投写距離のみに依存する。

 鮮やかな色合いの表示や低消費電力も特徴で、内蔵バッテリで約2時間の使用が可能。充電はUSB経由で行なう。映像入力はコンポジットとアナログRGBを備えている。OEM供給とMicrovisionブランドの製品として各国の代理店経由での販売、直販サイトでの販売を予定。アジアと欧州の販売店数社と販売契約も締結しているという。出荷は数週間のうちに始まる予定で、価格は販売店によって異なるが400~500ドルになる見込み。

 また、ブースでは「PicoP」エンジンを使ったヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display)の試作機「PicoHUD」も展示されている。斜めになった投写面にもクッキリとした投写が行なえる特徴を活かし、車のフロントガラスの下部などに設置することで、フロントガラスに半透明のスピードメーターやタコメーターを表示できる。ドライバーは風景と同化したそれらの情報を読み取ることができる。


PicoHUD奥の投写画像は運転時の風景のイメージ。PicoHUDの斜めになったフロントガラス越しに風景を見てみると……風景に重なってレーザー投写の表示が見える

 半透明であるため、背後の視界をさまたげないのが特徴。さらに、コントラストの高いレーザーの特性を活かし、背景が白い雪など、明るい場所でも良好な視認性を確保しているという。ドライバーから見た輝度は最低5cd/m2~最高10,000cd/m2。コントラスト比は10,000:1。既に車メーカーなどに紹介されており、実際に搭載した車も近いうちに登場するという。

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■ TDKは10層のブルーレーザーディスクを展示

 TDKのブースでは、ブルーレーザーで記録/再生を行なう、12cmの超多層光ディスクが参考展示されている。透過率90%以上という独自記録膜材料を使うことで、10層ディスクでありながら、現在市販されているブルーレーザーのパワーで記録(等速)が可能だという(30mW以下)。

 10層時の記録容量は320GBだが、開発目標として500GBを掲げており、16層化することで512GBになる。データアーカイブやビデオレコーダ、ホームサーバーなどでの使用を想定。研究開発段階で規格化提案などはまだされていない。今後は高速記録化についても研究を進めるとしている。

10層のブルーレーザーディスク記録膜1層のみを抜き出した比較展示。左が通常の透過率50%のもの。右が90%以上の記録膜。これを10層重ねている各層の記録再生波形


(2009年 10月 7日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]