オンキヨー、新開発「クラストロン」採用のスピーカー

-“全面駆動”スピーカーの2.1chシステムなど


HTX-77HDXと37型液晶テレビの組み合わせ例

 オンキヨーは、新開発の「クラストロン」(CLUSTRON)ドライバを搭載したスピーカーシステムを10月22日より順次発売する。

 スリムな2本のトールボーイスピーカーと5.1chアンプ内蔵サブウーファをセットにした「HTX-77HDX」は11月25日発売。また、単品販売で2本のトールボーイスピーカーと、センタースピーカーも同日よりラインナップ。これらを組み合わせることで5.1chスピーカーにシステムアップできる。

 さらに、サウンドバータイプのステレオスピーカーとサブウーファをセットにした「HTX-55HDX」を10月22日に発売する。価格はいずれもオープンプライスで、店頭予想価格は下表の通り。

製品型番発売日店頭予想価格
トールボーイスピーカー(ペア)
  +
サブウーファ
HTX-77HDX11月25日70,000円前後
トールボーイスピーカー(ペア)D-077E33,000円前後
センタースピーカーD-077C10,000円前後
サウンドバー
  +
サブウーファ
HTX-55HDX10月22日55,000円前後

HTX-77HDX

HTX-55HDX

オプションのセンタースピーカー「D-077C」

 

「クラストロン」ドライバ
 いずれの製品も、新開発の全面駆動型ユニット「クラストロン」ドライバを採用。細身のスピーカーながら「180度に音場が広がる」という広指向性を持ち、高いエネルギー感や、広帯域に渡るフラットな特性を実現している。クラストロンは“cluster”(塊、集まり)を元にした造語で、音の粒が一面に広がるようなイメージだという。

 

 「クラストロン」ドライバは、細長い格子状にした5つの超薄型振動板を1列に並べ、連結した3つのボイスコイルで駆動する構造を採用。1点駆動に比べ、音の濁りに結び付く分割振動を抑え、振動板の中心から端まで乱れなく駆動。連結構造による強度アップと全面駆動により、分割振動を抑制し、再生するほぼすべての帯域でフラットな特性を獲得。エンクロージャの形状に左右されないエネルギー感と、ロスの少ない音の放射を可能にしたという。

「クラストロン」ドライバの構造と、通常のスピーカーとの比較

クラストロンドライバをスケルトン仕様にしたもの。5つの振動板を3連のマグネットで駆動している。実際の振動版はペーパー素材を用いている



■ トールボーイ採用の2.1chシステム「HTX-77HDX」など

HTX-77HDXのトールボーイスピーカー

 「HTX-77HDX」は、上記のクラストロンを搭載したトールボーイスピーカーとサブウーファで構成する2.1chスピーカーシステム。

 トールボーイは、15×4㎝(縦×横)のクラストロンドライバを縦に2基配列したウーファと、2㎝ソフトドームツイータ2基を組み合わせた2ウェイ構成で、「クラストロンタワー」と呼んでいる。スピーカーから放出された音は、左右180度方向にわたってリスナーに届けられ、垂直方向へ広がる一般的なスピーカーに比べ反射やロスが少ないという。このため、部屋の構造に左右されにくく、リスニングエリアも拡大、小音量でも見通しの良いクリアなサウンドを実現するという。エンクロージャは高剛性のアルミを使った円柱の形状を採用。スピーカーベース部はスチール材を使用する。

 サブウーファは5.1chアンプを内蔵し、出力は30W×5ch(6Ω)+60W(3Ω)。ウーファユニットは16㎝径。アンプ部とサブウーファ部は別筐体と想定し、各ブロック同士が音質的な干渉を与えないように設計。肉厚のエンクロージャ素材を採用している。左右側面のサイドスリットダクトにより、内部で発生した空気振動を効率的に放出し、スピード感あふれる低域再生を実現している。

 ドルビーTrueHDやDTS-HD Master Audioなどのデコーダを搭載。リスニングアングルの調整も可能なバーチャルサラウンド機能「Theater-Dimensional」を搭載。そのほか、同社のグランド電位安定化技術や、独自の「VLSC回路」、オプティマムゲイン・ボリュームなどを搭載し、高音質化を図っている。テレビ画面にオーバーレイ表示するOSD画面も採用している。

 入出力端子はVer.1.4aのHDMIを入力3系統/出力1系統装備し、3DとARC(オーディオリターンチャンネル)に対応する。また、HDMI CECは従来のパナソニック、東芝、シャープ('08年4月以降の機種)のテレビに加え、新たに日立製のテレビにも対応した。そのほかの入力端子として、デジタル音声入力(光×2/同軸×1)や、アナログ(RCA 2ch)2系統も装備。同社iPodトランスポート「ND-S1」などと連動操作が可能なRI端子も備えている。

 外形寸法と重量はトールボーイスピーカーが220×220×1,200㎜(幅×奥行き×高さ)、3㎏、サブウーファが217×310×337㎜(同)、9.5㎏。リモコンが付属する。

 前述の通り、トールボーイスピーカーは単品「D-077E」としても販売。フロントスピーカーとしてだけでなく、HTX-77HDXに追加するリアスピーカーとしても利用可能。また、センタースピーカー「D-077C」も追加することで、クラストロンを使った5.1chシステムを構築できる。

トールボーイスピーカーの端子はベース部にサブウーファの背面オプションのセンタースピーカー「D-077C」を37型テレビの前に設置


■ サウンドバー型の「HTX-55HDX」

 薄型テレビの手前において使用するサウンドバータイプのクラストロンスピーカーとサブウーファで構成する2.1chスピーカー。単品トールボーイスピーカー「D-077E」をリアに追加することで4.1ch化も可能。

 サウンドバーは、4×15㎝(縦×横)のクラストロンドライバ2基を横に並べたウーファと2㎝径ソフトドームツイータ2基を組み合わせた2ウェイ構成で、「クラストロンバー」と名づけられている。クラストロンの広指向性により、音が下方に偏らず画面いっぱいに広がり、全身に迫ってくるような臨場感を体感できるとしている。また、上下にスイートスポットが広がるため、座る高さが変化しても違和感が少ないという。エンクロージャは高剛性のアルミ材。

HTX-55HDX

サウンドバースピーカー部サウンドバーのスピーカー端子部

 サブウーファは「HTX-77HDX」に含まれるものと同じで、5.1chアンプを内蔵し、3D/ARC対応のHDMI 1.4a端子を入力3系統/出力1系統装備するなど入出力端子も共通。

 サウンドバーの外形寸法は800×70.6×94.6㎜(幅×奥行き×高さ)、重量は1.1㎏。リモコンが付属する。



(2010年 9月 28日)

[AV Watch編集部 中林暁]