ニコン、フルHD/2,400万画素デジタル一眼「D3200」

-実売85,000円。アダプタでスマホ操作/画像転送


カラーはブラックとレッド

 ニコンは、有効2,400万画素のCMOS、フルHD/30pの動画撮影にも対応したデジタル一眼レフの新モデル「D3200」を5月下旬に発売する。価格はオープンプライス。カラーはブラックとレッド。店頭予想価格は、ボディのみが85,000円前後、「AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR」が付属するレンズキットが95,000円前後、これに加えて「AF-S DX VR Zoom-Nikkor 55-200mm f/4-5.6G IF-ED」も付属するダブルズームキットが12万円前後。

 APS-CのニコンDXフォーマット、有効約2,400万画素のCMOSを搭載したニコンFマウントの一眼レフカメラ。画像処理エンジンとして「EXPEED 3」を搭載。ノイズを抑えた撮影や、鮮やかな色再現を実現したという。

ブラックモデルとレッドモデルを用意する

 動画撮影機能の「Dムービー」も備え、1,920×1,080ドット/30pの動画撮影が可能。常時AFサーボ機能と、ターゲット追尾AF機能を組み合わせ、動く被写体を追いかけてピント合わせをしながら動画撮影する事もできる。顔認識を使ったピント合わせも、動画撮影で利用可能。

 さらに、カメラ内で動画の編集も可能。前後の余分な部分をカットしたり、動画から静止画を切り出す事もできる。外部ステレオマイクにも対応可能。

 動画の圧縮方式はMPEG-4 AVC/H.264で、ファイル形式はMOV。記録モードは1,920×1,080ドットの30p/25p/24p、1,280×720ドットの60p/50p、640×424ドットの30p/25pから選択できる。動画の最長記録時間は約20分。

作例も表示してくれるガイドモード

 初心者向けのガイドモードを強化したのが特徴で、液晶モニタに表示されるガイドに従って操作する事で、思い通りの撮影ができるという。例えば、「夜景をバックに人物を撮る」、「花や小物をアップで撮る」などの場面に適した撮影や、「背景をぼかして撮る」、「水の流れを撮る」などテクニックを使った撮影などを、作例画像を含めて文章で説明。「背景をぼかして撮る」では、F値をメニューで変化させると、作例の画像のボケ具合も変化し、初心者がより撮影のイメージがつかみやすいようになっている。

 「テクニックを使って撮る」では、新たなシーンとして、ホワイトバランスを調整して「夕日を赤く撮る」、露出補正をして「明るい雰囲気で撮る」や「落ち着いた雰囲気で撮る」、感度自動制御を使用して「ブレを防いで撮る」も追加している。

 静止画の記録画素数は最大で6,016×4,000ドット。ISO感度は100~6400まで対応し、ISO 6400に対し約1段(ISO 12800相当)の増感も可能。連写は最高約4コマ/秒。液晶モニタは3型のTFT液晶で、約92万画素。記録メディアはSD/SDHC/SDXCカード。

 外形寸法は約125×76.5×96mm(幅×奥行き×高さ)で、本体のみの重量は約455g。




■スマートフォンから撮影/画像転送

 D3200には周辺機器として、別売のワイヤレスモバイルアダプタ「WU-1a」が5月下旬に発売される。価格は5,250円。なお、D3200以外の機種には対応しておらず、ファームアップなどでの他機種対応も現時点では予定していないという。

ワイヤレスモバイルアダプタ「WU-1a」

 スマートフォンやタブレットなどと連携するためのアダプタで、D3200の側面にあるUSB/オーディオビデオ出力端子に接続。無線LANで、撮影した画像をスマートフォンに転送したり、液晶モニタに表示される映像や情報をスマートフォンに送信し、スマートフォン側で画角のチェックや、リモート撮影ができる。

D3200に取り付けたところ

 対応アプリはAndroid向けで、Google Play(旧Android Market)から無償ダウンロードできる「Wireless Mobile Adapter Utility」を使う。対応端末は、スマートフォンでAndroid OS 2.3系、タブレットで3.x系列。iOSにも2012年秋に対応予定。

 D3200で撮影した画像を、スマートフォン/タブレットに転送する場合は、撮影した画像をそのまま転送するモードの他、VGAに縮小して転送する事も可能。RAWデータも転送できる。

 転送モードは、カメラで撮影した画像を順次送信していくものと、スマートフォン/タブレット側でサムネイル一覧を表示し、選んだものだけを転送するモードが用意される。また、動画ファイルの転送も可能だが、転送した動画をアプリから再生する事はできない。カメラ内のメモリが一杯になった時に、動画をタブレットに転送し、カメラ側のファイルは削除するといった使い方が可能。

「Wireless Mobile Adapter Utility」のメニュー画面サムネイルを表示し、タブレットに転送したい画像を選んでいるところ

 転送だけでなく、カメラの液晶モニタ代わりにスマートフォン/タブレットを使う事も可能。アプリにカメラがとらえている映像がリアルタイムに表示され、アプリ内のボタンにタッチすると、カメラのシャッターが切れる。絞りやフォーカスポイントの変更など、撮影設定をスマホ/タブレット側から変更する事はできず、あくまでレリーズ操作のみとなる。ただし、顔認識機能を備えているため、例えば撮影者を含めた集合写真を、顔にピントを自動的に合わせて撮影するといった事もできる。なお、動画の撮影には対応していない。

 アダプタとスマホ/タブレットの通信はIEEE 802.11b/gで、通信距離は約10~15m。データ転送速度(規格値)は54Mbps。アダプタのサイズは約18×10×21mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約3g。

リモート撮影モード。上部にカメラがとらえている映像が表示され、下部の丸いボタンを押すとレリーズ操作となる三脚にカメラを固定し、スマホでシャッターを切る。顔認識機能も使い、簡単に記念写真が撮影可能



■ニッコールレンズで活きる2,400万画素

中央がニコンイメージングジャパンの五代厚司社長
同日にはFXフォーマット用の単焦点レンズ「AF-S NIKKOR 28mm F1.8 G」も発表された。5月下旬発売で、価格は93,450円

 ニコンイメージングジャパンの五代厚司社長は、2,400万画素のCMOSや撮影アシスト機能の強化などに触れ、「ファミリー層でも簡単に高画質に撮影し、スマートフォンやタブレットで共有できるのが特徴」と説明。なお、2,400万画素のセンサーはニコンが開発したもので、NEX-7に搭載されているソニー製のものとは異なるという。

 また、キットレンズなど、低価格なレンズとの組み合わせが多くエントリー向けの一眼レフで、2,400万画素を活かせるのか? との問に、ニコン映像カンパニー開発本部第二設計部の稲留清隆ゼネラルマネジャーは、「社内でも本当にレンズ側が大丈夫なのか?(2,400万画素が活かせるのか?)という声があった。しかし、レンズを作る際、設計の段階で、実写した時の評価に相当するものをシミュレーションする事ができる。この段階で、2,400万画素で撮影した場合と、低画素で撮影した場合を比較し、高画素の良さがキチンと出ているのを確認した上でレンズは開発している。よって、キットレンズや低価格なレンズでも、良さが出せる」とした。



(2012年 4月 19日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]