気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】


第8回:MP3CDプレーヤー、もう1つの本命
発売されてたので買っちゃいました「ケンウッド DCP-MP727」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

ある日、店頭を覗いてみると……

 やはりMP3対応CDプレーヤーは良いのですよ。大量の音楽を1枚のCD-Rにまとめられて、オーディオCDもプレイできるという便利なアイテムなのだから。

 前回で手に入れた「RioVolt」は結構使えるヤツで、実用に耐えうるのだけれども不満点もあるんだよねぇ。特にリモコンの操作性が悪くて……。

 でも、それも目をつむっていられる範囲のことなので、まあ、いいかぁ。などと思いながら、のほほんと「RioVolt」ライフを楽しんでいたのだけれども、思わぬタイミングでヤツは現われたのであります。

 それはケンウッドの「DCP-MP727」。「RioVolt」と同じくWMA/MP3に対応するポータブルCDプレーヤーで、自分も本命の一角と見ていた製品。発売は「4月上旬」とアナウンスされていたので、「ホントは発売が延びるんじゃないの?」と思い「RioVolt」を買ってしまった記憶が。

 ところが、4月6日に新宿の量販店を覗いてみると、ありました。ありやがりましたよ「DCP-MP727」。発売時期を守って偉いなぁ、ケンウッドさん。

 え~と、……欲しい。同種の「RioVolt」を持っていても、やはり「KENWOOD」の名は自分の物欲を直撃。それに、リモコンもスティックタイプで持ちやすそうじゃないの。価格はオープンプライスのはずなので、価格を確認する。19,800円。なんと「RioVolt」より安いじゃないですか。迷う。非常に迷う。

 ここである言葉を思い出した。「迷った時は進め!」。そう、前進してこそ道は開けるもの。え~い、買ってしまえ!

段ボールを使ったノーマルなパッケージ 本体前面。「KENWOOD」ロゴは上部にひっそりと


充電池がついてますよ、奥さん!

 勢いもあって、ゲットしてしまいました。パッケージは段ボールの正統派。開けやすくてナイスです。ぱっと見た印象はかなりコンパクトで、本体のコンパクト性も期待させられるつくり。うん、いい感じに普通だ。

 内容物は、本体、リモコン、ステレオイヤフォン、取り扱い説明書、ACアダプタ、外付電池ボックス、単3型充電池×2本。おお、充電池がついてるよ~、しかも「KENWOOD」のロゴ付き。これは「RioVolt」に対して大きなアドバンテージですな。

 本体のサイズ、通常のポータブルCDプレーヤーを見慣れている目で見るとやはり大きい。しかし、持ったときの印象は「思ったより軽いかな?」となかなか良好。重量自体は260gと「RioVolt」の235gよりも重いのだけれども、重量バランスが良いのか「RioVolt」よりも軽く感じる。しかし、このデザインはどうかな~? 少なくとも「格好いい」とは言えないと思う。「MP3/WMA」のロゴが目立つが、ここには「KENWOOD」ロゴだろう。形状も角張っていてスマートじゃない。ちなみに製造国は「RioVolt」と同じく「MADE IN CHINA」でした。

 外付電池ボックスは、本体内の電池にプラスして再生時間を延ばすためのもの。マニュアルによると、本体+電池ボックスでアルカリ乾電池各2本、計4本での再生時間が約22時間となっている。電池ボックスを付けることで大きさも増すのが気になるところではあるけれど、これだけの長時間プレイは魅力的。

 本体側のみでアルカリ乾電池2本の場合は約10時間、充電池2本の場合は約8時間の再生と、通常のユースでかなり使えるカタログスペック。電池に関しては、充電池が使用可能なこちらに分がある。

 ただ、本体、電池ボックスともに、カバーが脱着式なのが気になる。カバーが完全に外れてしまうと、なくしちゃうんだよねぇ。将来なさけない姿で使うことになりそう……。

 リモコンはスティック式で、やはり丸形の「RioVolt」より格段に持ちやすい。しかもボリュームはダイヤル式。うん、いいねぇ。しかし、操作ボタンは再生/スキップ(+)、停止、スキップ(-)の3ボタンのみ。あとは操作を禁止するホールドスイッチがあるだけ。あれ? ちょっと少なすぎやしませんか?

同梱物。ケースやライティングソフトは付属しない 本体背面。電池カバーは本体から離れる脱着式 本体側面。ステレオ端子、リモコン端子、電源端子のみ
外付電池ボックス。こちらのカバーも脱着式 付属充電池。型番は「NB-160」 リモコン。操作ボタンは3つのみ。接続は独自端子のようだ


音質は「しっとり」して聞きやすい印象

 まあ、操作性を論ずるより、とりあえず先に音を聞いてみよう。前回焼いたCD-Rをセット。プレイボタンを押すとウォームアップが始まり、再生までに約30秒といったところ。再生方式は、耐衝撃機能「D.A.S.C.」でデータをメモリに読み込み、ディスクの回転を止めて再生。トラック間では先読みされず、改めてメモリに読み込まれるため曲間のタイムラグは3秒程度。このあたりは「RioVolt」と同等ですな。

 手持ちのヘッドフォンに付け替えてしばらく聞き込んでみる。ん~、第一印象は「RioVolt」と大差ないかな? という印象。とはいえ、しばらく聞き込むうちになんとなく違いを感じて「RioVolt」でも同じ曲を聞き込んでみる。あ、やっぱ違うわ。

 これまで聞いてきた「RioVolt」の音は、高音域に伸びを持たせようとしているようで、全体的に高い音が目立つ。曲によっては「シャリシャリ」とした感触を受けることもあり、ピーキーな音づくりといった印象。楽器のそれぞれの音も、比較的個別に感じられる。

 対して「DCP-MP727」では、素直に音を出しているか、もしくは中音域を伸ばしているという印象の音づくり。高音を強調していない分、「しっとり」とした感触を受け、どんな曲でも安定して音が聞ける。長時間のリスニングでもそれほど耳は疲れない。

 両者の音の印象はこんな感じ。音質については好みの問題なのでなんとも言えないが、自分としては「DCP-MP727」の方が聞きやすく感じた。しかし、ブラインドテストされたらきっとわからない。違いはそんなレベルで、双方ともマトモに聞けるレベルは確保されている。正直、どっちでもいいかな。

 音質調整機能は、低音を強調する「B.BOOST」のON/OFFのみが用意されている。小音量時は低音の補強で多少迫力を増した音に感じられるが、マックスボリュームまで上げると明らかに音が歪んでしまう。これはあくまでも小音量時の低音補強、と割り切らないといけないだろう。

 ちなみに、「RioVolt」では4つの音質モードどれでも音の歪みは感じられなかった。ただし、マックスボリュームは「DCP-MP727」の方が大きい。体感で「RioVolt」の3割増し、といったところであろうか。「B.BOOST」OFFであれば音の歪みもなく、迫力のある音を聞くことができた。

 また、「RioVolt」にあったメカニカル部分に起因すると思われるプチノイズは、まったく確認できなかった。一応そのあたりのガードはしているみたいですね。やるなぁ。


検索性は……かなり大変

 音質については満足。次は検索性ですね。本体に配されたボタンは、再生モードを変更する「MODE」ボタン、再生ボタン、+/-のスキップボタン、早送り/巻き戻しボタン、耐衝撃機能「D.A.S.C.」ボタン、といったところ。

 「MODE」ボタンは、フォルダ検索、「B.BOOST」ON/OFF設定、ランダム、リピートなどの再生モードの設定、再生中の曲情報の切り替えの4機能を、ボタンを押すたびに切り替える。ちなみに、プログラム機能は搭載されていない。

 フォルダ検索は、まず「MODE」ボタンを1回押して、フォルダ検索モードに移行。そこで+/-のスキップボタンで同一階層内のフォルダを選択。早送り/巻き戻しボタンは階層を移動、という操作になる。説明だけだと簡単に聞こえるが、問題はボタンの配置と液晶ディスプレイの大きさ。

 +/-スキップボタンと、早送り/巻き戻しボタンは上下に配されているので、どちらを押せば良いのか直感的にはわからない。液晶ディスプレイは、1ラインのみの表示なので、次のフォルダは何なのか、ボタンを押した後でないとわからない。しかも、表示される文字がデカイ……。見にくい、ということもあるのだが、一度に表示される文字も8文字と少なく、残った部分はスクロールされるまで待たねばならない。スクロールを待つとしても、最大表示文字は12文字。ちょっと長いタイトルだと表示しきれない。おまけにバックライトはなし。見にくいです。

 ん~、どうもこのマシンは「ファイルネームの頭に番号を振ってから焼く」ことを前提にしているようだ。実際、マニュアルにも「フォルダ名とファイル名をつけるときのヒント」として番号を振ることを推奨している。

 マニュアルの記述を正確に読むと、再生順は「書き込まれた順」になる。ただ、「番号を入力して書き込むと、再生する順番を設定できることもある」との記述もあり、番号/アルファベット順で再生されるようだ。実際、「Easy CD Creator 4」で焼いたCD-Rはフォルダ/ファイルネームの、番号/アルファベット順で再生された。これはライティングソフトが付属していないため、ライティング環境すべては保証できない、ということなのだろう。とはいえ、制約が多いのは気にかかる。

 フォルダ検索の操作は慣れることができそうだが、1ライン表示と表示文字数の少なさで、結局のところ検索性はさほど上がらないと思う。いや、かなり面倒です。

 リモコンでの検索性も重要だけど……。先にも触れたとおり、リモコンのボタンは、再生/スキップ(+)、停止、スキップ(-)の3ボタンのみ。……アルバム1枚程度なら実用的、とでも言っておこうか。まあ、これは「RioVolt」でも似たようなレベルなんですが。

液晶部。文字はこのように大きく表示される


音飛び発生!? 充電池の再生時間も?

 検索性はファイルネームのやりくりで解決するとして(めんどくさいが)、実際のポータビリティはどうか?

 付属充電池の満充電時間はマニュアルに記述はなかったが、停止ボタンを2度押すと入れる「充電モード」では、満充電にならなくても6時間後に自動で電源OFFの状態になるとのこと。実際は充電オンリーに6時間を割くことができなかったので、再生したり停止したりの状態で6時間ほど充電した電池でキャリングすることに。

 ケースが付属していないので、剥き身のままカバンにつっこんで1時間ほど持ち歩く。普通に歩いているときは至って普通に聞けたのだけれども、横断歩道で小走りしたところで音飛びを確認。音飛びを確認したのはこの1回だけであったが、このシーンでは1回だけ少し飛ぶ、というわけではなく、5秒ほど同じ曲間をループしていた。また、音飛びではないのだが、据え置き時のリスニングでは確認できなかったテープがよじれるような「ミョニ」というノイズが4回ほど発生した。これは結構耳障りで、発生箇所は全くのランダムに思える。ん~、やはりケースに入れていないので衝撃が強く伝わるのだろうか?

 それじゃあ、このまま連続再生テストに突入しますか。前回と同じく、再生開始したのは23時頃。今回は充電池なので、カタログスペック通りであれば、朝の7時に終了となるはず。今回もゲームなぞをプレイしながら(2周目)、徹夜の覚悟で臨むことにする。結果……、午前3時頃にバッテリ切れとなった。約4時間。あれ? ちょっと短いですな。まあ、充電は6時間とはいえ、再生しながらなので無理もないか。ゲームはまだ中盤なので、続いてアルカリ電池での再生にチャレンジ。朝まで行くぜ、オラァ!  で、こちらの再生時間は、だいたい7時間まで確認したところで力つきました。……これ以上はちょっと勘弁してください。今回は1回泣きということで……。


全体的には「良くできている」けれど

 振り返ってみると、音質は好みだし、ケンウッドのブランド力はあるし、充電池も付属で、本体充電も可能。おまけにメカニカルなノイズも拾わない。それなのに店頭価格は「RioVolt」よりもお安い。うん、基本仕様は良くできていて、ほぼ満足。

 不満点は、え~と、デザインとか、検索性が低いとか、リモコンが使えねぇ、などだろうか。付属品もケースがなかったり、ライティングソフトもなかったり、「RioVolt」と比べると見劣りする部分があるかと。

 そうそう、忘れてた。MP3/WMA再生時は、早送り/巻き戻しは不可能。スキップオンリー。確かにそれほど頻繁には使わないのだけれども、曲のサビを聞きたいときには不可欠なであって、自分としては必須だと感じる機能であるのに、それがない。おお、なんたることか!

 ……なんというか、国内の有名メーカーが出した初のポータブルMP3/WMA CDプレーヤーなので、期待度が高かったのであろうか、少々「裏切られた」という感触が強い。ううむ、やはりまだ「完璧」は求められないのであるなぁ。

オープン状態。トップカバーはなんだか安っぽく見える 電池ボックスを付けると、デザインはさらに格好悪く思える


充電池が必須かどうかが選択の分かれ目?

 前回の「RioVolt」で、現状でのポータブルMP3/WMA CDプレーヤーの実力は、ある程度の予測はついていたのだけれども、「国内の有名メーカー」という期待はちょっと時期尚早であったようだ。まだこんなものなのね。でも、「もう少し頑張って欲しかった」というのが正直な感想。

 「DCP-MP727」と「RioVolt」を比べた場合、両者の差はそれほどないと感じる。検索性を取るのなら「RioVolt」、充電池駆動を重視するのなら「DCP-MP727」、という所であろうか。音質面での違いやブランド力なども評価の対象になるだろうが、極言してしまえばこの2択になると思う。ん~、自分は充電池はいらないから「RioVolt」だな~。リモコン持ちにくいけど。

 そうそう、「DCP-MP727」の充電池(NB-160)を「RioVolt」に入れて再生してみたところ、バッチリ駆動しました。本体に充電機能はついていないけれども、ソニックブルーのホームページによると「使用可能」だそうで。

【お詫びと訂正】掲載当初、充電池には対応していないとの記述がありましたが、ソニックブルーのホームページ上FAQによると、「ニッケル水素/ニッカド充電池が使用可能」となっています。

□ケンウッドのホームページ
http://www.kenwoodcorp.com/jhome.html
□製品情報
http://www.kenwoodcorp.com/j/products/home_audio/pc_audio/dpc_mp727/index.html
□ソニックブルー「RioVolt」FAQ
http://www.sonicblue.co.jp/faq/riovolt.html#a2
□関連記事
【3月1日】ケンウッド、WMAを再生できるポータブル音楽CDプレーヤー
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010301/kenwood.htm
【1月22日】ケンウッド、世界初のWMA対応ポータブルCDプレーヤー(ケータイWatch)
http://k-tai.impress.co.jp/news/2000/12/13/dpcmp.htm

(2001年4月10日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


00
00  AV Watchホームページ  00
00

ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.