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第17回:デジタル時代のノイズリダクション


~ その1:ノイズの種類と、リダクションソフトの種類 ~


 今回から、新たなシリーズとして“ノイズリダクション”について取り上げていく。ここでテーマとするノイズリダクションは、コンピュータ上でソフトウェアを用いて処理するものだ。第1回目である今回は、まずノイズにはどんなものがあるか、そして現在どんなノイズリダクションソフトがあるかについて紹介していく。


■ ソフトウェアによるノイズリダクション

 ノイズリダクションといって、すぐに頭に浮かぶのが「Dolby B」とか「Dolby C」といったカセットテープでのノイズリダクションではないだろうか。また、高級テープデッキの場合、dbxといったものもあったが、これらを用いるとテープ特有のヒスノイズを軽減することができた。

 しかし、記録メディアがCD-RやMDといったデジタルメディアが主流になった今、ノイズリダクションという機構はほとんど見かけなくなった。確かにデジタルtoデジタルでコピーする場合、基本的にはノイズが混入することはほとんどない。厳密なことをいえば、データを圧縮する際などに劣化が生じることはあるが、アナログ時代のノイズとは別物と考えていいだろう。

 では、デジタルオーディオ全盛の時代には、ノイズリダクションはまったく不要になったかというとそうでもない。たとえば、昔のLPレコードやカセットテープをCDとして復活させたいといった場合、ノイズリダクション処理をして、できるだけクリアな音に仕上げたいところだ。また、自らレコーディングを行なう場合なども、混入するノイズをカットしたい。

 そんなニーズに対し、大きな威力を発揮してくれるのが、ソフトウェア処理によるノイズリダクションだ。ちょっと調べてみたところ、結構いろいろな種類のソフトが存在する。素人が即使える手軽なものから、完全にプロ向けのものまでさまざま。もっとも手軽なものとしては「WAVclean!」や「WAVhum」といった2千円程度のシェアウェアがあるし、プロ向けのものとしてはSonic Foundryの「Noise Reduction 2.0」(60,000円)といったものまである。

 ノイズリダクション専用のソフトがある一方で、「Easy CD Creator 5 PLATINUM」などのように、汎用的なソフトの一機能としてノイズリダクション機能が搭載されているものもある。また、「ミュージックCDデザイナー3」や「MP3 Studio Unreal2」、「Clean!1.5」のようにMP3や音楽CD-Rライティングソフトの機能として用意されていたりもする。

 さらに、ソフトウェアの形態としても通常のソフトのほかに「Noise Reduction 2.0」や「DeNoiser」などのようにプラグインタイプのものも存在する。これら各種ノイズリダクションの詳細は次回以降詳しく紹介していくが、DirectXプラグイン、VSTプラグインといった仕組みがあることだけは知っておいていただければと思う。

製品名メーカー名開発元標準価格
MP3 Studio Unreal2ランドポート303tek.com9,800円
Easy CD Creator 5 PLATINUMロキシオジャパンRoxio11,800円
ミュージックCDデザイナー3メガソフトメガソフト9,800円
DigiOnSoundデジオンデジオン36,000円
MP3 Magic Washerアンリアルアンリアル6,800円
Clean! 1.5スタインバーグ・ジャパンSteinberg9,800円
DeNoiserスタインバーグ・ジャパンSteinbergオープンプライス
DeClickerスタインバーグ・ジャパンSteinbergオープンプライス
RAY GUNフックアップArboretum19,800円
Samplitude Master 5.9フックアップMAGIX36,000円
Noise Reduction 2.0フックアップSonic Foundry60,000円
WAVclean version1.7新井清嗣新井清嗣2,000円
WAVhum version1.5新井清嗣新井清嗣2,400円


■ 代表的な3種類のノイズ

 今回は、ノイズリダクションそのものを紹介する前に、ノイズにはどんなものがあるのかをチェックしておくことにしよう。

 一言でノイズといっても、色々な種類があるが、その代表的なものは以下の3つ。

 ノイズリダクションを効率よく確実に行なうためには、ある程度ノイズの性格を知った上で、適正なソフトを選んで処理する必要がある。そこで、これらについて、少し紹介しておこう。



 以上、主な3種類のノイズについて紹介したが、ほかにも入力音量が大きすぎて音割れしてしまうクリップノイズ、マイクが拾ってしまう騒音的なノイズなど存在する。こうしたものもノイズリダクションソフトで取り除くことができるのだが、完全オールマイティーなソフトは存在しない。

 ヒスノイズ専門のソフト、ハムノイズ専門のソフトなどが存在するので、実際に音を聞いてノイズがどの種類のものなのかを見極めた上で利用することで効果を上げることができるのだ。

 というわけで、次回から実際にノイズリダクションソフトを使っていくことにしよう。


(2001年7月2日)

[Text by 藤本健]


= 藤本健 = ライター兼エディター。某大手出版社に勤務しつつ、MIDI、オーディオ、レコーディング関連の記事を中心に執筆している。以前にはシーケンスソフトの開発やMIDIインターフェイス、パソコン用音源の開発に携わったこともあるため、現在でも、システム周りの知識は深い。最近の著書に「ザ・ベスト・リファレンスブック Cubase VST for Windows」、「サウンドブラスターLive!音楽的活用マニュアル」(いずれもリットーミュージック)などがある。また、All About JapanのDTM・デジタルレコーディング担当ガイドも勤めている。


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