気になるグッズを衝動買い |
第45回:ラジオのデジタルエアチェックも楽々? MP3エンコーダ搭載カセット型プレーヤー 「RAVEMETAL RM200M」 |
AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。 |
■ラジオのデジタルエアチェックをしたい!!
ちょっと前の話になりますが、自分の好きな作家のラジオドラマが放送されることになりました。最近はラジオのエアチェックをすることもとんとご無沙汰だったけど、これは録音しておかねばなるまいて。さて、ここで問題が。自分、ラジオを録音できる環境ってラジカセしか持ってなかったのであります。
今更ラジカセで……、と思いつつも、無いものはないんだから仕方がない。泣く泣くカセットテープに録音いたしましたとも、ええ。世の中には「MDラジカセ」という便利なものがあると聞き及びますが、カセットテープからPC録音に移行した「MP3大好きっ子」の自分にとっては縁遠い世界。最近はPCで音楽を聞くことが多いし、PCに繋がらないんじゃ話にならんのです。それに、ラジオドラマ1本のためだけにMDラジカセを買うのもばかばかしい。
で、「MP3大好きっ子」たる自分は、テープに録音したそのドラマをMP3化しようと思ったわけですよ。が、ここでもまた問題が。当然、ラジカセからPCへはアナログライン入力で接続したのですが、マイPCの音源はオンボード。……内部ノイズ拾ってやがるんですな、これが。
もともとの受信状態も最高とは言いがたかったのに加え、内部ノイズが乗ってるんじゃ聞けたもんじゃないですよ。結局、そのファイルはゴミ箱に消えてしまいましたとさ。
ラジオのエアチェックはそれ以降やっていないけれども、今後もエアチェックの機会があるかもしれない。そこで、デジタル録音できるメディアがほしくなったりしたわけです。ただし、MDは除外。PCとの親和性が薄いんで、あまり魅力を感じないんですよ。せっかくだから俺はMP3で録音できるマッシーンを選ぶぜ!
ということで、今回お買い求めたのがシーグランド「RAVEMETAL RM200M 64MBモデル」であります。
■超高機能カセット型プレーヤー
この「RAVEMETAL」、ありていに言ってしまえばカセットテープ型のMP3プレーヤー。が、ただのMP3プレーヤーではございません。なんと、MP3エンコーダを内蔵し、単体でMP3録音することが可能なのであります。もちろん、それだけではありません。カセットテープ型だけに、ラジカセなどのカセットデッキから録音することが可能。おまけにマイクも内蔵してボイスレコーディングもできてしまうんだとか。素晴らしいまでの多機能ぶりです。
カセットデッキで録音できるということは、言い換えればラジカセのエアチェックをデジタル録音できるということ。おお、まさに求めていたニーズにぴったりの製品じゃありませんか。ここはゲットでありますよ。
こちらの「RAVEMETAL」、内蔵メモリとMMC×1に対応しており、内蔵メモリが64MB、128MB、256MBの3モデルのラインナップがございます。価格はそれぞれオープンプライスですが、店頭価格は64MBモデルが19,800円、128MBモデルが24,800円。256MBモデルは通販サイトのみで扱っており、ランドポートダイレクトでの価格は34,800円。
う~ん、価格の差はどうも内蔵メモリ容量だけの様子。64MBで5,000円の差ってのは少々コスト高に思われますので、ここはお安いのを行っとくのが王道かと。店頭の見本を見たところ、金属製のボディはなかなかさわり心地もよろしく、軽量で持ち運びにも問題なさそう。ふむ、普通のプレーヤーとしても19,800円ならばそこそこ納得できる価格設定だと思います。んじゃ、64MBモデルくださいなっと。
が、ココに罠が潜んでました。購入後にマニュアルを確認してみると、128/256MBモデルには液晶リモコンが付いているそうで……。さらに、256MBモデルは車載用DCアダプタまで同梱してるんだとか。なるほど、あの価格差はリモコンとDCアダプタのコストも含んでいたわけですね。なるほど、納得。
ただ、現在は発売されてませんが、オプションとして液晶リモコン、DCアダプタともに近日発売予定。発売の際にはぜひとも液晶リモコンを試してみたいものです。
え~、気を取り直しまして、同梱品の確認をば。同梱品は、「RAVEMETAL」本体と、ガム型ニッケル水素充電池×1(128/256MBモデルは×2)、充電器×1、USBケーブル×1、キャリングケース×1、アナログ入力ケーブル×1、ステレオイヤフォン×1、CD-ROM×1という構成。前述のように、128MBモデルには液晶リモコンが、256MBには液晶リモコンと車載用DCアダプタも付きます。
最安値のモデルとはいえ、録音、再生に必要なものはすべて揃ったオールインパッケージ。キャリングケースも抜かりなく、操作部に穴を空け、さらに取り外し可能なベルトクリップまで付け、ユーザビリティを考えた作りとなっております。うむ、好感度高し。
同梱品一覧。1パッケージで録音/再生のすべてに対応 | 本体。アルミ製の金属ボディは軽く、結構高級感もある |
キャリングケース。操作部に穴があるので装着したまま使用可能 | ベルトクリップは取り外し可能。細かいところまで配慮があります |
■液晶リモコンが欲しくなる操作感
電源は付属のニッケル水素充電池のみに対応。で、本体充電には対応しておらず、付属の充電器を使用する必要があり。が、この充電器がちょっとクセモノかも。コンセントに直接挿すタイプのため、タップなどで電源を延長していないと少々使い勝手が悪いのです。まあ、自分の場合ノートPC用の電源にと、テーブルタップに三叉タップを乗っけてるのでほとんど違和感なく充電できましたが、電源に不自由している方は注意が必要かと。
そんなこんなで充電をしながら付属ソフトのセットアップなんぞを。CD-ROMには、管理マネージャの「RAVEMETAL Loadar」と、ランポートのMP3エンコーダソフト「MP3 Studio Unrealイントロパック」を収録。エンコーダソフトまでついてるとは親切ですな。
「RAVEMETAL Loadar」は、「RAVEMETAL」本体を管理するソフトで、USB接続時に本体へのファイル転送、本体からPCへの転送、内蔵メモリのフォーマットなどが可能。
そういやSD/MMC対応のリーダ/ライタが余ってたなぁと思いつつ、ものは試しとばかりに生MP3ファイルをMMC転送。本体に挿して再生してみたところ、あら、なんと。ばっちり再生してくれるじゃありませんか。いやいや、生MP3が転送可能となると、使い勝手は格段にアップですよ。自分比150%アップですよ。お客さん!
が、しかし、フォルダには対応していない模様。全部ルートにぶち込んでおかないとファイルを認識してくれません。けど、まあ、MMCの最大容量は64MBですからなぁ。通常の曲なら約10曲って所なので、特にフォルダ切らなくてもよろしいかと。
ファイル転送の自由度の高さに対して、本体の操作ボタンでの操作性は少々特殊。つうか、やりにくいです。まず、再生には本体上面のスライドスイッチを「ON」にセット。で、電源はPLAYボタンを1秒以上長押しすることで投入。電源OFFは停止ボタンを長押し。で、スキップ、ボリュームボタンの形状が似ているので、最初は結構間違えて押してしまいました。それ以外の気になる点といえば、早送り/巻き戻しが無音になってしまうことくらいかな。まあ、ココまではよろしい。なによりも不便に感じたのは、液晶表示部がないこと。チャプター数などもわからないので、現状の確認が難しいわけですよ。う~ん、液晶リモコンがぜひとも欲しいところ。最初に確認しなかったマヌケな自分が悪いんですが……。
しかし、音質についてはなかなか良好。ステレオイヤフォンで聞いたところ、ボーカルが結構印象的に聞こえ、聞きやすい音を提供してくれます。再生時間も約5時間と、まあ、2~3日は連続使用できるレベルで問題なし。ふむふむ、MP3プレーヤーとしては結構上位に入る部類だと思いますよ。
充電器をコンセントに挿したところ。ちょっと使い勝手がよろしくない | USB端子はカセットで言うところのテープ走行部に配置 | MMCスロット×1を装備。再生順は内蔵メモリ→MMC |
本体の操作ボタン。ボリュームとスキップボタンを間違えやすい | 動作確認ランプ類はLED1個のみ。液晶リモコンは必須? |
■録音機能ってどうなってんの?
ま、プレーヤーとしては本体の操作感を別にして、及第点といえるレベル。キモはカセットデッキでの使用感。つまり、録音機能にあるわけですよ。
録音にするには、スライドスイッチを「REC」に設定して、再生ボタン長押しで電源ON。で、この状態でカセットデッキに挿入して、カセットデッキの録音ボタンを押すだけ。ちなみに、録音に使用できるのは内蔵メモリだけであります。
適当なところで停止ボタンを押して、スライトスイッチを「ON」に戻し、録音されていることを確認。よしよし、ちゃんと録れてますな。録音された音質は、元がラジオだけにCDからリッピングしたファイルとまでは行きませんが、ちゃんと聞き取れるレベル。流しで聞く分には問題ありません。じゃ、PCに転送してみますか。
「RAVEMETAL Loadar」を使ってPCに転送。で、再生しようとファイルを叩いてみたところ、再生されませんよ、ダンナ!?
ファイルを確認してみると、拡張子が「MP3」ではなく「MPE」になってました。マニュアルを読むと、著作権保護のため、MP3ファイルは独自のMPEファイルに変換されて、PCにストレージすることはできても、プレーヤー本体でなければ再生は不可能。つまり、PCでは「RAVEMETAL」で録音したMP3ファイルは再生できないってことですな。
ただ、「RAVEMETAL」ではPCMで録音することもできて、こちらならばPC上でも再生できるんだけれども、内蔵メモリ64MBしかないのでPCM録音できる時間は約7分。256MBモデルだとしても約30分。ううむ、「PC上でエアチェックしたラジオ番組を楽しみたい」という野望は達成できませんでした。ぐは。
しかし、PCにストレージすることが可能ということは、これまでマトモなデジタル録音の手段が絶たれていたラジオのエアチェックが可能ということ。ラジカセのタイマー録音機能は使い慣れているだけあって操作に悩むこともないし、内部ノイズに悩まされるPCで録音する必要もなし。多少面倒ではあるけれども、PC→本体間でファイルを転送すれば保存した番組を聞くことが可能。ま、「ラジオを手軽にデジタル録音」という野望は達成できているわけです。
そのほかにも本体の内蔵マイクでボイスレコーディングもできるのだけれども、この機能はなかなかのデキ。なんといってもノイズを拾わないのがうれしいデス。
テレコで録音したりすると、機器自身の動作音を思いのほか拾って、かなり聞き取りにくい音声になるのが常なのですが、動作部分の全くないシリコンレコーダだけあって、そんなノイズは全くなし。拾うのは放射雑音だけで、マイクを口元につけて録音した音声は非常にクリア。
録音ファイルはMP3ではなく、独自のADF形式になるのだけれども、この形式、モノラルとはいえ、結構クリアに聞かせてくれるのでボイスレコーディングであれば十分。おまけに録音時間が長いため、メモリをあまり気にすることなく使うことができます。が、再生に際しては早送り/巻き戻しともに無音。テープ起こしが必要なインタビューや会議録音には向いてないッスね。こりゃ。
本体上部のスライドスイッチ。再生/録音の切り替えはここ | マイク部。カセットテープサイズにMP3エンコーダ、マイクを内蔵しているのはスゴイかと |
■選択肢の幅が広がるプレーヤー
そうそう、忘れてましたがこの「RAVEMETAL」、カセットデッキでの再生も可能。一応試してみました。……ううむ、きっと10年前のラジカセのせいなんでしょう。ステレオイヤフォンで聞くよりも音質が落ちてますな。盲点だったのが、ラジカセの動作音。ラジカセのように動作部とスピーカーの近い機器では結構動作音が気になってしまうのです。や~、最近使ってなかったからすっかり忘れてましたわ。
カセットデッキでの再生は、スライドスイッチを「ON」にセットして、電源ON。その後カセットデッキに本体を挿入し、あとは普通のテープのように操作するだけ。違う点はデッキの早送り/巻き戻しボタンを1~2秒で離すと、スキップができる点。これはテープメディアでは真似のできない機能でありましょう。しばらく聞いてみましたが、特にテープと違う点も見つからず、普通にリスニングすることができました。
あ、ここで気づいた点がひとつ。カセットデッキで再生すると、本体のみで再生するよりも再生時間が短くなります。厳密に検証してませんが、製品情報には「カセットデッキで録音する場合の録音時間は3時間」との注意書きがあり、おそらくそれに準拠するレベル。ま、再生ヘッドその他にも電力送ってるんで、短くなるのは納得できるわけであります。
当初の野望は達成できなかったものの、「ラジオのデジタルエアチェック」ユースにも使えるし、昔の機器の有効活用もできるなかなか有意義なプレーヤーだと思います。使い慣れたラジカセでエアチェックするもよし。テープで録音してある昔のソースをラジカセでダビングして、PC上に保存するもよし。
特にラジオのエアチェックは、PC上ではなかなか簡単にできないのが現状。使い慣れたラジカセを使って録音できるメリットは大きいと思います。PCの内部ノイズを拾うこともないしね。
また、カーオーディオにカセットデッキが装備されている、という方もまだ多いでしょう。そんな方にもカセットテープライクに使用できるこのプレーヤーはよろしいかと。ま、自分は免許すら持ってませんがね……。
ともあれ、持ち歩くポータブルプレーヤーとしても、カセットデッキでのデジタル録音機器としても使えるブツだなと感じました。そうそう、購入に際しては、+5,000円で液晶リモコンと、+64MBの内蔵メモリ(と+1個の充電池)が得られる128MBモデルをオススメします。でも、34,800円の256MBモデルは車載用DCアダプタが付くとはいえ、ちょっと高いかなぁ?
□シーグランドのホームページ
http://www.seagrand.co.jp/
□製品情報(RAVEMETAL.net)
http://www.ravemetal.net/
□関連記事
【12月3日】シーグランド、MP3エンコーダ搭載カセット型メモリプレーヤー
―カセットデッキやアナログ入力からのMP3録音が可能
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20011128/seagrand.htm
(2002年1月15日)
[fujiwa-y@impress.co.jp]
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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp