気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】


第46回:アメリカから来たすごいヤツ
液晶タッチパネル学習リモコン「Philips ProntoNEO」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

日本で未発売の学習リモコン

 メリケン国は学習リモコンが豊富みたいですね。学習リモコンだけを扱うサイトもあり、製品レビューや投稿記事など結構充実した内容。日本で扱っている製品も結構見かけるけれども、ほとんどは日本未発売の製品ばかりで少々うらやましさを感じておりました。前々からPCと連携できる製品が欲しいと思っていたのですが、日本市場でそれが可能なのはハル・コーポレーションの「クロッサム」シリーズだけ。ま、こちらは2月にUSB対応版の「クロッサム2+」が発売されるのでそれを待つつもりでおりますが。

 その「クロッサム」にしても、ボタン配置も少々慣れが必要に思えるので、「液晶タッチパネルでPC上からボタンの配置を変更できるのが欲しい」と思ってました。いや、具体的な製品としてPhilipsの「Pronto」が欲しいなぁ、と。しかし、この「Pronto」シリーズは日本市場では扱っていないのです……。

 そこに、「2002 International CES」の取材に行ったスタッフからお土産が。学習リモコンの「ProntoNEO」です。ありがとう、ありがとう。早速使わせてもらいます。ということで、今回は「ProntoNEO」でございます。


PCとの連携ができて液晶タッチパネル

 この「ProntoNEO」、アメリカでの売り値は199.99ドル。「Pronto/Pro」との違いは、クロック/カレンダー機能にタイマー機能がついていないこと、学習できるコード数が500から250に減っていること、などなど。中でも一番大きな違いは、ボリューム、チャンネルセレクトなどのダイレクトキーが大幅に増えていることと、液晶表示部が160×100ドットと、320×240ドットの「Pronto/Pro」よりも大幅に小さいことが挙げられます。

 ん~、「Pronto」は200ドル半ばが相場みたいだから、少々機能を限定し、ダイレクトキーを増やしたことで「とにかく細かい設定をするより簡単に使いたい」というユーザー向けの製品なのかな。しかし、PCとの連携機能はもちろん搭載。ボタン配置の変更は可能。パッと見た感じでは日本人の手でも片手で楽々ホールドできるし、感覚としてはビクターの「RM-A2500」にPCとの連携機能を付けた感じかな。

 では、内容を改めるとしましょう。同梱品は、本体、単3型乾電池×3本、そしてPCとの連携ケーブル×1本とPC接続用ソフトを収録したCD-ROM×1枚。

 対応OSは、Windows 98/98 SE/Me/2000/XPで、接続ケーブルはRS-232Cのシリアル。ふむ、シリアル接続で、最近増えてきたレガシーフリーのノートPCオンリーって方は使えませんが、デスクトップPCにはまだまだシリアルポートがついてるから大抵のPCユーザーは使えるでしょう。それにしても、Macintoshはここでも冷遇されてますな。元Macユーザーとしては悲しい限り。

 まあ、とりあえず本体を確認してみましょう。片手で持った感じは、少々大きめに感じるものの、操作に不便を感じることもなく、片手で液晶部と本体のダイレクトキーを押すことができます。「Pronto/Pro」のほうは解像度の高い液晶を装備しているせいか、幅が広いので片手でのホールドは難しそうなことを考えれば、「Neo」は「より操作性を意識したリモコン」と言えることができるかも。対して「Pronto/Pro」は「機能性を追及した」と表現できますね。んじゃまあ、使ってみることにしますか。

同梱品一覧。電池はなくしました 外箱。本体をディスプレイできるのは米国仕様?

リモコン本体。下部を絞っているため、サイズの割りにホールド感は高め 本体底面の電池収納部。ちなみに生産国表示はベルギー製でした


多少持ちにくいが操作感は良好

 四苦八苦しながら英語マニュアルを確認してみると、本体のプリセットデータはすべてフィリップス製品向けで、それ以外のメーカーのコードはCD-ROMに収められている様子。それ以外にも「Brand」ボタンを押して、マニュアルにあるメーカーコードを入力することで選択もできますが、ここはPCからセッティングを試してみるとしましょう。

 で、CD-ROMをいれて、インストーラーの指示通りにPC接続ソフト「NEOedit」をインストール。立ち上げてみると当然のように英語版。ユニバーサル仕様じゃないのね。まあ、それほど難しい英語は使われていないので、時間をかければ理解できるのですが、やはり日本語を使う身としは少々使いづらいです。

 またもや英語と格闘しながら「NEOedit」を確認していくと、ふむふむ、機器ごとにメーカーを選択していくとプリセットが変更されるわけね。そんじゃまあ、プリセットを変更して、シリアルケーブルを繋いで「Connection」を実行。ほぼ完璧にこのコードが使えましたが、一部機器はコードが合わなかった模様。うが、合わなかったヤツは学習させるしかないみたい。

「人差し指」持ち。ホールドは指になるが、操作感は快適
 それでは操作をしてみることにしましょうか。下部を絞ったデザインは、最初持ったときは持ちやすいと感じたものの、やはりアメリカンな仕様で作られているためか、サイズが大きく手のひらでホールドしていたのでは液晶部に届かない。で、結局指でホールドしないと親指で操作できないんですな。ううん、使いづらい。

 しばらく思案した結果、液晶部の操作は「親指で押すよりは人差し指で操作したほうがやりやすい」という結論に。で、下部のダイレクトキーは改めて持ち直して操作する、と。持ち直すのにかかる時間は2~3秒なのでタイムロスもさほど問題にはならないし、より正確にボタンを押せるのでこちらのスタイルで使っていくことになりました。

 液晶部に表示できる情報は、10キ-分+αといったところ。やはり100×160ドットという領域ではあまり多くは表示できないため、当初は使いづらいと感じました。が、ページ切り替えは本体左側面に備えられた「+」、「-」ボタンを押すだけ。サイズが大きい故、多少押しづらいですが、慣れてしまえば問題ありません。

 液晶下部に設けられた4つのダイレクトキーは、最右が機器選択ページへの移動ボタン、最左がモードセレクトボタン。で、中央2つ分が各機器用の操作ボタンに割り振られ、「Stop」、「Play」などに設定されできるので、基本操作ページ以外での操作も可能。そして、機器ごとに本体のダイレクトキーも設定できるので、カスタマイズによってどんどんと使いやすくなるリモコンだと感じました。もちろん、学習機能も問題なく動作したし、マクロ登録もOK。細かいところまで操作性に対するアプローチがなされており、非常に使いやすい製品ですわ。ホント。

 そうそう、「NEO」には「指定時間に決めた操作を実行するタイマー機能」が搭載されてませんでした。あるのは時計を表示するクロック/カレンダー機能のみ。あと、学習したリモコンコードも本体のみでPCにバックアップできない模様。ま、50ドル近く安い製品ですからねぇ。ONタイマー機能のないテレビに使えると思ってましたが、あきらめることにします。

本体左側面の+/-、バックライトボタン。ジャックはシリアル用 TVの10キーページ。表示できる情報は1ページにこれくらい 下部のダイレクトキー部分。十字ボタンはカーソルなどに設定可能


楽しいけれども大変なデザインカスタマイズ

 さて、欲しいと思っていたデザインカスタマイズ機能を試してみるとしましょうか。デフォルトで用意されているデザインは4種類。その中から好みのものを選んでも良し、1から自分好みのデザインを作るも良し。自由度は大変高いです。

 各ボタンには画像を使用することが可能。デフォルトで再生/停止や、10キーなど、各ボタンのバリエーションも用意されてますが、自前の画像を使うこともできます。

 使用できるのは100×129ピクセル以内で、4bitグレースケールのBMPオンリーだけれども、例えばテレビ局のアイコンを取り込んで、アイコン表示だけのチャンネル選択画面にすることも可能。地上波ではあまりメリットを感じないけれども、チャンネルの多いCSやCATVには大きなメリットがあると思います。実際、アメリカのサイトには、各局やメーカーの「Pronto」用ロゴを提供するところがありました。許諾取ってるかどうかは知りませんが……。

 ただ、取り込めるサイズと階調がアレなので、あまり鮮明な判別はできないのがなんとも。大きめのBMPならば結構いいセン行ってるんですが、そうすると100×160ドットという領域では1ページに2枚がいい所で、今度は実用度が低くなってしまうのです。でも、ボタン表示のカスタマイズができるメリットは大きいです。

 盲点だったのは、日本語に対応していなかったところ。ビデオデッキ用のセッティング中、「取出し」と入力しようとしたところで、キーを打つ手が止まってしまいました。そういや「取出し」って英語でなんだったかいな……。結局「Eject」に設定しましたが、普段は日本語表記に慣れているため、実際に使用する時に違和感を感じてしまいます。つーか、探さないと目当てのボタンを見つけられねぇ。む~、これは慣れるしかないか……。

 それはそれとして。少しカスタマイズに手を出して実感したのですが、この作業、大変だわ。自分好みのデザインを作れるのはいいのだけれども、自由度がかなり高い故にその作業は大変。しかも張り込める画像ファイルがBMPオンリーなものだから、いちいち画像編集ソフトで変換しなくてはいけないし。前述の「TV局アイコン」で埋めたページを作ろうとしましたが、途中で挫折しました。2~3日で自分の満足できるデザインをすべて作るのは無理。1ヶ月くらいかけて、じっくりと楽しみながらデザインを考えていきたいです。先は長いぞ~、これは。

「NEOedit」の編集画面。各ボタンのカスタマイズが可能 BMPの選択画面。自分の好きな画像を登録できます ボタン名の入力画面。当然のように英語オンリー。日本語は化けます


学習リモコンの決定版(入手できれば)

 え~、まずは不満点から。日本語の表示に対応していない。これが最大の不満点。あとは、解像度が低いことと、PCとの接続がシリアルなことだけ。ほぼパーフェクトです。

 ボタンのカスタマイズはビクター「RM-A2500」でも可能だったけれども、やはり自由度の高いPC環境で作業できるのは快適。当初こそ領域の狭い表示エリアに戸惑いを感じたものの、自分が納得できるようにデザインをカスタマイズできるメリットは大きく、大変だとは思いながらもカスタマイズへの意欲を掻き立ててくれます。

 液晶部の視認性も高く、バックライト装備で薄暗い部屋でも楽々。ダイレクトキーが付いているので、一番素早い操作が要求されるボリューム/消音操作が簡単なのも評価高し。ホールド感も「RM-A2500」よりよく、重量感も問題なし。いや、いいですわ、コレ。

 まあ、最大のネックは日本国内では入手できないことでしょう。日本に輸入している業者も知らないので、入手手段は個人輸入のみ。向こうで約200ドルってことは、現在の為替レートで換算すると日本円で約26,000円。それに運送費etcを足すと35,000円前後ってことに。う~ん、これだけのお金と個人輸入の手間を掛ける価値があるかは……。判断はお任せします。

 本来なら日本フィリップスから発売されることを望みたいんですが、Philipsのグループ企業であるマランツさんがひょっこり日本で発売してくれれば、とか想像してみたりします。……可能性は低いだろうけど。

□Philipsのホームページ(英文)
http://www.Philips.com/
□Prontoシリーズのホームページ(英文)
http://www.pronto.Philips.com

(2002年1月22日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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