【バックナンバーインデックス】

MP3 CDを再生できる最新のCDウォークマン
ソニー「D-CJ01」
発売時期/2月 価格/オープンプライス(店頭予想価格:2万円弱)

■ 主な機能

 MP3ファイルを記録したCD-RをPCで作成し、それを再生できるポータブルCDが人気を呼んでいる。従来のポータブルCDと同じような使用スタイルや操作性を維持しながら、何十曲もの再生ができるところが受けているようだ。

 国内ではアイワ、ケンウッド、ソニックブルーといったメーカーがこの市場に参入しており、特にソニックブルーが2001年9月に発売した「RioVolt SP250」は完成度の点で評価が高く、当AV Watchの連載コラム「魁! 藤原流アイテム道」でも詳しい紹介を行なった。

 さて、ソニーの新製品「D-CJ01」は、「CDウォークマン」として初めてMP3 CDの再生に対応したモデル。もっとも、同社はMP3 CD対応モデルとして、すでに「CRX10U」を2001年3月に発売している。しかしCRX10UはUSB 1.1接続のCD-R/RWドライブにMP3デコーダとヘッドフォンアンプを内蔵した製品で、どちらかというとPCの周辺機器的な位置付けだった。ポータブルオーディオ機器としてのMP3 CD対応という意味では、本機がソニーとしてはじめての挑戦になる。しかも伝統の「ウォークマンブランド」をひっさげての参入だ。

【主なMP3 CDプレーヤーの比較表】

 店頭予想価格も2万円弱と、人気のRioVolt SP250の実売価格に比べ4,000円ほど廉価なので、従来からのCDウォークマンから買い替えを考えた場合にも、それほど違和感ない価格設定となっている。

外形寸法は132×137.5×29.3mm(幅×奥行き×高さ)。厚みは多少あるものの、すっきりした外周のデザインのためか、かなり小さく見える。後部の出っ張りも少ない

 カラーバリエーションはなく、シルバー1色のみ。外形寸法は132×137.5×29.3mm(幅×奥行き×高さ)。この種の製品としては厚みが多少あるものの、かなり外周がすっきりしており、コンパクトな印象を受ける。出っ張りがなくぼほ真円に近いデザインだ。

 デザイン的なハイライトは、トップカバー部分にある樹脂製の透明パーツだろう。CDを入れてない状態だとソリッドなイメージだが、CDを入れるとガラリと印象が変わるのが楽しい。思わず手持ちのCD-Rを入れ替えて、しばらく遊んでしまった。

透明部分から中のCDが見えるのが斬新。ソニースタイルで購入すると付いてくるオリジナルCD-Rを入れてみた マクセルのデータ用CD-R。金色のレーベルに波目の模様が入っている

 重量は本体のみで約218g。電源には単3電池2本を使用し、アルカリ乾電池のほか、ニッカド、ニッケル水素充電池も正式にサポートしている。電池込みの本体重量は約262g。電池は本体の前部に入れるため、重心は前よりになるものの、それほど持ちづらいということはなかった。

 電池持続時間のカタログスペックは下表の通りとなる。このクラスとしてはトップクラスでの持続時間で、アルカリ電池なら24時間以上の再生が可能。もっとも、経済性の面からも充電池の使用が通常の利用法になるだろう。電池を入れるにはトップカバーを開けなければならないが、充電は閉めたままでも本体で行なえる。

 電池ケースの近くには、「G-PROTECTION」のスイッチがある。G-PROTECTIONはいわゆるアンチショックメモリで、説明書によると通常は[1]に、ジョギングなど激しい動きを伴なうときには[2]が推奨となっている。

 なお、G-PROTECTIONをOFFにすることはできず、必ず[1]か[2]に設定される。

電池持続時間
 G-PROTECTION
[1]
G-PROTECTION
[2]
CD-DAMP3CD-DAMP3
NC-WMAA2本
(ニッカド充電池)
※約3時間充電
約10.5時間約8.0時間約10.5時間約8.0時間
NH-WM2AA
(ニッケル水素充電池)
※約5時間充電
約22.5時間約18.0時間約23.0時間約18.0時間
ソニーLR6(SG)2本
(アルカリ乾電池)
約31.5時間約24.0時間約32.0時間約24.0時間

 再生可能な圧縮フォーマットはMP3のみ。VBRに再生ビットレートに制限はないが、説明書には44.1kHz、128kbps(CBR)でエンコードしたものを推奨している。8階層までのフォルダ構成をサポートし、最大フォルダ数、最大ファイル数ともに255個。

 ID3タグ Ver.1.1も表示可能で、本体とリモコンの液晶画面に表示される。ただし、本体、リモコンとも日本語表示には対応しておらず、表示行数は本体が2行、リモコンが1行。CDテキストの表示もサポートしている。

 再生機能は、全曲およびフォルダ内のシャッフル、リピート、プログラムなど基本的なものは網羅している。プログラムは32曲まで可能。また、出力端子として、ステレオミニタイプのラインアウトも備えている。


■ 操作性と音質

本体の操作部。中央下の4つのボタンはカーソルボタンではない。フォルダ間の移動はその両脇にある2つのボタンで行なう

 MP3 CDプレーヤーの欠点としては、CDの読み込み時間の長さが良く指摘される。本機もその例にもれず、50曲のMP3ファイルを入れた612MBのCD-Rの再生が始まるまでに、11秒前後かかった(ビットレートは各曲332kbps)。ちなみに、RioVolt SP250は同じディスクを9秒前後で再生開始した。

 また、MP3 CDプレーヤーということで、フォルダ移動などの操作を行なうことが多いのだが、リモコンはもちろん、本体操作部にもカーソルボタンがない。代わりに「FOLDER+」と「FOLDER-」という2つのボタンが設置されている。これはその名の通りフォルダ間を移動するボタンで、FOLDER+で次のフォルダ、FOLDER-で前のフォルダに移る。

 フォルダを移った後は自動的にフォルダ内の1曲目が再生されるが、さらにフォルダ内の任意の曲を再生する場合は、曲送りボタンで指定する。MDプレーヤーのグループ機能と同じ操作系だが、なれるまでは少し煩雑に感じた。

2行しか表示できないこともあってか、MP3 CDプレーヤーとしては本体ディスプレイの表示がさみしい。しかも、タイトルなどのデータは、文字の長さに関わらずスクロールし、なかなか戻ってこない。設定可能な14文字分すべてをスクロールしているものと思われる

 リモコンの形状は、同社のポータブルMD機器などに付属する円筒形のものと同じ。ただし、ポータブルMDレコーダ「MZ-N1」などに付属するものとは異なり、日本語の表示には対応していない。ボタンは、ディスプレイに対して上側の面に「DISPLAY」、「PLAYMODE」など5つ、反対側に「HOLD」が1つ。右端には再生開始や曲送りを行なうノブがついている。また、ノブを引き出すことで、ボリュームの調節ができるようになる。

 最近のポータブル機器にリモコンに比べると少々大きめで、片手での使用を前提としたデザインと思われるが、表示を見ながら側面のボタンを使用するには多少のなれが必要。

リモコンの表示も1行で、日本語表示は不可能 リモコンに設置されたボタンは計6個。ホールドを除く5つは同じ面に並べられている ボリュームは、ノブを引き出し、ひねることで調節できる

 CDの音質は、この種のポータブルCDプレーヤーと同じような傾向。高低とも帯域が狭く、多少ノイジーな印象を受ける。持続時間競争に入ってからのポータブル機としては、良くある音質といえるだろう。それでもRioVolt SP250よりは高域の切れがあるように感じた。

 音質補正は2段階のMEGABASSのみ。MEGABASSは「MEGABASS1」が丁度良く「MEGABASS2」になるとかなりブーミーになる。また、G-PROTECTIONの[1]と[2]でも音は変わる。[2]の方がナローレンジで荒い感じだ。

 MP3の再生音は、もとの音楽CDと再生した時とそれほど遜色ない音が聴けた。今回はMP3 Audio Magic XPで332kbpsでエンコードしたものを試したが、本体のSNがそれほど良くないこともあってか、大きな劣化を感じなかった。


■ クールなデザインと電池持続時間が魅力

 MP3 CDプレーヤーとしては、ディスプレイ表示行の少なさからくる操作性の悪さが目立つ。目的の曲に行きつくまでには、多少の苦労を伴なうだろう。とはいえ、大量に曲データを入れたCD全体を単にシャッフルするだけの使い方が中心のユーザーなら、通常の使用に何の問題もない。音質も一般的なレベルだ。

 それよりも、電池持続時間の長さと、他にないデザインが魅力的だ。操作性や日本語表示を除くと、これといって不満のないモデルなので、MP3 CDの購入を迷っていた人にとっては重要な選択肢の1つとなるだろう。

 なお、ソニーの直販サイト「ソニースタイルドットコム・ジャパン」では、本機の先行発売を行なっている。販売価格は19,800円。おまけとして、クラブキングがデザインしたオリジナルCD-Rが1枚付属している。

主な仕様
 D-CJ01RioVolt SP250
(参考)
再生ディスクCD-DA、CD-R/RW
再生圧縮フォーマットMP3WMA、MP3
日本語表示
FMチューナ
周波数特性20Hz~20kHz
ヘッドフォン出力5mW×2ch7mW×2ch
出力端子ライン×1系統
電源単3形電池×2本
ACアダプタ
電池持続時間
(ニッケル水素充電池×2本)
約22.5時間(CD-DA)
約18時間(MP3)
約15時間(MP3)
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
132×137.5×29.3mm130×147×27mm
重量
(本体のみ)
約218g約265g



□ソニーマーケティングのホームページ(Sony Drive)
http://www.sony.co.jp/sd/
□ソニースタイルドットコム・ジャパンのホームページ
http://www.jp.sonystyle.com/index.html
□D-CJ01の製品情報
http://www.sony.co.jp/sd/products/soundgate/DAN_Z1/
□関連記事
【1月22日】ソニー、CDウォークマン初のMP3対応モデル
―ポータブルMP3 CDプレーヤー最長の24時間再生
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020122/sony2.htm
【2001年10月9日】【魁!】第33回:当然、発売日にゲットです
日本語表示に液晶リモコン「RioVolt SP250」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20011009/saki33.htm
【2001年9月13日】ソニック、LCDリモコン付属FMラジオ内蔵の「RioVolt」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010913/sonic2.htm

(2002年2月7日)

[orimoto@impress.co.jp]


00
00  AV Watchホームページ  00
00

ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.