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第57回:長風呂、アウトドアスポーツのお供になるテレビ? 3V型ポータブル液晶テレビ「カシオ SY-300」 |
AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。 |
■長風呂の暇つぶしに使えるものは?
長風呂、いいですね。自分、風呂の中では本を読むことが多いんですが、読書しながら額に汗がたれてくる時などはもうたまりません。しかし、ある日事故が発生してしまいました。そう、湯船に落としてしまったのです。それも絶版になっている文庫本。ああ、あちこち探してようやく手に入れた本なのに……。
ということで、以降は「お風呂で読書」は控えているんですが、長風呂の習慣が残ってしまい、入浴中はなんだか手持ち無沙汰。お風呂でなにか暇つぶしできないものか、と思っていたところ、カシオから発売されたポータブル液晶テレビの新製品「SY-300」が目に止まりました。
この製品はありていに言えば、3V型のパネルを搭載した携帯型液晶テレビ。しかし、防水、耐衝撃性能を備え、別売オプションとして防水仕様のアンテナケーブル、専用スタンドと、充電池/充電器をセットした「お風呂キット(価格:1万円)」も用意されているとか。ふむ、いいかも。
「お風呂でも使えるテレビ」はこれまでもいくつか心あたりがありましたが、ポイントは「ポータブル液晶テレビ初」というヘリカルアンテナを装備しているところ。受信状態の悪い我が家でもなんとか映る希望が持てたのです。今まではロッドアンテナの製品しか見当たらなかったからなぁ。ついでに電車に乗っているときの暇つぶしとしても使えそう。ということで、ゲットに参りましょうか。
で、やってきました量販店。標準価格は36,000円ですが、このお店での価格は29,800円。値引率は約2割ってとこですか。パッケージを見ると、「誤まってお風呂の中に落とした場合はすぐに拾い上げてください」との記述があり、そのままでも浴室で使用できそうな雰囲気ではありますが、やはり「お風呂キット」も欲しいところ。しかし、「お風呂キット」は未入荷で、納期は2週間ほどだとか。ううむ、無いものは仕方ないか。今日のところは本体だけゲットして満足することにしましょう。
■要所はパッキンで防水したタフネス構造
では、同梱品を改めるとしましょう。本体、単3型乾電池×4本。以上。あら? なんだか拍子抜け。説明書を読むと、外部入力ケーブルや、ACアダプタなどのオプション類はすべて別売なんだとか。まあ、テレビ/ラジオの受信機としては使えるので問題ないですが。
本体は3V型の液晶部に対して、周辺部がかなり巨大。持ったときの重量感もサイズの割にはずっしりとしていて、軽快な印象はございません。同じ3V型液晶を持つシャープの「MT-AV1」と比べると、いまいちスマートさに欠けるように感じます。
しかし、「MT-AV1」と「SY-300」はコンセプトの異なる製品。一緒に語ることはできませぬ。「MT-AV1」は「録画映像を持ち歩く」ことを目的とした製品。ひたすら小さく、ポータビリティを追求しているのに対し、「SY-300」は防水構造で、耐衝撃性能もそなえてハードユースを想定した「アウトドアでも使える液晶テレビ」。使用する目的に合わせると、サイズ的にもこれだけの差が出るのかと。
カバーは2箇所あり、左側面にコネクタ類のカバー、裏面に電池カバーを装備。もちろん、パッキンを装備した防水仕様で、カバーをロックする回転式の機構も備え、思わぬときにカバーが開くことも防止してます。
で、コネクタカバーの中には、別売の外部接続ケーブルと接続してビデオ入力に対応するオーディオ/ビデオ端子、イヤフォン端子、別売ACアダプタをつける電源端子と、アンテナの感度を切り替えるアンテナ感度切替スイッチを配置。まあ、ポータブルテレビですからこんなモンでしょう。
前面には液晶パネル以外に、受信チャンネル/周波数を表示するサブ液晶、「>」、「<」のチューニングボタン、テレビ/外部入力/AM/FMを切り替える「MODE」と、サブ液晶にライトを点灯させる「LIGHT」ボタンがあります。
そして、右側面にはボリューム状のダイヤルスイッチが3つ。落下の衝撃に備えるために、プロテクションバーを備え、上から音量を調節する「VOLUME」、輝度調節用の「BLIGHT」、電源スイッチの「POWER」。パワーは上にすると輝度の高い「TV」モードで電源が入り、下にすると輝度を低くして電池持続時間を長くする「TV ECO」で電源が入る仕様になってます。
ん~、じゃ、とりあえず、「TV」モードで電源ON。最初は市ヶ谷のオフィスで視聴したところ、局によって受信状態はまちまちでしたが、概ね「ちょっとノイズが乗る」という感じ。3V型と小さ目のサイズながら、テロップの文字は十分に判読可能で、特に問題は感じません。しかし、受信状態の悪い局では砂ノイズに加え、ゴースト、にじみも発生。う~ん、受信状態のさらに悪い我が家でも大丈夫なんだろか? しばらく続けてみてましたが、付属の単3型マンガン電池での電池持続時間は約1時間。う、短い……。アルカリ乾電池を使って「TV ECO」モードで使用しても、最長で4時間程度。ううむ、これは充電池を使ったほうが経済的かも。
ちなみに、購入後地下鉄に乗って帰る際、試しにつけてみましたが、やはりというか、当然というか、全く受信できませんでした。ま、そりゃそうだわな。
前面。液晶部の下にはサブ液晶、右側にチューニング/MODE/LIGHTボタンを配置 | 裏面。電池カバーの隣りには自立用のスタンドが | スタンドを立てた状態 |
左側のコネクタ部。コネクタの回りにはゴムパッキンを配して防水 | もちろん電池カバーにもパッキンを装備 | カバーの回転式ロック機構。動作は固めで、誤操作による事故もなさそう |
右側のダイヤルスイッチ部。プロテクションバーで落下衝撃にも対応 | サブ液晶部にはチャンネル/受信周波数を表示 | カバーの回転式ロック機構。動作は固めで、誤操作による事故もなさそう |
■自室で、お風呂で使用してみる
ということで、豊島区の自宅に到着。でもってスイッチON。現在、我が家にはケーブルテレビが導入されておりますが、以前は東京キー局でも視聴が困難な局がございました。さて、「SY-300」での受信状態はというと、む~、ま、こんなもんでしょうか?
太いヘリカルアンテナを装備しているとはいえ、アンテナそのものはかなり小型。最も受信状態の良い局は多少ノイズが乗る程度ですが、他の局ではノイズは結構乗っており、チューニングで選局されたりされなかったりする視聴が困難な局も2つほど。まあ、お風呂での暇つぶしに使う程度だから、まともに映る局があるだけでもめっけもんかな。
意外だったのは、ケーブルで放送している局も拾っていたこと。我が家に引かれているケーブルって、通常のTVチューナでも受信できる方式でも放送されている局(BSデジタル局とか)があって、どうもその信号を拾っているようなのです。自室では10mのアンテナケーブルを引き回しているので、そこから漏れた電波を拾ってるのでしょう。もちろん、受信状態はよろしくありません。って、こんなに電波漏れてたんですか。う~む、アンテナケーブル変えようかな……。
それはそれとして、お風呂での使用感なんぞを。「お風呂キット」は購入できませんでしたが、パッケージの記述を信じれば湯船に落としてもすぐに引き上げれば大丈夫な模様。もちろん、そんなマヌケなことにならないよう、注意して使うつもりですが。
浴室の中でも、受信状態は自室と同じ。スタンドを立てて浴槽の縁に置いて、しばらく視聴してみましたが、浴室の反響がなかなか印象的。う~ん、風呂でテレビ見るってのはいいもんです。もちろん、濡れた手で触っても問題ナシ。シャワーを使用していたときに多少水をかぶってしまいましたが、風呂上りに端子部を確認してみると、パッキンの中はもちろん、カバーの中にも全く水は進入してませんでした。
ま、防水性能に関しては、「JIS防水6級」というのが納得できるレベル。ただ、湯船に落とす危険性を考慮すると専用スタンドがある「お風呂キット」を用意したほうが賢明かと。充電池/充電器もセットされていることを考えると、コストパフォーマンスもそこそこよろしいのではないでしょうか。
湯船にこそ落としませんでしたが、テストの意味で浴槽の縁から床に落としてみました。落下高度はおおよそ60cm。で、結果。全然壊れません。落下衝撃で一番壊れやすいのはおそらく外に出ている3つのボリュームですが、バーが衝撃を吸収してくれたようです。当然、テレビ/ラジオも問題ナッシング。
それ以上は怖いんでさすがに試してませんが、これならば手に持って立った状態から落としても問題なさそう。電車の中で立ちながらテレビ見ている時に、人にぶつかったはずみて落としてしまっても大丈夫だと思われます。
■自室以外の受信状態はいかがなものか?
では、電車での受信状態はどうか? 地下鉄では当然ながら全く受信できなかったので、山の手線一周ツアーを敢行いたしました。
東京の主な電波発信源は東京タワー。山の手線は、その東京タワーを円の中に入れて回ります。さて、受信状態はというと、完全な受信状態とは言えませんが、番組の内容が把握できる程度。局によってはザラつくノイズが乗るものの、東京キー局で受信が困難なチャンネルはほとんどありませんでした。ちなみに、UHF局は全滅……。東京ローカルのMXテレビもNGでした。
ただ、定期的にノイズが入ります。停車中でもたまにノイズが発生したので、推測するに電線がノイズ源になっている模様。ディーゼル区間なら大丈夫なんでしょうかね?
さらに、概ね良好だった受信状態も、池袋→上野間はかなりアレな状態です。ほとんどのキー局の放送は受信できましたがかなりノイジー。しかも、1局はテロップの文字の判別が困難なほどに受信状態が悪いのです。アンテナを調節しても受信状態はほとんど改善されず。
山の手線の車内から東京タワーの方向に目を向けると、そこには石垣だのコンクリートブロックだのがず~っと続いておりました……。この区間は山のふもとを走っているようなもの。故に電波が山に遮られているようです。ポータブル液晶テレビ初のヘリカルアンテナを搭載しているとはいえ、これだけ小型なアンテナだとさすがに無理があるようですな。
自宅以外の室内での受信状態も、建物の構造、位置によりけり。もちろん地下での受信はNG。地上でも階が高ければ受信状態がよくなる、というわけではなく、壁の厚いデパートなどではあまり良くありません。が、放送を楽しめる程度の受信状態は確保。ノイズさえ気にしなければ実用上は問題ないかと。
ちなみに、デパート屋上でさぬきうどん食べながら見てたときが最高の受信状態でした。やっぱ見晴らしが良いところのほうが電波の通りがよろしいようで。
そして、受信状態以外に注意したいのが、日差しの強さ。液晶パネルはTFTアクティブマトリクス方式。外光があまりに強いと、コントラストがほとんどわからなくなってしまうのです。見えるのはただひたすらに黒1色……。日差しに悩まされる日中に電車で使いたいときは、乗車位置をよく考えてください。
通勤/通学で使うには、サイズが少々大きめなので不便な面もありますし、電池持続時間が最長でも4時間と短めなので、毎日使用したいのなら別売の充電池は必須。ただ、落としても壊れる可能性は低いし、雨が降っていても使えるという安心感が得られます。ふむ、通勤/通学にも使えるんじゃないかと。
■お風呂で、アウトドアで使いたい方に
お風呂では湯船に落とさないように細心の注意を払っていれば問題なし。だたし、受信状態の悪いところでは実用的な視聴ができない局もアリ。耐衝撃性能も歩きながらの使用時に落としたとしても壊れることのない程度には丈夫。電車のなかでの視聴も、山のふもとなど、極端に電波状況の悪いところでなければ問題ナシ。街中でのユースは、短めの電池持続時間を補完するために、充電池さえ確保しておけばかなり実用的だと思います。
アウトドアスポーツでのユースは、街中での使用からの想像になりますが、まず、山間部でない平原で、近所に高圧電線がなく、さらに近くに中継局があるなど電波状態が良好なことが条件になるかと。う~ん、結構シビアかも。特に山間部でのキャンプなんかは望み薄。山間部は難受信対策でケーブルテレビが引かれている所も多いですからねぇ。
首都圏で条件に合う場所を想定すると、湘南あたりの海岸くらいかなぁ。湘南平にテレビ神奈川の中継局があるみたいで、受信状態も良さそう。で、砂浜で日光浴をしながらテレビを見る、という使い方。日差し対策としてビーチパラソルなど日陰を作るものは必須ですが、防水性能があるから海に入った後の濡れた手で操作できて、海水浴のお供には最適かと。
あとは山頂にあるスキー場とか。中継局が近所にあれば受信状態も良さそうだし、耐衝撃性能を備えているから例え転んでも壊れる可能性が低い。操作ダイヤルも大きめだから、グローブはめたままでも操作が可能。リフト待ちの時間つぶしなんかには良さそうじゃないですか? ただ、あまりに日差しが強いと、放送がほとんど判別できませんが……。
自分の場合、最近はほとんどアウトドアスポーツやってませんが、普段は自室、街中で使用して、たまにアウトドアスポーツに使用する、というユースには十分使えると思います。もちろん、長風呂のお供にもぜひどうぞ。
□カシオのホームページ
http://www.casio.jp/
□製品情報
http://www.casio.co.jp/release/sy_300.html
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【2月21日】カシオ、防水/耐衝撃性能を備えた3V型携帯液晶テレビ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020221/casio.htm
(2002年4月9日)
[fujiwa-y@impress.co.jp]
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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp