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DVをリアルタイムでMPEG-1キャプチャするDV→USBケーブル
PIXELA「PIX-DVMP/U1H」
発売時期/3月15日 価格/オープンプライス(実売価格1万円強)

■ 主な機能

 株式会社ピクセラが発売した「PIX-DVMP/U1H」は、DVカメラなどからMPEG-1形式でリアルタイムにキャプチャするというユニークな製品。愛称は「モバイルキャプティ」。パッケージは、ケーブルのような本体と、専用ソフトの「ImageMixer」で構成されている。

 ケーブル中央のボックス部に、DVデコーダとMPEG-1エンコーダを一体化した独自チップを搭載。両端の端子に(4ピンのIEEE 1394とType AのUSB)DVカメラとPCのそれぞれに接続することでキャプチャが行なえる仕組みだ。ケーブル全体の長さは約1.2mほどで、電源はUSBバスパワード。

 ImageMixerは、キャプチャの制御は、同梱の「ImageMixer」で行なう。対応するOSは、Windows 98 SE/Me/2000/XP。Mac OSには5月中旬に無償CD-ROM配布で対応する予定。

 キャプチャ以外にも静止画/動画/音声ファイルの管理ソフトとしても使用でき、さらにMPEG-1ビデオの編集機能も搭載している。ストーリーボードとタイムラインを備えたタイプで、フレーム単位での編集にも対応。51種類のトランジションの挿入も可能と、予想以上に本格的だ。素材がそろえば、これ1本でちょっとしたMPEG-1ムービーが作成できるだろう。ただし、ビデオCDの作成機能はサポートしていない。

一見すると単なるケーブルだが、両端がIEEE 1394とUSBなのでちょっと不思議な感覚。ハードウェアMPEG-1エンコーダは中央のボックスに搭載されている。ケーブル長は約1.2mで、重量は約70g

 キャプチャ用のソフトというよりは、ImageMixerに集めた各種素材をMPEG-1と組み合わせて、「MPEG-1によるオリジナルムービーを作る」ことが目的のソフトという印象を受けた。作成したムービーをCD-R/RWに保存することを見越してか、オリジナルCDラベルを作るモードもあるが、CD-R/RWへのライティング機能は搭載していない。

キャプチャの仕様
動画記録形式MPEG-1
解像度320×240ドット
ビットレート2Mbps
音声形式MPEG Layer 2
静止画記録形式BMP、PICT
解像度720×480ドット
 キャプチャしたMPEG-1の解像度は320×240ドットで、フレームレートは30fpsあるいは15fpsから選択可能だが、解像度を変更することはできない。また、取り込んだファイルはビデオCD規格に準拠しておらず、変換機能もないので、最終目的がビデオCDの作成なら、別のソフトを用意する必要がある。

 ImageMixerからDVカメラのコントロールが可能なので、操作自体は一般的なDVキャプチャとほとんど同じ感覚で行なえる。ただし、バッチキャプチャには未対応。DVテープを回したまま、キャプチャを一時停止することは可能だ。

 また、MPEG-1ストリーミングとして取り込まれるため、すぐにインターネットへ配信できるのも特徴のひとつ。DVカメラのアナログ外部入力からの取り込みにも対応するなど、思いのほか多機能だ。なお、ストリーミングは、NetMeetingには対応するものの、Windows Messengerはサポートしていない。

 もちろん、取り込んだムービーを他の形式に変換して書き出すこともできる。出力ファイル形式は、MPEG-1のほかMPEG-4も選択でき、圧縮率をそれぞれ「低画質」、「標準」、「高画質」、「最高画質」の4種類で指定できる。

 MPEG-4の拡張子は.asfで、解像度は「低画質」と「標準」が160×120ドット、「高画質」と「最高画質」が320×240ドットになる。フレームレートは「低画質」のみ約15fpsで、ほかはすべて30fpsとなる。

 不思議なのはMPEG-1形式で書き出したときだ。たとえ「低画質」を選択したとしても、もとのキャプチャファイルより3~4%ほどファイルサイズが大きくなる。「最高画質」ともなると約60%もファイルサイズが増大した。もちろん、それでいて画質が良くなるわけでもない。また、DVカメラの動画の1フレームを静止画キャプチャする機能もある。ファイル形式はBMPまたはPICTで、ファイルサイズは720×480ドットとなっている。

ImageMixerは強制的に全画面表示になるソフトで、エントリーユーザーをターゲットに据えたと思われるインターフェイスを採用している。中央はDV→USBのキャプチャ操作を行なっている画面。右はメモリカード内の画像を表示したところ
キャプチャしたMPEG-1を使ってムービーの編集が行なえる(中央)。トランジションを挿入できるなど、編集機能は結構本格的だ。CDラベルの作成ソフトも入っている(右)


■ 使用感と画質

 ImageMixerは、起動すると必ず全画面表示になるタイプ。ユーリードの「VideoStudio」などと同じタイプだ。操作モードは「キャプチャモード」、「管理モード」、「編集モード」、「はがきモード」の4つが用意される。キャプチャした素材は任意に作成できる「アルバム」で管理するのだが、アルバムは各モード間で共通利用できる。

 全画面表示になるソフトに良くみられるのだが、このソフトも独自性の強いインターフェイスとなっている。そのため、慣れるまでに多少の時間がかかってしまった。ただし、ボタンの上をマウスでポイントするとステータスバーに機能説明がでるため、それほど習得が難しいというほどでもない。

 今回はPentium III 700MHzのノートPCでキャプチャを行なったが、プレビューのタイムラグなくはほとんどなかった。DVコントロールの応答もほぼリアルタイム。キャプチャ画像のフレーム落ちもなく、画質も問題ないレベルだった。多少ジラつきが目立つものの、MPEG-1としては高い水準だろう。

【PIX-DVMP/U1Hでキャプチャしたサンプル動画】

 素材にはカノープス株式会社の「CREATIVECAST Professional」を使用。編集した約20秒分をDVテープに記録し、ソニーのDVカメラ「DCR-PC5」を使ってキャプチャした。フレームレートは30fpsを選択している。

(c)CREATIVECAST Professional

【MPEG-1形式】
320×240ドット

平均2Mbps
npp27.mpg
(約8.24MB)

MPEG-1の再生環境はビデオカードや、ドライバ、OS、再生ソフトによって異なるため、掲載した画像の再生の保証はいたしかねます。また、編集部では再生環境についての個別のご質問にはお答えいたしかねますのでご了承下さい。


■ 機動性を活かせば新しい使い道も

 「DV映像をUSB端子から取り込む」という発想はユニークだが、評価が別れるのはおそらく、キャプチャしたファイルがMPEG-2ではなく、いまどきMPEG-1だというところだろう。また、日本のメーカー製PCのほとんどにIEEE 1394端子が実装されている今、USB経由で取り込める意義も薄く感じられる。ただし、出先からのストリーミング配信といった使い方ができるので、Webコンテンツの制作や配信に関わる人には面白い選択肢になるだろう。

 個人的には、「撮影した自分の映像で遊ぶ」だけなら、「これで十分なのかもしれない」という感想を持った。実際、キャプチャをはじめとした様々な操作がMPEG-2とちがって高速なため、思わず時間を忘れて楽しんでしまった。ハードウェア部分に話題が集まるパッケージだが、映像作成の入門ツールとしてもユニークな位置付けにある製品だ。




□ピクセラのホームページ
http://www.pixela.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.pixela.co.jp/news/2002/0225.htm
□関連記事
【2月25日】ピクセラ、DVをMPEG-1取り込むUSBキャプチャケーブル
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020225/pixela.htm

(2002年4月28日)

[orimoto@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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