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第33回:ユアン・マクレガーと言えばやっぱりコレ
もう流行らない? でもやはり「トレインスポッティング」

 怒涛のように発売されつづけるDVDタイトル。本当に購入価値のあるDVDはどれなのか? 「週刊 買っとけDVD!!」では、編集スタッフ各自が実際に購入したDVDタイトルを、思い入れたっぷりに紹介します。ご購入の参考にされるも良し、無駄遣いの反面教師とするも良し。「DVD発売日一覧」とともに、皆様のAVライフの一助となれば幸いです。


■ 待ちに待った再販

トレインスポッティング 特別版
価格:3,800円
発売日:2002年3月22日
品番:PIBF-97023
仕様:片面2層
収録時間:約93分(本編)
     約36分(特典)
画面サイズ:16:9ビスタサイズ(スクィーズ)
音声:1.英語(ドルビーデジタル5.1ch)
    2.日本語(ドルビーデジタルステレオ)
字幕:1.日本語
発売元:アスミック/東芝デジタルフロンティア
販売元:パイオニアLDC

 自分の映画の好みはというと、どちらかというと「わかりやすい作品」。ありていに言えば、「なにも考えなくても楽しめるハリウッド的アクション映画」。故に、ミニシアター系作品の上映にはあまり足を運ばず、それでも興味のある作品は「レンタルビデオなどで一応チェックする」、ということが多い。

 例外的に劇場まで足を運んだ作品と言えば、「ムトゥ 踊るマハラジャ」と、この「トレインスポッティング」だけ。それも当時ハマっていた「Underworld」の楽曲が使われているから、というのが理由。「評判もイイみたいだし、一応見に行くかな~」程度の気持ちで見に行ったものだ。

 劇場公開は'96年。2002年の現在、DVDを購入する前は正直ストーリーをあまり覚えていなかったが、その「雰囲気」だけは強烈に覚えていた。つまり、印象に残った映画だったわけだ。

 実は、この作品、'99年にDVDが発売されている。自分はこの当時DVDプレーヤーを持っていなかったため、購入を見送っていた。が、いつのまにか店頭での在庫を見かけなくなり、DVDプレーヤーを持つ現在「欲しくても買えないタイトル」になっていた。

 機会あるごとに中古店などを探していたが、2002年3月22日にめでたく再販。しかも、価格も3,800円と安くなってのリリースとなった。


■ ストーリーよりもインパクトの大きい「生き様」

 舞台は'90年台のイギリス、スコットランドのエディンバラ。失業率は高く、雰囲気はどんより。気候はといえば曇り空。そんな環境の中で特に仕事をするわけでもなく、ヘロインの快楽に日々を過ごすドラッグ中毒者たちが主人公。

 その生活の姿はというと、ドラッグを射つ合間に失業保険を得るために形だけの面接を受けてみたり、寝室に汚物をぶちまけたり、果ては落とした薬を探すためトイレにダイブしたり。

 ……「廃頽的」というか、「シュール」と表現すべきか、とにかく普通の生活をしている日本人の自分にとって「非日常的」なジャンキーたちの「日常」を垣間見ることができた映画だった。

 映像表現も独特で、ドラッグでトリップする様などは普通の映画ではお目にかかれない奇抜さ。ストーリーよりも、主人公たちの生き様、映像表現のインパクトが大きく印象に残る。

 かといって、ストーリーが面白くないわけではない。原作はアーヴィン・ウェルシュの自伝的小説で、タイトルの「Trainspotting」は、日本でいうところの「鉄道オタク」を指しているのだそうな。駅の構内でキョロキョロと列車を確認する姿がドラッグ中毒者の仕草に似ているため、このタイトルになったとは原作者の弁。

 自伝的小説を原作にしているだけあり、映画でのリアリティはなかなかのもの。「ジャンキーの日常」という、我々にとっての非日常をわかりやすく見ることができた。それでもストーリーはどちらかと言うと「従」になると思うが。

 また、サウンドトラックも素晴らしい。オープニングはIggy Popの「Lust For Life」。そしてエンディングはUnderworldの「Born Slippy」でシメ。その他にもBrian Eno、Leftfieldなど、イギリス音楽界のアーティストの楽曲が各シーンで流れ、ピタリとハマっていた。ちなみに、自分は視聴後に劇場でサントラを購入した。今でもたまに聞いているお気に入りの1枚だ。

 キャストもなかなかの豪華メンバー。主人公のレイトンは、「スターウォーズ エピソード1」のオビワン・ケノービ役で有名なユアン・マクレガー。公開当時はさほど有名ではなかったが、今では某英会話教室のCMに登場するほど、日本でもメジャーな俳優になっている。

 そのほかにも、「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ」でテロリストのレナードを演じたロバート・カーライル、ユエン・ブレナーなど、個性的な俳優が出演。

 ブレナーは現在公開中の「ブラックホーク・ダウン」でもユアンと共演している(2人が顔を合わせるシーンはなかったが)。いずれもこの映画のヒットから今の地位を築いたと言ってもいいだろう。ほとんど無名だった2人が、こうしてハリウッドの大作に出演していることを思うと、感慨深い。


■ DVDとしては?

 パッケージは'99年4月3日発売のジュエルケースから、トールケースに変更。ジュエルケースではレイトン1人だけだった人物写真も、ベグビー、ダイアン、シックボーイ、スパッドも描かれている。

 モノクロの人物写真、ホワイト1色のバックとシンプルだが、オレンジのオビに白抜きで「Trainspotting」の文字。モノクロ写真だけに、オレンジのオビが鮮やかに映え、シンプルながらインパクトのあるデザインになっている。

 DVDディスクもピクチャーディスク仕様。こちらもモノクロのレイトンの写真に、オレンジのオビに「Trainspotting」の文字が入り、自分にとってはデザイン的にお気に入りの1枚だ。

 本編の映像は、なかなかの高画質。暗いシーンの多い本作でも、ほとんどのシーンでコントラストが良好で、輪郭、色味なども自然だ。音声はオリジナル英語音声が5.1chで収録されているが、吹き替え日本語音声はステレオ収録。といっても、アクション映画とは違い、音が移動するシーンはさほど多くないので吹き替え音声でも違和感なく楽しめた。しかし、コメンタリなどの特典はなし。映画DVDとしては標準的な仕様で制作されたDVDと言えるだろう。

 特典は、メイキング、ディザー予告編、日本版予告編、キャスト/スタッフの静止画解説、そして、公開時にカットされた「追加シーン」を収録。

 メイキングは監督、プロデューサーが制作にあたるまでの経緯を解説する場面が中心となり、そこにキャストのインタビューなどを交えたもの。トリップ中の映像の撮影風景などの解説はなく、多少拍子抜けした感もあるが、プロデューサー、監督、キャストがどんな思いで制作にあたったのかがわかり、一応満足できた。

 キャスト/スタッフ解説は、静止画でキャストの役の解説や、監督、原作者などのスタッフの関わった作品を解説している。スタッフ解説で、ダニー・ボイル監督の最新作を「製作予定のThe Beach」としていたので、収録された内容は初版のままの模様。本編も再販に当たって手を加えてはいないと思われる。

 ここ数年で豪華になったDVD特典に慣れた身からすると、'99年に初回版が発売された本作品の特典は少々物足りない。特に、「追加シーン」の映像はゴミ、彩度落ち、フォーカスブレなどなど、かなり画質が悪く、満足できなかった。しかし、プロデューサー、監督がどんな思いでそのシーンをカットしたのかという解説とともに追加シーンが紹介されるため、「より深く理解しよう」という意欲に応えてくれる特典になっていると思う。

 2002年の現在、この作品についての評価は「昔は流行ったけど、今となっては……」という向きもあるが、自分にとってはやはり忘れられない作品のひとつ。再販されて良かった。本当に良かった。

●このDVDについて
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前回のルパン三世「生きていた魔術師」のアンケート結果
総投票数593票
[購入済み]
69票
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[買いたくなった]
128票
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[買う気はない]
398票
67%

□東芝デジタルフロンティアのホームページ
http://www.tdf.toshiba.co.jp/tdf/
□製品情報(パイオニアLDC)
http://www.stingray-jp.com/~pldc/view_data.php3?softid=126732

(2002年4月26日)

[furukawa@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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