気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】


第62回:内部ノイズのないPCオーディオ環境を望むなら
SKnetのUSBオーディオデバイス「DSS」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

言われてみれば、ごもっとも

 第60回でUSB接続ヘッドフォン、オーディオテクニカ「ATC-HA4USB」を扱った際、読者さんからご指摘いただきました。いわく「内部ノイズ対策ならUSBオーディオデバイスを接続してお気に入りのヘッドフォンで聞いたほうがいい」。

 なるほど、「USBヘッドフォン」という目新しさに気を取られるあまり、基本的なことを失念していたようです。お言葉然りごもっとも。それに一般的なUSBオーディオデバイスは録音も可能なわけで、PC内部ノイズの影響なく録音も可能になるはず。そういやラジオのタイマー録音環境が無かったときに、PC内蔵音源で録音したときは「ミーミー」と内部ノイズがうるさかった記憶が……。

 ということで、USBオーディオデバイスの導入を考えたわけですが、どうもこのジャンルは製品が多くて、どれにするか迷うところ。あまりお金をかけたくないし、オンキヨーやローランドの製品が無難なところだと思うけれど、どうせなら機能がいっぱいある方がいいしなー。

 そんな中で目を引いたのが、4月末に発売されたSKnetの「デジタル・サウンド・ステーション」(以下DSS)。再生/録音はもちろんのこと、光デジタル入出力端子も備え、5.1ch出力にも対応。さらにアナログ5.1ch出力端子、USB HUBまで搭載しているという機能満載のデバイスです。で、お値段といえば店頭予想価格13,000円弱。おお、さすが「MonsterTV」のメーカー、まさにモンスタークラスの充実ぶりですな。


パッケージ内容は標準的

 ということで、ブツを捜し求めにやってきました秋葉原。今回は姉妹紙の「AKIBA PC Hotline!」で入荷が確認された店舗に直接出向くことにしました。周辺機器コーナーに足を向けると、お、ありましたよ「DSS」。標準価格はオープンプライスですが、販売価格は12,799円。うむ、これだけの機能を持ちながら、この価格というのも選択の基準だったのですよ。それではお願いします。

 では、パッケージの中身の確認をば。同梱品は、USBオーディオユニット本体、USBケーブル×1、角形状の光オーディオケーブル×1、光ケーブル角/丸型変換コネクタ×1、DVD再生ソフト「PowerDVD」と、2chソースをバーチャル5.1ch再生する「SonixUA.exe」を収録したCD-ROM×1枚という構成。

 ふーむ、USBオーディオユニットとしては標準的な構成かと。本体は小型で、手のひらに乗るサイズ。かなり小さめ。これならちょっとした隙間にも置けるし、USB HUBも搭載しているからUSBポートの数を気にすることもないし、かなりいい感じですよ。

 USBオーディオデバイスとしての対応OSは、Windows 98 SE/Me/2000/XP、Mac OS 8.6以降およびMac OS X 10.1.3以降。ただし、付属ソフトはWindowsのみの対応と。

 まあ、Macintoshには標準でDVDプレーヤーが搭載されてますからねー。ただ、光デジタルによる5.1ch送出は付属の「PowerDVD」のみ対応。Macintoshユーザーは「USB HUB/光入出力端子付きUSBオーディオデバイス」として使用するしかないようです。

 入出力端子は、B形状のUSB×1(アップストリーム)、A形状のUSB×2(ダウンストリーム)×2のほか、ステレオミニのヘッドフォン出力×1、ライン入力×1、光デジタル入出力×各1、そしてアナログ5.1ch出力端子として、DIN形状の「G9端子」を装備。光デジタル入出力にシャッターは付いておらず、代わりにキャップが同梱してます。

 配置は右側面にUSB(B形状)×1、光デジタル入力×1、「G9端子」×1。左側面にヘッドフォン出力×1、ライン入力×1、光出力×1。で、下面にUSB(A形状)×2という構成。まー、普通に使えるんじゃないでしょうか。

 ここで注目したいのは、ACアダプタがついていないこと。つまり、USBバスパワーで駆動するわけです。配線が大変なことになっている我が家の環境でも、手軽に設置できるのはうれしいですね。まあ、我が家の場合、USB HUB周辺も大変なことになっているため、設置に際しては多少手間取りましたが。では、とりあえず音を聞いてみることにしますかね。

同梱品一覧。バスパワー駆動なのでACアダプタはありません 本体右側面。USB、光デジタル入力、アナログ5.1ch出力(G9)を装備 本体左側面。ヘッドフォン出力、ライン入力、光デジタル出力を装備

本体下面。USB HUB機能を持つので、ダウンストリームのA形状USB×2を装備 本体天面。「DIGITAL SOUND STATION」のロゴのみ 本体底面。ゴム製の足がついていて、設置しても滑りにくい


アナログ出力/録音はほぼ満足、でも光は……

 Windows 2000搭載の我が家のメインマシンのUSBポートに差し込むと、ドライバ導入ダイヤログが表示され、指示どおりのステップを踏むことで導入が完了。途中何度かの再起動が必要でしたが、ドライバはOS標準のものを使うことで同梱のCD-ROMを使うことなく導入できました。

 設置場所はPCの上。ここには電話機、ADSLモデムを置いていますが、本体はコンパクトなので問題なく設置できました。ただ、USBに接続した直後に光デジタル出力から光が出っ放し。キャップをしないとかなり気になります。

 では、最初はCDですかね。ヘッドフォンはAKG「K-501」を接続して再生っと。「Trainspotting」のサントラを中心に聞いてみましたが、そうですなー、普段ミニコンポで聞いている音とあまり変わりないですな。しかし、スキップ時や、スライダを使ってのサーチ時、ファイル選択からの再生時などに、再生直前にいわゆるプチノイズが乗ってしまいます。スピーカー接続時には聞き取れないようなレベルですが、ヘッドフォンをしていると確実に聞き取れます。ま、ほんの一瞬だし、さほど耳障りでもないので、自分としては目をつぶってもいいかな。

 MP3やWMAの再生も、それぞれのフォーマットの特性をそれなりに、という感じ。特に味付けされた様子は感じられず、フラットな再生をしてくれるようです。あ、プチノイズは当然こちらも乗ってます。

 さて、続いては録音関係ですね。とりあえずはライン入力にポータブルCDプレーヤー、ソニー「D-E700」を接続して、「Realjukebox」でWAVE形式で録音してみました。ふむ、リッピングしたときよりも多少帯域が狭くなった感じは受けますが、ほぼオリジナルのソースと似たような印象。

 続いてカセットテープからも録音しましたが、こちらはオリジナルのアナログソースをほぼそのままに、という感じです。内部ノイズの影響は全くなし。ただ、結構CPUパワーを食うようで、ちょっとアプリの動作が重めでしたが、他に問題はありませんでした。うん、USBオーディオデバイスとしてはなかなかよろしいんじゃないでしょうか。

 しかし、光デジタル接続は入出力とも対応サンプリング周波数は48kHzのみ。44.1kHzのCDからの録音ができないのは痛いかも。マニュアルには光入力に「BS/CSレシーバ」、光入力に「MD」を接続する模式図が掲載されていますが、BSもCSも導入していない(つかCATV入ってるからいらないし)自分はデジタル入力は試せませんでした。

 まー、CDからのソースは普通はCD-ROMドライブからリッピングしますが、外部機器経由であれば、CCCDのデジタル録音が可能かもしれないわけですし。もしかしたらそういう意味での「48kHzのみ」対応なんですかね?

USB接続時の光デジタル出力端子は光りっぱなし マニュアルの接続模式図。CDプレーヤーはナシ


DVD再生/バーチャル5.1chはどんな感じ?

 さて、次はDVD再生ですな。あー、そういえば我が家のマッシーンにはすでに「PowerDVD XP Pro」がインストールされてるんだよな。「流用できればラクなんだけど」と思いつつマニュアルを確認してみると、「付属のPowerDVDバンドル版以外は付属ユーティリティを使用することでバーチャル5.1ch出力できます」との記述が。うーむ、やはり付属版はカスタマイズされてて製品版は使えませんか。

 ということで、アンインストール/インストールを繰り返し、「PowerDVD」と「SonixUA.exe」も導入完了。しかし、我が家のPC周辺の5.1chスピーカー環境は、デコーダを搭載しないアナログ入力オンリーの「Inspire 5.1 5300」。入力端子はステレオミニ×3を搭載。対して「DSS」はアナログ出力が「G9端子」しか付いてないんだよな~。

 ということで、「何かに使えれば」と買ってきて、使うことなくそのまま眠っていたドルビーデジタル/DTSデコーダ、フリーウェイ「Cinema Decoder D2」を取り出して、「Inspire」を付け替えて見ました。うーん、アナログ出力がステレオミニ×3だったらラクに設置できたんだけど……。

 で、付け替えてDVDを再生。「ソードフィッシュ」を中心に視聴しました。が、うーん、普段聞いてる音と大差ないような。ま、スピーカーは同じですからね。ヘッドフォンで聞くと気になる内部ノイズも、スピーカーで聞いている分にはさほど気になっていないので、特に違いは感じません。

 2chソースを5.1chで再生する「SonixUA.exe」の効果の程はというと、そうですなー、あえて表現すると「4chステレオ再生に近い」という感じでしょうか。ドルビープロロジック IIほど分離感は感じないものの、サラウンド2chからもL/Rと似た音が再生されるため、包み込まれる感覚が得られました。が、感触としては「やっぱり2chのまま」、というのが正直な感想。うーん、4chステレオ再生はこれまでも可能だったから、製品版の「PwoerDVD XP Pro」でDTSを再生できるのに対して付属版がドルビーデジタルオンリーな事を考えると、自分の場合元の環境に戻した方がいいかも。

 もちろん、これは「自分の場合は」ということで、例えばヤマハ「TSS-1」をPC用にセットアップしていて、「4.1ch出力で聞いているけど内部ノイズがひどくて、5.1chの光デジタル出力環境もない」という方にはぴったりなシステムだと思います。環境によるってことですな。


環境に合うならコストパフォーマンス高し

 再生中はノイズも気にならないし、録音機能も装備。光デジタル入出力端子も搭載して、付属のPowerDVDからならば外部AVアンプへ5.1ch出力も可能。おまけにUSB HUBまで組み込んだ多機能さをこれだけ小型なボディに詰め込んだ点が素晴らしい。実売価格13,000円前後のゾーンにはオンキヨー、ローランドなども魅力的なUSBオーディオ製品を発売していますが、それらに比べて機能面では明らかに勝っていると思います。

 しかしというか、なんというか、どうもツメが甘いような気も。アナログ5.1ch出力は搭載しているものの、DIN形状の「G9端子」で接続できるスピーカーに限られる、というのはいかにも惜しい。まあ「G9端子」搭載スピーカーを持っている方はなかなか魅力的な製品かと思いますが、確かこの端子を搭載したシステムって、ドルビーデジタルデコーダとセットになったものが多かったような……。

 せめてステレオミニ×3や、RCA×6への変換コネクタも同梱していてくれれば、より多くのユーザーがアナログ5.1ch出力を利用でるわけで。うーん、どっかに売ってないスかね? そういうコネクタ。

 音質については、再生中は問題ないものの、スキップやサーチ時にプチノイズが乗るのが少々マイナス。自分は持ってませんが、DATへの編集時などを考えると、スキップしたりファイル選択後の再生前に発生するノイズもおそらく録音されてしまうわけで。まあ、さほど気にはならないので自分としてはあまり問題とは感じませんが、こだわる人には不満だろうな、と。

 とはいいつつも、コストパフォーマンスはかなりハイレベルだと思います。PCの内部ノイズにお悩みの方、ノートPCを持ち歩いて、DVD再生する際には5.1ch出力したい方、昔のアナログソースを内部ノイズの干渉なくデジタル録音したい方にはよろしいんじゃないでしょうか。

□SKnetのホームページ
http://www.sknet-web.co.jp/
□製品情報
http://www.sknet-web.co.jp/sknet/goods/indexdss.htm
□関連記事
【4月26日】SKnet、5.1ch対応USBオーディオインターフェイス
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020426/sknet.htm

(2002年5月14日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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