気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】


第64回:USBオーディオデバイスふたたび
オンキヨー「SE-U55X」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

ノートPC用にもう一個

 第62回でUSBオーディオデバイス「DSS」をゲットした後、しばらく使ってみた感想は「これって案外いいじゃん」。録音時には多少動作が重くなりますが、アナログ録音する機会のほとんどない自分にはあまり関係がなく、結構満足しております。

 こうなると、ノートPC用にもうひとつ欲しくなって来たなー。そういえばオンキヨーから「WAIO」ブランドでUSBオーディオデバイスが出るのだとか。

 しかも、その製品がかなりの高性能、高機能。D/A変換時のパルスノイズが発生しないという同社の「VLSC(Vector Linear Shaping Circuitry)」回路を搭載して、SN比はこれまでの製品を10dB上回る110dB。入出力端子は光デジタルに加え、ステレオRCAを標準で装備。うーん、いいんじゃないでしょうか? ウチのノートPCはサブノートなので入出力端子が貧弱だし、いっちょ行っときますか!


パッケージ内容は意外と豪華

 ということで、ブツを捜し求めにやってきました秋葉原。姉妹紙の「AKIBA PC Hotline!」で入荷が確認された店舗に直接出向き、周辺機器コーナーに足を向けると、ありました「SE-U55X」。標準価格は22,000円ですが、販売価格は15,480円。約3割引きってとこですか。

 やー、この値引率はかなりお買い得かも。しかし他の店舗では約2割引きの17,000円台で販売しているところが多いようです。ちなみに、このお店で展示されている商品は1つだけ。もしかしたらこれがラストワンかもしれないので、とりあえずゲットしときました。

 15,000円台でゲットできたから、12,800円の「DSS」より1~2割増し。標準価格は一見高めの設定になってますが、安く売っている店舗を探せば、ほぼ同価格帯の製品と言っていいんじゃないでしょうか。パッケージを見てみると、「Windows XPでの動作環境はCeleron 800MHz以上」とかなりパワーを使うようです。それだけ高度な処理を行なってると期待してよろしいんでしょうか?

 では、パッケージの中身の確認をば。同梱品は、USBオーディオユニット本体、USBケーブル×1、ステレオRCAケーブル×1、角形状の光オーディオケーブル×1、光ケーブル角/丸型変換コネクタ×1、リモコン×1、リモコン用の単3型乾電池×2、「CarryOnMusic」などを収録したCD-ROM×1という内容。

 いやいや、標準価格が22,000円と高めな機種だけあって、ちょっと豪華な内容ではないでしょうか? 特にリモコンは他の製品にで見かけられない同梱品ではないかと。

 USBオーディオデバイスとしての対応OSは、Windows 98 SE/Me/2000/XP。残念ながらMacintoshには対応しておりません。まー、おそらく付属ソフトの「CarryOn Music」が対応していないからなのでしょうが、残念といえば残念。

 あ、それから5.1chのデジタル出力には対応しているけれども、DVD再生ソフトは専用の「WinDVD 3.1」をダウンロード購入する必要アリ。同梱してくれなかったのはニーズが低いと判断したのか、少しでもコストを下げるための努力なのか。ま、自分には「DSS」があるので特に必要ないでしょう。

 入出力端子は、B形状のUSB×1(アップストリーム)のほか、背面にステレオRCA入出力×各1、光/同軸デジタル出力×各1、光デジタル入力×2、DC電源入力端子×1を装備。そして正面には、ヘッドフォン出力×1、ミニ形状のマイク入力×1、光デジタル出力×1という構成。そして、入力切替ツマミや、出力/入力レベルのボリュームコントローラも搭載。背面の光出力はキャップ式ですが、前面の光出力にはシャッターが付いてます。入出力端子群も豪華。しかもデザインのバランスを崩さない配慮がされてます。

 電源入力端子も付いてますが、パッケージにはACアダプタは非同梱。マニュアルによると、これはバスパワー駆動できない場合に備えてのものだそうです。まあ、「USB機器が10台くらい接続されていて、バスパワーUSB HUBも増設できそうもない」くらいの環境でないと必要になることはないんじゃないですかね。

 しかし、これだけ豪華な入出力端子群を装備しているため、USBオーディオデバイスとしてはかなりの大型。本体の外形寸法は、50×166×216mm(幅×奥行き×高さ)、重量600g。うーむ、こうして実物を見てみると、ノートPCと一緒に持ち歩くにはちょっとひるむサイズだなー。ま、デスクトップ用に使うという選択肢もありますが、とりあえずはノートPC用として使ってみますか。

同梱品一覧。バスパワー駆動なのでACアダプタはありません パッケージ。リモコンと「CarryOn Music」をアピール

本体背面。USB、光デジタル入出力、ステレオRCA入出力を装備 本体正面。ヘッドフォン出力、マイク入力、光デジタル出力とボリュームを装備 本体側面。全面パネルはアルミ製で、ほかはプラスチック製


「CarryOn Music」の使い勝手は非常に快適

 我がノートPCは、OSがWindows XP、Celeron 650MHz搭載、メモリ256MB増設済みのソニー「PCG-SRX3」。こいつのUSBポートに差し込むと、USBルートハブなどは自動で導入されましたが、「SE-U55X」そのものに関してはCD-ROMからのドライバ導入が必要。CD-ROMをセットして、ダイヤログの指示どおりに導入を完了。再起動の必要はありませんでした。

 本体の設置場所はデスクトップPCのモニタの脇に。ノートPC使用時は大抵テーブルの前の方にノートを置いて使っているので、まあ問題ないでしょう。「ノートPCで使えねー」と判断したときはそのままデスクトップ用に移行できるし。

 さて、続いて「CarryOn Music」の導入をば。どうもノートPC側の調子が悪いようで、セットアップはCD挿入時に自動開始されませんでしたが、「CarryOn Music」フォルダを開いてSetup.exeをダブルクリックしてセットアップ開始。CD情報自動検索サービス「CDDB」に登録するステップなどを経て、特に問題なくセットアップが完了しました。

 では、「CarryOn Music」でとりあえずCDの音を聞いてみますかね。ヘッドフォンはAKG「K-501」を接続して再生っと。今回は「BlackHark Down」のサントラを中心に聞いてみました。音の感想としては、うーん、「DSS」の時と同じく、やっぱり普段ミニコンポで聞いている音とあまり変わりないですな。

 「DSS」と違う点といえば、スキップ時のプチノイズが全く感じられなかったところ。うむ、これはいい。が、他の点では自分の聴感としては他は全く一緒。「DSS」を扱ったあとで読者さんから「バスパワー駆動のUSBオーディオデバイスは原理的にグランドノイズを拾う」という旨のご意見を頂きましたが、それも特にありません。

 この製品のウリであるところの「VLSC」の効果はというと、うーん、どうなんだろ? CDからのWAVEで聞いている限り、「まったく一緒」という感じですが。元々パルスノイズは微弱なものだし、10dB上がったというSN比を聞き分けられるほど自分の耳はよろしく無いようなので、効果は特に感じませんでした。

 では、続いて「BlackHark Down」のリッピングを。録音はWAVE、MP3、WMAから選択可能で、ビットレートも選択可。再生対応フォーマットもこれに準じます。んー、ウチのノートはソニー製だから、ATRAC3でリッピングした曲も結構あり、ATRAC3に対応していない点はちょっと残念。しかし、WAVEで録音できるし、MP3、WMAとメジャーなフォーマットには対応しているので実用上は問題ないでしょう。

 リッピングは、「CD」タブを選択して、タブ上の「CD REC」を選択するだけ。リッピング速度はCD1枚で約15分といったところ。まー、こんなモンでしょう。リッピング後はCD情報の編集をするのが常ですが、画面脇にある「INFO」ボタンを押すと自動的にCDDBに接続。検索してID3タグ情報を自動で入力してくれました。サントラ物だとアーティスト名が「unknown」になってしまうデータベースもありますが、こいつの場合はアーティスト名もちゃんと「Hans Zimmer」になってます。うむ、優秀。

 さて、ここで登場するのがリモコンです。リモコンはCD再生用に再生、停止、一時停止、+/-スキップ、早送り/巻き戻しボタンを装備。そして、HDD内の音楽再生用に再生、停止、一時停止といった基本操作ボタンを搭載。もちろん、両方に対応する10キーも付いてます。

 ここまではこれまでのAV機器でも見慣れたボタンでありますが、違うのはここから。「DISK LIBRALY」と区切られた部分には、基本操作ボタンの他に「ALL」、「ARTIST」、「ALBUM」といったソート専用ボタンと、スキップボタンの代わりにリストの移動を行なう上下の「LIST」ボタンを搭載。

 さらに、「DISK PLAYLIST」と区切られた部分にはプレイリストの選択を行なう上下の「PLAYLIST」ボタンと、再生/停止/一時停止ボタンを持ってるのです。

 その操作感はというと、これまで使用したことのないリモコンだけに最初は戸惑いましたが、マウスカーソルの位置を確認する必要もなく、リストを上下して行なえるので非常に快適。慣れるまでの時間も約10分といったところ。もちろん10キーでの曲番号入力による選択にも対応していて、プレイリストの曲番号を覚えているほど聞き込んでいるアルバムでも違和感なし。いや、いいですわ、コレ。

「CarryOn Music」画面。開発はデジオン リモコン。ボタンは小型で多少押しにくい リモコンのアップ。HDD関連のボタンが新しい


録音レベルも前面パネルから調節可能

 では、続いて外部入力による録音をしてみますかね。光入力はサンプリングレート48/44.1/32kHzに対応。CDからの録音にも対応しております。「DSS」は48kHzのみ対応でしたから、これで安心。ただし、光出力は48/44.1kHzのみ対応。ま、32kHzはほとんど使うこと無いでしょうから問題ないでしょう。

 とりあえず、CDプレーヤーの光出力から入力して「CarryOn Music」でWAVE録音。うーむ、Celeron 650MHzとWindows XPでの推奨環境に達していないため、かなり動作が重くなりましたが、音飛びなどもなく録音できます。一応。

 録音された音を聞いてみても、CDから直接聞いている音と違いは感じられません。うーむ、かなりよろしいんじゃないでしょうか。ステレオRCA入力からの録音も、元のソースを忠実に、という感じ。入力端子が多いため、前面パネルのダイヤルで入力ソースを切り替える手間はありますが、ステップは1つだけ。あまり気にはなりません。

 それよりも、パネル全面に録音レベルのボリュームが付いていることで、録音レベルが調節が可能なことが大きいですね。録音ソースによってまちまちな音量を調節できることで、レベル割れも防げます。うーむ、この価格でここまで高機能だとは。オンキヨー、やりますな。


多少高くても高機能を求めるなら

 豊富な入出力端子、録音レベルの調節も可能。「音響メーカーとしてのノウハウが詰め込まれた」PC用音響機器、って感じですかね。なによりもリモコンでの操作が可能な「CarryOn Music」の使い勝手はかなり快適。

 「DSS」と比較して、不満点と言えば、やはりサイズの大きさと、USB HUB機能が付いていない点くらい。試しに持ち運んでみましたが、アルミ製の前面パネルにキズがついたりでいいことありませんでした。やっぱこいつはデスクトップ用に使用するのが本道。ステレオRCA出力も付いてますから、別途アンプを用意すればさらにグレートな環境が構築できると思います。

 ノートPCで使用するUSBオーディオデバイスは「DSS」に決定ですな。小型で持ち運びにも便利。「PCG-SRX3」は本体に搭載のヘッドフォン出力も結構優秀だと思いますが、それでもノイズは確認できるし、なによりUSBポートが1個しかないため、USB HUBにもなるという点が便利。デスクトップは「SE-U55X」で、ノートPCは「DSS」で、という使い分け。

 しかし、こうなるとアンプ内蔵で無い点が惜しまれる。そういえば6月下旬にはオンキヨーから「SU-E55X」のアンプ搭載型と思われる「MA-500U」なんて製品も出るみたいですね。どうすっかな……。

□オンキヨーのホームページ
http://www.onkyo.co.jp/
□製品情報
http://www3.onkyo.co.jp/what/news.nsf/view/se_u55x
□関連記事
【4月3日】オンキヨー、リモコン付属のUSBデジタルオーディオプロセッサ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020403/onkyo.htm

(2002年5月28日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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