気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】

第65回:ボイスレコーダとシリコンプレーヤーが合体!
音楽再生機能装備のSDボイスレコーダ「東芝 IC-SD2」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

ボイスレコーダが欲しくなりました

 一応記者でもあるワタクシは、発表会などに使う録音用の機材としてアイワのテレコを使っているわけですが、やっぱアレ、デカイわ、テープ走行音を拾うわで、かなーり使い勝手がよろしくありません。んー、会議録音ユースとかなら、今のトレンドといえば、いわゆるICレコーダ。可動部分がないので走行ノイズを拾うこともないし、スティック型でコンパクトなものが多く、胸ポケットに煙草と一緒に入れておいても録音できそうなのがよさげ。編集後記のネタとか、思いついたはいいがすぐ忘れてしまうようなネタも、いつも持ち歩ければ口述メモってこともできますし。けど、録音だけの単機能ってのはなー。

 ちょっと調べてみると、実は音楽再生機能がついた製品もいくつかあるようで。けれどもデジカメのデータを全てすっ飛ばした経験のあるスマートメディアを採用した機種だったり、外部メモリの増設ができない機種だったりで、どうもいまいち購買意欲が湧かないものばかり。うーん、ここはとりあえずテレコでガマンしとくかなー、とか思ってると。、なんかよさげな機種がでるみたいじゃないですか。それが東芝のボイスレコーダ「IC-SD2」であります。


ボイスレコーダとしては結構普通?

 この「IC-SD2」、ボイスレコーダとしての機能は至って普通。しかし、MP3/AACの音楽ファイルを再生できるのであります。おまけに、記録メディアは信頼性も結構高いと思うSDメモリーカード。うん、これはよろしいんじゃないでしょうか? もちろん、ボイスレコーダとしてのメリットの1つである携帯性も犠牲になっていない様子。で、お値段はオープンプライスで、店頭予想価格は35,000円前後。……ちょっと高いけど、音楽再生機能付きでこの価格なら、まあ納得できるかな? とりあえず現物を見てみないことにはなんとも言えないからなー。

 ということで、新宿の量販店にやってきました。で、「ICレコーダー」コーナーに目を移すと、お、ありましたよ「IC-SD2」。ふむふむ、展示されている他機種と比べると多少幅が広めではありますが、手に持ってもしっくり来るサイズ。外形寸法は41.5×13×98.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量約36gか。ふむ、携帯性は全く問題ないかと。試しに展示品を胸ポケットに入れてみましたが、マイク部がちょうどポケットの上部に来る感じで、胸ポケットに入れたままの録音にも使えると判断しました。

 タバコと一緒に入れると多少ポケットの幅が足りない感じですが、SDメモリーカードの幅がある分、幅はどうしても広めになるのは仕方ないし、手に持って違和感ないんだから実用上は問題なさげ。カタログを読んでみると、64MBのSDメモリーカードも同梱されてるみたい。で、最大録音可能時間は、64MBメディア使用時で約16時間50分。

 おお、これだけ録音できれば困ることはなさそう。うーん、他の展示品と比べると価格はかなりお高めだけど、音楽ファイル再生機能は捨てがたいし……。よし、ここは買ってしまいましょう!

 ……購入の決断には多少時間がかかりましたが、今、ブツは手元にございます。では、内容を確かめるとしましょうか。

 同梱品は、ボイスレコーダ本体、64MB SDメモリーカード×1、ステレオイヤフォン×1、単4型乾電池×2本、USBケーブル×1本、SDカードに録音したファイルをPC上に転送/管理できる「東芝ボイスマネージャー」と、オーディオファイルの管理ソフト「東芝オーディオマネージャ」という2つのPC用アプリケーションを収録したCD-ROM×2枚。なお、PC用アプリケーションの対応OSは、Windows 98 SE/Me/200/XPとなっております。

 本体はというと、本体上部に外部マイク入力とヘッドフォン出力を配置。もちろん内蔵マイクもございます。

 本体正面は、液晶表示部の下に十字状のカーソルボタンと、フォルダ選択ボタンを装備し、再生ボタン、停止ボタンは下部の方に装備。本体右側面は最上部に録音用のスライドスイッチがあり、その下に+/-の音量調節ボタン、消去/インデックス/重要のボタン。マニュアルを確認してみると、「重要」というのはファイル消去を防止するためのインデックスのようなものだそうです。

 で、本体の背面には一定音量以上の入力で自動的に録音を開始する「自動」の入/切と、マイク感度を「会議/口述」で切り替えるスイッチ、さらに操作ボタンをロックする「ホールド」スイッチを配置。で、モノラルスピーカーと、電池収納部がございます。PCとの接続用のUSB端子は、本体の底面に配置。端子は独自形状で、専用ケーブルでないと接続できない模様。

 ふむ、ボイスレコーダはあまり手にしたことはないけれど、店頭で他製品と比較してみたところ、あまり違いはなかったようだし、標準的な構成とみてよろしいんじゃないでしょうか。んじゃま、PCにアプリをインストールなぞしながら、録音の方を試してみますかね。

同梱品一覧。ボイスレコーダとしては多分標準的かと 本体上面。内蔵マイクとヘッドフォン出力、マイク入力端子 本体正面。液晶表示部とカーソルボタンなどの基本操作ボタンを配置

本体右側面。録音ボタンはスライドスイッチで、そのほかにファイル管理関連ボタンがある 本体裏面。モノラルスピーカーと、マイク感度など、本体関連のスイッチを装備 本体底面。USB端子は独自端子。専用ケーブルが必要

SDメモリーカードスロット部。挿入は左側面から SDメモリーカードと本体との比較。かなり頑張って小型化してるかと


録音機能は多少不満なれど、ほぼ目的は達成

録音開始時には赤色に液晶部が点灯。録音開始を確認できます

 録音は、本体右側面の上部に備えられたスライドスイッチをスライドさせることで録音開始。スライドスイッチなので、録音中に誤った操作をして肝心の録音がされなかった、なんて事故も防げそう。

 で、録音開始時には表示部のLEDが赤く点灯し、録音を開始したことを知らせてくれるので、録音が行なわれている事を確認できます。うーん、録音開始についてはほぼパーフェクト。ただ、気になる点が1つだけ。

 録音開始までのライムラグが1秒程度と結構多めなこと。会議ではそんなに気にならないレベルだけれども、独り言を録音する口述記録の際には結構大きいタイムラグ。口元に本体を持っていき、スイッチをスライドさせると同時に口述を開始すると、冒頭1秒程度がオミットされてしまい、何を録音したのかさっぱりわからなくなることがあったのです。

 独り言録音は、思いついたことや、ふと気づいたことを記録することが多いし、独り言を録音するものだからなんだか気恥ずかしさが伴うもの。かなーり短い、長くても5秒程度の録音ばかりなんですわ。そんな短い録音の最初の1秒は、かなり重要。

 まー、メモリカードが記録媒体ですから、ある程度のタイムラグは避けられないんですけどね。5回ほど失敗したあとで液晶表示部で録音開始されたことを確認してから録音するようになりましたが、それでもバッファ用のメモリを搭載するとかして解決してほしい問題かも。

 録音モードは高音質の「SHQ」と、通常音質の「SP」の2モード。マイクの感度切り替えスイッチもついており、高感度の「会議」と、感度を落として近くの音を拾いやすくする「口述」から切り替えられます。

 んー、ではとりあえず「SHQ」モードでマイク感度は「会議」で、職場の様子を録音してみますか。スライドスイッチを上げて、録音開始。

 ふむふむ、ヘッドフォン接続していると録音状態をモニタできるんですね。音量を上げると録音対象の音が紛れるので、ほぼ完璧な状態でモニタリングできます。で、その音質はというと、うーん、結構放射雑音が多いなー。ま、編集部は元々雑音が多いところなので、仕方ないですけど、実際に耳で聞くよりも雑音レベルはかなり大きいです。

 録音された音声を静かな環境で聞きなおしてみても、実際の耳で聞き取れる隣りの席の声でも、モニター状態では放射雑音に紛れて言葉の意味を判別するは意識を集中しないと困難なレベル。ちなみに、録音モードを「SP」に切り替えると、言葉の意味の判別はできなくなってしまいました。ぐは。

 うーん、会議録音は「SHQ」モードでの録音が必須ですね。ちなみに、「SHQ」モードでの64MB SDメモリーカード使用時の最大録音時間は約3時間。大抵の会議で事が足りると思われますが、長丁場の会議を録音するときは予備のSDメモリーカードを用意しておいた方がいいかも。

 某発表会で使ってみたところ、マイクで拡声された音声ならば、「SP」モードでも結構いい感じに聞き取れます。しかし、かなり雑な印象。マイク拡声時でも「SHQ」録音が絶対条件かと思われます。

 それに対して、口述録音はイイ感じ。こちらも多少の放射雑音はまじりますが、録音された音声はかなりクリアに聞こえます。「SP」モードでも問題ないなー、これは録音開始のライムラグさえ念頭においておけば、結構使えるかと。しかし、自分の声を聞くのってかなり恥ずかしい……。

 録音機能は「ほぼ目的達成したかな」、と思いますが、盲点だったのが再生時。一応録音ファイルには録音時の日時が記録されてますが、それ以外の情報はまったくなし。発表会の録音なんかだと、目的の部分までサーチするのが大変。しかも、サーチが無音……。うーん、録音時にインデックスボタンを押すことで、インデックスまでスキップする機能が付いているのはこういう訳だったのですか。今後は重要と思われる部分に差しかかかったら、インデックスボタンを押すクセをつけないとな。小さいんで押しにくいけど……。


音楽再生機能はかなりの実力派。専用プレーヤーよりイイ?

 では、音楽ファイルを転送して、音楽ファイルの転送をしてみることにしますか。本体はマスストレージクラス対応で、USB接続時は1つのドライブとして扱うことができますが、音楽ファイルの転送は専用アプリケーション「東芝オーディオマネージャー」(しかし凄いネーミングセンス)上からでないと行なえません。んー、松下のSDプレーヤー「SV-SD80」みたいにセキュア化の手間があるならかなり面倒かも。

 と思いつつも「東芝オーディオマネージャー」を起動。このソフトでは、CDからのリッピング、MP3/AACファイルのインポート、プレイリストの編集など、標準的なジュークボックスソフトの機能に加え、当然SDへの転送機能が搭載されてます。

 んー、とりあえずは既存のMP3ファイルをインポートしてみますかね。インポート時には多少時間がかかり、どうもこのときにセキュア化がされている様子ですが、「SV-SD80」用の「SD-Jukebox」のセキュア化に比べればかなり短時間。「セキュア化」という単語は特に出てこないので、ストレスを感じませんでした。ふむ、インターフェイスの設計は結構いい感じ。

 ちゃんとAACエンコーダも搭載していて、CDからのリッピング時にはAACでエンコード可能。さすがSDメモリーカード陣営の雄。ぬかりありません。ま、価格が価格なので、コレくらいの機能は付いていて当然という気もしますが。

 転送も完了して、いよいよ再生。再生は本体のモノラルスピーカーでも再生可能ですが、最初はやっぱりヘッドフォンでしょう。ゼンハイザーのステレオイヤフォン「MX500」を接続して、フォルダを「AUDIO」に設定して、再生ボタンっと。

 ふむふむ、ID3タグはちゃんと表示されてますね。まー、半角英数だから当然といえば当然ですが。スキップは録音ファイル再生時と同じく、一度停止させた状態でないと無理。ついでにサーチは無音でした。んー、ま、こんなもんでしょう。

 では次の曲に、とスキップしたとき、なんと漢字のID3タグ情報もバッチリ表示してくれてます。おおー! 期待していなかっただけに、これはかなりの驚き。すいません、音楽再生機能はオマケだと侮ってましたが、それは誤解だったようです。いや、なかなかの実力派。このサイズのプレーヤーで漢字表示対応ってなかなか無いですよ。

 音質はというと、MP3はフォーマットの特性らしくざわつきがあり、AACはかなりすっきりしている、という感じ。あー、それからわずかではありますが、曲間にプチノイズが乗ります。けど、帯域は低めで、あまり耳障りではないので許容範囲。最後に、試しに本体のスピーカーでも再生してみましたが、「音楽鑑賞には向かない」とだけ言っておきましょう。ファイルの確認用ですね。これは。

 音質調節機能も搭載していて、こちらは「FLAT」と、「BASS+」、「BASS++」の2モードの低音強調と、低高音を強調する「LOUDNESS」、高音を抑えて音漏れを防ぐ「HIGH CUT」の合計5モードを搭載。けれども、音質調節機能を使うと、どうしても不自然な音に聴こえてしまうため、自分は「FLAT」でしか聞かないと思います。

 総合してみると、うーん、本体も小型だし、漢字ID3タグも表示できるし、音質もそこそこだし、セキュア化の手間も感じないし、本体に直接転送可能で手間も少ないし、オーディオプレーヤーとしてもかなーりイイんでないですか?

「東芝オーディオマネージャー」。インターフェイスはいい感じ ID3タグ情報は漢字表示に対応。このサイズのプレーヤーではめずらしい 音質調節機能。モードは多彩なれど、効果はあまり……


多少高くても高機能を求めるなら

 録音関連の機能はかなり豊富で、録音中にインデックスもつけられるし、録音音質もSHQならば全然問題なし。SPになるとちょーっと聞き取りづらいなー、と思いますが、3時間では終わりそうにない会議や座談会なんかの録音には重宝しそう。それに、3時間以上かかるような会議や発表会ってそんなに多くはないから、大抵のユースでは「SHQ」モード録音で使っていけると思ってます。故に、実用上は問題ナッシング。

 音楽再生機能は、「まー、オマケかな」と侮っていたのに、意外や意外、かなりの高機能。同じSDカード対応のメモリプレーヤー「SV-SD80」で感じたセキュア化の面倒もなし。おまけに全く期待していなかったタグ情報の漢字表示にも対応。「SV-SD80」に比べるとサイズ的に多少劣りますが、それでも気軽に持ち運べるサイズ。タバコと一緒に胸ポケットに入るから、毎日でも身に着けておくことができます。

 まー、充電機能はついてないので「毎日4時間は携帯プレーヤーでリスニングするよ」という方にはお薦めできませんが、気が向いたときに音楽を聴きながら、とっさの思い付きを記録しておきたい、というユースには最適なデバイスだと思います。

 おまけに世界主要都市の時間も設定できるワールドクロック機能も付いているし、カーソルボタンを中心にした操作感も良好。録音スイッチはスライド式なので、誤動作することもありませんでした。

 あえて不満点を挙げるとすれば、会議モードでの内蔵マイクによる録音では、放射雑音が多めなこと。マイクの志向性は全方位だと思われ、会議モードは遠くの音を拾うために高感度に設定されているから仕方ないといえば仕方ないのですが。

 自分の場合、発表会など広い会場での使用をメインに想定しているので、内蔵マイクのクオリティはもうちょっと高い物を望みたかったです。指向性の高い外付けマイクを導入する選択肢もありますが、それだとせっかくの携帯性が半減するからなー。

 しかし、口述録音は問題なし。マイクで拡声された音声なら、まあ、放射雑音は多いものの普通に聞き取れるレベル。仕事でもプライベートでも、かなり使いやすいレコーダと感じました。便利です。さすがに高いだけのことはありました。ま、もう少し安いと助かったんですが……。

□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/
□製品情報
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2002_05/pr_j1401.htm
□関連記事
【4月3日】東芝、MP3/AACが再生可能なSDカードボイスレコーダ
―付属のSDメモリーカードを、32MBから64MBに変更
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020515/toshiba.htm

(2002年6月4日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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