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第5回:圧倒的な解像力とコントラストで迫る!
~ コントラスト比1,000:1の実力「ソニー VPL-VW12HT」 ~

 今回試用したソニーVPL-VW12HTは、プロジェクタファンにはおなじみの「ソニーVW系列」の最新機種。高解像度の液晶パネルと1,000ANSIルーメンの高輝度が織りなす「1ランク上の映像」がどんなものなのかチェックしていきたい。


■ 設置性チェック~高輝度モデルながら徹底した静音設計

VPL-VW12HT(オープンプライス)。実売価格は55万円前後
 本体は重量約8kgと決して軽くはないものの、持ち運びや移動はなんとか行なえるレベル。ただし、持ち運び用の「取っ手」のようなものはないし、製品の性格からして常設が大前提となるだろう。

 外形寸法は395×427×168mm(幅×奥行き×高さ)。リビングのテーブルに置いてカジュアルに楽しむには若干無理がある大きさだ。また、映像はレンズ位置から上方向に広がるので、スクリーンの位置が高い場合は、台を結構な高さにしなければならない。

 実質的に本製品の設置は、専用台を用意して行なうか、天吊り設置のどちらかになることだろう。なお、天吊り金具は「PSS-610」(5万円)が用意されている。投影モードはフロント、リア、台置き、天吊りの全パターンに対応する。

 投影レンズは本体付属の標準レンズのほか、オプションとして短焦点レンズ「VPLL-ZM31」(25万円)、長焦点レンズ「VPLL-ZM101」(35万円)の2種類が用意されている。100インチ(16:9)での最短投射距離は、標準レンズで約3.3m、短焦点レンズで約3.0m、長焦点レンズで6.6mとなっている。標準レンズも短焦点の部類に入るので、それほど大きくない部屋でも大画面が楽しめるだろう。

 ところで、短焦点レンズがあまりメリットを発揮してくれていないのが気にかかる。どうせなら、本連載でも紹介した東芝「TLP-MT4」のような、2mで100インチ投影ができるくらいのものが欲しかった。

 ズーム制御、フォーカス制御はレンズ外枠の回転リングを回して行なうマニュアル式。ズームは最大約1.2倍まで。台形補正機能の補正方向は垂直方向のみで、仰ぎ投影状態か、下向き投影状態の場合だけ補正可能だ。水平方向の台形補正機能は搭載されていないので、本機は下位モデルVPL-HS1(Cineza)の特徴的な機能である斜め投影は行なえない。補正角はメモリーが可能で、電源を落としても補正情報を保存できる。

左が排気ダクト。高輝度なモデルとしては排気ファンノイズは小さい。写真はシネマフィルターを装着した状態 接続端子パネル群は側面に配置。PC接続用の端子を独立系統で用意して欲しかった 背面の黒い部分は赤外線リモコン受光部

 台形補正処理自体は光学ではなく、デジタル処理となる。このため、利用時には表示映像に情報の欠落があることを覚悟しなければならない。本機の高画質ぶりを100%満喫するためにも、この機能のお世話にはなりたくないものだ。

 高輝度モデルということもあって排気ファンのノイズはかなり大きいものと予想していたが、プレイステーション 2よりもややうるさい程度。天吊り設置や視聴位置よりも、後方に設置した方が気にならない。意外に静かなのは、排気ファンを熱源近くに設置し、そこからエアダクトまでの距離を稼いでノイズ音を押さえ込む設計になっているためだ。大型ボディを有効に利用したアイデアだといえる。


■ 操作性チェック~リモコンは全ボタン自発光式

ボタンは全て自発光式。入力切り換えボタンは独立ボタンで提供。アスペクトモード切替がダイレクトにできるとさらに良かった
 電源ONから映像が出てくるまでは、実測で13秒と早い。ただし、起動直後は非常に暗く、スペック輝度になるまでは約30秒(実測)かかる。とはいえ、映像表示が待たされない分、ストレスは少ない。

 リモコンは全ボタン自発光式で、暗闇の中でも「迷わない」快適な操作が可能だ。また、電源ボタンはオンとオフが独立ボタンになっているのがユニーク。オフボタンは押した瞬間に電源が切れるので、誤操作した場合にはちょっとびっくりする。

 入力切り換えボタンは独立キー構成で、コンポジットビデオ、Sビデオ、入力A、入力Bがダイレクトに切り換えられる(入力A、Bについての詳細は後述)。入力切り換えの待ち時間は1秒以下と早い。

 メニュー操作は[MENU]ボタンでメニューを呼び出し、カーソルボタンで項目を選択、[ENTER]ボタンでその項目のパラメータ変更に移行する……という直観的な構成になっている。

 リモコン操作関係で気になったのは、アスペクトモードの変更ボタンが無いことだ。本製品は16:9液晶パネルを採用していることもあり、16:9のDVDビデオの場合、アスペクトモードを「フル」にすることで、アスペクト比を正しく保ちつつ、液晶パネル全域を活かした表示が行なえる。しかし、この状態で4:3の映像ソースを入れると、横に広がった映像になってしまう。4:3の映像ソースをそのまま最大表示させるためには、アスペクトモードを「ノーマル」にしなければならない。

 デジタルBS/CSチューナのように、16:9映像と4:3映像がチャンネルごとに混在している機器を繋いだ場合、アスペクトモードの変更が頻繁に必要となる。切り替えをダイレクトに行えない本機では、メニューを起動しカーソルキーを10回近く押さなければ設定の変更ができない。この点は改善を望みたいところだ。

 あと、メニュー画面が表示映像の中央に表示され、位置が固定というのも納得がいかない。意外なことに、左上や右上などの四隅に移動できないのだ。例えば、コントラスト比を変更する「ダイナミック・ピクチャー」のオン/オフは、メニューでその設定を選んだ瞬間に効果が切り替わる。よってカーソルをオン/オフ間で往復させ、この効果の違いを映像を見ながらリアルタイムに確認したい。しかし、投影映像の中心にメニューが表示されてしまっているため、スクリーンの四隅に辛うじて映っている映像の端っこを見ながら行わなければならないのだ。こちらも改善してほしい。


■ 接続性チェック~一通りの入力信号に対応するが接続端子は兼用端子

 入力端子はコンポジットビデオ、Sビデオのほか、入力Aと入力Bという端子を備え、合計4系統の入力端子があることになる。「入力A、B」のような抽象的な名前になっているのは、兼用端子となっているため。

 入力A、Bは、ともに、「アナログRGB」、「コンポーネント」、「DTV YPbPr」、「DTV GBR」の4種類の兼用端子となっており、接続する機器に応じて変換アダプタや専用ケーブルを用意し、さらにメニューの方で各入力系統ごとに入力信号のタイプを設定しなければならない。

 「アナログRGB」は、ご存じの通りPCとの接続に使う信号だが、本機との接続には一般的なD-Sub15ピンのアナログRGBケーブルは利用できず、5つの端子で接続するケーブルを用意しなければならない。しかも、市販されているD-Sub15ピン―BNCケーブルでは、本機のRCAピン端子と適合しない。よって5個のBNC―RCA変換コネクタ(参考:ワテック株式会社)を用意しなければならないのだ。これは近所の電気量販店ではなかなか売っておらず、専門店でも1個500円くらいはする。

 BNCケーブルも安いもので2,000円はすることを考えると、本機とPCとの接続は一般ユーザーにとっては敷居の高いものとなってしまっている。

 この問題は2世代前のモデル「VPL-VW10HT」から指摘されていたので、本機では改良して欲しかったところだ。背面パネルを見ると右上にスペースがあるので、ここにDVI-I端子、もしくはアナログRGB(D-Sub15ピン)端子を1系統付けてくれれば、ここまでPCとの接続を難解にしなくても済んだはずなのだが……。

 「コンポーネント」と「DTV YPbPr」は、DVDプレーヤーやデジタルBSチューナなどをコンポーネントビデオケーブルやD端子などで接続する場合に使用することになる。

 本機側の入力信号種別設定が「コンポーネント」モードとなっているときは入力信号がY/Cb/Cr色差信号として処理され、「DTV YPbPr」の時はY/Pb/Pr色差信号として処理される。最近の一般的なAV機器ではY/Cb/CrとY/Pb/Prを区別することは少ないが、本機はこれを区別しているようだ。

 何を繋ぐ場合にはどっちに設定すればいいか迷うユーザーも多いことだろう。Y/Pb/Prはハイビジョン系の色差信号とされるので、ハイビジョン機器を繋いだら設定を「DTV YPbPr」とし、それ以外(DVDプレーヤーなど)は「コンポーネント」に設定すればいいだろう。

 ちなみに筆者の実験では、VPL-VW12HT側の入力種別設定を「コンポーネント」とした場合、ハイビジョン機器から出力されるD3以上の映像は認識対応外とされてしまった。逆に「DTV YPbPr」と設定した場合は、D2以下のDVDプレーヤーなどの映像も受け付けてくれたので、初心者ユーザーは「DTV YPbPr」を優先的に設定しておけば「映像が映らない」という事態だけは避けられる。

 「DTV GBR」はPAL圏のDVDプレーヤーの出力(アナログRGB)のほか、ゲーム機からの水平同期周波数15kHzのアナログRGB信号も受け付けてくれるとのこと。プレイステーション 1&2、ドリームキャスト、セガサターン、ネオジオ、ゲーム基板などのアナログRGB出力を美しく出したいという、ゲームマニアには嬉しい設定だ。

 このほか、リモコンを有線接続できる端子、メンテナンス用RS-232C端子、外部機器との連動に使うトリガ端子などがある。


■ 画質チェック(1)~VPL-VW12HTの特殊高画質生成機能をチェック

投影画像の拡大(メニューの一部)

 光出力は1,000ANSIルーメン。このクラスとしてはかなりの高輝度モデルということもあり、絶対的な明るさを感じる。実際、蛍光灯照明下でもかなり鮮明な映像が得られた。液晶パネルは、画素の前に極小レンズを配置して集光性を高めたマイクロレンズアレイ(MLA)タイプを採用。高輝度の秘密はここにもあるといっていいだろう。

 パネル解像度は1,366×768ドット。パソコンでお馴染みの1,024×768ドット(XGA)をそのままワイド化したイメージだ。EPSONの「ELP-TW100」の1,280×720ドットよりも「一周り」高い解像度になる。PCユーザーにとって、1,024×768ドットという標準的な解像度を、圧縮表示ではなくリアル表示できる点が喜ばしいはず。

 各画素は基本的には正方形配列になっているのだが、よく見ると各画素の仕切が垂直方向よりも水平方向の方が太めなので、若干だが横長の長方画素に見える。また各画素の上部両端にはTFTの影が確認できる。近寄ってみると各画素の形状や仕切の太さが気になるが、輝度と解像度が高いため、少し離れればそれも気にならない。映像全体としてみても粒状感を感じることはほとんど無かった。

 色深度は深めで、グラデーション表示においてもマッハバンドもなし。暗めの階調も正確で、色再現性はかなり高いといっていい。ハッとするほどのハイコントラストぶりで、映像に「しまり」を感じる。「コントラスト比1,000:1」の公称値は伊達ではないといったところか。

 用途別のプリセット色調モードのようなものはないが、ユーザー色調モードを各入力ソースごとに6種類まで記憶可能だ。調整できる項目はコントラスト、ブライトネス、色の濃さ、色合い、シャープネスといった一般的なパラメータのほか、DRC-MF(デジタル・リアリティー・クリエーション:マルチ・ファンクション)などの特殊機能まで記憶できる。ユーザー設定の呼び出しは、リモコンのVIDEO MEMORYの数字キーからダイレクトに行なえる。画質調整マニアにはたまらない機能だろう。もちろん、リモコンのVIDEO MEMORYの[OFF]ボタンで、ユーザー設定をキャンセルし、いつでも標準状態に戻せる。

 このほか、本機には特徴的な画質調整項目がある。ここからはその効果とインプレッションを述べていきたい。

●Dピクチャー

 「ダイナミック・ピクチャー」の略で、オンかオフを選択できる。オンにすると黒を意識的に沈み込ませ、見かけ上のコントラストを上げることができる。暗い階調が死に気味になるので、普段はオフでいい感じだ。

●DRC-MF

 DRC-MF(デジタル・リアリティー・クリエーション:マルチ・ファンクション)とは、'98年からソニーのテレビ「WEGAシリーズ」に搭載された映像補正機能だ。インタレース映像のときのみ設定可能で、「DRC4倍密」か「DRCプログレッシブ」のどちらかを選択できる。

 「DRC4倍密」は、入力されたインタレース映像の複数フィールドをバッファリングし、この情報を元に垂直、水平方向に解像度を増加した映像を生成するもの。映像によってはインタレース特有のチラツキを残したままになるので好き嫌いが分かれる。

 「DRCプログレッシブ」は、インタレース映像の2つのフィールドから垂直方向の解像度を向上したプログレッシブ映像を生成する、いわゆる通常のプログレッシブ化ロジック。こちらはどんな映像を入れてもチラツキは抑えられるが、垂直方向に若干ぼやけた感じになる。

●シネマモーション

 映画ソースは毎秒24フレームで構成されている。これを30フレーム(60フィールド)の映像信号に変換するのが、いわゆる「2-3プルダウン処理」だ。本機ではこれを「シネマモーション機能」といっている。オート(自動認識)かオフを選択できるが、通常はオートで困ることは無い。

●シネマブラック

 ランプをワット数を少なくし、暗い階調をより正確に再現できるようにするモード。デフォルト状態では「オフ」となっている。オンにすると輝度が若干下がり、排気ファンの回転速度もこれに準じて下がる。

 ランプ輝度を下げるということは、ランプの長寿命化にもつがなる。映画鑑賞がメインであれば、オン設定を常用してもいいだろう。


■ 画質チェック2~映像の種類ごとのインプレッション

●DVDビデオ再生

 特に色調調整を行なわずとも、標準状態で納得のいく映像が出た。通常の映画ソースであれば、特殊機能の設定はDピクチャー=オフ、シネマモーション=オート、シネマブラック=オンで全く不満はない。

 ところが、プログレッシブ入力時に不思議な現象に遭遇した。今回もパイオニアのプログレッシブDVDプレーヤー「DV-S747A」を用いて再生したのだが、オブジェクトが横方向に動くシーンなどで、なんとコーミング(*1)が出ることがあるのだ。シネマモーションをオフにしても変化はない。DRC-MF関連はプログレッシブ映像入力時は無関係なので、設定変更すらできない。

 逆にDVD-S747Aをインタレースで出力すると、VPL-VW12HT側のDRC-MFとシネマモーションが効いて、この現象が回避される。その時の表示映像は自然で、プレーヤー側のプログレッシブ出力と比べても遜色ない。なお、ソニーマーケティングからも「S747Aとの組み合わせで同様の現象を確認した」との連絡を受けた。また、同社の「DVP-9000ES」などでは何の問題も発生しないため、「プレーヤー固有の問題」(同社)という。DV-S747Aユーザーは注意が必要だ

(*1)走査線の偶数ラインと奇数ラインがずれて見える現象。櫛(COMB)状に見えることから俗にCOMBING(コーミング)と呼ぶ。

●VHSビデオデッキ/地上波放送

 DRC-MFが効き、液晶プロジェクタとは思えないしっかりした映像が出てくる。もともと解像力のない映像ソースの場合、「DRC4倍密」が見た目が綺麗になるのでお勧めだ。

●ハイビジョン

 1080iの映像は、VPL-VW12HTのパネル解像度的にはプログレッシブ表示できないため、圧縮表示となるのだが、解像感は非常に高い。

 つぶれた感じは一切なく、メジャーリーグの野球中継では観客の目鼻立ちまでがしっかり確認でき、旅紀行番組では木の葉一枚一枚の形状がしっかり描画されている。パネル解像度800×600ドットの機種による簡易表示とは明らかに違う解像感は、強いオーナーシップを掻きたててくれるはずだ。

●PC

 「接続性チェック」の段で述べたように接続するまでの敷居がやや高い。筆者もBNC―RCA変換アダプタの調達ができず、接続できなかった。

 対応解像度の幅は広く、下は640×350、640×400ドットといった特殊解像度から、上は1,280×960ドット、1,280×1,024ドットといった解像度まで対応する。

 パネル解像度は1,366×768ドットなので1,024×768ドットまではリアル表示が行なえる。これは、PC接続を重視する人には嬉しい仕様だろう。それ以上の解像度では圧縮表示となる。1,366×768ドットというパネル解像度そのものの画面モードも仕様上では対応できるようになっているようだが、今回の試用で確認はしていない。

●ゲーム

 プレイステーション 2、Xbox、ゲームキューブといったコンポーネントビデオ出力機能を持つゲーム機の場合、各機の専用コンポーネントビデオケーブルで接続すれば、非常に高画質な映像でゲームが楽しめる。

 今回、PS2をコンポーネントビデオケーブルで接続して試してみたが、残像もなく快適にゲームプレイが楽しめた。PS2の映像出力はインターレースなので、DRC-MFを効かすことができる。お勧めのモードはDRCプログレッシブ。DRC4倍密は解像度が上がらないうえにチラツキが残るのが気にかかった。

メニュー画面。左から「画質調整」、「信号設定」、「初期設定」 (c)Disney Enterprises,Inc.

【DVDビデオ『ダイナソー』での投影画像】
 コンポーネント接続の投影画像をデジタルカメラ「D100」で撮影した。ソースはDVDビデオの「ダイナソー」(国内版)。D100の設定はすべてAUTOにしている。

 撮影後、1,024×564ドットにリサイズし、下に掲載している部分画像を切り出した。部分画像をクリックすると全体(640×353ドット)を表示する。

(c)Disney Enterprises,Inc.

コンポーネント接続
(フィルターなし)
コンポーネント接続
(フィルターあり)

視聴機材
 ・スクリーン:オーロラ「VCE-100」
 ・DVDプレーヤー:パイオニア「DV-S747A
 ・コンポーネントケーブル:カナレ「3VS05-5C-RCAP-SB」(5m)


■ そのほか~標準付属のシネマフィルター装着で人肌が自然に

 VPL-VW12HTには、アクロバティックな特殊機能こそないが、「画質調整マニア」向けのユニークな付属品がある。それが「シネマフィルター」と呼ばれる、投射レンズに着脱する光学フィルターだ。

 これは緑成分を約25%カットするもので、これにより人肌の発色ががよくなるという。実際に試してみたが、確かに人肌の色表現が血の通ったような暖かみのある色合いになる。ほかの色への影響も無くはないが、気になるほどではない。常用しても問題ないレベルだ。


■ まとめ~問題点もあるが画質は最高レベル

標準レンズでの投射距離(16:9)
※台形補正機能は使用せず、ズーム最短の状態
短焦点レンズ(VPLL-ZM31)での投射距離(16:9)
※台形補正機能は使用せず、ズーム最短の状態
 購入を考えている人は、どこに常設できるか、どう常設するかをまず考えるべきだろう。設置性チェックの段で述べたように、使うたびに設置→見終わったら片づけ、というのは、ボディサイズとその重さからいってもきつい作業となる。なお、天吊りの場合は、本体と天吊り金具との合計重量が10kgに達するので、天井の補強も必要になるだろう。

 接続端子については辛口の評価になったが、「2台程度やコンポーネントを必要としないAV機器と接続するのみ」という活用スタイルなら、PCとの接続性や兼用端子について気にはそれほど気にならないはず。

 また、操作性とメニューの表示位置が固定という制約についても、「工場出荷状態で使うので関係ない」という人にとっては、メニューを呼び出す機会も少ないはずなので、大きな問題にはならないかもしれない。

 発色に関しては文句ないレベルの作り込みで、本格志向のユーザーにも満足がいくレベルに達している。画質も「S747Aにおけるプログレッシブ出力でのコーミング現象」以外に不満点は無い。ハイビジョン表示も解像感が高い。

 さて、購入を検討するユーザーの多くは、まだ流通在庫のある前モデル「VPL-VW11HT」とどちらを買うべきかで悩むかもしれない。

 VPL-VW12HTの発売日は8月1日だが、すでに予約は始まっている。販売価格は55万円前後だ。7月現在のVPL-VW11の実勢販売価格が40万円前後なので、価格差は15万円ほどとなる。

 VPL-VW11HTとVPL-VW12HTとの主な機能差は

 ここに価格差15万円の価値を見出せるかが判断の基準となるはずだろう。

【VPL-VW12HTの主な仕様】
液晶パネル 1.35型ワイドポリシリコンTFT(1,366×768ドット)
レンズ 光学1.2倍マニュアルズーム
光源 200W UHP
明るさ 1,000ANSIルーメン(16:9)、750ANSIルーメン(4:3)
コントラスト比 1,000:1
投影サイズ 40~300インチ
映像入力 コンポーネント×2(アナログRGBと兼用)、S映像×1、コンポジット×1
消費電力 最大300W(待機時6W)
外形寸法 395×427×168mm(幅×奥行き×高さ)
重量 約8kg

□ソニーマーケティングのホームページ
http://www.sony.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200206/02-0613/
□関連記事
【6月13日】ソニー、ホーム向けワイドXGAプロジェクタ「VPL-VW12HT」
―MLAを採用し、クラス最高のコントラスト比1,000:1を実現
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020613/sony.htm

(2002年7月18日)


= 西川善司 =  ビクターの反射型液晶プロジェクタDLA-G10(1,000ANSIルーメン、1,365×1,024リアル)を中核にした10スピーカー、100インチシステムを4年前に構築。迫力の映像とサウンドに本人はご満悦のようだが、残された借金もサラウンド級(!?)らしい。
 本誌では1月の2002 International CESをレポート。山のような米国盤DVDとともに帰国した。僚誌「GAME Watch」でもPCゲームや海外イベントを中心にレポートしている。

[Reported by トライゼット西川善司]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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