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ビデオキャプチャカードMTVシリーズ用リモコンユニット
カノープス「CRM-1」
発売時期/8月上旬 価格/6,800円

■ 主な機能と操作性

 カノープス「CRM-1」は、同社のハードウェアMPEG-1/2エンコーダ搭載ビデオキャプチャカード「MTV」シリーズに対応するリモコンユニット。対応製品はMTV1000/2000/2200 SXの3製品。OSはWindows Me/2000/XPに対応する。

 「MTV」シリーズは、MTV1000/2000発売後しばらく品薄が続くなど人気の高い製品だが、リモコンを装備していない。このユニットは、その「MTV」シリーズにリモコンを追加するもの。パッケージにはリモコン本体とUSB接続の赤外線受光部のほか、コントロールソフト「FEATHER」、アプリケーション&キーアサインマネージャ「Remote Control Manager」が同梱されている。

 リモコンは電源にボタン型リチウム電池「CR2025」×1個を採用した薄型のもの。ボタンは基本操作ボタンに電源、ミュート、再生/停止、一時停止/タイムシフト、+/-スキップ、+/-サーチを装備。そのほかにも主にチャンネル切り替えに使用する10キー、中央にEnterボタンのあるカーソル、各種サブメニューの表示や、フルスクリーンへの切り替えを行なうR1~R3、L1~L3ボタンも備えている。

 リモコンは薄型であるが、手に収めるにはちょうどよいサイズで、片手での操作に問題を感じない。カタログスペックでの受光範囲は左右約45度、受光距離は4m。リモコンのLEDは1つだけで、少々出力が弱く、実際の使用感覚では受光範囲は30度程度、距離も4m離れると操作が通りにくくなる。プロジェクタなどの大型スクリーンで、離れた位置からの視聴用ではなく、PC本体との位置が近いデスクトップ用のリモコンと考えたほうがよさそうだ。

リモコン表面。ボタン数は36 リモコン側面。厚さ9.5mmの薄型となっている 赤外線受光部。ドライバの導入なしで使用できた

 「MTV」シリーズでは「MEDIACRUISE」での視聴/録画が基本になっているが、デフォルト設定ではリモコンによる操作は行なえない。

 デフォルトで用意されている操作対象アプリケーションは、同梱のコントロールソフト「FEATHER」。名称はコントロールソフトとなっているが、実質はテレビ録画/視聴ソフトとなっており、視聴、録画、タイムシフト再生などの機能を搭載している。今回、バージョンはVer.1.01のものを使用した。

 基本画面ではリモコンを模したコントロールパネルが表示され、パネルのサイズは大きな「Default」と小さな「Small」で切り替え可能。再生/タイムシフト再生時に任意の時点に移動できるスライダや、マウスのホイールでボリュームの調節も行なえるなど、ポインティングデバイスでの操作も考慮されているが、基本はリモコンによる操作に特化した構成となっている。

 視聴/録画に使用したPCは、CPUがPentium 4 1.6A GHz、メモリがSDRAM 256MBという構成で、ビデオキャプチャカードは「MTV2000」を搭載。OSにはWindows XP Professionalをインストールしている。この環境では、タイムシフト再生のサーチ時に多少もたつきを感じるが、それ以外の動作は非常に軽快。チャンネル切り替え時に1秒程度のタイムラグを感じるだけで、ボリューム調節、サブメニューの表示などはボタンを押すと同時に反応してくれる。

 ただし、録画予約は行なえないため、リアルタイムでの視聴/録画か、あらかじめ録画したファイルの再生のみの対応となる。しかし、録画フォーマットは「MEDIACRUISE」と互換のため、「MEDIACRUISE」で録画したファイルを「FEATHER」で再生することも可能だ。「MTV」シリーズでは、録画予約を「MTV」シリーズに同梱の録画予約ソフト「TV Recording Manager」で行なうことを考えると、録画予約の利便性は「MEDIACRUISE」使用時とほとんど変わらないと見ていいだろう。

 ファイル管理機能「Media Library」は、録画ファイルをツリー形式で表示するもので、リモコンのカーソル右脇にあるR1ボタンを押すだけで表示できる。ファイルの選択もカーソルで行なえるため、別途ポインティングデバイスを使用することなく再生を開始できる。ファイル再生は録画中でも可能。HDDレコーディングの利便性の高さが実感できる。

 録画、再生、タイムシフトへの移行は基本操作ボタンを押すだけでほぼ確実に動作。スキップ、サーチも素早く、感覚としては単体のテレビとHDDレコーダとの組み合わせに近いと感じた。

コントロールパネル。左から停止時、再生時、録画時、タイムシフト時 画面サイズ640×480ドット時のコントロールパネル「Defaurt」 画面サイズ640×480ドット時のコントロールパネル「Small」
ファイル管理機能「Media Library」ウィンドウ。ツリー形式で録画ファイルをリモコンから選択できる

 チャンネルの切り替えは、デフォルトでは1~9をクリックするとダイレクト選択となり、10~63は10キーから入力、CATVチャンネルはCを押してから2桁を入力。もちろん10キーに任意の放送局を登録するプリセットも可能で、サブメニューから切り替えることができる。

 サブメニューの表示は、カーソル左側に配されたL1~L3ボタンを押す。ボリュームの変更など、リモコンのボタンで直接操作できる機能もあるが、コントラストの調節や、ウィンドウサイズの変更など、簡単な設定も行なえる。視聴時に気になる程度の設定は、ポインティングデバイスを使うことなくリモコン単体で行なえると言っていいだろう。

 下部に青く配されたシフトボタンを押すことで、10キーをファンクションキーとして機能させることも可能。リモコンとしての機能は充実している。

 リモコンの利便性が最も大きく感じられたのが、フルスクリーンモードでの視聴時。ポインティングデバイスで操作する際は、コントロールパネルを表示する必要があったが、リモコンならばコントロールパネルで画面を邪魔することなく、フルスクリーンで映像を楽しみながら操作することが可能。「Media Library」からファイル選択して再生した際は自動的にウィンドウが隠すので、再生と同時に全画面で映像が楽しめる。軽快な動作と相まって、ストレスのない視聴が行なえた。

サブメニュー。画面サイズは720×480ドット~160×120ドットの間で変更可能 サブメニューからPC画面の画質調節も可能。その他の設定はプロパティで行なう


■ 「FEATHER」設定項目

 「FEATHER」の動作は軽快であるが、設定可能項目はかなり多岐に渡る。簡単な設定はリモコン操作でサブメニューから変更可能だが、より細かな設定を変更する際はプロパティのダイアログを表示。こちらはポインティングデバイスでのみ変更可能だ。

 プロパティで変更可能な設定項目は、プリセットなどを設定できる「TVチャンネル」や、「画質設定」など。「タイムシフト」や「録画フォーマット」の設定も行なえる。

 「画質設定」では、PC出力画面の画質調節のほか、S/コンポジット/TVチューナ入力それぞれの画質や、ファイル再生時の画質も調節可能。PC出力画面で調節可能なパラメータは明るさ、コントラスト、色の濃さのほか、無効幅範囲の調節もできる。

 チューナ/外部入力の画質調節は色合い、色の濃さを調節し、ノイズリダクション、Y/C分離の設定も可能。ゴーストリデューサーを搭載するMTV2000/2200 SXの機能を生かすこともできる。

プロパティの「TVチャンネル」。プリセット局の設定などを行なう 「画質設定」。ボタンを押すとそれぞれの設定ダイアログが開く 「チューナー入力」の「全般」タブ。チャンネル毎に色調節やY/C分離などを設定できる 「PC画面設定」の「表示位置」タブ。表示範囲の調節を行なう

 録画関連の設定は、タイムシフトのバッファ時間の設定のほか、フォーマットの変更も可能。録画可能なビデオ形式はMPEG-1/2、ビデオCD形式の3つから選択可能で、録画画質は「普通」、「高画質」などのテンプレートのほか、「ユーザー設定」でプロファイルやビットレート、GOPパターンの設定もできる。

 そのほかにも拡張子の変更や、NVIDIA製ビデオチップとの相性問題回避チェックが用意されており、かなりマニアックな録画設定が行なえ、ユーザーの利便性も考えられたソフトになっている。

「録画フォーマット」プロパティ。MPEG-1/2、ビデオCD形式への変更できる 「録画フォーマット」下層の「ビデオ」プロパティ。ビットレートなどを設定可能 「その他」プロパティではトラブルシューティングを用意


■ 他アプリケーションの操作

「Remote Control Manager」。キーアサインの登録はかなり面倒
 デフォルトでの登録はないが、「FEATHER」以外のアプリケーションを「CRM-1」リモコンで操作することもできる。

 これらのキーアサインの登録は、付属ソフト「Remote Control Manager」で行なう。これはタスクバー常駐型のソフトで、「FEATHER」のキーアサインの変更のほか、「FEATHER」以外の「WinDVD」、「WinDVD4」、「WinDVR」の3アプリケーション用テンプレートも用意されている。

 テンプレートにないアプリケーションを登録することもできるが、この場合はキーボード入力をリモコンのボタンに置き換えてエミュレートする。テンプレート以外のアプリケーションを登録するには、全てのボタンと、対応するキーボードのキーを1つ1つ登録する必要があるため、かなり面倒な作業となる。

 操作対象のアプリケーションを切り替えるには、リモコン下部のP1~P6(P4~P6はシフトで切り替え)のうち、登録したPボタンを押すと対象アプリケーションの操作に切り替わる。

 「MEDIACRUISE」をP2ボタンに登録して実際に試してみたところ、P2ボタンを押すことで「MEDIACRUISE」が起動した。ただ、全てのキーアサインの登録には膨大な時間がかかる上、登録できない機能も出てくるため、リモコンでのテレビ録画/視聴は「FEATHER」オンリーになるだろう。


■ まとめ

 「MEDIACRUISE」の操作はデフォルト状態では行なえないものの、「FEATHER」の動作は軽快で、設定項目も豊富、MPEG-1/2、ビデオCD形式で録画可能なことと、「MEDIACRUISE」形式ファイルで録画できることを考えると、十分使いでのあるユニットだと感じた。

 「FEATHER」の機能は「MEDIACRUISE」と比較すると劣るが、なによりも軽快さが売り。気軽な録画や視聴には向いている上に、ビットレートの設定など、基本的なセッティングはほとんど可能。マニアックに録画をしたい場合は「MEDIACRUISE」で、リアルタイムで視聴/録画したい際は「FEATHER」で、という使い分けになるのではなかろうか。

 これまで存在しなかったリモコンが加わったことで、「MTV」シリーズの利便性は向上したと言える。しかし、他社製のハードウェアエンコーダ搭載ビデオキャプチャカード製品では、画質や操作性などの評価はわかれるものの、リモコンも同梱しながらADAMS-EPG/ADAMS-EPG+にも対応するなど、さらに利便性の高い機能を持つものもある。画質的な評価の高い「MTV」シリーズであるが、さらなる利便性の向上を期待したい。

【主な仕様】
送信ユニット 使用電池 リチウム電池「CR2025」
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
52×9.5×125.2mm
重量 約40g(電池を含まず)
受光ユニット 電源 USBバスパワー
コネクタ USB Ver.1.1 Aタイプ
ケーブル長 約1,450mm(USBコネクタ部を含む)
赤外受光半角値 45度
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
36.6×54×27mm
重量 約65g

□カノープスのホームページ
http://www.canopus.co.jp/
□製品情報
http://www.canopus.co.jp/catalog/mtv-op/crm1_index.htm
□関連記事
【8月2日】カノープス、MTV用リモコンをアップデート
―ホイールクリックで最小化とミュートなど
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020802/canopus.htm
【7月12日】カノープス、MTVシリーズ用リモコンソフト「FEATER」体験版
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020712/canopus3.htm
【7月2日】カノープス、MTV1000/2000/2200 SX用赤外線リモコン ―新ソフトにより操作性、レスポンスも向上
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020702/canopus.htm
【2月13日】【Zooma】こだわりの暴走列車「カノープス MTV2000」
~64,800円のTVキャプチャカードとは何か~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020213/zooma47.htm

(2002年8月2日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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