~VariOSの「OPEN SYSTEM MODULE」の持つ意味が明らかに ~ |
BOSSのマルチトラックレコーダ「BR-804」 | BR-804の背面 |
2トラック同時録音、8トラック同時再生が可能で、各トラックに8本ずつ、計64のバーチャルトラックを装備している。また8つの再生トラックすべてに独立したEQが装備されているので、トラックごとの音作りが可能。レコーディングした結果はCFカードに保存でき、パッケージには128MBのコンパクトフラッシュが同梱されている。
また、メディアの容量ごとのレコーディング可能時間は表の通り。たとえば128MBで、最高音質のHiFi(MT2)モードでレコーディングした場合、約65分となる。ただし、これは1トラック分のものなので、8トラックレコーディングしたら、約8分になる。なお、サンプリングレートは44.1kHz固定、信号処理は24bitΔΣ方式となっている。
32MB | 64MB | 128MB | 256MB | 1GB | |
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HiFi(MT2) | 約16分 | 約32分 | 約65分 | 約130分 | 約520分 |
STANDARD | 約19分 | 約39分 | 約78分 | 約156分 | 約620分 |
LONG(LV2) | 約24分 | 約49分 | 約98分 | 約196分 | 約784分 |
主にギターユーザー向けの商品だが、それだけにユニークな機能も用意されている。たとえばリズム・ガイド機能。これは簡単なドラムマシン機能で、メトロノームとしても使えるし、プリセットパターンの組み合わせることでリズムパートを作ったり、自分でパターンを入力することもできる。
また、プリセットのドラム音を取り込んだWAV/AIFFファイルと差し替えて使うことも可能だ。さらにRoland/BOSS/EDIROLの各製品でおなじみのエフェクト&アンプモデリング機能、「COSM」も搭載されているので、ギターやベースを直接繋ぐだけでもかなり音を作りこめる。
BR-864は、USB端子も搭載している。USB経由でPCと接続すると、PC側からはBR-864が外部ドライブとして認識され、CFカードにアクセス可能となる。そのため、BR-864内部のファイルは、WAVやAIFFとしてやりとりすることが可能。またS/PDIFの出力も装備しているから、これを利用することもできる。
□製品情報(BR-864)
http://www.roland.co.jp/products/boss/BR-864.html
■ 新コンセプトのクイックシーケンサを搭載したシンセサイザーキーボード
シンセサイザキーボード「RSシリーズ」の最上位モデルとして、「RS-70」およびベーシックモデルの「RS-50」の2機種も登場した。RS-70は4月発売で、店頭予想価格が12万円前後、RS-50は5月発売で店頭予想価格は85,000円前後の見込み。
RS-70 | RS-50 |
RS-70/50は、RolandのXV/SRXシリーズの音をベースに、新規サンプリングサウンドを搭載したシンセサイザキーボード。V-SynthやMC-909、Fantomなどに搭載されていた「Dビーム・コントローラ」を搭載しているので、コントローラに手をかざしと、手の動きと連動した音色変化などが楽しめる。
RS-70には、ループ再生にフレーズを重ねていくだけでパターン作りができる「クイック・シーケンサ」を搭載。これがなかなかうまくできており、レコーディング中にストップをせず、ずっとループさせながら色々な音を重ねたり、試しに音を出することが可能。また、RS-70のみにUSB端子が搭載されており、PCと接続すればMIDIコントロールやPC上の音色エディタが使用できる。
□製品情報
http://www.roland.co.jp/products/mi/RS-70.html
■ オルガンとピアノ/シンセのデュアルエンジン搭載のキーボード
V-Combo VR-760 |
オルガン部には、ビンテージ・オルガンの発音原理を忠実に再現する「バーチャル・トーンホイール音源」を搭載しており、完全ポリフォニックを実現。また9本のハーモニック・バーを利用してオルガンの音作りと演奏時の音色コントロールが可能となっている。
一方のピアノ/シンセ部は27音色に96MB(リニア換算)のウェーブを使用したサンプリング音源。オルガン部とはまったく独立しており、最大128音の同時発音数を可能にしている。
□製品情報
http://www.roland.co.jp/products/mi/VR-760.html
■ コンパクトなCUBEシリーズのベースアンプ
CUBE-30 BASS |
Roland独自のFFP(Feed Forward Processing)テクノロジーを搭載したことで、小型ながらも力強い低音とシャープな輪郭のベースサウンドを実現したという。またCOSMベースアンプも搭載しており、6タイプのベース・アンプ・モデルに加え、1オクターブ下のサウンドを加えるオクターブ・ベースも搭載している。また、サウンドにメリハリを付けサウンド・バリエーションを拡大できるシェイプ・スイッチを装備。
そのほかエフェクトとしては、コンプレッサ、ディレイ/リバーブ、コーラス、フランジャー、T-ワウなども搭載されている。
□製品情報
http://www.roland.co.jp/products/mi/CB-30.html
■ ドラムトリガやドラムミュートキットも登場
PCK-1とRTシリーズ |
ドラムトリガのほうはキック用のトリガ「RT-7K」、スネア用トリガ「RT-5S」、タム用トリガ「RT-3T」の3種類。ミュートキットはRT-5Sと14インチ・メッシュ・ヘッド、消音用ハーブ・ラバーなどのセットで販売される。
発売はいずれも6月の予定で、価格はRT-7KおよびRT-5Sが標準価格10,000円、RT-3Tが6,000円、PCK-1が14,000円だ。
□製品情報(RT-7K/5S/3T)
http://www.roland.co.jp/V-Drums/P_RT.html
□製品情報(PCK-1)
http://www.roland.co.jp/V-Drums/P_RMP-1.html#PCK1
■ VariOSの「OPEN SYSTEM MODULE」の持つ意味
VariOSの展示コーナー |
従来対応していたのはWindows 2000/XPとMac OS 9だったのだが、コントローラソフトの「V-Producer」が2.1にバージョンアップするとともに、Mac OS XおよびWindows 98 SEにも対応した。またこのバージョンアップによってSDIIファイルの読み込みが可能になるなど、細かな点がいくつか強化されている。
と、ここまでは普通のアップデート情報だが、驚いたのはここから。VariOSにはフロントパネルにOPEN SYSTEM MODULEという表記があるのだが、なぜオープンシステムかというと、VariOS内蔵のフラッシュメモリにプログラムを転送することで、通常のVariOSとはまったく違う音源やエフェクトに変身するからだ。通常、このフラッシュメモリはサウンドデータを貯めておくためのスペースなのだが、ここにプログラムを転送し、3つのボタンを押しながら電源を入れなおすと、アナログシンセやベースマシンなどに変身する。
感覚的にはソフトシンセだが、PCのCPUを用いて動いているわけではなく、あくまでもVariOS単体で動いている。一度プログラムを転送してしまえば、あとはPC側と切り離しても単独で動作するハード音源だ。もちろん、Rolandという楽器メーカーが作ったマシンだから、出音のほうもしっかりしており、PC上でソフトシンセを動かしてサウンドカードから音を出すのとはちょっと違う。動作が安定しているというのも大きなメリットだろう。
ちなみに、これらのモードで立ち上げた場合、従来のVariOSの機能であるVariPhrase機能は使えなくなってしまうが、今後両方が同時に動くような仕掛けを作っていくとのことだ。
以前、VariOSの開発担当者にOPEN SYSTEM MODULEの意味を尋ねたことがある。そのときは、はぐらかされてしまったが、実は開発が遅れて今発表したというわけではないようだ。まずはVariPhraseを前面に打ち出し、しばらくしたところでOPEN SYSTEM MODULEのコンセプトを発表するのが当初からの予定だったという。ソフトシンセ的な機能を最初に明らかにすると、そちらばかりが話題になり、VariPhraseが霞んでしまうことを危惧したのがその理由らしい。
まずは5月より、トライアルアプリケーションとして「VariOS-8」と「VariOS 303」という2つのソフトがWeb上で無償公開されることになった。
VariOS-8は、Jupiter-8風のアナログ・モデリング・ポリフォニック・シンセサイザ。オシレータ×2、モジュレータ×1、HPF×1、TVF×1、TVA×1という構成で、最大24音同時に出せるという仕様。もちろん、各パラメータを自由にエディットできる。ユーザーインターフェイスの見た目はJupiter-8のようではあるが、それをそのままエミュレーションしているわけではなく、まったく新しいシンセサイザになっている。出音もちょっと異なり、より太い重厚なサウンドだ。
VariOS-8 | VariOS 303 | VariOS-8のエディット画面 |
一方の「VariOS 303」は、その名前から想像できるようにTB-303のエミュレータ。とはいえ、完全なエミュレータではなく、TB-303をモチーフにかなり最新の音源に仕上がった別モノと考えたほうがいいかもしれない。モノフォニックのベースシンセで、TB-303そっくりなサウンドを出すことができる一方、アナログのシンセベースとしてかなり太い音も出せる。またステップシーケンサはTB-303のそれとは見た目もちょっと異なるがやはり16ステップのパターンを作っていくものとはなっている。
搭載エフェクトは、VariOS-8がマルチエフェクト、VariOS 303がコンプレッサ、オーバードライブ/ディストーション、コーラス、ディレイ、EQ。
なお、5月初旬にWeb上で公開される時点ではMac OS Xは未サポート。利用できるのはWindowsとMac OS 9となるようだ。USBを切り離してしまえば、単独で動作するので、OSについてはあまり関係ないようにも思えるが、大きいのはコントローラ機能。シンセの各パラメータを動かしたり、ステップシーケンサを操作するためにはPCが必要であり、そのためのPC用プログラムが必要なため、こうした制限が出てきてしまっている。
さて、ここで気になるのは、なぜこんなことができるのか、ということ。簡単に言ってしまえばVariOS内にCPUが搭載されており、これを使ってソフトウェアによる発音を実現しているためだ。また、エフェクト部などは、内蔵CPUではなくDSP(COSMテクノロジーのものと思われる)を用いているため、CPUパワーを必要とするわけでない。
もっとも、VariOS-8やVariOS 303で消費されるCPUパワーはわずかなものなので、将来的には複数のアプリケーションを同時に動かすことも可能だそうだ。この2つのアプリケーションはトライアル・アプリケーションとして発表されたものなので、今後もいろいろと登場する可能性はある。
また、メーカーは明らかにされなかったが、海外のソフトメーカーとも話を進めており、近い将来、VariOS用のシンセサイザー・アプリケーションがサードベンダーから発売される可能性もある。この場合、おそらくメモリカードの形でプログラムが提供され、VariOSのスロットに入れる形になると見られる。
ぜひ対応してほしいのがVST InstrumentsやDXiでのサポートだ。USBで接続されていれば普通の音源として利用できるのだが、PC側でコントロールするとなれば、CubaseやSONARなどのDAWソフトから利用したいところ。Rolandによれば現在検討中とのこと。しかし、1つ問題があるという。VSTiではSysExが通らないため、うまく動かすことができない。DXiでは特に問題はないのだが、VSTiと歩調をあわせるためリリースできないでいるらしい。VariOSの展開については、今後もいろいろと期待できそうだ。
□製品情報
http://www.roland.co.jp/synth/q_VariOS.html
□ローランドのホームページ
http://www.roland.co.jp/
□関連記事
【3月10日】【DAL】新コンセプト・サンプラー「VariOS」の実力
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030310/dal91.htm
(2003年4月14日)
= 藤本健 = | ライター兼エディター。某大手出版社に勤務しつつ、MIDI、オーディオ、レコーディング関連の記事を中心に執筆している。以前にはシーケンスソフトの開発やMIDIインターフェイス、パソコン用音源の開発に携わったこともあるため、現在でも、システム周りの知識は深い。最近の著書に「ザ・ベスト・リファレンスブック Cubase VST for Windows」、「サウンドブラスターLive!音楽的活用マニュアル」(いずれもリットーミュージック)などがある。また、All About JapanのDTM・デジタルレコーディング担当ガイドも勤めている。 |
[Text by 藤本健]
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