■ 今週はクイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア
今回の買っとけ! DVDで何を取り上げようかと、弊誌のDVD売り上げチャートを見てみると、「クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア 特別版」が初登場で2位に入っていた。 劇場公開時には、それほど話題になった記憶はないのだが、おすぎが「ああ~、私の血を吸ってぇ~!!」とCMしているのが一番印象に残っている。また、2001年8月25日セスナ機が離陸直後に墜落し、22歳という若さで急逝したアリーヤの遺作となったことでも有名だ。 発売元がワーナーなので最新作ながら、2,980円という価格も買いやすく好セールスを記録しているのだろう。ということで、他にめぼしい新作もないので、今回は「クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア 特別版」を取り上げることにした。
■ 大ヒット作、インタビュー・ウィズ・ヴァンパイアから8年 そして、その仲間となって一気に世界を魅了するロックスターとなった。レスタトは自らの孤独な運命を呪い歌詞の中で、ヴァンパイア種族の掟を破ってヴァンパイアの秘密を暴露。ヴァンパイアたちを挑発する。そして遂に、レスタトの歌声は全てのヴァンパイアの母であり、もっとも邪悪な伝説の女王アカーシャを数千年の眠りから蘇らせてしまう。 アカーシャは、誤った方向に進化した人類を滅ぼすべく、殺戮を開始する……。 監督はマイケル・ライマー、音楽はジョナサン・デイビスとリチャード・ギブス。主役レスタトは、スチュアート・タウンゼントが演じ、女王アカーシャは、これが遺作となったアリーヤが務める。 原作は、米国のゴシックホラー作家アン・ライス(Anne Rice)の'88年の小説「The Queen of the Damned」。日本では、扶桑社ミステリーから「呪われし者の女王 上・下」(ISBN:4594018343、4594018351)として出版されている。 アン・ライスは、'76年に「夜明けのヴァンパイア」でデビュー。「ヴァンパイア・クロニクルズ」シリーズが始まった。幼い娘を白血病で失ったことが書くきっかけになったという。夜明けのヴァンパイアは、ニール・ジョーダン監督によって映画化。トム・クルーズとブラット・ピットが主演という豪華キャストで、ヴァンパイア映画としては過去最高の成功を記録した。
クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイアはその続編ともいえ、インタビュー・ウィズ・ヴァンパイアから8年を経た第2章ということになる。
■ ビットレート低めだが画質は良好
本編映像は101分と比較的短いが、映像特典が約83分に加え、オーディオコメンタリも収録と、本編以外の特典が盛りだくさん。 この仕様から多少の不安を持って、DVD Bit Rate Viewer Ver.1.4で見てみると、本編の平均ビットレートは5.89Mbpsとやはり低め。しかし、実際に視聴した画質は、なかなか良好で、暗いシーンも多いのだが暗部ノイズも少ない。最近のMPEG-2エンコード技術が、かなり進歩したことを実感する。 音声は英語、日本語吹替えともにドルビーデジタル5.1ch。ただし、ビットレートは英語が448kbps、日本語吹替えが384kbpsと異なっている。全体的にあまりサラウンドを感じるような音響設計ではないようだが、声の残響をリアに回したりしている。それなりに低音のある迫力のある音響だ。
実際、原作を読まずに本編だけ見ると、かなり背景説明が省略されていて、ストーリーについていけないかもしれない。製作者自身も未公開シーンの1つで、短くしすぎて後悔したといっている。 未公開シーン集以外には、「メイキング・オブ・ヴァンパイア」(約10分)、「アリーヤを偲んで」(約3分)、レスタトの音楽 (約12分)、「ミュージック・クリップ by レスタト Redeemer / Foesaken / System」(約13分)、「ミュージック・クリップ by Static-X Cold」(約3分)、「未公開コンサートシーン集 Not Meant for Me / Slept So Long」(約7分)、「NG集」(約3分)、「オリジナル劇場予告編」を収録。 この映画は、ヴァンパイアがワイヤーアクションが飛びまくる。もちろん完成品ではCGでワイヤーを消して仕上げているが、メイキング・オブ・ヴァンパイアでは実際にワイヤーで吊られているのが見られて面白い。また、遺作となってしまったこともあり、「アリーヤを偲んで」というコンテンツも用意されている。 ミュージッククリップが4本入っているのが面白いところ。ただ、音声がドルビーデジタル2.0chなのが残念。できれば、PCMで収録してほしかった。 オーディオコメンタリは、監督マイケル・ライマー、製作ジョージ・サラレギー、音楽リチャード・ギブスの3人が担当。ドルビーデジタル2.0ch、ビットレートは192kbps。コメンタリの中で、特に原作との違いについて多く語られており、「すべてを盛り込めば8時間になる。テレビのドラマでやったほうが、あっているのでは」と話していた。やはり、複雑で長いストーリーを1時間40分でまとめ上げるのに苦労したようだ。 また、原作者のアン・ライスも乗り気になって、キャストについても話し合ったことも明かされる。コメンタリは、エンドクレジットの最後の最後まで話し続け、最後に「私たちにとっては、これがベストだが、批判は素直に受け止めたい」と締めくくっている。
■ PV感覚の映画 アリーヤの遺作、インタビュー・ウィズ・ヴァンパイアの続編と、周辺の方ばかり注目される作品だが、PV感覚で見てみるのも面白い。価格も2,980円と買いやすい設定だ。 そういえばこの映画、原題が「QUEEN OF THE DAMNED」で、小説の日本語のタイトルが「呪われし者の女王」と、ヴァンパイアやそれを意味する単語は入っていない。しかし、映画の邦題は「クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア」。やはり、ヴァンパイアをタイトルに入れたほうが客が入るという判断なのだろうか。
□ワーナー・ホーム・ビデオのホームページ (2003年5月20日) [AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]
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