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第150回:Vol.1の答えがここにある?
今度はカンフー!「キル・ビル Vol.2」

怒涛のように発売されつづけるDVDタイトル。本当に購入価値のあるDVDはどれなのか? 「週刊 買っとけDVD!!」では、編集スタッフ各自が実際に購入したDVDタイトルを、思い入れたっぷりに紹介します。ご購入の参考にされるも良し、無駄遣いの反面教師とするも良し。「DVD発売日一覧」とともに、皆様のAVライフの一助となれば幸いです。


■ マタ買ッチマイナー!?
キル・ビル Vol.2 通常版

価格:3,990円
発売日:2004年10月8日
品番:GNBF-7042
仕様:片面2層
収録時間:本編約138分(3作品)
画面:シネマスコープサイズ(スクイーズ)
音声:ドルビーデジタル5.1ch(英語)
   DTS(英語)
   ドルビーデジタル5.1ch(日本語)
発売元:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
販売元:ジェネオン エンタテイメント株式会社

 日本でも何かと話題になった、奇才・クエンティン・タランティーノ監督の「キル・ビル」。アイデアが膨らみすぎ1本の映画には収まりきらず、前・後編の2部構成になったのはご存知の通り。4月16日に発売された、前編の「Vol.1」のDVDについては、すでにこのコーナーで取り上げている。

 そして、4月24日に後編にあたる「Vol.2」が全国で公開された。しかし、ストーリーの主な舞台を日本に設定し、千葉真一や栗山千明ら日本人俳優が多数出演したVol.1に比べると、Vol.2は日本市場での盛り上がりは多少弱かったように思う。

 そのため、DVD化が遅れると商機を逃がすかもしれないと考えたかどうかはわからないが、公開から半年も経たない10月8日に、Vol.2のDVDが発売された。

 前作同様DVDは、通常版(3,990円)に加え、「必殺! カンフーTシャツ」と、パイ・メイのキーホルダー、10枚セットのメモリアル・カード、オールカラーのブックレット、ラブ・ブライドバージョンのベアブリック(棺桶ケース付き)を同梱する「プレミアムBOX」(7,980円)を用意。今回はさらに、通常版と前作「キル・ビル Vol.1」の通常版をセットにした「Vol.1&2 ツインパック」(6,279円)も加え、3種類のラインナップとなっている。

 3製品ともDVD自体は同じもので、映像特典ディスクが追加されるわけでもないので、プレミアムBOXを購入するかどうかは、おまけの価値をどう判断するかにかかっていることになる。

 個人的にはVol.1がDVD化された時、「どうせVol.2のDVDが出る時に Vol.1とのツインパックが出るだろう」と思って、Vol.1のDVDを買い控えていた。案の定、ツインパックが発売され、別々に購入するより1,701円も安く、アウターケース入りという、なかなかお得な設定となっている。ということで、今回はツインパックを購入した。

 ちなみに、初回生産分は、「BILLバージョン」、「BUDDバージョン」、「ELLEバージョン」、「PAI MEIバージョン」の4種類いづれかのリバーシブルキャラクタージャケット仕様。どのバージョンかは購入しないと、わからないようになっている。

必殺! カンフーTシャツ パイ・メイのキーホルダー
(C)2004 MIRAMAX FILM CORP. ALL RIGHTS RESERVED.

10枚セットのメモリアル・カード オールカラーのブックレット
(C)2004 MIRAMAX FILM CORP. ALL RIGHTS RESERVED.

棺桶ケース付きのベアブリック(ラブ・ブライドバージョン)
(C)2004 MIRAMAX FILM CORP. ALL RIGHTS RESERVED.



■ Vol.2はカンフーで、マカロニウエスタン

 かつて、エリート暗殺集団「毒ヘビ暗殺団」に所属していた、ザ・ブライド(ユマ・サーマン)。しかし、その組織の裏切りにより、結婚式の最中に夫とお腹の子を殺され、自身も重症を負った。それから4年、長い昏睡から覚め、復讐の鬼となったブライドは、組織の殺し屋を次々と葬っていく。

 Vol.1で2人を葬り去り、Vol.2で残る標的はあと3人。テキサスの荒野に向かった彼女を、酒びたりの日々を送るバド(マイケル・マドセン)と、アイパッチをした女殺し屋エル・ドライバー(ダリル・ハンナ)が待ち受けていた。そこでブライドは、バドに思わぬ反撃を喰らい、絶対絶命の窮地に陥るが、カンフー師パイ・メイから受けた過酷な修業と教えが甦り、苦境を脱する。そして、組織のリーダー・ビルの元へ辿り着くが、アジトに乗り込んだ彼女が目にしたのは、驚くべき真実だった……。

 メイキングの中で、監督自身も語っているように、Vol.1が「問い」で、Vol.2は「答え」になっている。また、Vol.1がヤクザ映画のオマージュであったように、Vol.2はマカロニウエスタン映画へのオマージュとなっている。実際、Vol.1とVol.2では、かなり異なった作風となっている。

 Vol.1は、迫力重視でとにかく派手なアクションと血飛沫が印象的。一方、Vol.2でももちろんアクションシーンは満載だが、どちらかというとストーリー重視となっている。Vol.1で人物紹介も終わっているので、Vol.2では落ち着いてストーリー展開に集中できているようだ。

 ただVol.1を観ていなくても、Vol.2の冒頭でモノクロでVol.1のあらすじが説明されるので、Vol.2だけ観れば、キル・ビルの全体の流れを理解できるようにはなっている。とはいえストーリーはわかっても、あまりに雰囲気が異なるので、Vol.2だけ観ると、Vol.1がどんな映画かは想像できないかもしれない。

 Vol.1は日本が舞台になっていることもあって、意図的かもしれないが間違った日本が氾濫していて、日本人にはツッコミどころが満載。また、突然アニメになったり、人間がありえない形で切れたりと、本筋でないところで、ツッコミながら観れた。

 しかし、Vol.2は日本はほとんどでてこないし、アクションシーンも派手な血飛沫はあまり上がらず、全体的に重い痛さが充満している。Vol.2をVol.1のように苦笑しながら観るのは難しいかもしれない。ただ、カンフーシーンは、日本でカンフー映画が流行ったころの「カンニングモンキー」とかそのあたりを彷彿とさせて、個人的には楽しかった。ちなみに、監督自身はメイキングの中で、「少林寺三十六房」はカンフー映画史上3本の指に入ると語っていた。

 アクションもユマ・サーマンがVol.1よりさらに動きが洗練され、危なげなく観ていられる。全体的には、迫力で押しまくったVol.1から、ストーリーが動き出したVol.2といえるだろう。Vol.2の方に重点が置かれていることは、Vol.1より25分も長いことでも見て取れる。



■ メリハリの利いた画質

 DVD BitRate Viewer 1.4でみた平均ビットレートは5.71Mbps。ビットレートは少々低めだが、本編が138分で映像特典も1枚に収録していることもあり、仕方ないところだろう。

 そのため多少のザラツキは感じるが、コントラストが鮮やかで、赤や黄色といった暖色系を強く押し出しているので、パッと見の画質は悪くはない。また、階調は豊かではないが、メリハリの利いた絵作りで、ブロックノイズや擬似輪郭も少なく、不快になることはなかった。全体的に、作品に合わせてうまくまとめられている印象だ。

 音声は英語をドルビーデジタル5.1chとDTSの2種類、日本語をドルビーデジタル5.1chで収録。ビットレートは、ドルビーデジタルが448kbps、DTSが768kbps。

 このDVDでは、ドルビーデジタルとDTSでは結構な差があった。DTSの方が切れがよく、低音と高音の伸びがあり、臨場感も高い。また、アクションシーンではLFEも効果的に使われ、音の迫力はあるが、サラウンド感はあまり高いほうではなかった。どちらかというと、BGMの方が印象的に使われている。

DVD Bit Ratge ViewerでみたエピソードIVの平均ビットレート

 特典ディスクはなく、本編ディスクに映像特典として、ビルとビルに師匠を殺されたカンフーの使い手とが対決する未公開シーン「ビル幻の必殺ファイト!」(3分36秒)、ライブ映像「熱狂のマリアッチ」(11分30秒)、メイキング「レジェンド・オブ キル・ビルVol.2」(26分)、劇場予告編(3本、約計4分30秒)、スタッフ・キャストリスト「メンバー・オブ キル・ビルVol.2」が収録されている。

 なお、熱狂のマリアッチは、本作の音楽を手がけたロバート・ロドリゲス監督率いるバンド「Chingon」がプレミアムパーティーで行なったライブ映像。映画の挿入曲「MALAGUENA SALEROSA」も収録されている。音声はドルビーデジタル2.0chで、ビットレートは448kbps。

 やはり映像特典のメインは、レジェンド・オブ キル・ビルVol.2だろう。撮影風景と本編の映像をはさみながら、タランティーノ、ユマ・サーマンをはじめ、スタッフやキャストのインタビューなどで構成されている。Vol.1のDVDでは、アニメシーン以外のメイキングらしいメイキングが収録されていなかったこともあり、Vol.1とVol.2を通した内容となっているので、キル・ビル ファンは必見だ。

 ここでも一番ハイテンションなのはタランティーノで、キル・ビルに対する思い入れを熱く語っている。「自信を持って、復讐劇に徹したかった」とのことで、実に楽しそうに映画を撮っていることが伝わってくる。マトリックスでも有名なユエン・ウーピンをアクション指導に招いているのに、自分でアクション指導もやってしまい、ウーピンに「何で私を呼んだのか?」と、いわれたというエピソードも紹介されている。

 収録されている内容自体は面白いのだが、最近のDVDとしてはどうしてもボリュームが少なく感じる。 特典ディスクを別に付けて、本編ディスクに饒舌なタランティーノのコメンタリーが収録されていると、もっとよかったと思う。


■ ツインパックがお得

 迫力満点、ごった煮大サービスのVol.1が大好きという人にとっては、すっきりとストーリーが展開するVol.2はあまり合わないかもしれない。Vol.2で個人的に印象に残っている、ラスト近くでビデオで子連れ狼を観るシーンは、Vol.1からは想像もできない。

 Vol.1だけではストーリーとしては、まだ始まったばかりで、ほとんど解決していない。やはり、Vol.2を観ないわけにはいかないだろう。また、Vol.1もそうだが、Vol.2でもタランティーノが好きな各種映画のパロディというより、エッセンスを随所に盛り込んでいるので、映画好きならそういった視点で見るのも楽しい。

 もしキリ・ビルに興味があって、Vol.1をまだ持っていなければ、1本あたり約3,140円で購入できるツインパックがオススメだ。ただ、Vol.3の構想もあるので、トリロジーが出るのを待つという選択もあるのだが……。

●このDVDについて
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前回の「スター・ウォーズ トリロジー DVD-BOX」のアンケート結果
総投票数2,392票
購入済み
1,757票
74%
買いたくなった
534票
22%
買う気はない
101票
4%

□ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンのホームページ
http://www.universalpictures.jp/
□製品情報
http://www.universalpictures.jp/sp/killbill2/
□関連情報
【7月14日】 ユニバーサル、DVD「キル・ビル Vol.2」を10月8日に発売
-グッズ付きの特別版や、前作をセットにしたツインパックも
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040714/upj.htm
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間違った日本が大爆発「キル・ビル Vol.1」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040420/buyd128.htm

(2004年10月19日)

[AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]


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