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第154回:あの大作の続編は26日で撮影終了 |
怒涛のように発売されつづけるDVDタイトル。本当に購入価値のあるDVDはどれなのか? 「週刊 買っとけDVD!!」では、編集スタッフ各自が実際に購入したDVDタイトルを、思い入れたっぷりに紹介します。ご購入の参考にされるも良し、無駄遣いの反面教師とするも良し。「DVD発売日一覧」とともに、皆様のAVライフの一助となれば幸いです。 |
スターシップ・トゥルーパーズ2 コレクターズ・エディション |
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価格:3,990円 発売日:2004年11月3日 品番:TSDD-35142 仕様:片面2層 収録時間:本編約92分 画面:ビスタサイズ(スクイーズ) 音声:ドルビーデジタル5.1ch(英語) DTS(英語) ドルビーデジタル5.1ch(日本語) 発売元:株式会社ソニー・ピクチャーズ エンターテインメント |
「スターシップ・トゥルーパーズ」は、ロバート・A・ハインラインの名作「宇宙の戦士」を原作とした'97年公開のSF映画。監督はポール・ヴァーホーヴェン。
地球連邦軍の兵士と巨大昆虫生物「バグズ」の戦いが最大の見所だが、比較的兵士の装備が軽装なこともあり、原作のファンからは「パワード・スーツじゃないからダメだ」的な意見も数多く聞かれた。しかし、人間とバグズの対決のスケール、特にざわざわと蠢きつつ、兵士を粉砕する「バグズ」のVFXの凄まじさは圧倒的なインパクトを与えた。
さらに、微妙にストーリーに絡んでくる安っぽい青春ドラマと、プロパガンダ映画のパロディのような独特のユーモアも魅力的。個人的には最も好きな映画のひとつだ。しかし、その続編が作られていたとは知らなかった。監督はポール・バーホーベンではなく、前作で特撮監督を努めるていたフィル・ティペットだ。フィル・ティペットといえば、スターシップ・トゥルーパーズのみならず、スター・ウォーズやジュラシック・パークなどでお馴染みのVFXの巨匠。これは期待できそうか?
しかし、考えてみると、DVD化決定の直前まで、続編についての話題などほとんど聞かなかったような……。SPEの資料を読んでみると「日本で限定公開された続編」とのこと。しかも、キャストを見てみると誰一人として知らない。前作の名前だけを引き継いだ低予算映画の雰囲気が感じられなくも無い。
とはいえ、発売日の11月3日近辺には深夜枠ではあるものの、テレビにスポットCMが入るなど、SPEも販促にはかなり力を入れている模様。ではちょっと試してみますか、ということで量販店に向かった。店頭では平積みの「華氏911」の隣にしっかりと鎮座。一瞬「華氏911でもいいか?」との弱気になりそうにもなるが、ここまできたら覚悟を決めて購入へ。
スターシップ・トゥルーパーズ2 コレクターズ・エディション スペシャル・ツインパック |
なお、通常版の「スターシップ・トゥルーパーズ2 コレクターズ・エディション(3,990円)」に加え、前作をセットにした「スターシップ・トゥルーパーズ2 コレクターズ・エディション スペシャル・ツインパック(BP-35142/7,329円)」も販売されている。
本編ディスクは「スターシップ・トゥルーパーズ2」と同じディスク加え、セットになっている前作は2002年8月にブエナ・ビスタから発売されていた「スターシップ・トゥルーパーズ コレクターズ・エディション」と同等のものがパックになっている。パッケージはデジパック仕様で、劇場パンフレットの縮小版や携帯保護シールなども付属する。今回はツインパックを購入した。
■ ホラー交じりのバグズとの対決
前回の戦争以後、昆虫型エイリアン「バグズ」と人類の戦いが激化する近未来。バグズが支配する辺境の惑星で激しい戦闘を続けていたシェパード将軍(エド・ローダ)率いる中隊は、敵の猛攻を受け退却を余儀なくされる。
彼らの隊はテレパス能力を持ち作戦を立案するサイキックと、実戦を担当する兵士たちによって構成されている。士官であるディル中尉(ローレンス・モノソン)はサイキックであるため、将軍は現場で頼れるレイク軍曹(ブレンダ・ストロング)に隊を任せ、彼らを逃がす。レイク軍曹ら一隊は、すてに廃墟と化した連合軍の前哨基地へ命からがら逃げ込んだ。
前哨基地は基地はバグズの攻撃によって荒れ果て、人間の姿はひとりも見あたらない。通信室もバグズに破壊され、孤立している。基地内を調査すると、ゴミ消却炉に閉じこめられた男を発見する。彼の名はダックス大尉(リチャード・バージ)。多くの勲章を受勲した英雄だが、戦場で上官である大佐の命令を拒否して彼を殺したために幽閉されていた。
ディル中尉はダックスを幽閉したままにしておくよう命じるが、そんなときにバグズが基地を急襲、戦闘が開始され、サハラ(コリン・ポーチ)はダックスを解放して戦闘に参加させる。その後、将軍が戦場で彼を助けたグリフ伍長、ペック技術軍曹、そして2日以上眠りつづているソーダ二等兵を伴い帰還する。
ダックスの過去を知りつつも将軍は隊に加わることを容認。ダックスはバグズに対して、絶対的な強さを発揮。また、将軍とともに帰還した3人は基地の修復などに絶大な力を発揮する。バグズが容易には攻め込めない程、外部からの防備は確立した。しかし、その3人と外部から隔離された環境が、その後の恐怖をもたらす事になる……。
冒頭のバグの猛攻と基地の攻撃は、前作を髣髴とさせる迫力ある戦闘シーン。バグの動きや爆破などのVFXのクオリティは満足いくものだ。しかし、背景はいずれのシーンも暗くスモークがたかれており、奥行き感に乏しい。このあたりは予算の制約が厳しいことを、ありありと感じさせる。
バグも前作の戦闘バグから、人間の体内に寄生して操るパラサイト型などの新型が登場する。それに伴い、ホラー映画のテイストが多分に強まっている。前作の圧倒的な戦闘シーンやドライなユーモアと比較すると、密室で追い込まれていく、心理的な恐怖を描くシーンが多い。また、人間の皮を突き破って蠢くパラサイト・バグスなどは「エイリアン」シリーズなどを思い起こさなくも無い。このあたりは前作のファンにはやや不満かもしれない。
ストーリーは筋が通っており、非常にわかりやすい。特に兵士たちのディル中尉への敬意の失墜と回復やレイク軍曹とディル中尉との関係性など、戦時下における微妙な隊内の信頼関係の移り変わりなどがしっかり描かれているのは興味深い。
監督や脚本のエド・ニューマイヤーらによるオーディオコメンタリを聞くと、「このシーンは本当はこうなる筈じゃなかったが……」と、予算と時間の無さを何度も強調しており、相当苦労して作品を仕上げたことが伺え、確かに予算/時間不足を感じさせるシーンも散見される。ただし、そうした周辺事情を鑑みつつも、楽しめたというのが個人的な結論だ。
■ あけすけなコメンタリが面白い
DVD Bit Rate Viewerで見た平均ビットレートは7.32Mbps。本編が92分と短いことを考えれば妥当なところだろう。ビスタサイズ収録で、映像はソニーのHD24Pカメラで撮影したという。オーディオコメンタリの監督のコメントでは、「最初からデジタル撮影を考えていた。DVD市場に直接持ち込めるので都合がいいと考え、さまざまなデジタルカメラを試した」という。最初から米国公開は見込み薄だったと感じさせるが、VFXとの親和性なども含めデジタル撮影は必須だったようだ。もっとも、閉所での撮影が多いためにハンディ型のカメラを希望していたが、映画会社からはソニーのカメラを使えと指定されたのだという。
確かに、HD撮影らしい解像感の高さは随所に感じられる。しかし、背景はスモークを炊きながら無理やり奥行き感を出すなど、低予算映画らしさも見受けられ、結果的にライティングの乏しさや、セットの予算の無さをあぶりだしてしまってもいる箇所も。また、全般的に緑よりの画調も気になるところだ。ただ、ほとんどが暗い基地内のシーンの割には、暗部ノイズはさほど感じさせない。高画質なディスクとはいえいないが、エンコード自体には大きな不満は無い。
音質についてはDTSが768kbps、ドルビーデジタルが448kbps。バグズとの戦闘シーンでは、銃の発射音の倍音成分などがDTSのほうが豊かで、スピード感がある。バグズが基地を取り囲むシーンなどでマルチチャンネルを生かすシーンもいくつかあるほか、基地内での戦闘シーンや、音楽も雰囲気にあっていてなかなか楽しめる。
DVD Bit Ratge Viewerでみたの平均ビットレート |
特典はメイキングの「連邦内部への突入」やVFX解説の「視覚効果の製作プロセス」など。メイキングでは、スタッフやキャストが作品の苦労を解説。監督によれば撮影日数は26日とのこと。とにかく時間が無かったことが打ち明けられる。
脚本のエド・ニューマイヤーによれば、「1作目は第2時世界大戦のイメージだったが、本作は朝鮮戦争をモチーフにし、泥沼化していく戦争がテーマとなっている」という。また、「シンドバッド7回目の航海」などシンドバッドシリーズや「地球へ2千万マイル」、などのストップ・モーション・アニメの大家であるレイ・ハリーハウゼンについても言及。フィル・ティペットをはじめ、各スタッフが彼の影響を語り、監督いわく「スター・ウォーズ世代のスタッフも尊敬している」という。また、フィル・ティペットがハリーハウゼンに現代の撮影技法を解説するシーンなども収録している。
もっとも面白いのは、監督らのスタッフによるオーディオコメンタリ。いきなり「タイトルはスターウォーズ風にという指示があった」とか「今回はとにかく予算はなかった。1作目の5%だ」など冒頭から低予算ぶりが強調される。
さらに、冒頭の逃げ込んだ基地のシーン、オーケストラヒットとともにローアングルから廃墟となった基地を眺めあげるショットでは、「こういう映画だからしようが無い。いやなら見るのをやめてくれ」といいたい放題。監督が映画会社に「エイリアンシリーズを2から1の順番で作ったようなもの」と説明すると、皆が理解したという。
また、スモークの多用についても「出来上がった映像がイメージに合わなかった。作品にそぐわずシャープすぎるのでスモークを炊いて雰囲気を出した」など説明されるほか、「ブルーの電球で撮るとHDモニターではきれいだが、VHS化された時にとても見られない。DVDとVHSでは色温度を変えた」など、スタッフからの苦情にも近いコメントが聞けて非常に面白い。最後の方になると、レイク軍曹が銃をテーブルに投げるシーンでは「銃が弾む! ゴム製だ(笑)」とか、「いい銃撃戦だ……。7分で撮ったが」など、だんだんコントのような領域に突入する。ちなみに、「(前作スターシップ・トゥルーパズの)バーホーベン監督も、意外にも本作を気に入ってくれた」という。
■ ある意味正当な続編かも?
第2作というよりは、サイドストーリーといった赴きで、正直B級感は否めない作品ではある。しかし買って後悔したかといえばそうではなく、むしろ逃げずに良かった、と肯定的に評価したくなる作品だ。積極的に薦めることも無いが、前作のファンで、少し財布に余裕があればチャレンジしてみて欲しいと思う。
確かにB級感はあるが、前作もある意味突き抜けたキッチュさと馬鹿馬鹿しさが高い次元で交錯した作品だった。そういう意味では、前作の重要な部分の一端は引き継いでいると思う。
●このDVDについて |
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□SPEのホームページ
http://www.sonypictures.jp/
□製品情報(ツインパック)
http://www.sonypictures.jp/homevideo/catalog/catalogDetail_JPDVDBP-35142.html
□製品情報(スターシップ・トゥルーパーズ2)
http://www.sonypictures.jp/homevideo/starshiptroopers2heroofthefederation/index.html
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【8月30日】「DVD発売日一覧」 8月27日の更新情報
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040830/newdvd.htm
(2004年11月16日)
[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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