■ 盛り上がるDVDカメラ市場 CES2006会場二日目となる本日は、米国で確実に根を下ろした感のあるDVDカメラの新製品情報をお送りする。米国のコンシューマ用ビデオカメラ市場は、長らくHi-8の時代が続いたために、DVカメラへの移行が遅れた。しかし2004年あたりからDVDカメラの人気が急騰し、Hi-8から一気に移行が進んだ。その理由としては、DVDハンディカムを開発したソニーが、ホリデーシーズンに大量にテレビコマーシャルを投下したためと言われている。 当時DVDタイプのビデオカメラは、日立製とそのOEMである松下のもの、それからソニー製しかなかったわけだが、CMの効果に引っ張られて日立のDVDカメラも売り上げが伸びたと言われる。 もちろん米国でもHDVカメラは発売されているが、HDコンテンツは見るものであり、自分で作るものといった意識はコンシューマには薄い。それは長期記録としてホームビデオを捉える日本と、テンポラリ的に撮って離れた家族や友人に配布というスタイルの米国のあり方の違いと言えるのかもしれない。
■ 日立、新型DVDCAM 4機種を投入
最初にDVDカメラを市場投入した日立では、この春に向けて新モデルを4機種発表した。 「DZGX3300A」は、3.3MピクセルCCDを搭載した最上位モデル。写真では筐体が黒に見えるかもしれないが、鏡筒部全体がシルバーというかミラーコーティングとなっており、全体のイメージとしてはもうピッカピカである。
液晶モニタ側も光沢感の高いブラックとなっており、ちょっと日本では抵抗のあるデザインだろう。反対のドライブ側は、若干光沢感を押さえたブラックとなっている。米国では4月発売予定で、799ドル。
「DZGX3200A」は、2.12MピクセルCCD搭載のミドルレンジモデル。鏡筒部はミラー仕上げだが、ボディは艶を落としたグレーとなっており、落ち着いたイメージだ。米国では3月発売と予定で、価格は599ドル。
「DZGX3100A」は、1.3MピクセルCCD搭載のエントリーモデル。米国では4月発売予定で、価格は499ドル。「DZBX35A」は、680kピクセルCCD搭載のローコストモデル。デザイン的にはミラー処理部分がなく、一番落ち着いて見えるモデルだ。米国では3月発売予定で、価格は399ドル。
各モデルの大きな差は搭載しているCCDの画素数だが、全モデル共通の特徴としては、QuickStart機能を装備した点が新しい。ビューファインダ上部にSLEEP/RESTARTボタンがあり、電源を入れた状態で押すとスリープ状態になる。再びボタンを押すと、1秒以内で起動するという。 また記録メディアとしては、今回新たにDVD+RWをサポートした。欧米では+RWの人気が高いわけだが、その市場動向に合わせたもの。従って使用可能なDVDメディアは、DVD-RAM、DVD-R/RW、DVD+RWと4種類になった。さらに全モデルで16:9の液晶モニタを採用するなど、ワイド撮影時の便宜を図っている。
例年日立のDVDCAMは、米国よりも日本の方が1ヶ月ほど発売が早い。おそらく2月~3月にかけて、国内でも新モデルがリリースされるものと思われる。
■ Panasonic、初の独自開発DVDカメラ
以前からパナソニックでは、DVDカメラに関しては日立との共同開発を行なってきた。だが今年は同社得意の小型3CCDユニットを使って、フル自社開発のモデルを投入する。 すでに日本で発表されているが、米国では上位モデルとして「VDR-D300」、「VDR-S250」のほか、米国向け低価格製品として「VDR-D200」および「VDR-D100」が発表されている。 全体的にボディがシルバーメタリックなデザインとなっているが、日立のような鏡面処理ではなく、もっと落ち着いた感じだ。また上位モデルでは16:9サイズの液晶モニタを採用しており、ワイド撮影時の便宜を図っている。
UIとして特徴的なのは、撮影モードダイヤルの真ん中にメニュー操作用のジョイスティックを配置した作りとなっているところだ。
例えば日立のDVDCAMでは、撮影状態の液晶画面に対して操作ボタンが横手に付いているため、メニュー操作を行なう場合に上下左右の方向を脳内で90度置き換えてやらなくてはならない。さらに右手でカメラを構えているときは、メニュー操作は左手で行うか、カメラを持ち替えて右手で操作する必要がある。 だが背面に向けて操作系を配置することで、液晶画面に対して上下左右の方向が等しくなり、さらにカメラを持ち替えることなく、そのまま右手の親指で操作ができる。以前から日立のDVDCAMで不便に感じていた部分をうまくクリアしているところは上手い。 ドライブ部はかなり薄型に作られており、使用可能なメディアはDVD-RAM、DVD-R/RWの3種類。他メーカーの1CCD DVDカメラとほぼ同サイズながらも3CCD搭載ということで、発色の面でも期待できる。DVDカメラとしては、3CCD搭載は世界初だ。 では各モデルのスペックを順に見ていこう。最上位のVDR-D300は、1/6インチ3CCD搭載のDVDカメラ。レンズはライカディコマーの光学10倍ズームレンズを搭載し、手ぶれ補正は光学式。液晶モニタは2.7インチの16:9タイプを搭載している。静止画は最高で3.1Mピクセルの撮影が可能。米国での発売時期は3月で、価格は999.95ドル。
VDR-D2500は同じく3CCDモデルだが、手ぶれ補正が電子式のため、静止画の画素数が最大で2.3Mピクセルと若干少なくなっている。またレンズも同じく光学10倍ズームレンズだが、こちらはライカディコマーではなく、Panasonic Video Lensとなっている。米国では5月発売で、価格は899.95ドル。
VDR-D200は、撮像素子が680kピクセルの1CCDで、光学30倍ズームレンズを備える。また内蔵のLEDライトも装備するようだ。液晶モニタは2.5インチの4:3タイプ。米国では1月発売で、価格は599.95ドル。
VDR-D100は実機の展示は見あたらなかったが、D200とスペックは近く、LEDライトとSDカードスロットを省いた廉価モデルとなっている。米国では1月発売で、価格は499.95ドル。 またPanasonicでは同時にDVカメラも3タイプ発表されているので、簡単に見ておこう。「PV-GS500」は、新開発の1/2.7インチ3CCDユニットを搭載した最上位モデル。レンズは解放F値1.6のライカディコマーで、光学ズームは12倍。手ぶれ補正は光学式だ。静止画の最大が素数は3.1Mピクセルとなっている。また液晶モニタは2.7インチの16:9タイプを装備する。米国では3月発売で、価格は999.95ドル。
「PV-GS300」は、1/6インチ3CCDユニットを搭載したミドルレンジモデル。レンズはライカディコマーの光学10倍ズームレンズで、手ぶれ補正は光学式。静止画の最大が素数は3.1Mピクセルとなっている。液晶モニタは上位モデルと同じく2.7インチの16:9タイプ。発売時期は3月で、価格は699.95ドル。 「PV-GS180」は、1/6インチ3CCDを搭載したエントリーモデル。レンズはPanasonic Video Lensで光学10倍ズーム。手ぶれ補正は電子式だ。静止画の最大画素数は2.3Mピクセル。液晶モニタは2.5インチの4:3タイプとなっている。発売時期は2月で、価格は599.95ドルとなっている。 今回のDVカメラ群は、全体的にテープドライブ部が丸みの帯びたデザインとなっており、さらに外装のシルバーや溝があるあたり、ちょっとLet's Noteのアームレスト部のような印象があってなかなか面白い。また鏡筒部をまっすぐ伸ばしたようなあっさりした印象となっており、シンプルで長く使って飽きの来ないデザインとなっている。
■ スペックのユニークさが光るSamsungのDVDカメラ
おそらく日本での発売予定はないものの、韓国SamsungもDVDカメラに参入、一気に6モデルを投入する。そのうちブース内では、最上位モデルの「SC-DC565」の実働モデルを見ることができた。
「powerful zoom DVD camcorder」というキャッチフレーズの同機は、その名の通り光学26倍ズームレンズを装備。以前DVカメラの時代にズーム倍率競争が行われたこともあるが、最近ではその部分で差別化を図るケースは珍しく、いわゆる穴場的なポイントだ。しかし今回Panasonicの「VDR-D200」と「VDR-D100」が光学30倍なので、プラズマに続いてまたもや世界一の座を逃した。
CCDは1.1Mピクセルで、静止画は最大で1,152×864ドットと、あまり大きくない。というのも静止画に気合いを入れる場合、SamsungにはDuoCamという1ボディに光学系2つ載せちゃいましたという強引なモデルが健在なのである。1つの光学系で高画素静止画が撮れたら、DuoCamの存在意義がなくなってしまうのである。 SC-DC565のドライブ部は光沢のある上質な塗装で、かなり薄型。対応メディアの種類は一番多く、DVD-R/RW、DVD+R/RWに加えて、DVD+R DLまでサポートしている点はユニークだ。
筆者も一度DVDカメラで運動会撮影してみたことがあるが、いかんせん最高画質では1枚20分程度しか撮れないので、かなりのメディアを消費してしまう。だがDLメディアであれば現状の2倍弱は撮影可能となるため、強力な差別化要素となりうるだろう。
またメモリーカードには、720×480のMPEG-4動画も撮影できる。対応メモリーカードも対応種類が多く、メモリースティック、メモリースティックDuo、MMC、SDカードを1つのマルチスロットで読み書きするなど、なかなか強烈だ。 スペックはいろんな意味で強烈だが、デザインは結構綺麗にまとまっており、日本メーカー製品とはひと味違ったテイストでなかなか面白い。米国では今年3月発売予定で、価格は599.99となっている。
□2006 International CESのホームページ(英文)
(2006年1月8日)
[Reported by 小寺信良]
AV Watch編集部av-watch@impress.co.jp Copyright (c)2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|