~ SonicStageより動作が機敏な「BeatJam 2006」 ~ |
BeatJam 2006 SE | BeatJam 2006 LE for ORICON |
つまり、BeatJam 2006 SEは単体で購入することはできず、まずパッケージ版(直販価格3,360円)か、ダウンロード版(1,980円)を入手の上、アップデートする必要がある。
一方、BeatJam 2006 LE for ORICONはオリコンの音楽配信サイト「ORICON STYLE」で無償ダウンロード配布されているソフト。ORICON STYLEの標準ソフトとして提供されている。ご存知の方も多いと思うが、ORICON STYLEはWindows Media Audio形式での音楽配信を2005年3月から展開していたが、昨年12月からはATRAC3での配信サービスも並行して行なわれるようになり、それと同時にBeatJam 2006 LE for ORICONが提供されるようになった。
機能 | SE | LE |
Musicライブラリ機能(ATRAC/MP3/WMA再生) | ○ | ○ |
DigitalAudioプレイヤーへの転送 | ○ | ○ |
音楽CDの作成 | ○ | ○ |
ATRAC CDの作成 | ○ | × |
CDからPCへの録音 | ○ | × |
CDからDigitalAudioプレイヤーへの録音 | ○ | × |
RoomStyleプレイヤーのサポート | ○ | × |
OpenMG Audio形式への変換 | ○ | ○ |
DigitalAudioプレイヤーデータの編集 | ○ | ○ |
MusicStoreへのアクセス | ○ | ○ |
また、転送可能なデジタルオーディオプレイヤーなどは両ソフトともに下表のとおり。
製品 | メーカー 販売元 |
型番 |
ネットワークウォークマン | ソニー | NW-E507、NW-E505、NW-E407 NW-E405、NW-E307、NW-E305 NW-E107、NW-E105、NW-E103 NW-HD5、NW-HD3、NW-HD2、NW-HD1 |
携帯ゲーム機 | SCE | PSP |
Hi-MDプレーヤー | ソニー | MZ-DH10P、MZ-RH10、MZ-NH1、MZ-NH3D |
バッファロー | MD-HUSB | |
Hi-MDドライブ | ソニー | DS-HMD1 |
ポータブルMDレコーダ | 松下 | SJ-MR270 |
シャープ | IM-DR80 Auvi(アウビィ) | |
Net MD対応ウォークマン | ソニー | MZ-N920、MZ-NE810 |
携帯電話 | NTTドコモ | Music Porter II、Music PORTER |
CDウォークマン | ソニー | D-NE20、D-NE920、D-NE820 |
USB メモリースティック リーダー/ライター |
ソニー | MSAC-US40、MSAC-US30 |
これを見てもわかるようにウォークマンAシリーズは、対象になっていないが、SonicStage同様で実際に接続すれば転送は可能だった。ただし、ウォークマンA特有のアーティストリンクなどの機能はサポートされていない。
また、BeatJam 2006 SEにはRoomStyleプレイヤーという全画面表示されるプレイヤー機能も持っている。これはモーションパッケージ(ユーザーインタフェース、ムービー、曲情報表示の組み合わせ)と呼ばれる仕組みを利用して全画面で表示するもので、いろいろなモーションパッケージを切りかえて画面を好みのものに変化させられる。
対象外となっているウォークマンAシリーズの転送も可能だった | RoomStyleプレイヤー |
またSkinは両ソフトともに対応しているので、ミニプレーヤーのデザインをさまざまなSkinに切りかえることができ、ジャストシステムのサイトからいろいろなSkinをダウンロードすることも可能だ。
同社サイトからダウンロード可能なSkin |
ここでは、主にBeatJam 2006 SEを使ってみたが、基本的にはSonicStageとほぼ同じことができる。もちろん、ユーザーインターフェイスはまったく異なるので、SonicStageは嫌いという人ならひとつの選択肢として考えてもいいだろう。実際のスペックとして気になるのは、CDからのエンコードで、どのフォーマットが選べるのか。エンコード可能なフォーマットは大きく、OpenMG、MP3、WMA、WAVの4つ。
このうちOpenMGはATRAC3およびATRAC3 Plusでのエンコードが可能となっており、ATRAC3の場合は66kbps、105kbps、132kbpsの3種類、ATRAC3 Plusの場合は48~320kbpsの8種類となっている。
OpenMG、MP3、WMA、WAVのエンコードが可能 | ATRAC3は66/105/132kbps、ATRAC3 Plusの場合は48~320kbpsの8種類 |
なお、SonicStage 3.3でサポートされたATRAC Advanced Losslessはサポートされていない。また、SonicStageではOpenMGのDRMをはずした、ATRAC3/ATRAC3 Plus単独でのエンコードが可能だが、BeatJam 2006 SEでは、かならずOpenMGで保護されたセキュアなデータのみしか扱えないようになっている。
ためしに、各モードごとのリッピング&エンコード時間を測定してみた。Digital Audio Laboratoryの第215回で、SonicStage 3.3において速度を測っていたのでそれと比較してみると微妙に違いがあり、SonicStageよりも若干速いが、そう極端に変わるわけではなかった。
フォーマット、ビットレート | BeatJam 2006 | SonicStage3.3 |
ATRAC3 Plus 64kbps | 1分18秒 | 1分23秒 |
ATRAC3 Plus 128kbps | 1分29秒 | 1分40秒 |
ATRAC3 132kbps | 1分16秒 | 1分14秒 |
ATRAC3 Plus 256kbps | 1分44秒 | 1分42秒 |
ちなみにCDのTOC認識はGracenoteのCDDBが利用されており、たいていのCDなら自動で認識しアルバム名や曲名などを表示してくれる。
一方、MusicStoreへのアクセス機能は、BeatJam 2006 SE、BeatJam 2006 LE for ORICONともにあるが、若干の違いがある。BeatJam 2006 SEのほうは、ジャストシステムのサイトであるMusic@Lifeにアクセスするのに対し、BeatJam 2006 LE for ORICONは当然ORICON STYLEへのアクセスする。
ユーザーインターフェイスも異なり、曲の探し方なども違うが、実は基本的には大きな差ではない。というのも、どちらもMoraへのポータルという位置づけであり、掲載されている曲はほぼ同じだからだ。もちろん、ダウンロードできる楽曲のファイル形式はOpenMGのDRMがかかったATRAC3。価格も同じだ。
BeatJam 2006 SEは、ジャストシステムの「Music@Life」にアクセス | BeatJam 2006 LE for ORICONは「ORICON STYLE」に |
またSonicStageもソフト本体ではなく、いっしょにインストールされるバックアップツールを用いてバックアップをしたりリストアする形になっている。それに対し、BeatJam 2006 SEおよびBeatJam 2006 LE for ORICONともに、ソフト本体にはバックアップ機能はなく、別にバックアップツールをインストールすることで、利用可能となる。
これは、Webからダウンロードする形態をとっており、BeatJam 2006 SEの場合はユーザー登録するとダウンロードすることができ、BeatJam 2006 LE for ORICONの場合は、なぜかMusic@Lifeに登録するとダウンロードできるようになっている。いずれの方法でダウンロードしても入手できるバックアップツール自体は同じもののようだ。
バックアップでは曲の権利情報のみ、または音楽データを含むすべてから選べる |
このバックアップツールは曲の権利情報のみバックアップするか、音楽データまで含めたすべてをバックアップするかの選択ができるようになっており、扱い方はいたって簡単だ。もしかすると、SonicStageともバックアップデータに互換性があるのでは、と期待して試してみたが、残念ながらうまくはいかなかった。とはいえ、ダウンロード購入したデータがしっかりバックアップできるというのは大きな安心材料といえるだろう。
以上、ジャストシステムのATRACデータのジュークボックスソフト、BeatJam 2006について見てきたが、機能的にはSonicStageとあまり変わらないが、CONNECT Playerよりも圧倒的に動作が軽く、SonicStageと比較しても動作が機敏だ。ユーザーインターフェイスなどが気に入れば、BeatJamに乗り換えてみるというのもひとつの手だろう。
□ジャストシステムのホームページ
http://www.justsystem.co.jp/
□ORICON STYLEのホームページ
http://www.oricon.co.jp/
□製品情報(BeatJam 2006 SE)
http://www.justsystem.co.jp/beatjam/2006up/
□製品情報(BeatJam 2006 LE for ORICON)
http://www.oricondd.com/atrac/player/
□関連記事
【2005年12月14日】ジャスト、ダウンロード配信向け「BeatJam」を無償提供
-「ORICON STYLE」での購入やプレーヤーへの転送が可能
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20051214/just.htm
【2005年12月7日】ジャスト、BeatJam新バージョンをユーザーに無償提供
-ATRAC AD対応。インターフェイスも一新
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20051207/just.htm
【2005年12月5日】【DAL】ソニーのロスレス「ATRAC Advanced Lossless」
~ 特徴的な「ベース+差分」構成を検証 ~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20051205/dal215.htm
【2005年4月5日】ジャストシステム、PSPへの転送が可能な「BeatJam2005」
-ミュージックサーバー対応の上位モデルも用意
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050405/just.htm
【2001年2月14日】ジャストシステム、ATRAC3に対応した「BeatJam XX-TREME」発売
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010214/just.htm
(2006年1月16日)
= 藤本健 = | リクルートに15年勤務した後、2004年に有限会社フラクタル・デザインを設立。リクルート在籍時代からMIDI、オーディオ、レコーディング関連の記事を中心に執筆している。以前にはシーケンスソフトの開発やMIDIインターフェイス、パソコン用音源の開発に携わったこともあるため、現在でも、システム周りの知識は深い。 最近の著書に「ザ・ベスト・リファレンスブック Cubase SX/SL 2.X」(リットーミュージック)、「音楽・映像デジタル化Professionalテクニック 」(インプレス)、「サウンド圧縮テクニカルガイド 」(BNN新社)などがある。また、All About JapanのDTM・デジタルレコーディング担当ガイドも勤めている。 |
[Text by 藤本健]
00 | ||
00 | AV Watchホームページ | 00 |
00 |
AV Watch編集部av-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2006 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.