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■ 関西人の魂(?)がついにDVD化!
そもそも、関西では深夜枠にもかかわらず30%を超える高視聴率を記録した「お化け番組」だったので、関東で放送していないなんて、夢にも思わなかった。もしかすると知らない人がいるかもしれないので、一応簡単に説明すると、「探偵! ナイトスクープ」は視聴者から寄せられた素朴な疑問・依頼を、探偵局員が投稿した視聴者と共に調査する視聴者参加型番組。 関東地方では、スタート当初は千葉テレビ放送でネットされていたが、朝日放送のキー局であるテレビ朝日では放送されていなかった。入学や転勤などで関東に引っ越した関西人は、実家からビデオを送ってもらうという人も多かったと聞く。ただ、当時「電波少年」が、関西ではネットされていなくて、実家に帰省するとみられるなくなるというジレンマもあった。 関東に引っ越してから「探偵! ナイトスクープ」のない寂しい日々を過ごしていたが、関東に住んで少し経った'93年、テレビ朝日で待望の放送が開始された。非常にうれしかったのだが、最初は火曜深夜1時すぎの放送。さらに金曜日深夜2時ごろに移動、しかし毎月末金曜日は「朝まで生テレビ!」で、放送が休止になるという、もとの放送スケジュールを無視したひどい状態だった。 その後も、土曜日午後15時、日曜日の昼12時、土曜日午後15時、再び深夜枠と空き枠を埋めるようにめまぐるしく移動し続けた。結局、視聴率もふるわず、最終的に2005年3月9日にテレビ朝日でのネットは打ち切られてしまった。 だが、2005年4月7日からtvk(テレビ神奈川)で放送されるようになり、tvkが視聴できる地域では、テレビ朝日のときよりも、落ち着いて見られるようになった。関西のお化け番組といわれながら、関東ではかなり不遇な扱いを受けた「探偵! ナイトスクープ」。おそらく、テレビ朝日でネットされる可能性は、今後もほとんどないだろう。 そんな中、最近になってHTBの「水曜どうでしょう」や、tvkの「saku saku」など、地方番組に人気が出て、DVD化されることも増えてきた。だったら、なぜ「探偵! ナイトスクープ」がDVD化されないのだ!?、と思っていたら、予想外のワーナー・ホーム・ビデオから傑作選としてDVD化された。
松本修プロデューサーによると、「DVD化の企画を立ててから丸2年、本来は1年前に出す予定でしたが、登場人物探しをはじめとするさまざまな問題が立ちはだかって、こんなに遅くなってしまいました」とのこと。
6月2日に「Vol.1 傑作選~謎の爆発卵編」(DL-87411)と「Vol.2 傑作選~マネキンと結婚したい! 編」(DL-87412)の2本をリリース。第一弾ということで、探偵! ナイトスクープを見たことがあれば、DVDのタイトルを見ただけで思い出す名作中の名作を各6本と小ネタ集を収録している。価格は各2,980円。発売元がワーナー・ホーム・ビデオということで、帯には「ハリウッドプライス」のロゴが印刷されているのも面白い。 単品以外にも「Vol.1&2 BOX」(SD-114)も同時に発売された。価格は5,960円と、別々に購入するのと変わらないのは珍しいが、パッケージがBOX仕様で、ガイドブック「永遠の少年『探偵! ナイトスクープの奇跡』」が封入されていて、その分お得になっている。あまり必要とも思えない特典をつけて、単品で買うより圧倒的に高いという豪華仕様にしないのが、ワーナーらしいところだろう。 もちろん探偵! ナイトスクープの中でも、「謎の爆発卵」と「マネキンと結婚したい!」は、絶対に両方とも押さえておかなくてはいけないので、「Vol.1&2 BOX」を購入した。
なおDVDの公式のサイトにある、収録ネタのリストには、依頼内容しか記述されていなかったので、放送日と探偵、顧問を表にしてみた。'89年から2003年まで幅広く収録していることがわかる。また、顧問もお亡くなりになった方が2人いらっしゃったり、もうバラエティ番組に出ることはなそうそうな人がいたりして、感慨深いものがある。
■ 放送開始から18年。深夜枠で視聴率30%超のお化け番組 '88年3月5日に朝日放送制作で関西ローカルで放送が開始された「探偵! ナイトスクープ」は、番組名の通り一応、探偵というスタイルをとってはいる。しかし実際は、視聴者から寄せられる依頼内容は人捜し、物捜など探偵っぽい調査よりも、現地レポート、実験、街頭調査の方が多い。 また、単独では成立し辛い依頼は「小ネタ」集として複数をまとめて放送される。15年以上の番組の歴史で、2,000を超える依頼が取り上げられており、採用された視聴者には、番組特製の探偵手帳とステッカーがプレゼントされる。探偵手帳を持っていれば、関西ではヒーロー間違いなしだ。 番組は公開収録で、約50分の放送枠の中で1つの依頼は10~15分程度にまとめられ、1回の放送で3本流され、それぞれのVTRに局長や顧問、探偵らがコメントする。ちなみに、番組タイトルの「ナイト」は、「Night」ではなく、「Knight」。また、「スクープ」は、当時の報道番組のタイトルに「スクープ」がつく多かったので、「朝日放送のナイトスクープです」と言えば、報道番組と勘違いして取材を受けてくれるのではないか、と考えたという。 収録は基本的に月2回2週分行なっているため、足りなくなったときには、不定期年に「総集編」として、リクエストの多い依頼を3~4本まとめて放送している。そのため、今回のDVDに収録されているような名作は、総集編などで、何度も繰り返し放送されており、総集編も欠かさず見ているフリークなら、見飽きているかもしれない。 関西地方では深夜枠にもかかわらず、視聴率が現在でも常に20%前後ととび抜けて高く、今までの最高視聴率は32.2%。いつしか、「関西のお化け番組」といわれるようになっていた。さらに、2006年春には週間視聴率ランキングでゴールデンタイムの番組をも抑え、関西1位に輝くという快挙も達成。また、2001年に日本民間放送連盟賞テレビエンターテインメント部門最優秀賞を受賞している。 探偵! ナイトスクープの最大の魅力は、関西人独特のサービス精神と、強烈なインパクトを持つ依頼者などが登場することだろう。それは依頼者だけに限らず、街頭インタビューなど、街角で出会った人達が、揃いも揃って強烈な個性を発揮する。製作者側ですら、当初の依頼から予想外の展開が楽しめる。同じような視聴者参加番組でも、“素人をいじって笑いをとる”といった、出演者側(タレントや製作者)で閉じてしまって、内向きになって楽屋落ち的な展開に陥ってしまことが多いが、探偵! ナイトスクープはあくまで外に開っきぱなしだ。 正直なところ、関西以外では成立し辛い番組スタイルかもしれない。実は「探偵! ナイトスクープ」も番組当初のコンセプトでは、なるべく依頼者をテレビ画面に出さない方向だった。しかし、「天才! ウクレレ少女」(DVD未収録)から、その面白さに気づいて積極的に取り込むように方向転換したという。
番組製作スタイルも、当時はまだ珍しかった、ハンディENGを取材に取り入れ、探偵の後からついていて、先回りはしないという、カメラが先回りをしてタレントの顔を映すという従来とは逆の撮影スタイルを導入。また、画面の連続性を無視して、カットを繋ぎ合わせる「ジャンプカット」の導入、テロップによるツッコミ、コメントフォローの開発など、現在のバラエティ番組では当たり前になった手法も、探偵! ナイトスクープが確立したといわれている。
取り上げられる話題についても、「ナイトスクープ」の番組で初めて取り上げられた題材を他の番組がとりあげらることもとが少なくない。意図的にパクっているわけではなく、偶然なのかもしれないが、「そんなん、何年も前に探偵! ナイトスクープでやってるやん」とツッコミをいれたくなることは多い。
■ DVDの仕様はシンプル。画質と音質はそれなり DVD Bit Rate Viewerでみた平均ビットレートはVol.1が6.75Mbps、Vol.2が5.77Mbps。収録時間がVol.1が約88分、Vol.2が103分とそれほど長くはないが、片面1層ディスクなのでビットレートは高くはない。画質自体は、地上アナログの番組として特に悪くはない。 ただ、収録されているのが'91年~2004年と13年にも渡るので、画質のバラつきはかなりある。しかし、内容を楽しむ分には問題ない。なお、肖像権などの問題のため、通りすがりの人にインタビューするシーンで相手の顔を隠している箇所もあった。 アスペクトは地上アナログの番組なので、もちろん4:3。ただ、Vol.2の仕様には、「ワイドスクリーン混合」と表記されていたので、どういうことかわからなかった。実際に見てみると、どうも「マネキンと結婚したい!」の結婚式のシーンで、上下がマスクされた16:9(スクイーズ)で映画っぽい演出をしているとこを指しているようだ。 音声はドルビーデジタル2.0ch。ビットレートは384kbps。バラエティ番組の音声として、特に問題はない。DVDとしての仕様は非常にシンプルで、映像特典などは特になく、チャプターメニューのみ。字幕なども収録していない。探偵によるオーディオコメンタリなどがあっても面白いと思うのだが、ハリウッドプライスなので仕方ないだろう。 「Vol.1&2 BOX」の封入特典のガイドブック「永遠の少年『探偵! ナイトスクープの奇跡』」松本修プロデューサー監修、桑原尚志解説で、14ページ。それほど内容が濃いわけでないが、製作者側の依頼の分類や、解説が読めて楽しめた。
■ 価格以上に満足できる内容 6本の依頼と小ネタ集で2,980円で、1本あたり400円強と、あまり安くはないが、初回リリースということで、2,000を超える依頼の中から、選りすぐられているので、外れがない。その意味では、価格分の価値は十分にある。 また、古いのから新しいのまで、満遍なく収録されているので、岡部まりの微妙な変化も楽しめる。7月14日には、Vol.3とVol.4もリリースされる。秘宝館や、個人経営・手作りの遊園地など、客の集まりそうもないアミューズメント(?)施設を調査する、桂小枝の代表作「パラダイス」シリーズも収録される。
http://www.whv.jp/ □「探偵!ナイトスクープ」のホームページ http://www.asahi.co.jp/knight-scoop/ □DVD-BOXの情報 http://www.whv.jp/database/database.cgi?cmd=dp&num=3955 □DVD 第1巻の情報 http://www.whv.jp/database/database.cgi?cmd=dp&num=3956 □DVD 第2巻の情報 http://www.whv.jp/database/database.cgi?cmd=dp&num=3958 □関連記事 【3月10日】ワーナー、「探偵! ナイトスクープ」のDVD化を開始 -「謎の爆発卵」などの傑作調査を収録。BOX発売も http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060310/whv.htm (2006年7月4日) [AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]
AV Watch編集部 av-watch@impress.co.jp Copyright (c)2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
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