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大河原克行のデジタル家電 -最前線-
ソニービルで、パーソナルコンシェルジュサービスを体験
-DLNAなどの機器間接続による魅力を提案




パーソナルコンシェルジュサービス

 ソニーマーケティングは、東京・銀座のソニービル「Sony Showroom」において、パーソナルコンシェルジュサービスを行なっている。

 このサービスは、液晶テレビ「BRAVIA」やBlu-ray Discレコーダをはじめとする同社AV機器を、より快適に利用するための手法を提案したり、購入前および購入後の相談に応じてくれるもので、1時間を目安に、Sony Showroomのアテンダントが1対1で、実機のデモストレーションを交えながら対応してくれる。このほど、パーソナルコンシェルジュサービスを体験する機会を得たので、その様子を紹介しよう。



■ 「つなぐ」に対応したコンサルティングサービス

 パーソナルコンシェルジュサービスは、ソニーが提供するハイビジョン関連製品を具体的に体験できるとともに、ソニーのAV機器をより快適に使うための提案や、利用していて疑問に思うことを解決するための相談の機会として、スタートしたものだ。

 「テレビとソファの理想的な位置関係はどうなのか、書斎とリビングをつないでデジタルライフを楽しむにはどうしたらいいのか、また、DLNAの魅力はどこにあるのかといったことを、家にいるような空間のなかで、実際に体感してもらえることができるサービス」と、ソニーマーケティング広告宣伝部門イベントコム企画部ショールーム担当の佐藤仁美氏は語る。

パーソナルコンシェルジュサービスを受けられる東京・銀座のソニービル入口 パーソナルコンシェルジュサービスのアテンダント。左が佐藤仁美氏

 これまでSony Showroomでは、ハイビジョン製品のラインアップ強化に伴って、これら製品の展示やデモストレーションを強化し、ハイビジョンならではの特徴を訴求してきた。

 実際に、液晶テレビ「BRAVIA」、ビデオカメラ「ハンディカム」、コンパクトデジタルカメラ「サイバーショット」、デジタル一眼レフカメラ「α」、Blu-ray Discレコーダの5つの製品に関して、それぞれに専用の質問票を作り、製品ごとに、顧客にあった利用提案を行なってきた。

 だが、ソニーが「つなぐ」提案を加速するに伴い、機器同士を接続した利用提案や相談に対応することが、ショールーム側にも求められてきた。

 「DLNA接続による機器同士を結んだ『横串』での提案が求められるようになった。製品ごとの展示では、フロアも分散しており、トータルな提案がしにくい。そこで、新たなサービスとして、DLNAの魅力などをより的確に提案できるサービスとして、パーソナルコンシェルジュサービスを用意した」と佐藤氏は語る。

 今年2月末に、ソニービルの3Bと呼ばれるフロアに、パーソナルコンシェルジュサービス用の部屋を用意。さらに、4Aに設置している120インチのスクリーンで、9.1chを体感できるシアタールームも、パーソナルコンシェルジュサービスに利用できるようにした。

パーソナルコンシェルジュルームの様子

 パーソナルコンシェルジュサービスは、基本的には予約制となっており、午前11時から正午、午後4時から5時までの一日2回の時間帯での予約が可能。3月20日から予約を開始し、5月から外部にも告知を開始し、本格的にサービスをスタートしている。「平均して、一日に1件程度の予約が入っている」という状況だ。

 予約をするには、Sony Showroomに電話(03-3573-2563)をすればいい。ショールームのオペレータが電話口に出るので、相談内容と、日時を伝えれば予約ができる。利用は無料。アテンダントが、相談内容を「パーソナルコンシェルジュ・コンサルティング・シート」に書き込み、当日までに、必要な機器などを用意し、最適な環境で相談に乗ってくれる。また、指定時間以外での予約も相談が可能だ。

 そのほか、Sony Showroom内で、機器間接続などに関する質問が出た場合に、パーソナルコンシェルジュサービス用の部屋が空いていれば、ここを利用することもあるという。

予約したユーザーごとに作成されるパーソナルコンシェルジュ・コンサルティング・シート 従来から製品ごとに用意している相談のための質問票



■ ソニーの最新機器が相互接続環境で展示

 3Bに設置されたパーソナルコンシェルジュサービス用の部屋は、「パーソナルコンシェルジュルーム」と呼ばれ、リビングスペース、ダイニングスペース、書斎スペースをそれぞれ想定した形に区分けされている。

 リビングスペースには、46インチのBRAVIA「KDL-46F1」のほか、Blu-rayレコーダ「BDZ-X90」、ロケーションフリー、VAIO「TP1」、ハードディスクオーディオレコーダの「NAC-HD1」を配置。そのほか、ホームサーバーの「HS1」、ハイビジョンハンディカムの「HDR-SR12」、デジカメのサイバーショットやα、ハイビジョンメディアストレージの「HDMS-S1D」に加え、ネットジューク用ワイヤレススピーカーの「NAS-C5」といった製品も置いてある。

 また、ダイニングスペースには、有機ELテレビの「XEL-1」とともに、ハイビジョンとは関係ないが、なぜかRollyも置かれている。

リビングスペースの様子。BRAVIA KDL-46F1と一緒にソニーの最新機器が接続展示されている リビングスペースのBRAVIA KDL-46F1には各種機器が接続されているのがわかる ロケーションフリーもハイビジョンワールドを構成する重要な機器に

自宅と同じような雰囲気が出るように液晶テレビの後ろの壁紙を選択できる 床に錨が打ってあるのはリビングの広さを確認するためのもの。一番手前が10畳、次が12畳の広さを示す

 そして、書斎スペースには、机の上に、パソコンの「VAIO type L(LT)」を設置し、ウォークマンのAシリーズ、20インチ液晶テレビのBRAVIA「KDL-20M1」、デジタルフォトフレームの「VAIO CP1」、ネットジュークの「NAS-M75HD」、Wi-Fiオーディオプレーヤーの「VGF-WA1」なども置かれている。また、DLNA端子を持たないテレビでもルームリンクで接続し、PCに蓄積されたコンテンツなどを視聴可能にする「VGP-MR200」も展示し、それら機器を結んだデモストレーションが行なえるようになっている。

書斎のBRVIAから、ロケーションフリーでリビングのBRVIAに接続 ネットジュークのNAS-M75HDは、サーバーにもクライアントにもなる DLNA端子を持たないテレビでもルームリンクで接続できるVGP-MR200



■ HDMI、DLNA、Wi-Fiでそれぞれを接続

DLNAは、家庭のLAN端子に接続することで実現するが、それを知らない人も多いという

 リビングスペースのBRAVIAでは、HDMIで接続されたBDレコーダやTP1のコンテンツを視聴したり、DLNA接続されたホームサーバーのHS1や、書斎スペースのVAIO type Lに蓄積されたコンテンツを見たりといったことができるようになっている。

 一方、ダイニングの有機ELテレビも、DLNAでHS1やVAIO type Lのコンテンツの視聴が可能になるほか、書斎のVAIO type Lでは、ロケーションフリーなどを通じて、リビングスペースのBDレコーダの映像を視聴したり、同じく書斎スペースのネットジュークをサーバーとして、ここに蓄積された音楽をPCで楽しむことができる。


置き楽リモコン(左)と、クロスメディアバーの組み合わせで、複数機器の操作が簡単に ダイニングスペース。ちょっとダイニングには見えないが、ここには有機ELテレビとRollyを置いてある 有機ELもDLNAで各種機器と接続されていることが、クロスメディアバーからわかる

 デジタルフォトフレームのCP1には、無線LANを通じて、VAIO type Lなどに蓄積した写真画像を表示することができるようになっているなど、この部屋のあらゆる機器に蓄積されたコンテンツが、HDMI、DLNA、Wi-Fiといったネットワーク環境を通じて、相互に利用できる環境を提示して見せているのだ。

書斎スペース。机の上には、VAIO type Lが設置 書斎スペースではVAIOが中心となる デジタルフォトフレームは、Wi-Fiで接続されている

 また、ソニービルの場合、外部のインターネットに接続できない限定的なネットワーク環境となっているが、パーソナルコンシェルジュルームにおいては、So-net光を導入し、ユーザーの利用環境と同じく、外部のインターネットにも接続できる環境としている。

 「家中のテレビ、レコーダ、パソコンをはじめとした機器同士が接続され、それぞれに蓄積されたコンテンツを、それぞれの場所にいながら利用できる。ハイビジョンの新たな楽しみ方を提案できる」というわけだ。

 これだけの機器を常設しているだけに、同じソニーブランドのPLAYSTATION 3やPSP、ソニーエリクソンの携帯電話との連動提案にも期待したいところだ。

 一方、シアタールームは、SXRDを搭載したプロジェクタのVPL-VW200、VW60を展示し、120インチのスクリーンでの視聴体験ができるほか、9.1ch、7.1ch、5.1chのサラウンドスピーカーシステムの体験、高級アンプによる高音質サウンド、USB接続が可能なレコードプレーヤーによる視聴なども可能になっている。

シアタールーム。120インチのスクリーンが設置されている プロジェクタのVPL-VW200、VW60の2台で視聴できる 液晶テレビでのホームシアターも体感できるようになっている

ソニーが誇る高級アンプ製品の数々も試聴可能に 品薄が続くUSB接続できるレコードプレーヤー「PS-LX300USB」



■ 銀座のソニービルだけの先行サービス

 このように、パーソナルコンシェルジュサービスは、ソニー製品をより快適に利用し、楽しむために、ユーザーをサポートしてくれる、心強いコンサルティングサービスだといえる。

 そして、いまは他社製品を持っていたり、まだハイビジョン機器の購入をしていないという人も、予約することは可能だ。

 佐藤氏は、「パーソナルコンシェルジュサービスを利用する年齢層は30~60代と幅広く、夫婦で一緒に相談をしにくる例少なくない。また、専門知識を持っている必要もなく、女性一人で来ていただいても、安心して利用できる雰囲気にしている。もっと多くの人に、気軽に利用してもらいたい」とする。

 さらに、パーソナルコンシェルジュルームでは、予約が入っていなければ、毎時00分から、パーソナルコンシェルジュルームに設置している無指向性スピーカー「Sountina(サウンティーナ)」の試聴体験も可能となっている。1台105万円のスピーカーを、体験してみるだけでも価値がある。

 また、シアタールームでは、午後1時30分、午後3時30分、午後5時30分の3回、120インチスクリーンによる視聴体験ができる。これらは予約が必要ないため、音響体験とともに、まず、パーソナルコンシェルジュルームの雰囲気を味合うという点で、利用してみるのもいいだろう。

 なかには、地域に展開しているソニーショップの新人研修として、パーソナルコンシェルジュルームを利用するといった例も出ており、ここでの体験が、地域販売店における販売活動にも好影響を及ぼしているようだ。

 なお、パーソナルコンシェルジュサービスは、現在のところ、東京・銀座のソニービルだけの展開となっている。

 大阪・梅田のSony Style Storeでも、ホームシアタールームを設置したり、リビンクを模した展示などを行なっているが、体系化した形ではサービスを提供していない。

 「パーソナルコンシェルジュサービスは、銀座で先行しているサービス。大阪・梅田のSony Style Store、東京・お台場のメディアージュでは、パーソナルコンシェルジュサービス専用コーナーは用意していない。だが、スタッフに声をかけていただければ、これらのショールームでも、商品を体験いただいたり、相談させていただくことは可能」という。

 最先端のハイビジョン対応機器を、「つなぐ」環境で体験できる場は意外にも少ない。その点でも、今後、ぜひ広げてほしいサービスだといえる。

現在、Sony Showroomでは、32インチのブラウン管テレビのスペースに、46インチのテレビが置けることを訴求したり、インチごとに最適な視聴距離はどの程度かといったものを体感できる展示も行なっている 消費電力を示して、エコの観点からの訴求も行なっている


□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ソニービルのホームページ
http://www.sonybuilding.jp/
□「パーソナル コンシェルジュ」紹介ページ
http://www.sony.jp/showroom/ginza/personal_concierge/index.html

(2008年7月22日)


= 大河原克行 =
 (おおかわら かつゆき) 
'65年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を勤め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。BCN記者、編集長時代を通じて、15年以上に渡り、IT産業を中心に幅広く取材、執筆活動を続ける。

現在、ビジネス誌、パソコン誌、ウェブ媒体などで活躍中。PC Watchの「パソコン業界東奔西走」をはじめ、Enterprise Watch、ケータイWatch(以上、インプレス)、nikkeibp.jp(日経BP社)、PCfan(毎日コミュニケーションズ)、月刊宝島(宝島社)、月刊アスキー(アスキー)などで定期的に記事を執筆。著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「松下電器 変革への挑戦」(宝島社)、「パソコンウォーズ最前線」(オーム社)など。

[Reported by 大河原克行]


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