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■ SHURE、iPodのカラーリングを意識したエントリーモデルを発表
現在も好調な高級イヤフォンのブームは、2003年に登場したSHUREの「E5c」に遡る。当時SHUREはプロ用機器として、ミュージシャンがステージで自分の音をモニターするためのイヤフォンを作っていたが、その技術を使ってコンシューマ用のモデルを作ってみた、というのが最初である。 当時のSHUREブースは、サウスホール1Fの階段の下にある畳二畳分ぐらいのスペースに机を2つ置いただけ、スタッフもたった一人という手作り感あふれるところからスタートした。マイクロフォンなどプロ用機ではよく知られているが、コンシューマではまったく無名で、立ち寄る人も少なかった。そんな中、訪れた筆者に「まだプロトタイプなんだけど」と上気した顔でうれしそうに製品をデモしてくれたのをよく覚えている。
以降年々ブースが拡大しているが、今年は2階建てでDJのイベントなども行なう、巨大ブースとなった。ただ今回新製品としては少なく、イヤフォンとしてはローエンド向けの「SE115」のみとなっている。ドライバは得意のバランスドアーマーチュアではなく、ダイナミック型となっている。
なおSE115にはキャリングケース、約90cmの延長ケーブル、3サイズのフォームラバーイヤーピース、3サイズのシリコンイヤーピースがセットとなっている。価格は119.99ドルで、実売は99.99ドル程度。発売は2月を予定。
X2Uはバスパワーで動作するため電源も不要で、USBプラグアンドプレイ対応。プリアンプも内蔵し、マイクのゲイン調整も可能なほか、本体脇にモニター用のイヤフォンコネクタがあり、マイクの音とPCからのサウンドトラックをミックスしながらモニターすることができる。USBへの出力は16bit/48kHzとなっている。市場想定価格は154ドルで、今年4月発売予定。
■ Sennheiserの新モデルはオンイヤー型
SHUREの斜め向かいに位置するのが、ドイツの名門Sennheiserのブースだ。今回はBOSEの「オンイヤー」のようなスタイルの新モデルが3つお目見えした。 3モデル中の最上位の「HD 238」は、ダイナミック・オープン型ヘッドフォン、周波数特性は16~23kHz。注目のイヤーパッドは、耳に当たる部分のみがレザー仕上げで、まわりはスポンジ状となっている。
フィット感は非常によく、音質的にもSennheiserらしくナチュラルで、バランスが取れた音だ。キャリングポーチが付属し、価格は99.95ドルと結構安い。まさにBOSE「オンイヤー」の強力な刺客となりそうだ。
エントリーモデルのHD 218も同じくダイナミック・密閉型の小型で、周波数特性19~21kHz。フィット感、音質共に上の2モデルとは結構差が大きい。価格は44.95ドルとなっている。すでに全モデルとも発売が開始されている。
■ KOSSからもユニークなモデルが登場
「CC_01」は一見The Plug似のイヤフォン。特徴的な低反発スポンジのようなイヤーピースは同じだが、これまでThe Plugを装着するためには、このイヤーピースを一旦指で潰して素早く耳に差し込む必要があった。
スペックがまだ公開されていないため確信はないが、聴いた感じでは低域がThe Plugのようには出ておらず、おそらく別ユニットなのではないかと思われる。3月発売予定で、価格は149.99ドル。 KDE/250は、メタリックな感じがかっこいいイヤークリップ型の新モデル。20mmの低域用、13mmの中高域用2つのドライバーユニットを搭載したモデルで、耳の中には中高域用ユニット部分を縦方向に差し込むようになっている。耳に縦方向に差し込む方式は、かつてSONYなどでもスポーツモデルとして製品が出たことがあるが、あれはオーバーヘッド型だった。イヤークリップ型でこのスタイルは珍しい。 イヤークリップ部は金属の棒で、長さの違う3種類が付属する。またクリップとユニットの高さは、横の円筒形の金属部分をグルグル回して調整できる。音質はかなり派手で、元気のいい中高域に別途低域をプラスしたようなサウンドだ。4月発売予定で、価格は249.99ドル。
■ 新しい音楽配信事業に乗り出すSanDisk
米国ではナショナルブランドということで、SanDiskやCreativeのMP3プレーヤーは結構強い。今回はメモリ事業とも組み合わせて、新しい音楽配信事業を展開する。
slotRadioミュージックカードは一見普通のMicroSDカードだが、内部にはビルボードチャートから厳選された1,000曲の音楽があらかじめ収録されている。さらに専門家によってジャンルや7つのプレイリストに分類されており、テーマや気分によって選択できるようになっている。まだ現物もないのでDRMなどがどうなっているのかなど何とも言えないが、どうやら曲の消去ができないROMカードになるようだ。
またメモリカードをメディアにして音楽を提供することで、購入してから最短で音楽を聴くことができる。ハイテクを利用しながらも、消費者の行為としてはものすごく原始的という、いかにもアメリカっぽいソリューションである。
従来音楽を買うという行為は、自分の好きなものを厳選して購入するものである。iTunes Storeの出現により、アルバム内の曲でも1曲単位で購入できるようになり、さらにその傾向が強まった。一方slotRadioミュージックカードによる音楽供給は、購入者には気に入らないかもしれない曲も含まれるかもしれないが、それでも1,000曲が格安で手に入る。その中には、思いがけない発見もあるかもしれない。 究極のコンピレーション販売と言えなくもないが、これはよく考えれば、アメリカ流のFMラジオの在り方との類似性を見いだすことができる。アメリカには各都市ごとにローカルFM局が大量にあり、それぞれが専門ジャンルを担っている。日本ではなかなかイメージできないが、ネットラジオのような状態が電波でガンガン流れていると想像してもらえればいいだろう。 つまり多くのアメリカ人にとって、今でも新しい音楽との出会いは、FMラジオなのである。もちろんFMラジオは到達距離が短いので、環境次第では室内で聴けないこともあるし、都市部から少しドライブすると聞こえなくなる。そのデメリットを埋めて、さらに新しい音楽販売と組み合わせたソリューションが、slotRadioの基本コンセプトであると言える。 日本では理解しづらいソリューションだとは思うが、もし日本で展開するとすれば、昭和ナツメロ大全とかのCDボックスセットがこれに置き換わって、テレフォンショッピングなどでオジサンオバサンが買うようなイメージになるのだろうか。あるいは「80年代ニューロマンティックエレポップ入門」とか、「いいから子供はこれ聴いてからもう一回出直して来いよ、な? 的70年代ブリティッシュロック大全」のようなものがあれば、若手にも受けるかもしれない。
発売時期は今年初旬、sansa.comでのオンライン販売と全米4,400店舗を持つ家電量販店「RadioShack」で販売されるという。
□International CESのホームページ(英文)
(2009年1月9日)
[Reported by 小寺信良]
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