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4倍速DVD-Rダビング対応のハイブリッドレコーダ
パイオニア「DVR-77H」
発売日/11月下旬
価格/オープンプライス(実売価格14万円前後)


■ 主な特徴

 DVR-77Hは、80GB HDDを搭載したDVD-R/RWレコーダ。世界初のDVDレコーダ「DVR-1000」から、2000、7000、3000と続いたシリーズ最新機種となる。今冬の新ラインナップの中では、120GB HDDの「DVR-99H」と、HDDなしの「DVR-55」との中間に位置する。

 従来のフラッグシップモデル「DVR-7000」譲りとなる、プログレッシブ出力、BSアナログチューナ、DV端子といった付加価値もさることながら、4倍速記録の「DVD-R Ver.2.0 4x Revision 1.0」と、2倍速記録の「DVD-RW Ver.1.1 2x Revision 1.0」に対応したことが最大の特徴だ。

 高速記録メディアを活用できるハイブリッドレコーダは、今のところ本機と上位機種のDVR-99Hのみ。HDDからのダビングが高速化するため、HDD内の録画番組を頻繁に書き出すライブラリ派にとって、気になる存在だろう。もちろん、従来のDVD-R Ver.2.0(for General)、DVD-RW Ver.1.0/1.1も使用できる。

 さらに、DVD-RWディスク(ビデオフォーマット)でファイナライズの解除ができるようになったのも特徴。他のDVDプレーヤーとの互換性のため、一時的にファイナライズしたDVD-RWディスクも、ファイナライズを解除すれば再び録画や編集が行なえるようになる。

ボタンの表記は日本語。上位モデルのDVR-99Hは、英語表記を採用している。スリム化が進むディスクレコーダの例に漏れず、DVR-7000から11.5mm薄くなっている 右端のジョグシャトルはコマ送り動作がだけでなく、メニュー内のカーソル移動にも利用できる

 録画モードは、FINE、SP、LP、EPの4モード。加えて、32段階のMN(マニュアル)設定も利用可能。MNと録画モードの関係は、FINE=MN32、SP=MN21、LP=MN9、EP=MN1となっている。音声記録は256kbpsのドルビーデジタル。ただし、FINEとMN32のみ、自動的にリニアPCM記録となる。

 DVR-77Hは同社初のHDD搭載モデルになるが、HDDレコーダとしての機能はシンプルだ。追いかけ再生や同時録画再生に対応するが、常時タイムシフト状態にあるわけではなく、録画時のみ可能。また、HDD内の番組に対しては、CMカットなどの編集が一切行なえない。編集はDVD-R/RWへのダビング時のみ可能で、プレイリストもDVD-RW上でしか作成できない。

 予約録画数は1カ月32番組。Gコード予約にも対応するが、リモコンに液晶ディスプレイがないため、入力はOSD上で行なう。録画設定後は、録画ボタンを押すことなく予約待機に入る。DVDビデオなどを視聴しながらのHDD録画も可能だ。なお、DVD-RWのVRフォーマットを除き、HDD、DVDとも二カ国語放送の両音声を同時に録音できない。あらかじめ、主音声、副音声のどちらを録音するか設定する必要がある。

 画質調整の項目が多いのも特徴。ノイズリダクションは、YCR(輝度)、CNR(カラー)、QNR(モスキート)の3種類を個別に設定できる。そのほか、シャープネス、黒レベル、色合い、色の濃さ、クロマディレイなども調整可能。ユーザーメモリがHDD用、DVD用で各3個用意されるなど、平均的なディスクレコーダとしては充実している。ただし、ゴーストリダクションは搭載していない。

 また、同社の中・上級DVDプレーヤーと同じく、プログレッシブ化動作をフィルム素材に最適化するという「ピュアシネマモード」を備えている。DVDビデオの再生機能も充実しているので、ファンノイズさえ許容できれば、プログレッシブDVDプレーヤーとしても活用できるだろう。

 映像入力端子はS映像/コンポジットを3系統を装備。プリセットの画質モードには、旧来メディアのDVD化を意識した「ビデオ」、「レーザーディスク」といった項目もある。さらにDV端子も装備し、外部入力からの映像は、HDD、DVDのどちらにも録画できる。

背面の入出力パネル。コンポーネント出力はD2とRCAの2系統を装備 リモコンは、液晶ディスプレイやフタなどのギミックのないシンプルなデザイン

【DVR-77Hの操作画面】


■ 多彩なダビング機能

 DVR-77Hが本領を発揮するのは、HDDからDVD-R/RWへのダビング時だ。CMカットなどの番組編集が可能になるほか、「高速ダビング機能」による再エンコードなしのコピーが可能。これに4倍速書き込みが加わるため、HDDからDVD-R/RWへのダビングに関しては、かなり充実した仕様となっている。「1回だけ録画可能」の番組(コピーワンス)もDVDに移動できる。

 DVD-R/RWへダビングするには、まず「ダビングリスト」を作る必要がある。これは、ダビングしたいタイトルを集めたもので、各タイトル毎にチャプタの挿入、不要部分の消去、チャプタの入れ替えといった作業をここで行なう。

 ダビングリストの作成後、「高速」、「FINE」、「SP」、「LP」、「EP]、「MN」、「ジャスト」からダビングスピードを選択する。なお、「高速」以外は再エンコードがかかり、ダビングスピードが等速になってしまう。その代わり、ビットレートの大きく異なるタイトル、4:3と16:9が混在したディスクなどが作成可能になる。また、フレーム単位のチャプタ挿入も、高速モードでは不可能。チャプタ分割は、約0.5秒単位となる。また、ダビングモードの「高速」では、VRフォーマットにしか記録できないコピーワンス映像を移動できない。フレーム編集にして、VRフォーマットのDVD-RW Ver.1.1へ移動すれば高速記録が可能になる。

 試用して気に入ったのが、やはり高速メディアによるダビングの速さ。FINEモードで録画した44分57秒の番組をダビングしたところ、等速メディアでは、DVD-Rで38分15秒、DVD-RWで38分21秒かかった。一方、DVD-R 4Xは9分52秒、DVD-RW 2X(VRフォーマット)は19分4秒で完了。これだけ速いと、いままで消去していた番組も、億劫がらずにDVD化したくなる。

【HDD記録時間と1時間番組のダビング速度】
(数値はカタログスペック)
録画モード 録画時間(HDD) 1時間番組のHDD→DVDダビング速度
DVD-R 2.0/4X DVD-RW 1.1/2X DVD-R 2.0
(倍速対応)
DVD-R 2.0 DVD-RW
1.0 1.1
FINE 約17時間 約15分
(4倍)
約30分
(2倍)
約60分
(等倍)
SP 約34時間 約7分30秒
(8倍)
約15分
(4倍)
約30分
(2倍)
LP 約68時間 約4分
(16倍)
約7分30分
(8倍)
約15分
(4倍)
EP 約102時間 約2分30秒
(24倍)
約5分
(12倍)
約10分
(6倍)
MN 約17~102時間 (ビットレート設定値に準じる)

【DVR-77Hの録画サンプル】
(c)CREATIVECAST Professional
録画モード ビットレート タイプ 音声 解像度 サンプルファイル
FINE 9.19Mbps VBR リニアPCM
(1,536kbps)
720×480ドット

fine.mpg(23.5MB)
SP 5.20Mbps VBR ドルビーデジタル
(256kbps)
720×480ドット

sp.mpg(13.1MB)
LP 2.57Mbps VBR ドルビーデジタル
(256kbps)
352×480ドット

lp.mpg(6.55MB)
EP 1.65Mbps VBR ドルビーデジタル
(256kbps)
352×240ドット

ep.mpg(4.21MB)
MN31 8.71Mbps VBR ドルビーデジタル
(256kbps)
720×480ドット

mn31.mpg(22.3MB)
編集部注: DVデッキ「WV-DR5」で再生したCREATVECAST Professionalの映像をRF経由でDVR-77Hに入力、各モードで録画した後、DVD-R(DVS-RW47C)に記録した。ビットレートの算出にはDVD Bit Rate Viewer Ver.1.4を使用。また、各モードの記録解像度が異なるため、掲載した静止画は800×600ドットで表示したものをキャプチャしている。DVD再生ソフトはPower DVD 4.0で、カラーセットはデフォルト。なお、評価機のため、製品版とは画質が異なる可能性がある。

MPEG-2の再生環境はビデオカードや、ドライバ、OS、再生ソフトによって異なるため、掲載したMPEG-2画像の再生の保証はいたしかねます。また、編集部では再生環境についての個別のご質問にはお答えいたしかねますのでご了承下さい。


■ まとめ

DVR-77Hで作成したDVDのメニュー
 高速メディアへの対応、再エンコードなしの高速ダビングなど、ダビング機能がとにかく強力。他機種に対しても大きなアドバンテージだろう。録り捨てるタイプのユーザーより、頻繁にDVD化を行なうライブラリ派におすすめしたい。

 また、チューナやノイズリダクションのかかり具合など、画質の面でも感心することが多かった。プログレッシブ出力に対応するなど、DVDビデオの再生機能にも力が入っている。メニュー操作も、サムネイルの表示以外に待たされることはなかった。

 弱点は、EPGがないことと、4倍速DVD-Rがまだ高価なこと。また、機能差はあるものの、DMR-HS1やRD-XS30と比べて、気軽に購入できる価格でもない。120GB搭載の上位機「DVR-99H」も気になるところだ。4倍速DVD-Rメディアが今以上に廉価になれば、激戦区のハイブリッドレコーダの中でも付加価値の高い製品になるだろう。

【DVR-77Hの主な仕様】
HDD 約80GB
再生可能ディスク DVDビデオ、DVD-R/RW、音楽CD、ビデオCD、CD-R/RW
録画可能ディスク DVD-R/RW
入出力 DV 1系統
映像入力 S映像×3系統、コンポジット×3系統
映像出力 コンポーネント(RCA)×1系統、D2×1系統、S映像×2系統、コンポジット×2系統
音声入力 アナログ×3系統
音声出力 光デジタル×1系統、アナログ×2系統
消費電力 約55W(待機時0.74W)
外形寸法 420×360×95.5mm(幅×奥行き×高さ)
重量 約6.4kg

□パイオニアのホームページ
http://www.pioneer.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.pioneer.co.jp/press/release348-j.html
□製品情報
http://www.pioneer.co.jp/catalog/dvdr/dvr-77h.php
□関連記事
【11月12日】パイオニア、120GB HDD搭載のハイブリッドレコーダ
―DVR-77Hの上位機種、本体色はゴールドに
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【11月8日】DVDメディア価格調査 新宿編
~ パイオニア製の高速記録対応ディスクが4種類登場 ~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20021108/ps_dvd.htm
【9月25日】パイオニア、同社初のHDDとDVD-R/RWのハイブリッドレコーダ
―4/2倍速DVD-R/RWドライブ搭載、最大24倍速ダビングが可能
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020925/pioneer.htm

(2002年11月28日)

[AV Watch編集部/orimoto@impress.co.jp]


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