DVR-77Hは、80GB HDDを搭載したDVD-R/RWレコーダ。世界初のDVDレコーダ「DVR-1000」から、2000、7000、3000と続いたシリーズ最新機種となる。今冬の新ラインナップの中では、120GB HDDの「DVR-99H」と、HDDなしの「DVR-55」との中間に位置する。 従来のフラッグシップモデル「DVR-7000」譲りとなる、プログレッシブ出力、BSアナログチューナ、DV端子といった付加価値もさることながら、4倍速記録の「DVD-R Ver.2.0 4x Revision 1.0」と、2倍速記録の「DVD-RW Ver.1.1 2x Revision 1.0」に対応したことが最大の特徴だ。 高速記録メディアを活用できるハイブリッドレコーダは、今のところ本機と上位機種のDVR-99Hのみ。HDDからのダビングが高速化するため、HDD内の録画番組を頻繁に書き出すライブラリ派にとって、気になる存在だろう。もちろん、従来のDVD-R Ver.2.0(for General)、DVD-RW Ver.1.0/1.1も使用できる。 さらに、DVD-RWディスク(ビデオフォーマット)でファイナライズの解除ができるようになったのも特徴。他のDVDプレーヤーとの互換性のため、一時的にファイナライズしたDVD-RWディスクも、ファイナライズを解除すれば再び録画や編集が行なえるようになる。
録画モードは、FINE、SP、LP、EPの4モード。加えて、32段階のMN(マニュアル)設定も利用可能。MNと録画モードの関係は、FINE=MN32、SP=MN21、LP=MN9、EP=MN1となっている。音声記録は256kbpsのドルビーデジタル。ただし、FINEとMN32のみ、自動的にリニアPCM記録となる。 DVR-77Hは同社初のHDD搭載モデルになるが、HDDレコーダとしての機能はシンプルだ。追いかけ再生や同時録画再生に対応するが、常時タイムシフト状態にあるわけではなく、録画時のみ可能。また、HDD内の番組に対しては、CMカットなどの編集が一切行なえない。編集はDVD-R/RWへのダビング時のみ可能で、プレイリストもDVD-RW上でしか作成できない。 予約録画数は1カ月32番組。Gコード予約にも対応するが、リモコンに液晶ディスプレイがないため、入力はOSD上で行なう。録画設定後は、録画ボタンを押すことなく予約待機に入る。DVDビデオなどを視聴しながらのHDD録画も可能だ。なお、DVD-RWのVRフォーマットを除き、HDD、DVDとも二カ国語放送の両音声を同時に録音できない。あらかじめ、主音声、副音声のどちらを録音するか設定する必要がある。 画質調整の項目が多いのも特徴。ノイズリダクションは、YCR(輝度)、CNR(カラー)、QNR(モスキート)の3種類を個別に設定できる。そのほか、シャープネス、黒レベル、色合い、色の濃さ、クロマディレイなども調整可能。ユーザーメモリがHDD用、DVD用で各3個用意されるなど、平均的なディスクレコーダとしては充実している。ただし、ゴーストリダクションは搭載していない。 また、同社の中・上級DVDプレーヤーと同じく、プログレッシブ化動作をフィルム素材に最適化するという「ピュアシネマモード」を備えている。DVDビデオの再生機能も充実しているので、ファンノイズさえ許容できれば、プログレッシブDVDプレーヤーとしても活用できるだろう。 映像入力端子はS映像/コンポジットを3系統を装備。プリセットの画質モードには、旧来メディアのDVD化を意識した「ビデオ」、「レーザーディスク」といった項目もある。さらにDV端子も装備し、外部入力からの映像は、HDD、DVDのどちらにも録画できる。
■ 多彩なダビング機能 DVR-77Hが本領を発揮するのは、HDDからDVD-R/RWへのダビング時だ。CMカットなどの番組編集が可能になるほか、「高速ダビング機能」による再エンコードなしのコピーが可能。これに4倍速書き込みが加わるため、HDDからDVD-R/RWへのダビングに関しては、かなり充実した仕様となっている。「1回だけ録画可能」の番組(コピーワンス)もDVDに移動できる。 DVD-R/RWへダビングするには、まず「ダビングリスト」を作る必要がある。これは、ダビングしたいタイトルを集めたもので、各タイトル毎にチャプタの挿入、不要部分の消去、チャプタの入れ替えといった作業をここで行なう。 ダビングリストの作成後、「高速」、「FINE」、「SP」、「LP」、「EP]、「MN」、「ジャスト」からダビングスピードを選択する。なお、「高速」以外は再エンコードがかかり、ダビングスピードが等速になってしまう。その代わり、ビットレートの大きく異なるタイトル、4:3と16:9が混在したディスクなどが作成可能になる。また、フレーム単位のチャプタ挿入も、高速モードでは不可能。チャプタ分割は、約0.5秒単位となる。また、ダビングモードの「高速」では、VRフォーマットにしか記録できないコピーワンス映像を移動できない。フレーム編集にして、VRフォーマットのDVD-RW Ver.1.1へ移動すれば高速記録が可能になる。 試用して気に入ったのが、やはり高速メディアによるダビングの速さ。FINEモードで録画した44分57秒の番組をダビングしたところ、等速メディアでは、DVD-Rで38分15秒、DVD-RWで38分21秒かかった。一方、DVD-R 4Xは9分52秒、DVD-RW 2X(VRフォーマット)は19分4秒で完了。これだけ速いと、いままで消去していた番組も、億劫がらずにDVD化したくなる。
■ まとめ
また、チューナやノイズリダクションのかかり具合など、画質の面でも感心することが多かった。プログレッシブ出力に対応するなど、DVDビデオの再生機能にも力が入っている。メニュー操作も、サムネイルの表示以外に待たされることはなかった。
弱点は、EPGがないことと、4倍速DVD-Rがまだ高価なこと。また、機能差はあるものの、DMR-HS1やRD-XS30と比べて、気軽に購入できる価格でもない。120GB搭載の上位機「DVR-99H」も気になるところだ。4倍速DVD-Rメディアが今以上に廉価になれば、激戦区のハイブリッドレコーダの中でも付加価値の高い製品になるだろう。
□パイオニアのホームページ (2002年11月28日) [AV Watch編集部/orimoto@impress.co.jp]
|
|