■ DivX対応DVDプレーヤーが、ネットワークにも対応 今回取り上げるのは、長瀬産業の「DVX-500」とアイ・オー・データ機器の「AVeL LinkPlayer」。ともに、DivX対応DVDプレーヤーだ。DivX対応のDVDプレーヤーは両製品以外にもいくつかあったが、Ethernet端子を装備しネットワークに対応したことが最大の特徴だ。つまり、通常のDivX対応DVDプレーヤーとして利用できるだけでなく、PC上のメディアファイルの再生にも対応している。 DivX出力が可能なメディアレシーバーとしては、バーテックスリンクの「MediaWiz」が発売されているが、今回の両製品はDivX対応DVDプレーヤーにMediaWizを組み込んだような製品だ。 最近のDivX人気とあわせて、DivX対応DVDプレーヤーの人気は高いが、ネットワークレシーバの機能を組み込んでいるとあって、読者の注目度も高く、発表時の記事は共に週間ランキングの上位にランクインした。価格もDVX-500が22,800円(直販価格)、LinkPlayerが29,800円(標準価格)と比較的安価で、従来のDivX対応DVDプレーヤーと比較しても充分に値ごろ感がある。 ともに、デコーダチップにSigma Designの「EM8550」を採用するなど、基本的な機能や性能は似通っている。今回は、両機種の違いを中心に、使い勝手をレポートする。
■ 高級感あるDVX-500と、DVI搭載のLinkPlayer 「DVX-500」は、ミラータイプのフロントパネルを採用。一方、LinkPlayerは、シルバーのボディカラーを採用したオーソドックスなものだ。 ミラーパネルは、一時期DVDレコーダで松下や東芝が採用していたが、最近ではやや減ってきているが、高級感のあるデザインという意味では「DVX-500」はなかなかのもの。一方のLinkPlayerは、電源スイッチが押し込んでロックするタイプだったりとややチープな印象だ。
外形寸法/重量はDVX-500が420×265×50mm(幅×奥行き×高さ)、LinkPlayerが430×250×48mm(同)。比べてみるとややDVX-500の奥行きが長いが、その他はほぼ同サイズ。
DVX-500は、100BASE-TX Ethernetに加え、コンポーネント出力端子、S映像出力、コンポジット出力、光デジタル出力、同軸デジタル出力、アナログ音声出力を装備する。 一方のLinkPlayerは、100BASE-TX Ethernetに加え、D4端子、S映像、コンポジット、光デジタル音声、同軸デジタル音声、アナログ音声を装備するほか、DVI-I出力を備えているのが特徴と言える。なお、DVIはHDCPには対応していない。
■ DVDプレーヤーとしての再生性能は高い
基本的に両機種の機能は同じで、通常のDVDプレーヤーとして利用する[DVD(ディスク)モード]と[ネットワークモード]が用意されている。DVDモードでDVDビデオを再生し、コンポーネント出力を行なったところ、両機種とも再生性能はなかなか高く、2万円台のDVDプレーヤーとしては満足いくものだった。 ノイズ成分もさほど感じず、不自然な輪郭の破綻なども無く、総じてうまくまとまっている。同じデコーダチップを使っていることもあり、比較的同傾向の画質と感じた。 DVDプレーヤーとしての操作性はごく普通のもの。DVDモードからネットワークモードに切り替えた際も、再生ポイントを記憶するブックマーク機能を備えているため、DVDモードに戻った後もそこから視聴できる。 リモコンはLinkPlayerの方が日本語表記でわかりやすいが、再生系のボタンが下部にまとめられてしまっているため、DVDプレーヤーとして利用する際はDVX-500のほうがシンプルで操作しやすい。
気になったのは、ともにディスクをトレーにセットした際に再生ボタンを押しても、トレーが自動的にしまらないこと。国産プレーヤーなどでは大抵トレーにディスクを置いた後、再生ボタンを押すとトレーが閉じ、再生が始まるが、そうした機能を有していない。細かいところの作り込みは今ひとつといったところか。 なお、リージョン1のディスクを入れたところ、DVX-500は試作機のためか再生できた。しかし、製品仕様ではリージョン2固定となっているので、製品化時には修正されるかもしれない。LinkPlayerではリージョン1のディスクを再生できなかった。
■ ネットワーク機能をテスト 本題とも言えるネットワーク再生機能はサーバーソフトとして、DVX-500では「TransGear Media Server」、LinkPlayerは「AVeL LinkServer」を利用する。
TransGear Media ServerとAVeL LinkServerともに設定は簡単で、インストールして映像/音楽/写真の各ファイルのディレクトリを指定するだけだ。デフォルト設定は、マイドキュメント以下の[マイビデオ]、[マイミュージック]、「マイピクチャ」に割り当てられている。 TransGear Media Server、LinkServerともに、「MediaWiz」のMedia Serverとほぼ同じで、使い勝手も非常に似ている。違いはスキンを変えた程度という感じだ。機能は非常にシンプルで、特に戸惑うようなこともないだろう。
早速、DVDプレーヤーからネットワーク経由でパソコンにアクセス。まずは本体の設定だが、ともに、DHCP対応なので、ルータなどDHCPサーバーがあればネットワーク系の設定は全く必要なく、サーバーソフトを立ち上げているだけで、サーバーを見つけて登録してくれる。 DVX-500は、十字カーソルボタンとEnterキーで選択/決定動作を行ない、Returnキーで一段上のフォルダ階層への移動となっている。LinkPlayerも操作性はほぼ同等で、十字カーソルと決定ボタン、戻るボタンなどで再生メディアの選択再生を行なう。 基本的な操作性は非常に良く似通っているし、DVDプレーヤーから行なえることもほぼ同様だ。さらに、DVX-500のTransGear Media Serverをインストールしたパソコンに、AVeL LinkPlayerからもアクセスでき、その逆もまた可能だった。おそらくソフトウェア/ハードウェアともに同じプラットフォームを利用しているためだろう。 本体機能の唯一の相違点とも言えるのが、DVX-500のみインターネットラジオ機能を搭載していること。また、対応OSはMedia ServerがWindows 2000/XPのみだが、LinkServerはWindows 98 SE/Me/2000/XPに加え、Mac OS X 10.3以降にも対応している。 ビデオ再生機能は両機種とも、DivXのほか、MPEG-1/2やXviDの再生に対応する。本体が対応するメディアファイルは、DivXやXviDは4Mbpsまで、MPEG-2はLinkPlayerが8Mbpsまで、DVX-500が12Mbpsまでとなっている。
DivXは、640×480ドット/1.5Mbps程度の映像であれば、29インチのテレビでもまずまずのクオリティで鑑賞できた。なお、音声のみの場合は、Ogg Voribisに対応しているが、DivXやXviDのオーディオ形式は、MP3かAC3にしておく必要がある。 両機ともに、DivXとMPEGファイルではそれぞれ4倍速の1/2/3/4倍速の早送り/戻りが行なえる。ただし、リモコンのレスポンスが悪いのか、ネットワークの遅延なのかはわからないが、操作を行なってから2秒程度のタイムラグがあるので、狙ったところで止めるのは慣れが必要だ。 オーディオ機能は、アーティスト/アルバム/ジャンル別ごとの選択のほか、指定フォルダの階層をそのまま表示する。対応するオーディオ形式はMP3/WMA/WAV/Ogg Voribisなど。 DVX-500では、ファイルを選択して再生すると、1ファイルづつ再生され、アルバム単位やフォルダ単位の再生には、Repeatキーを利用する。なお、シャッフル再生には対応しない。LinkPlayerでは、フォルダの全曲再生やシャッフル再生に対応する。
【12月16日追記】
フォト機能は、BMP/JPEGなどの静止画像の表示が可能。スライドショー表示にも対応する。 また、DVX-500のみインターネットラジオ機能を搭載する。登録局数も多く、なかなか面白い機能だ。
さらに、LinkPlayerには、ファイルコンバート/管理ソフト「MediaSink」もバンドルされており、WMVやXVDを簡単にVCD/MPEG形式に変換できるほか、MPEGからWMVへの変換にも対応する。 なお、今回はテストしていないが、DVX-500は12月末に発売予定のIEEE 802.11g対応の無線LANブリッジアダプタ「WLAN-AP/B」で、LinkPlayerは、アイ・オー製のCF型無線LANカード「WN-B11/CFL」(7,500円)を使用することで、無線LAN対応となる。 ■ まとめ 基本的な仕様はほぼ同じなので、購入を検討している人は、デザインの好みや価格で選んでもよいだろう。一見DVX-500の方が安く感じるが、DVX-500は「直販価格」で22,800円、LinkPlayerは実売では25,000~27,000円程度となるので、実質的な価格差は3,000円程度。 LinkPlayerの特徴である、DVI端子やMacintosh対応に魅力を感じれば、約3,000円という価格差はさほど大きいものでもない。また、LinkPlayerはデモ機を用意するショップなどもあるので、より詳しく試してみたい人はそうした場所を利用するのも手だろう。ともあれ、従来のDivX対応DVDプレーヤーやMediaWizの価格を考えれば、両機ともにかなり手ごろな価格であることは確かだ。 □TRANSTECHNOLOGYのホームページ (2003年12月12日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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