■ 順調な伸びを示すカムコーダ群 ソニーは現地時間の1月4日、CES 2006プレスカンファレンスの席で、同社初となるHDD内蔵型ハンディカムを発表した。「DCR-SR100」は、30GBのHDDを内蔵したカムコーダ。撮像素子は3Mピクセルの1CCDで、2.7インチのワイド型タッチスクリーンモニタを備える。
記録方式は映像がMPEG-2で、音声は内蔵マイクでドルビーデジタル5.1chサラウンド収録が可能となっている。最高ビットレートは9Mbpsと、DVDハンディカムに合わせている。 全体としては高さを抑えた円筒形で、バッテリを横に装着するスタイルがユニークだ。ボタン類は非常にシンプルだが、液晶内部に備えられた「DVD BURN」ボタンが目を引く。PCとカムコーダをUSBで接続すれば、このボタンを押すだけでDVD-Videoを作成できるという。
また一度作成した部分は記憶しており、次回のDVD作成時には前回書き込んだ部分は再度記録しないといった工夫もなされている。SR100と連動できるPC用DVDオーサリング/ライティングソフトは、カメラに付属する。米国では5月の発売を予定しており、予価1100ドルとなっている。 同時に発表された「DCR-DVD505」は、DVDハンディカムの上位モデル。使用可能なメディアは従来機同様、8cmのDVD-R/RW/+RWとなっている。
撮像素子に2MピクセルのC-MOSを採用し、4Mピクセルの静止画撮影を可能にしている。さらに動画撮影中にも、3Mピクセルの静止画を同時撮影可能。 また独自画像処理ICとの組み合わせにより、最高で240fpsの動画撮影ができる。通常速度で再生すると、滑らかなスローモーションが再生できるというわけだ。このバリアブルレート撮影は、ソニーの放送用機器でも力を入れている部分で、コンシューマにもついにその流れがやってきた革命的なビデオカメラだと言えるだろう。 また3.5インチのワイドタッチスクリーンモニタも新開発しており、従来製品に比べて発色の面で優れているという。オーディオはSR100と同じく、内蔵マイクのみで5.1chサラウンド収録ができる。米国での発売は3月で、予価1,100ドル。 「DCR-DVD405」は、DVDハンディカムのエントリーモデル。撮像素子は3Mピクセルの1CCDで、動画と同時に撮影可能な静止画は、VGAサイズとなる。 このカメラも、内蔵マイクのみで5.1chサラウンド収録が可能となっている。液晶モニタは2.7インチのワイド型タッチスクリーンモニタを搭載する。米国での発売は2月で、価格は900ドル程度となる見込み。
またユニークなアクセサリとして、Bluetoothを使用したワイヤレスマイクが発表された。モノラルマイク内蔵のトランスミッタとレシーバのセットになっており、使用可能な範囲は約30M。
用途としては、子供の発表会やプレゼンテーションの撮影などで、狙った人物の音声を拾いたい場合に、被写体となる人にあらかじめマイクを装着するといった使い方となる。 レシーバは、ソニー独自のAISアクセサリシューを備えたビデオカメラにのみ装着できる。このシューは昨年のモデルあたりから、一部のハンディカムに採用されている。 今回発表された5.1ch収録可能なハンディカムで使用すると、サラウンドのうち、センターの専用マイクとなる。それ以前に発売された2ch収録のハンディカムでは、ワイヤレスのモノラルマイクとして機能するという。価格は199ドルで、米国では今年3月に発売予定。 なお今回のソニーブースは、テーマをコーナーごとに絞った展示であるため、DVカメラのラインナップは別コーナーにひっそりといった恰好で3モデルが展示されていた。米国では日本ほどDVカメラは普及しておらず、Hi-8からいきなりDVDビデオカメラへの移行が行なわれているため、扱いが小さいという面もあるだろう。簡単にスペックのみご紹介する。
「DCR-HC46」は、1MピクセルCCD搭載の横型DVカメラ。12倍光学ズームで、2.7インチのワイド型タッチスクリーンモニタを装備している。今年2月発売で、価格は約500ドル。 ミドルレンジの「DCR-HC36」は、680kピクセルCCD搭載モデル。20倍光学ズームで、2.5型タッチスクリーンモニタを装備。同じく今年2月発売で、価格は約400ドル。 エントリーモデルの「DCR-HC26」は、HC36からメモリースティックDuoスロットなど静止画撮影機能を省いたモデル。これも今年2月発売で、価格は約250ドル。
■ 米国版超弩級type X Living「VAIO XL2」 日本では昨年10月に発表されたものの、発売延期になってしまったVAIO type X Living。CESで米国向けに発表されたtype X Living相当のマシン「VAIO XL2」は、WindowsXP + Do VAIOではなく、Windows XP MCE 2005を搭載したモデル。アナログ地上波とデジタル地上波チューナを搭載しているあたりは日本モデルと同じだが、タイミング的にIntel Viivテクノロジー対応を謳っている。もちろん最大の特徴である、HDMI出力は健在。 だがすごいのが、その下の部分だ。なんと、CD/DVDチェンジャーだそうである。収納枚数は、なんと200枚。上のPC部とはi.LINKで接続し、ライブラリ管理が可能となっている。将来的にはBlu-rayに対応する予定もあるようで、まさに米国ならではの超弩級戦艦仕様である。
■ 製品化間近? DLNAで結ぶスゴ録+PC+PSP+BRAVIA 次期DLNAガイドラインであるVer1.5で描けるであろう世界を、ソニーブース内で見ることができる。ビデオサーバとしてスゴ録、クライアントとしてPC、PSP、BRAVIAを接続。すべてのクライアントで、同じGUIのクロスメディアバーを使って、同じ番組をリレー再生できるというデモンストレーションだ。例えばBRAVIAでホームネットワーク経由で、ビデオサーバに録画されているMPEG-2の番組の途中まで見たとしよう。そのあとPSPに切り替えて、続きを無線LANによるMPEG-4 AVCのストリーミングで鑑賞、ということができる。 つまりBRAVIAからPSPに、この番組をどこまで見たよ、という情報を投げることができるのである。今回のデモは、既存のデバイスに多少の改良を加えただけで実現できる技術として、注目度が高い。つまり将来的には、ファームウェアのアップデート程度で、このようなことが実現できる可能性もあるわけだ。
一方PCにも、クロスメディアバーのDLNAクライアントをインストールすることで、すべてのデバイスで同じGUIを使ったコンテンツ操作が可能になっている。 日本のVAIOには、Do VAIOという独自のアプリケーションが搭載されているため、なかなかVAIOとクロスメディアバーが結びつかない。だが将来的なビジョンとして、こういう世界観はアリだろう。 穿った見方をすれば、SCE寄りのソリューション、さらに言えば久夛良木氏主導型とも言える方向性だが、メーカー間の垣根を越えるDLNAが、社内の壁を越えられないのではシャレにもなるまい。 すべてはユーザーの利便性のためにあるべき、という大ナタを、果たしてストリンガー・中鉢両氏が振り下ろせるのか。今後の国内動向にも注目したい。
□2006 International CESのホームページ(英文)
(2006年1月5日)
[Reported by 小寺信良]
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