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19,800円地デジチューナの実力は?
“地デジ見るだけ”が新鮮
ユニデン「DT100-HDMI」
8月1日発売
直販価格:19,800円



■ 地デジチューナが19,800円で登場

 2003年12月1日にスタートした地上デジタル放送。スタート当初は、放送エリアが限られていたことや、対応テレビが少なかったため、地上デジタル対応の“単体チューナ”が発売された。ソニーの「DST-TX1(2003年10月発売)」や、パナソニックの「TU-MHD500(2003年9月1日発売)」などが、その代表例だ。

 価格も7〜8万円と高価ではあったものの、当時としては地デジを視聴したい人にとっては、欠かすことのできない製品。しかし、地デジのエリア拡大にともない、地デジチューナ内蔵テレビも増加。あわせてDVD/HDDレコーダにおいても、ハイビジョン対応が進み、市場での激しい競争とともに急速に低価格化。いまでは6万円台でもハイビジョンレコーダが購入でき、そのレコーダを活用すれば、アナログテレビでも地デジ視聴が可能となった。

 一方、単体チューナにおいては、その後新製品の発表もほとんどなく、価格は高止まり傾向。5万円以下で購入できる製品はほとんどない。しかも、新機種が出ていないので、HDMIなど最新のインターフェイスも利用できないなど、魅力的な製品が見あたらない状況だ。シャープがAQUOSシリーズ用に2月に発売した単体チューナ「TU-HD200」は、久しぶりの新製品。i.LINKの省略などで低価格化を図り、4万円台後半で販売開始、現在では3万円台で購入できる店もある。しかし、HDMIを備えていないなど、低価格化したレコーダに比べると、魅力に欠ける。

 しかし、2011年7月22日の地上アナログの停波まで、いよいよ5年を切り、それまでに全家庭のテレビがデジタルチューナ内蔵製品に置き換えられるとは考えにくい。現状のアナログテレビに、外付けチューナを追加して対応するという解決方法も、今後強く要求されていくと思われる。

 そうした要求には、高付加価値/高機能のレコーダ製品より、より低価格かつ機能を絞ったチューナ製品の登場が待たれるところ。そんな中、登場したのがユニデンの「DT100-HDMI」。販売は直販のみだが、HDMI出力を搭載しながら、価格は19,800円(送料込み)と従来製品と比較して圧倒的に安価だ。

パッケージ

 もちろん、低価格の実現のため、省略された機能もある。

 まず、チューナは地上デジタルのみでBS/110度CSデジタルには非対応。さらに、EPGやデータブラウザ機能など、デジタル放送の特徴ともいえる機能も省略。接続端子においても光デジタル出力やi.LINKを備えていない。

 i.LINKが無いため、例えばRec-PotなどのHDDユニットと組み合わせた録画が行なえず、そもそもEPGが無いので予約視聴/録画もできない。そうした意味では「テレビを見る」という基本機能に絞り、設計された製品だ。

 しかし、19,800円という価格にはインパクトがある。3月の発表当初は4月中の発売を予定していたが、その後ソフトウェアの開発工期の問題から、8月まで発売がずれ込んだ。それでもまだ、DT100-HDMIに迫る価格の単体チューナは現れていない。


■ シンプルな本体仕様。本体の軽さに驚き

同梱品

 同梱品はリモコンや電源ケーブル、AVケーブル、アンテナケーブルと、取扱説明書。HDMIやD端子ケーブルは付属しない。

 外形寸法は234×164×59mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約0.5kg。基本は横置きだが、縦置きも可能となっている。ブラックを基調としたシックなデザインで、仕上げも良い。ただ、手に持ってみると思いのほか軽く、形状/デザインのイメージから、AVセレクタのような印象だ。

 従来の3波共用デジタルチューナの質感を考えると、さすがにややチープにも感じるが、主張の少ないデザインで、リビングには馴染みそうだ。前面に電源や、メニューボタン、選局ボタン、カーソルキー、決定ボタンなどを装備。リモコンのほか、本体だけでもほぼすべての操作が可能となっている。

 背面には出力端子系をまとめており、地上デジタルのアンテナ入力と、スルー出力を装備。アナログチューナは内蔵しない。映像出力はHDMI、D4、S映像、コンポジットを各1系統、音声出力を2系統装備する。B-CASカードも背面にスロットを用意している。

本体前面。電源ボタンやカーソルキーなどの操作ボタンも備えている 背面。アンテナ入出力や、HDMI出力、D4端子などを装備する 側面。奥行きは164mmとレコーダなどと比較するとかなり短い
重量は500gで、手で持ってみると思いのほか軽い B-CASカードスロット。ロック機構などは備えていない(写真のB-CASカードはテスト用) リモコン


■ 操作レスポンスは高速。画質も満足

 接続は非常にシンプル。HDMIの場合はテレビと一本のケーブルで接続、D端子などの場合は、映像出力と音声出力をテレビに接続する。

 初回接続時には、接続テレビ設定を行なう必要がある。ここでテレビタイプを、ワイド/4:3から選択。また、D端子接続時には「D端子出力設定」画面が起動し、D1〜D4までの出力信号を設定する。

初回接続時に、テレビタイプやD端子出力設定を実行

テレビ設定後に、自動スキャンでチャンネル設定

 その後はチャンネルの自動スキャンが開始され、自動的にチャンネルが割り当てられる。最近の大手メーカー製デジタルテレビでは、都道府県や郵便番号などの地域情報からチャンネル設定を行なう機器が多い。「DT100-HDMI」ではデータ放送など、地域情報を利用する機能が省かれているため、地域情報は必要ないということなのだろう。

 なお、リモコンのテレビメーカー設定は、TV電源ボタンを押しながら、2桁のメーカーコードを入力する、という、非常にシンプルな方式となっている。


チャンネル設定 ボタン割り当て画面 アンテナレベルを検証
メニューを起動すると、ファームアップなどの「お知らせ」画面が現れる [その他]で、出力の設定などを行なう

 起動は3.5秒程度と非常に高速だ。約3秒で最初に番組名が表示され、その後0.5秒ぐらいで出画される。デジタルチューナ内蔵のテレビ、レコーダ製品の中でも、出画までの速度はトップクラスといっていいだろう。

 リモコンのチャンネル切替も3〜4秒程度と、比較的早い。チャンネルボタンを押した後、タイムラグ無しに黒画面になって切替動作に移るので、実際の切替時間よりもレスポンスが良く感じる。BS/110度CSデジタルチューナを省略したほか、EPGやデータ放送ブラウザなどの付加機能も省くなど、機能を限定した効果なのかもしれないが、このレスポンスの良さは本製品の大きな特徴といえる。

 デジタルへの移行時に、日常利用でもっとも気になる点ともいえる起動/チャンネル切替のレスポンス。アナログ停波に向けて本格的に移行期を迎える際に多くの人が、“デジタルで不便になった”と感じずに、移行するためにも今後さらに重視されるだろう。そうした点で「DT100-HDMI」は、“移行期の単体チューナ”として非常に良くできている。

 機能は非常にシンプルで、二カ国語放送設定や、字幕設定、文字スーパー設定が行なえる程度。番組表機能は省かれているが、チャンネル切替時に番組名が表示されるほか、リモコンの[番組表示]ボタンで番組名が表示できるなど、視聴中のチャンネル情報を確認する機能は備えている。

字幕切替などが可能 番組表は備えていないが、[番組表示]ボタンで番組名を確認できる

 映像出力は、HDMIやD4端子、S映像、コンポジット、アナログ音声を各1系統装備する。HDMIの接続設定では、[自動]のほか、480i/480p/720p/1080iまで選択可能。通常の接続であれば[自動]で問題ないだろう。多くのレコーダなどで備えているHDMIからの音声出力フォーマットの設定などは備えていない。

 37型プラズマテレビ「VIERA TH-37PX600」とのHDMI接続は問題なく出画できた。ただし、HCDP対応DVIを備えた「デル 2407WFP」と、DVI変換コネクタを介して接続を試みたところ、ディスプレイ側でエラーが表示され、出画できなかった。これは、DT100-HDMIのHDMI接続のデフォルト設定が自動で、2407WFPにHDMI接続されていると出力がD3(1080i)に切り替わるが、2407WFPはHDMIのD3(1080i)入力に対応していためだと思われる。HDMI接続の出力設定はHDMI接続してないと切り替えられないため、2407WFPだけではどうすることも出来ない。

 画質はしっかりしており、低価格だからといって不満を感じさせることはなく、デジタル放送の精細感を十分に伝えてくれる。D3接続でもディティールもしっかり表現している。地上デジタル放送のエリアに入っているものの、テレビの買い換えはもう少し待ちたい、という人でも気軽にデジタル放送を楽しめるだろう。

 なお、画質モードの変更機能などはなく、画質の詳細設定機能なども備えていない。そのため、画調/画質を変えたいときには、テレビ/ディスプレイ側の画質変更機能を利用する必要がある。

 音声出力については、外部のAVアンプを利用などの拡張性を考えると、光デジタル出力が省かれているのは残念なところ。もっとも、とにかく低価格な地デジ視聴を狙った製品と考えると、やむを得ないだろう。



■ ただ“地デジ見るだけ”を突き詰めた製品

 従来の大手メーカー製デジタルチューナと比べると、i.LINKの省略に加え、データ放送や番組表の非対応、さらにはBS/110度CSデジタルチューナを省くなど、機能的にはぐっとシンプルになっている。今までの地上アナログチューナを地デジに置き換えるだけの「地デジを見るだけ」の製品ともいえる。

 しかし、その「見るだけ」に機能を絞った結果なのか、レスポンスや使い勝手などの基本性能が高いレベルでまとめられている。レコーダに代表される機能競争とは逆のベクトルで、デジタル放送の魅力を引き出している製品といえる。

 機能的にはシンプルで、あまり趣味性の高い製品とはいえないかもしれない。しかし、19,800円という低価格で発売されたことで、リビングのメインテレビの拡張のみならず、個室用のセカンドテレビの強化、D端子やコンポーネント入力を備えたPCディスプレイでデジタル放送を楽しむ、といった活用の幅が広がる。デジタル放送の手軽な導入を後押しする、画期的な製品といえそうだ。

□ユニデンのホームページ
http://www.uniden.co.jp/
□製品情報
http://www.uniden.jp/8/main.html
□関連記事
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−HDMIやD4出力も搭載
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060731/uniden1.htm
【5月30日】ユニデン、19,800円の地デジチューナを3カ月発売延期
−8月上旬発売に。ソフトウェア検証に時間
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060530/uniden.htm
【3月30日】ユニデン、HDMI出力搭載の地上デジタルチューナ
−送料込み19,800円で直販。i.LINKは非搭載
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060330/uniden3.htm

(2006年8月4日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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AV Watch編集部

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