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第263回:PCI Express x1対応サウンドカードをテスト
〜 TOKYO STYLE「S010」のこだわりをチェック 〜



TOKYO STYLE「S010(DCS-SEV24/PE)」

 パソコンのマザーボードでは、もう標準搭載になってきたPCI Express。しかし、x16のビデオカードこそ、普及してきたものの、x1のほうは、Serial ATAのカードが多少ある程度でほとんど見かけることがない。

 そんな中、おそらくPCI Express初のサウンドカードとして、DIGITAL COWBOYが「TOKYO STYLE」という新ブランドで、「S010(DCS-SEV24/PE)」を12日に発売した。今回、そのS010をお借りして、実力をチェックした。



■ PCI Express x1に対応。アナログ出力はDIN端子経由のステレオミニ

 現在、オーディオ関連用のメインマシンとして使っているのは半年前に購入したキューブ型のベアボーンを組み上げたもの。最近はオーディオインターフェイスもFireWireやUSBばかりなので、こんな小さなマシンでも不自由はまったくない。先週取り上げたONKYOの「SE-200PCI」のような内蔵型のサウンドカードの場合には、以前メインに使っていたタワーに組み込んで利用するため、キューブ型マシンの方は、組み立てて以来、ケースを空けたことなどほとんどなかった。

 ちなみにこのマシン、拡張スロットとしてはPCIとPCI Express x1が1つずつという構成。ともに、何も挿したことがないまま半年が経過していた。そんな中でやってきた今回のサウンドカード。個人的には、初めてPCI Expressのカードを使うことになった。

 すでにニュース記事にもなっているが、スペックなどを改めて確認してみよう。最大の特徴はなんといってもPCI Express x1に対応しているということ。

 そして、中枢にはオーディオコントローラとして、VIAの「ENVY24HT」が搭載されており、7.1chのアナログマルチチャンネル出力を持っている。アナログ入力はライン入力とマイク入力を装備しており、アナログ入出力に関しては、2IN/8OUTという仕様。このアナログ出力はすべてDIN端子経由で付属の変換ケーブルを使って接続し、その変換ケーブルの端子がすべてステレオミニのメスという仕様のため、あまりオーディオマニア受けはしないかもしれない。

PC接続はPCI Expressx1に対応 オーディオコントローラはVIAの「ENVY24HT」 アナログマルチチャンネルを1系統装備



■ ノイズ対策やチップにもこだわり

 サウンドカード本体には光/同軸デジタルそれぞれの入出力を装備。アナログ/デジタルとも、最高で24bit/96kHzでの入出力が可能となっている。今回、光デジタル出力のジッター値の測定はできていないが、デジタル出力部にはCirrus Logicのインターフェイスレシーバー「CS8415A」が採用されており、ここに低ジッターの「クロック・リカバリ・メカニズム」を内蔵していることから、クリーンなクロック信号が生成可能だという。

 さらに、デジタルオーディオ用トランスにはM-Audioのオーディオインターフェイスなどにも搭載されている、M-TEKの「D4101DA」が採用されているのがわかる。

 一方、DACおよびCODECにはWolfsonの「WM8766」と「WM8776」が採用されている。正確にいえば、WM8766はボリュームコントロール付6チャンネルDACで、WM8776は5系統入力選択機能付CODEC。WM8776にもフロント用の2チャンネルのDACが搭載されているので計8チャンネルという構成になっている。

 この2つを利用するという点では、ONKYOのSE-200PCIと同じ。SE-200PCIの場合は、WM8776搭載のDACとは並行してもうひとつ、2チャンネル専用のDACとしてWM8740を搭載しているのが大きな特徴となっていたが、S010は特に2チャンネル専用の出力を別途設けているわけではない。

M-TEKのデジタルオーディオ用トランス「D4101DA」 WolfsonのWM8766/8776を搭載

 TOKYO STYLEはオーディオ専門の新ブランドではないが、こうしたチップを採用しているところからも、こだわりを持って設計しているという意思を感じる。オーディオ専業メーカー製のSE-200PCIのようなところまではいかないが、アナログ部とデジタル部をしっかりと分離させた基板にもなっている。

 また、基板の裏側に黒い電磁波除去プレートを装着して、ノイズのシールドを行なっている。ただ、このシールドによって基板の裏側が約3mmほど膨らんでいる。このため今回使用したマシンでは、ケース内のシャーシ部分とぶつかってしまい、キレイに収めることができないという問題が生じたが、なんとか無理やり装着することはできた。

 そのほかのノイズ対策として、PC内の電磁波を集めてしまうピンヘッダを除去したり、電源ラインにノイズ除去フィルタを搭載するなど、いろいろと工夫している。

基板の裏側には黒色の電磁波除去プレートを装備 3mmほど厚くなってしまうため、ケースによっては取り付けに苦労する



■ 豊富なコンデンサ類を搭載。オペアンプも交換可能

 基板全体を見ても分かるように、コンデンサ類もたくさん搭載されている。主にルビコンのアルミ電解コンデンサ、ZL/MCZシリーズの100μFおよび470μFのものが採用されている。また村田製作所の積層チップセラミックコンデンサが搭載されているのも確認できる。

豊富なコンデンサを搭載 村田製作所の積層チップセラミックコンデンサも確認できる

 また、S010で面白いのは、韓国Audiotrakの「Prodigy 7.1XT」などと同様に、オペアンプがソケットにささっていて、交換可能になっているという点。標準では新日本無線のNJM4580Dが5つ搭載されているが、これをほかのオペアンプに簡単に交換できる。今後、アップグレード用オプションとして同じ新日本無線のNJM2114DDやNJM5532DD、TIのBurr-BrownブランドOPA2277やOPA2604も順次発売していく予定とのこと。まあ、オプションとしての発売を待たなくとも、秋葉原あたりにいけば数百円で入手できるので、簡単に音の違いなどを試すことが可能だ。

オペアンプは交換可能 オペアンプ単体のオプション販売も予定しているという

 S010のドライバはというと、TOKYO STYLEのインストーラは付いているものの、内容はENVY24HTの標準ドライバそのものであり、特に手を加えてあるような感じはない。Envy24 Family Audioのデバイスとして普通に動作した。当然、ドライバの設定画面なども、他のEnvy24HTのデバイスと同様で、ONKYOのSE-200PCIともまったく同じだ。

TOKYO STYLEオリジナルのインストーラが起動するが…… ドライバのインストールを開始すると、ENVY24ファミリー共通インストーラが起動 ドライバ設定なども他のENVY24HTデバイスと同等



■ しっかりした音質

 今回、オペアンプを交換しての測定までは行なわなかったが、恒例のRMAAでのテストも行なった。192kHzには対応していないので、24bit/48kHzでの結果と24bit/96kHzでの結果の2つだ。TOKYO STYLEとして初めての製品ではあるが、しっかるとした、いい結果になっているのが分かるだろう。

 今後、S010に続くPCI Expressのサウンドデバイスが登場してくるのかはわからないが、もしPCI Expressしか選択肢がないのであれば、これを選んでも失敗はなさそうだ。


S010(24bit/48kHz) S010(24bit/96kHz)


□DIGITAL COWBOYのホームページ
http://www.digitalcowboy.jp/
□TOKYO STYLEのページ
http://www.digitalcowboy.jp/tokyostyle/index.html
□製品情報
http://www.digitalcowboy.jp/tokyostyle/products/s010/index.html
□関連記事
【12月12日】DIGITAL COWBOY、VIAチップ搭載高音質サウンドカード
−PCI Express x1採用。実売12,800円
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20061212/dc.htm
【12月11日】【DAL】PCIオーディオボード「SE-200PCI」開発者に聞く
〜 S/N比115dBを実現した設計のこだわりとは? 〜
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20061211/dal262.htm
【10月27日】DIGITAL COWBOY、新PCパーツブランド「TOKYO STYLE」
−高音質サウンドカードやHDMIビデオカードを投入
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20061027/dc.htm

(2006年12月18日)


= 藤本健 = リクルートに15年勤務した後、2004年に有限会社フラクタル・デザインを設立。リクルート在籍時代からMIDI、オーディオ、レコーディング関連の記事を中心に執筆している。以前にはシーケンスソフトの開発やMIDIインターフェイス、パソコン用音源の開発に携わったこともあるため、現在でも、システム周りの知識は深い。
最近の著書に「ザ・ベスト・リファレンスブック Cubase SX/SL 2.X」(リットーミュージック)、「音楽・映像デジタル化Professionalテクニック 」(インプレス)、「サウンド圧縮テクニカルガイド 」(BNN新社)などがある。また、All About JapanのDTM・デジタルレコーディング担当ガイドも勤めている。

[Text by 藤本健]


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