■R2D2を我が家に!~スターウォーズ・プロジェクタ登場 こじんまりしていながらも、黒山の人だかりとテレビ局の取材が殺到していたブースがあった。それはR2D2型のプロジェクタを展示したNIKKO HOME ELECTRONICSブース。 初めに言っておくと、これは客寄せのネタ展示やR2D2風のニセモノロボットではない。実際に製品化を予定しているまじめな製品であり、ちゃんとルーカスフィルムの正式ライセンス許諾商品なのだ。 一見してわかるように、世界的な人気を誇るSF映画「スターウォーズ」シリーズに登場するアシスタント・ロボット「R2D2」の形を模したプロジェクタだ。劇中でレイア姫からの救難要請映像を主人公ルークに見せるシーンがあるが、あれをイメージした製品で、R2D2のモノアイ部分から実際に映像が投写される構造になっている。
ボディサイズは343×328×519mm(幅×奥行き×高さ)と、劇中の設定の2/3程度の大きさ。とはいえ、実際に部屋にあれば相当な存在感となることは間違いない。床に置いた状態で、映像は結構上に投写されるので、投写映像はかなりの仰角。投写画面サイズは80インチ(4:3)まで。80インチ時の焦点距離は5mで固定。ズームレンズはないので、そこそこの投写距離が必要になる。 プロジェクタ部の映像パネルは反射型液晶パネル(LCOS:Liquid Crystal on Silicon)を採用。パネルメーカー名は非公開としながらも中国製だという。解像度は800×600ドットの4:3アスペクト。最大輝度は1,200ルーメン。今回展示されていた試作機はそこまでの明るさはなかったようだが、おそらく目標輝度ということなのだろう。公称コントラストは500:1。 入力端子はコンポジット、S映像、D-sub 15ピンのPC入力を各1系統装備。D-sub 15ピン入力は変換ケーブルを用いることでコンポーネントビデオ入力にも対応する。脚部付近にウーファとツイータからなる10W出力の2ウェイステレオスピーカーも内蔵している。
実はこのR2D2型プロジェクタ、DVDプレーヤー機能も内蔵している。本体前面にトレイがあり、ここにDVDビデオを入れるとその映像を直接投写でき、サウンドも再生可能。映像や音声を外部出力もできる。光デジタル音声出力も備えているので、AVアンプとの接続も可能だ。
前部にはSDカードスロットとUSBコネクタも備えており、メモリ内のJPEG画像も投写可能。オーディオ機能も色々詰め込まれており、前面にiPod用Dockを内蔵。iPod内の音楽/静止画/動画も投写可能。FMトランスミッタ機能まで内蔵と、遊び心満載だ。
実用的機能以外のキャラクタートイとしての機能も充実。後述のリモコン操作により、本体を前後左右、回転移動でき、頭部も劇中と同じように独立回転(右90度/左180度)する。投写レンズの周辺のレンズ部はダミーだが劇中のように赤や青で点灯。LEDのランダムマトリックスパターンも点灯し、SFっぽい雰囲気を醸し出している。 脚部は劇中のようにスライドして動くようになっており、全開脚したときには映像を天井に投写させることが出来るのが面白い。振動や転倒を察知すると、状況に合わせて「ピポパポ」、「ピュギー」というような劇中でお馴染みのSEサウンドを奏でてくれる。 リモコンも凝っていて、なんと劇中で活躍するスターシップ「ミレニアムファルコン号」の形状をしている。アフターバーナーの部分がせり出して、ここに制御用のリモコンキーがレイアウトされている。ボタンは自発光式。DVDプレイヤーの操作ボタンやR2D2本体の制御ボタンなどに加え、ミレニアムファルコン号として遊べるように発光やSEサウンド再生ギミック用ボタンも実装。 まさにスターウォーズ・ファンにはたまらない至りつくせりの作り。気になるお値段は2,500ドル(約28万円)。安くはないが、機能と公式ライセンス商品ということを考えると、なかなか意欲的な価格といえるのかもしれない。発売時期は2007年末。日本での発売も予定されている。惜しむらくは、スターウォーズ新3部作が完結して、ブームが一段落してしまっているという点。これがあと2年早ければかなりのヒット商品になったと思うのだが……。
□NIKKO Americaのホームページ (英文)
■Optoma、フルHD対応DLPプロジェクタをリファイン ~電動アナモーフィックレンズも登場 Optomaは昨年発表したばかりのフルHD対応の単板式DLPプロジェクタ「HD81」のバリエーション製品「HD81-LV」を発表した。 HD81は0.95型DarkChip3世代のフルHD解像度、1,920×1,080ドットDMDパネルを採用した単板式DLPプロジェクタ。1,400ルーメンというフルHD単板式DLPプロジェクタとしてはクラス最高輝度を誇り、入力端子/ビデオプロセッサ部分と、プロジェクションヘッドを分離させたセパレートデザインが特徴。
HD81-LVの基本的ななスペックや構成はHD81と同じだが、光源ランプをより高輝度なものに置き換え、2,500ルーメンを達成。ちなみにLVは「Large Venue」すなわち、「大規模投写環境向き」の意味が込められている。ブース担当者によれば、HD81では賄いきれなかったより大きな画面サイズへの投写に対応させたものだとのこと。具体的には中小規模の業務用シアター、100人程度までのカンファレンス会場などでの利用をメインに想定している。もちろん、明るい環境での現実的な視聴を楽しみたいというハイエンドな個人ユーザーにも訴求していくという。
また、HD81/HD81-LVの双方に対応した自動2.35:1 アナモーフィックレンズ(Anamorphic Lens)の「BX-AL133」が純正オプションとして設定された。 レンズはHD81/LVの動作に完全連動し、入力映像の上下に黒帯があり、2.35:1映像であることが認識されると、電動で投写レンズに組み込まれ、上下の帯をクリップアウトして映像全体をパネル全域に表示。これをレンズ側で適正な2.35:1に光学的に変形して投写する。HD81/LVとアナモーフィックレンズとの連携にはHD81側に実装された12Vのトリガ端子が用いられる。 価格はHD81-LV単体で10,000ドル未満。HD81が5,000~7,000ドルなので、これよりは若干高くなるというイメージだ。レンズとHD81-LVのセット商品も予定されており、13,000ドル程度になる見込み。アナモーフィックレンズの単体発売も予定されており、既存のHD81ユーザーでも利用可能。単体価格は4,000ドルで結構高めだ。 ブース内シアターではこのアナモーフィックレンズを設置した状態で映画ソースを上映。特にパワー不足や歪みも感じられず、かなり自然に見えていた。ブース内シアターは20人くらいの規模の部屋で、画面サイズは150インチ程度。過度に明る過ぎずバランスはよい。
■ビクター、新製品DLA-HD1を展示 ~VPL-VW50との比較デモで優位性をアピール 独自の反射型液晶パネル「D-ILA」を強く推進しているビクターは、2007年2月に、D-ILAプロジェクタの新モデル「DLA-HD1」を発売する。ラスベガス市内のシーザーパレスホテルに設営されたブース内の特設シアターでは、DLA-HD1の映像を、競合製品であるソニーVPL-VW50と横並びにして投写。来場者に画質の優位性をアピールしていた。
DLA-HD1は新開発の第2世代0.7型フルHD解像度D-ILAパネルを採用。新型パネルでは、液晶画素をまたぐ配向膜の均一化を実現。新液晶素材、新配向方式の採用で劇的に出力光の散乱/回折を低減。ひいては従来の4倍近いネイティブコントラストを引き出すことに成功したという。 プロジェクタでは光源からの入射光とパネルからの出力光は位相が違うものの同一経路を往来する。この光の分光を従来はプリズムを利用していたが、DLA-HD1では新開発の「ワイヤー・グリッド・ポラライザー」と呼ばれる新システムを採用することで、理想に近い分光を実現し、投写系における迷光を徹底低減できたという。 新パネル、新光学系の組み合わせにより、ネイティブコントラストは15,000:1を達成。そのため、アイリス機構が全く不要であると主張する。投写レンズは新開発のフジノン製2.0倍ズームレンズを採用。左右±34%、上下±80%のレンズシフトにも対応している。レンズシフト対応レンズながらフォーカス性能には絶対の自信があるという。
映像エンジンはGENNUM製GF9351。先代DLA-HD1xKでは映像プロセッサ部を分離したセパレートデザインを採用していたが、DLA-HD1では一体型に戻っている。 ソニーVPL-VW50との比較投写では、最暗部の黒の沈み込みがDLA-HD1の方が数段良好で、黒がほとんど部屋の暗さと一致していることに驚かされた。発色はモニタライクなナチュラルチューニングになっており、ビクターらしい画調。とにかくコントラスト感がすさまじく、2007年発売のフロントプロジェクタの大本命であることは間違いない。 光源ランプは200Wの超高圧水銀系ランプで出力的には先代と同等だが、ピーク輝度は700ルーメンと100ルーメン向上している。水銀系ながら色ダイナミックレンジは高く、人肌や赤の発色も頑張っている。 発売時期は2月を予定しており、価格は6,300ドル。日本では1月下旬、79万8,000円での発売を予定している。製品がリリースされた際には本連載で改めて評価する予定だ。
□2007 International CESのホームページ(英文) (2007年1月11日) [Reported by トライゼット西川善司]
AV Watch編集部 |
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