【バックナンバーインデックス】



西田宗千佳の
― RandomTracking

「新型PS3の秘密」と「これからのPS3」
− SCE平井社長に聞く39,980円の理由


SCE 平井一夫社長

 11月11日に、39,980円と、従来に比べ大きく価格を下げた新PLAYSTATION 3「CECHH00」が発売になる。発売から1年で、既存の20GBモデルとの比較で1万円、60GBモデルとの比較では2万円程度と、大幅なプライスダウンを実現。ついに、PS2発売当時と同等の価格にまで到達した。

 一方で、この新モデルは、様々な点で不安も語られている。従来モデルでは存在した、PS2との互換機能が完全に削除され、同様に、SACDの再生機能もなくなっている。新型機はどのような構造になっているのだろうか?

 そして、PS3の今後はどのようになるのか? また、AV機能の今後は? 様々な疑問を、同社トップである平井一夫社長に聞いた。



■ 新PS3には「65nm」Cell採用。騒音は最大時で6dB低下

 最初に気になるのは、なにより新型PS3の構造である。低価格化の秘密について、平井氏は次のように説明する。

PLAYSTATION 3(CECHH00シリーズ)

 「当然のことながら、“明日やろう”といって出てくるようなハードではないので、年末商戦に向けて、ずいぶん長く検討していました。どの辺が適切なんだろうか? そういう議論をする中で、現実的なラインで実現できるのはどこだろう、ということで導き出したのが39,980円、399ドル、というところです。じゃあ、それに向けてどのようなコストダウンをしなければいけないか、という組み立てで考えてきました」。

 「その中で、まずはシリコンのプロセスをシュリンクしよう、ということです。Cellの方は、シュリンクしたものが使われています」。

 新型PS3のCellは、半導体プロセスを65nm世代の新チップが使われている。プロセスルールが変更されるということは、それだけ消費電力が下がる、ということである。

 「シリコンのコストが下がるのはもちろんですが、消費電力が下がると、電源の面で、これまでよりもワンランク、パワーの低いものでOK、ということになります。熱処理も楽になりますから、放熱のフィンを少なくするなど、コスト的に有利になります」。

 平井氏はそう語る。これは、PS2の低価格化と、まったく同じアプローチといえる。グラフィックチップであるRSXはまだ90nm世代のようだが、それでも、効果は大きいのだろう。最大消費電力は、既存モデルの380W(最大)から280Wへと低下している。

 このことは、静音化にもプラスに働いている。別途SCE技術陣から開示を受けた情報によれば、新型PS3は、これまでのモデルに比べ、ファンが最大に働いた際の騒音が、およそ30dBになっているという。これまでのPS3の場合、同様の条件では36dBであるとのことだから、6dBの静音化である。これはもっとも動作音が大きい状態での比較だ。

 BD再生時などの「ファンがそこそこ回っている」の騒音レベルも、従来機種よりも静かになっているものと期待できそうだ。



■ 低価格化も「PS3たるクオリティ」に変化なし
  議論の末に「互換なし」モデルを用意

 低価格化に寄与しているのは、Cellのシュリンクによる省電力化だけではない。

 新型PS3からは、PS2互換に使われていた互換用チップ(日本モデルの場合はEE+GS、ヨーロッパ向けモデルの場合には「GS+」と呼ばれるグラフィックチップ)と、SACDの再生機能が削除されている。SACD再生機能は、ハードウエア的になんらかの変更を加えた結果であるようで、「後日の追加は難しい」(SCE技術陣)という。

 「PS3のコアである、PS3のゲームを1080pの世界で楽しんでいただく、ということについては、まったく差はないです」と平井氏は語る。

 気になる映像・音声出力のクオリティについても、「ハード的には何も変えてないのでゲームでも、ゲーム以外でもクオリティレベルの低下はない」(SCE技術陣)と言う。ハイエンドオーディオのように、ごく小さな変更でも音質に変化が現れるレベルでの差については、電源の変更があった以上、良きにつけ悪しきにつけ、何らかの「違い」が出ていると思われるが、一般的なテレビやアンプにつないで楽しむ分には、大きなクオリティの変化はなさそうだ。

 中でも、やはり注目されるのは「PS2互換機能」の削除だ。「互換」はプレイステーション・シリーズにとって大きな「伝統」の一つだった。PS2成功の裏に、当時全盛期であったPS1との互換機能が寄与したのは、間違いない事実である。

 「もちろんかなり議論をしました。下位互換が大事な機能である、ということは百も承知でありますが、やはり価格の面が大切であろう、とも考えました」。

 平井氏はそう語る。それだけ、PS3のコスト削減が急務であった、ということだ。しかし、次のようにも続ける。「ただし、決断の理由はコスト、だけではないです。私が日本に帰ってきてから、いろいろな改革したり、変えたりしていますが、“下位互換”というものも、永遠にやり続けなければいけないものなのか? それは決まっていません。改革の中で“いままでこうだったからそれは変えない”というのはあり得ないです。それでは面白くない。ビジネスが育っていきませんよ。その辺は大胆に考え、実行していくのが大切です。決断させていただきました」。

 「それに、PS3のソフトも、オフライン・オンラインともに揃ってきました。取ってしまった機能にみなさん注目されますが、PS3にとって一番楽しいものはなにか、といえば、それはおそらくPS2のソフトではなく“PS3の”ソフトなんですよ。もっと大切なのは、PS3のゲームがどのくらい楽しめるか、ということです。ちょっと違うところにフォーカスがあたってしまっているかな、と思い、少々残念です」。

 このように話す理由もある。それは、PS2互換機能のある既存のPS3も、「販売停止」はされない、ということだ。


■ 既存モデルはあくまで「併存」
  PS2互換とSACDの今後は「ユーザーにゆだねる」

 「日本では、明確に“3機種併売”です。また需要が盛り上がってくるようならば、生産を検討しますよ」。平井氏はそう語る。

 既存のPS3、すなわち、PS2互換機能とSACD再生機能を持つモデル(20GB搭載のCECHB00と、60GB搭載のCECHA00)は、現在生産されていない。そのため、「新型発売以降はもう販売されない」という印象を持たれがちだが、それは正しくないようだ。

 実は、同じような話が、7月のE3の後、アメリカで話題になった。アメリカでは、E3にあわせて80GBのモデルが登場したのだが、その際、60GBのモデルがプライスダウンと、20GBモデルの出荷停止が発表された。60GBモデルは、日本で販売されているものと同じものなのだが、アメリカ国内では、「在庫限りの限定製品」との噂が流れたのである。

 「純然たる事実としていえるのは、アメリカでも、現在に至るまで、60GBのモデルは、店頭に行けば買えます。20GBモデルは別です。ディスコン(生産停止)とアナウンスしましたので。生産している/していない、よりは、“現行品として購入できるかどうか”が大切。E3後にアメリカでは、“60GBモデルは2週間後になくなるぞ”と騒ぎになったわけですが、そんなことはなかった。日本でも、この年末商戦には、3モデルを併売します。今後も必要であれば生産しますし、お客様のほとんどが“39,980円のモデルがいい”と言われるのであれば、どこかの段階で、需要のない製品はフェードアウトしなければならない、ということになるでしょう」。

 このような形を採る理由を、平井氏は「お客様に選択していただこう、ということ」と語る。

 「出荷停止する時も、モデルを追加する時も、ユーザーの皆さんの選択に従って選びたいと考えています。アメリカで20GBのモデルがなくなったのは、みなさんが必要としなくなったから。(振動機能搭載PS3コントローラ)“デュアルショック3”の投入を決めたのは、みなさんから“振動が欲しい!”とのお声が多かったから。基本的にはそういうスタンスです。コストダウンしたモデルの投入も同じです。“今後は絶対に互換機能はつけない”とか、“互換機能は絶対に必要だ”とか、決めてしまっているわけではありません。チョイスをご提供させていただいているわけですから、その反響を見ようと考えています。平井がこうしたい、ああしたい、ということももちろんあるのですが、それ以上に、みなさんの要望の範囲内でどうするか、ということです」。

 すなわち今冬商戦でSCEは、以下のの3モデル構成で需要に応える、ということになるわけだ。

  • PS2互換機能やSACD再生機能を省いた、低価格モデル(CECHH00、新型)
  • PS2互換機能とSACD再生機能を持つが、HDD容量の少ないモデル(CECHB00、既存)
  • PS2互換機能とSACD再生機能、無線LAN、メモリーカードスロットを持ち、HDD容量も多いモデル(CECHA00、既存)

 これは、久夛良木氏がCEOだった時代の「PS3には色々なコンフィグレーションが存在する」というプランを、少々形を変えて実現したもの、といえるだろう。

【PS3の年末商戦向け3モデル】
型番新PS32006年11月発売モデル
CECHH00CECHB00CECHA00
HDD用量40GB20GB60GB
カラークリアブラック
ホワイト
ブラックブラック
PS2互換-
BD/DVD/CD
SACD-
出力端子HDMI(1080p/Deep Color/x.v.Color)
AVマルチ
光デジタル音声
メモリーカード
スロット
-
無線LAN-
Ethernet
(1000BASE-T)
USB24
外形寸法325×274×98mm
(幅×奥行き×高さ)
重量4.4kg5kg
価格39,980円44,980円54,980円


■ まずは「ゲーム機」。「AV機能強化」は今後も継続
 

 「今回価格改定に踏み切ったのは、“ソフト”の面で充実が見られたから。以前から申し上げているように、価格よりもまずはソフト。これがないとスタートラインにも立てません。なので、それを優先にさせていただきました。その次の策として、価格に対するご要望をたくさんいただいておりますので、そこを手当させていただきました」。

 平井氏はそう強調する。社長就任以降、一貫したメッセージとして発信しているように、SCEにとって、PS3はまず「ゲーム機です」、と平井氏は語る。

 「要は、“平井さん、PS3ってなんですか?”と聞かれた時に、明確に“ゲーム機ですよ”と定義できないと売れない、ということ。お客様から見て“ゲームでもAVでも色々出来る機械らしいよ”ということでは、“そんな中身のよくわからないものならいらないよ”ということになる。ですから、メッセージとしてはゲーム機」。

 そのように強調されると、AVファンとしては不安になってくる部分もある。これまでPS3は発売以降、「ファームウエアのアップデート」を通じ、DVDのアップコンバートやDLNAクライアント機能といった、新たなAV機能を追加してきた。「進化する家電」としての面白さに魅力を感じ、PS3を使い続けているユーザーも少なくないだろう。

 ここまで「ゲーム機」という路線を強調されると、今後はAV機能のアップデートが少なくなるのでは……。そんな風に感じるのも無理はない。

 しかし、平井氏はこの考えを明確に否定する。「AV機能が追加されない、なんてことになったら、私も寂しいですよ。もちろん、継続します」。

 「リソースは無尽蔵にあるわけではないですから、プライオリティ付けはしなくてはなりません。PS3はゲーム機ですから、仮に、PS3のゲームのために、どうしてもファーム改善が必要、というものがあった場合と、CDをかけるとこんなにすごいことが出来ますよ、というものとがあったとすると、優先されるのは前者です。ゲームの方をやらないと、ゲームメーカーさんに迷惑がかかりますからね。しかし、私が“もうゲーム以外のアップデートをするな”と言ったことはないです。それに、誰かが“もうゲーム以外のアップデートを止めましょう”と言い始めたら、“おまえはなにを言っているんだ”といって怒りますよ」。

 どうやら、AV機能の強化に関しては、安心してよさそうだ。「ゲーム向けの機能が優先」という方針があるため、AV関連のアップデートの間隔は長くなる可能性は否定できないが、なくなることはなさそうだ。

 平井氏の言葉を裏付けるように、本日・11月8日公開予定のPS3新ファームウエアでは、音楽・写真のプレイリスト機能のほか、PSPの「リモートプレイ」機能を使い、外部のネットワーク経由で、自宅にある電源の切れたPS3の電源を入れて、コンテンツを参照する機能が実現された。

 「ここが誤解を生みやすいんですが、私が“PS3はゲーム機です”と言っているのは、第一義的にゲーム機、まずはそこを楽しんでもらわないといけない、ゲーム機としてご購入を検討してください、ということです。でも、買っていただいたらば、いろんな機能がついているわけでしょう? それを、買っていただいたお客様に対して“無視してください”と言っているわけではないです。メッセージとしてはゲーム機。そこに、買ってみるといろんな機能がついてくる。うちのソフトの人間が、“AVに関してこんな面白いことができますよ”といってきたら、もう私も諸手をあげて、“おう、やろうやろう”と答えます。ゲームもAVも、PS3の楽しみであることに変わりはないですからね」。

 アップデートという点では、BDがらみで気になる点が2つある。一つ目は、有機色素系BD-R規格「LTH」に対応できるか否か。そして、DVDへのハイビジョン映像記録方式である「AVCREC」、「HD Rec」への対応である。この2点については、SCE技術陣に別途問い合わせ、次のような回答を得ている。

 まずLTHへの対応だが、「現時点では対応していない。今後の対応は検討中」とのこと。ドライブがかかわるものだけに、ファームウエアアップデートで可能なのかどうかが気にかかるところだか、「無理」ではなく「検討中」とのコメントが出ていることに、期待をかけておきたい。

 次に、AVCRECとHD Rec。結論からいえば、「現時点ではどちらも未対応」ということになる。ただし、HD Recについては、「HD DVD系なので難しいと思われる」と答えた一方、AVCRECについては、「BD普及の観点からソニー全体で検討すべきではないか」との返答であった。ソニーのレコーダー/プレーヤーでの再生対応が行なわれることになれば、PS3でも再生対応を行なう可能性が高い、と言えそうだ。


■ 「Cell」生産設備売却に「マイナス要因」なし
  ビジネスモデルも基本的に変更なし

 PS3に関しては、もう一つ気になることがある。10月18日、ソニー、東芝、SCEは、PS3用の半導体製造に関し、来春より、合弁で設立する新会社に移管すると発表した。プレイステーション・シリーズ向けの半導体生産設備は、東芝へと売却することが決定している。

 プレイステーションのビジネスモデルを支えるのは半導体だ。自社で高性能半導体を開発、生産コスト低減により利益率を高めていくことが基本コンセプトだ。11月6日、PS2は新設計による低価格モデル「SCPH-90000シリーズ」を発表したが、これも、自社製造の強みを生かした製品だ。平井氏によれば、PS2は今期「全世界的に好調で、年間出荷目標を1,000万台から1,200万台へ上方修正した」のだとか。

 だが、今後半導体を東芝との合弁会社から仕入れることになると、「自社製造」という強みが弱くなりそうに思える。すなわち、プレイステーションを支えた半導体モデルに変化が生まれたようにも見えるのだ。

 「正直にいって、ポジティブな影響のみです。マイナスの要素が多い判断には、私もサインしないし、ストリンガーもサインしませんよ」。平井氏は、訪れる変化が「完全にポジティブなもの」と前置きした上で、次のように説明する。

 「これも、PS3で半導体による利益を最大化するための策です。PS2の時代でも、SCEの自社工場である時代もあれば、ソニーの工場から供給を受けた時代もあります。ドライに見れば、親会社であっても、ソニーという別の会社から、SCEが半導体を“購入”していたわけです。PS3になっても、ソニーのラインから買っていた。これが別な会社になったとしても、より安い価格、より有利な条件で供給をうけることができるようになれば、いままでとそんなに違わない。」。

 「じゃあ、なにも変わらないのか、というと、それは違います。東芝の半導体製造に関するコアコンピテンシーというものは、大変なものがありますから、その能力を活かしてよりコストメリットが出てくる、ということです。より安く、より安定した供給が期待できる、ということです」。

 すなわち、半導体開発をエキスパートである東芝にゆだねることで、コスト効率を高めるというのが、今回の施策の狙いだ、ということである。

 確かに、完成した「Cell」と「RSX」という半導体の供給に限れば、このフレームワークは平井氏の言う通り機能するだろう。だから、ソニーおよびSCEにとって、マイナスとはいえない。しかし、半導体の「自社開発」のオプションを事実上手放したことが、今後どのような結果を招くかは、PS3のさらに「次世代」を語る時代になるまで、保留とした方が良さそうだ。


■ 短期の利益より「PS3の普及台数」を重視
  「39,980円」に大きな手応え

 今回は、PS3で低価格モデルを作り、価格を一気に39,980円まで下げた。しかし、SCEが採りうるオプションとしては、また別のものもあるはずだ。

 例えば、値下げ幅をもう少し小さくし、価格を「44,800円」くらいに抑える。すると、PS3の逆ざやはより小さなものとなり、ソニーとSCEの経営状態は、現在よりも健全なものとなるだろう。

 ここで、なぜより低価格にすることを選んだのか? 平井氏は次のように説明する。「値下げ幅を小さくする方が、会社の数字的には短期的に健全化できるよね、というお話ですね? 確かにその通りです。しかしそうなると、39,980円で買う可能性のあった方々が、別のゲーム機を買う可能性が出てきます。それどころか、ゲーム機以外の娯楽商品をお買いになる可能性もあるわけです。ソフトの枚数は、ハードの台数とのかけ算ですから、ここでも機会ロスが発生します」。

 「PS3に必要なのはまずは“台数”です。そのためになにが必要かといえば、価格ではなく“ソフト”。そしてソフトが揃ったら“価格”です」。現在SCEは、PS3の年度内目標出荷台数を「1,100万台」と定めている。平井氏は、目標達成にかなり楽観的な見通しを持っているようだ。

 「ここで、“自分たちの経営健全化のために800万台で抑えます”と言った瞬間に、サードパーティの方々が、“じゃあそのくらいの台数なら、このソフトは供給しないでおきます”、“マルチで考えていたんですが、PS3版は発売を遅らせます”と判断してしまう可能性が出ます。こういうネガティブな要因を出してしまうと、5年後の台数が少なくなってしまう可能性がある。現在、短期的な経営健全化を求めることで、5年後に大きな差が出てしまう可能性があります。そういう経営は、私は採りません」。

 平井氏はそう説明する。SCEの現在の収益状況は必ずしも好ましいものではない。しかし、今苦しくとも、5年後のためには「降りる」訳にはいかない、ということなのだろう。ゲームビジネスの厳しさが、平井氏の決意から見えてくる。

 とはいえ、平井氏は、39,980円、399ドルという価格に、かなりの「手応え」を感じているという。「そもそも、アメリカで599ドルで販売させていただいた製品が、ほとんど機能をかえずに、1年で200ドル値下がりした。これは、1年経った段階での値段としては、バリューのあるプライス、ブーストがかかる価格だと思っています」。

 「399」モデルは、10月にヨーロッパで発売後、11月2日にアメリカで発売された。アメリカでの結果はまだわからないが、ヨーロッパでは、国によっては4倍、平均でも2倍の売れ行きになったのだという。同じように、日本国内でも、39,980円モデルを控えた「値下げ」後に、売上の上昇が見られたようだ。それだけ、PS3にとって、「価格」が大きな問題であったということなのだろう。

 現時点では、俗に言う「次世代機」のワールドワイドセールスを比較すると、PS3は最下位である。SCEに必要とされているのは、一日も早く、順位を1つ、2つと上げていくことだ。

 「未来を見通す水晶玉は持っていませんから、いつ順位を上げられる、とは申し上げられません。唯一確実に言えるのは、できるだけのアクションを、できる限り早く、台数でも、利益でも、できる限りポジティブな結果を出したいと考えています。そのための施策はできる限り採らせていただきます。今日できることはすべてやる、明日出来ることもすべてやる。それを積み重ねて、おっしゃるようなポジティブな結果を出そうとがんばります」。平井氏は、そう断言する。

 PS3の現状は、売上的にも利益的にも、楽観視できるものではない。しかし、SCEはそれを認識した上で、状況改善に向け、着実に前へ進んでいる。「39,980円」は、その第一歩といえそうだ。


□SCEのホームページ
http://www.scei.co.jp/
□PLAYSTATION 3のホームページ
http://www.jp.playstation.com/ps3/
□関連記事
【10月9日】SCE、39,980円の新「PS3」を11月11日発売
−SACDやPS2互換機能などを省略し、低価格化
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20071009/sce1.htm
【10月9日】HDD 40GB/399ユーロの新「PS3」を欧州発売
−SACD/カードスロット、PS2互換性を削除
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20071009/scee.htm
【9月20日】SCE、PS3用の振動機能搭載コントローラーを発表
−PSPからPS3ゲーム、電源ON/OFF可能。Homeは延期
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070920/sce.htm
【10月18日】東芝とソニー、SCEがCellなど半導体製造合弁会社設立
−Cellの生産設備を東芝へ譲渡。45nmに向け共同開発
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20071018/tssi.htm

(2007年11月8日)


= 西田宗千佳 =  1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、月刊宝島、週刊朝日、週刊東洋経済、PCfan(毎日コミュニケーションズ)、家電情報サイト「教えて!家電」(ALBELT社)などに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。

[Reported by 西田宗千佳]



00
00  AV Watchホームページ  00
00

AV Watch編集部av-watch@impress.co.jp
Copyright (c)2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.