液晶テレビ製品で最近人気を高めつつあるのが東芝REGZAだ。「映像がきれいに見える」というテレビ製品において最も重要かつ基本的な要素においてREGZAは評判がいい。 液晶パネルはモデルに応じてVA系とIPS系パネルの2種類を採用しているが、同系パネルを採用した他社製品と比べても画質レベルが高く、これは、REGZAのテレビCMではないが、メタブレインに代表される「半導体のチカラ」によるところが大きい。具体的には液晶パネルの駆動技術、そしてパネルに適した映像信号処理技術に先進的な部分がある。 今回は、この春に発売されたばかりの最新REGZAのうち最上位モデルの46V型「46ZH500」を取り上げ、特に、画質の優位性に注目して評価した。
■ 設置性チェック ~スタンドはスイーベル機構搭載。壁掛け設置にも対応
今回、評価したのは2008年春のREGZAのうち、最上位のZH500モデルの46V型モデルだ。ラインナップの解説については新製品レビューにて行なわれているので、そちらを参照して欲しいが、ハイエンドモデルのZシリーズはHDD内蔵型のZH系と外付けHDD録画対応のZV系とに分かれることとなった。 違いはそれだけでなく、ZH系はREGZA最新モデル中、最も大きな画面サイズである46V型と52V型となる。REGZAシリーズで最大画面サイズが欲しいと考えれば必然的にZHシリーズから選択することになるわけだ。ZHモデル以外の、ZV、RH、CVでは最大画面サイズが42V型までとなっている。また、ZHモデルはコントラスト性能に優れるVA液晶(垂直配向液晶)パネルを使用しており、ZVモデルはIPS液晶(横電解駆動液晶)を採用している。 今回、設置にあたって本体を2階まで運んだが、成人男性2人で余裕で持つことができた。重量はスタンド込みで32.7kg。プラズマだと42V型でも40kg近いので、その点、液晶は軽い。
額縁部は最近流行の狭額縁というわけではなく上と左右の額縁幅は4cm以上ある。てっきり、この左右額縁にスピーカーが隠れているのかと思ったが、実はZH500のスピーカーは下部に取り付けられている。スピーカは片チャンネルが2.5cm径ツイータ、矩形フルレンジ3.5cm×16cm、矩形ウーハー3.0cm×8.0cmを搭載する3スピーカー構成で贅沢だ。 スタンド部は左右±15度のスイーベル機構(手動式)を搭載。リビングにソファに向けて設置していたのをキッチンカウンター越しから見るとき向きを変える、という感じで、見やすい方に簡単に向きを変えられるのは意外に便利。スイーベル機構を持たないテレビ製品も多いので、地味ながらZH500に特徴を与えている。 壁掛け設置にも対応しており、壁掛け設置金具「FPT-TA10B」(オープンプライス)が純正オプションとして設定されている。金具本体の重量は6.2kgあるので46ZH500との総重量は約38kgにもなる。壁掛け設置では、壁補強が必要になることには留意したい。 視聴中の動作音は静か。HDDのアクセス音もそれほど気にならない。消費電力は約325W。HDD内蔵で録画対応ということで通常の同画面サイズ液晶テレビと比較するとやや高め。しかし、プラズマだと42V型で約500Wの消費電力になるので、プラズマと比較すれば相対的にはまずまずの省電力性能といったところか。
■ 接続性チェック ~HDMI入力4系統。うち1系統にアナログ音声入力を装備
接続端子は背面と正面向かって右側にある。背面端子は、パネル背面に対してプラグを直角に差し込むタイプで、背面にアクセスさえできれば抜き差しはしやすい。 HDMI入力は背面3系統、側面1系統の合計4系統と十分。HDMIバージョンは最新の1.3aで、Deep Colorとx.v.Colorにも対応する。なお、今回のREGZA 2008年春モデルではZH500、ZV500そして42V型のRH500が広色域パネルを採用しており、Deep Colorとx.v.Colorに対応している。多目的ディスプレイモニタ的な活用をメインに考えている人は42RH500以上を選択肢に入れるべきだろう。 アナログビデオ入力系は背面と側面と合わせて4系統ある。全4系統にコンポジットビデオ、S2ビデオ、ステレオ音声の各入力があり、入力1、2にだけD4入力端子がある。 PC入力はDVIもD-Sub 15ピンもなし。PCのデジタル接続はHDMI入力端子を変換して接続する手段しかない。実際に試してみたが、問題なくPCとHDMI接続できた(NVIDIA GeForce8800GTXで確認)。アスペクトモード(画面サイズ)を「Dot By Dot」とすればPCディスプレイと変わらぬ品質で接続でき、階調も0-255でとられており、誤認識はないようだ。 ただ、画調モードをPCファインにしても、ノイズリダクション関係の設定が有効になっているのでこれらはオフにしたいところ。具体的にはMPEG NRとダイナミックNRはPC接続時はオフにした方がよいということだ。
PC入力時には、HDMI入力3を利用するといい。というのも、HDMI入力3にはステレオミニのアナログ音声入力を備えており、HDMI入力3を表示しているときに、この入力からの音声をREGZAのスピーカーで鳴らすことができる。つまり、46ZH500のスピーカーをPCスピーカー的に活用できるのだ。 ちなみに、この入力は別用途にも使える。AVアンプからのセンターチャンネルのアナログ出力をここに繋げば、46ZH500のスピーカを5.1/7.1chサラウンドのセンタースピーカー的に活用してセンターチャンネルを再生できる。46ZH500をホームシアターの中核ディスプレイとして使おうとしているユーザーにとってはおもしろい入力端子だといえる。 Ethernet端子も3系統搭載されている。これはひかりTV、アクトビラ、録画用のLAN HDDを接続するためのもの。 HDD接続用にはUSB 2.0端子も備えており、46ZH500は内蔵HDD、USB HDD、LAN HDDの3タイプのHDDに録画できることになり、かなり録画機能にこだわった機能設計がなされている。 この他、背面には、内蔵チューナで受信した映像を外部機器へアナログ出力するためのデジタル放送録画出力(コンポジットビデオ端子/S2ビデオ端子を排他利用)が1系統、外部AVアンプに接続して5.1chサラウンドサウンドを再生するための光デジタル音声出力端子も備わっている。 側面にもUSB端子があるが、こちらはキーボード、USBメモリ、デジタルカメラを接続するためのもので、ここにHDDは接続できない。側面最上部にはSDカードスロットを装備。ここは、SDカードに記録された写真を閲覧することだけでなく、46ZH500で録画したワンセグ放送のダビング先として指定もできる。
■ 操作性チェック ~おまかせ映像モードでいつも最適画質に。2画面機能も使いやすい
リモコンは黒ボディのバー・タイプのデザイン。ボタンに発光ギミックなどはなくオーソドックスな作りだが、各ボタンを押したときのクリック感はかっちりしていて感じがいい。 BSチャンネルと地上波チャンネルのボタンは後者の方が大きく間取られているが、両方の放送種別に対応した12キー×2の24キーが実装されている。多くのメーカーのリモコンでは、チャンネルボタンは12キーのみで放送種別ボタンを押してから切り換える2アクション式だが、この12×2キーは東芝のこだわり。衛星放送番組と地上波番組のチャンネル切換はダイレクトに行なえる。もちろん[地デジ-地アナ][BS-CS]の放送種別切り換えボタンも設けられている。 電源ボタンは最上部にある丸ボタン。電源オンしてから地デジ放送が表示されるまでの所要時間は約3秒と高速。待たされているという感覚はない。チャンネル切り換え所要時間は地デジ放送で約1.5秒で、こちらは標準的な早さとなっている。 入力切り替えは、リモコン最上段にあるシーソー式の[入力切換]ボタンで行なう仕組み。このボタンの左を押すと入力系統が1番上がり、右を押すことで1番下がる。入力切換ボタンが左右押しなのに、画面に表示される入力系統一覧は上下に表示されるため直感的なカーソルの上げ下げがわかりにくい。これは入力系統表示を左右に並べるか、あるいは逆にボタンを上下縦配置にすべきだったと思う。切換所要時間はHDMI4→HDMI3で約4.0秒、HDMI3→地デジ放送で約1.5秒、HDMI1→Sビデオで約1.5秒。HDMI間の切換はネゴシエーションの関係で遅いが、それ以外は標準的な早さを実現していると思う。
アスペクト比切換は、リモコン下部のスライドカバーを外してアクセスできるパネルに配置されている[画面サイズ]ボタンを押すことで、順送りに変更できる方式。アスペクトモードはかなり充実しているが、モード名からその動作の意味が分かりにくいものが多いので、下に簡単な解説を入れて示しておこう。なお、切換所要時間はほぼゼロ秒で、[画面サイズ]ボタンを押した瞬間に切り替わるので順送り式切換とはいえ、ストレスはない。
プリセット画調モードの切換は、少々わかりにくいが、一応順送りに切り換えられる操作系を持つ。リモコン下部のカバー下に隠れている[おまかせ映像]ボタンを押すことで順送りに切り換えられるのだ。プリセット画調モードについてのインプレッションは後述するが、このボタン表向きは「おまかせ映像」モードの機能操作ボタンとなっている。画調モードの切り替え所要時間はほぼゼロ秒で押した瞬間に切り替わる。
おまかせ映像モードとは、視聴環境にリアルタイムに応じて、46ZH500に内蔵された映像エンジン「メタブレイン・プロ」が自動的に画調を調整して表示してくれる新機能のこと。46ZH500だけでなく、今春のREGZA 500型番モデルのすべてに搭載される目玉機能となっている。 量販店などの高輝度な店内での陳列展示で目立つため、日の差し込む日中で「暗い」という印象を与えないために、最近のテレビ製品のほとんどが「ダイナミック」と命名されるような「黒死に/白飛び」の最大輝度/超ハイコントラスト重視の画調モードで出荷されている。本連載をチェックしているような映像視聴に関心の高いユーザーは、まず初電源投入時に「標準」画調に戻すだろうが、「そのまんま」で見ている人が全ユーザーの60%にもなっているのだそうだ(東芝調べ)。 つまり大半の人がそのテレビの最高画質を味わっていないということだ。最大輝度になっているのは消費電力にも少なからず影響があるし、夜の視聴においてはあまり目に優しいとはいえない。さらに画質的見地からしても映像情報の何パーセントが欠落してしまっているのでもったいない。かといって、「標準」画調モードで出荷すると店頭で並べたときに暗いと言われ、あるいは購入後「店頭のより暗く見える」というようなクレームが寄せられてしまうことにもつながる。こうした問題に一石を投じるべく、500型番の新REGZAから新搭載されたのがこのおまかせ映像モードなのだ。 具体的には、日の出、日の入り時間のデータベースと本体前面下部中央右に設置された照度センサーからの情報とを組み合わせて、最適なバックライト輝度とガンマカーブを動的に設定する機能になっている。表示映像が24fpsか30fpsか60フィールドものなのかも自動検知してI/Pロジックの自動選択もするというから、さすがの「映像頭脳」といったところだ。出荷時もおまかせ映像モード設定になっているので店頭で並んでも、自宅リビングにやってきても不満のない画質が得られるというわけだ。パイオニアもリビングモードを提案しているが、こうした考えは、今後、他社メーカー製品にも波及するかもしれない。 実際に使ってみたが、一般的な映像ソースを見る分にはほとんど不満がない。周りが明るいと高輝度になるし、照明を暗くすればしっとりとした画調になる。
照度センサーが下部にあるので照明直下に46ZH500を置くと反応がよくないが、一般的な設置位置であれば問題はなかった。また、照度センサーにわざと明かりを入れてそれを突然オフにしても画調の変化は緩やかであった。これならば画調が切り替わるときの違和感はまず感じることはないだろう。なかなか優秀だ。 映像モードは各入力系統で個別に設定できるので、テレビ視聴にはおまかせ映像モードを使い、PCを接続したHDMI3入力には「PCファイン」モードを設定、BDプレーヤーなど、映画視聴という目的がしっかり決まっている入力系統にはあえて画調モードを「映画」を設定しておく……といった使い方はアリだ。 そして、ゲーム機を接続した入力系統にも、おまかせ映像モードではなく画調モード「ゲーム」を奨励したい。ゲームモードでは、音楽ゲームや格闘ゲームなどのタイミング重視のゲームにおいて問題となる表示遅延を低減させることができるのだ。その代わり映像処理ロジックは回避される。具体的にはノイズリダクション系、I/P変換系、倍速駆動(モーションクリア)がバイパス、もしくは簡易処理される。余談だが、倍速駆動は基本的には1フレーム溜め込んでの処理になるので潜在的に1フレーム表示が遅れるので(一般的な実装の場合)、手持ちのテレビでもゲームをプレイするときには倍速駆動はオフにした方がいいだろう。なお、前述のアスペクトモードの「ゲームフル」「ゲームノーマル」は画調モードを「ゲーム」としたときのみに設定できる。 2画面機能も備えており、リモコン最上部の[2画面]ボタンを押して、2画面モードに移行する。表示モードは2画面のサイドバイサイド表示モードのみでピクチャーインピクチャー(子画面)モードは備えていないが、左右の画面表示の大きさバランスは変更できる。2画面の表示組み合わせは、HDMI-Sビデオのような外部入力同士の組み合わせでの2画面表示はサポートされないものの、デジタル放送-デジタル放送、外部入力-デジタル放送、アナログ放送-デジタル放送などの実用性の高い組み合わせはすべてサポートされる。
2画面機能は個人的には操作系がシンプルでわかりやすいことに好感を持った。2画面モード移行後は十字キーの左右キーで操作対象画面を選択でき、左右キーの2度押しでどちらの音声を鳴らすかを切り換えられ、さらに上下キーでは画面サイズをリアルタイム変更できる。他機種では2画面モード専用キーを設けていたりするが、こちらの操作系の方が直感的でわかりやすい。 ブロードバンド機能はひかりTVに対応しているほか、昨年よりサービスが本格開始された「アクトビラ」にも対応する。46ZH500のZH系とZV系にはMPEG-4 AVC/H.264デコーダが搭載されたため、アクトビラの最上位「アクトビラ ビデオ・フル」に対応している。 さらに、46ZH500には、Webブラウザ機能も搭載されており、Webサイトのアクセスも行なえる。USBキーボードを接続することで文字入力にも対応しており、ページ表示速度もそこそこに高速なのが凄い。マウスは未サポートだが、今後、もし、マウスがサポートされれば、普段のWebサーフィンはREGZAで事足りるようになるだろう。
録画機能については製品レビューを参考にして欲しい。本稿ではテレビ視聴に関して特に気になった機能について言及しておこう。
まず、番組表機能だが、7チャンネル分×6時間分の一括同時表示が可能なのは新聞のテレビ欄に肉薄する情報量が凄い。欲を言えばフルHDパネルなのでもう一段階小さい10チャンネル分×8時間分の一括同時表示モードが欲しいと思った。 ドルビーボリュームは、大きい音はそれなりに、小さい音は大きくという動的ラウドネスコントロール機能でテレビ視聴にはよい。ただし、音楽ソースや映画ソースの視聴ではオフのほうがいいと感じる。初期アタック音が丸められて音像が丸くなって原音のキャラクタが薄まってしまう。 46ZH500の内蔵スピーカーの音質自体は良好だ。低音のパワー感もそれなりにある。音量を上げたときにはビビリやすく、高音域がもうちょっとクリアだといい気もするが、テレビの通常の視聴において大きな問題はないと思う。 調整可能な画調パラメータは、一般的なテレビとは少々異なっている。「黒レベル」(ブライトネス)、「色の濃さ」「色あい」「シャープネス」あたりは見慣れたパラメータだが、コントラストの調整項目はなく、コントラストは「明るさ調整」または「バックライト」で行なう。これは、コントラスト調整がおまかせ映像モードで動的制御される関係からだ。 注意したいのは画調の調整結果を管理するユーザーメモリ機能のクセ。プリセット画調モードの「おまかせ」「テレビプロ」「映画プロ」「ゲーム」「PCファイン」については調整結果が全入力共有で、そのまま保存維持される管理となる。しかし、「あざやか」「標準」「映画」については、調整するとその結果が「メモリ」という各入力系統ごとのユーザーメモリに自動転送されて保持される。よって気軽にエディットするならば「あざやか」「標準」「映画」が適しているといえる。
■画質チェック 46ZH500の液晶パネルはVAタイプの液晶パネルを採用する。ZV、RH、CVモデルでは32型以外はIPS液晶となる。昔ほど両者それぞれの長所短所は明確にあるわけではないが、VA型の方が暗部の沈み込みに優れ、IPS型の方が広視野角という傾向がある。パネル自体は、ZH500に採用されているVA型液晶のネイティブコントラストは3,000:1で、ZV以下のIPS型の方が1,300:1程度のようだ。 そこでコントラスト感、黒の沈み込みと暗部階調表現力を見る目的で、夜の雨のシーンがやたらと多い「エイリアン VS プレデター2」を見てみることにした。 やはり真っ黒な水路のシーンなどは漆黒部分の表現がプラズマには及ばず、うっすらと黒が浮いて見える。まだ、この部分にプラズマの存在価値はあるということか。ただ、アナログ的な、なだらかな階調表現はプラズマを凌駕しており、特に最暗部付近の暗色のグラデーションは自然で、これは逆に液晶ならではの特長になっている。 コントラスト感は高輝度の伸びで稼ぐ液晶らしい特性を感じるが、たしかに高輝度画素と低輝度画素が同居しているシーンでの描写力は、一般的な液晶テレビよりは優れていると思う。暗部の沈みこそ最新プラズマには負けていることは否めないが、映像全体として見た場合のコントラスト感は、それこそプラズマを連想させるレベルといっていい。
ところで、46ZH500では、液晶パネルが10bit、1,024階調駆動であり、また映像処理部での内部演算精度は14bitとなっており、階調分解性能が従来機と比較して向上しているとのこと。実際黒白グラデーション、カラーグラデーションを表示させてみたが疑似輪郭が全くなく、まさに継ぎ目のないグラデーション表現が行なえていることが確認できた。なお、このハイビット高階調性能を生かすべく、46ZH500はDeep Colorに対応している。 前述したように、46ZH500のバックライトは広色域タイプを使用しており、ハイビジョン放送の標準色域ITU-R BT709(sRGB相当)と比較してカバー率114%を達成しているという。この広色域性能を最大限に生かすために広色域規格x.v.Colorにも対応している。 広色域性能はx.v.ColorとDeep Colorの両用で初めて最大発揮されることになるのだが、現行のDVD、BD、放送ソースにおいても、恩恵を授かることはできる。それが「色空間」の設定で、ここは通常は「オート」になっているが、これを「ワイド」に強制設定することで常時、広色域のカラー表現が利用されるようになるのだ。
これは意外にお勧めで、緑の色純度が増し、青に深みが増すようになる。植物がみずみずしく、空や海に広がりが感じられるため、一度、ワイド色空間になれてしまうと、通常モードが物足りなく感じられてしまうほど効果が高いので、常用したいところ。ただ、色空間ワイドでも赤色の純度はあまり変わらず、最明部の赤は、ややマゼンタに寄っているように見える。
肌色は色空間設定を変えてもほとんど変わらないが、素の肌色発色が良好であるため不満はない。階調表現の優秀さからなのか、肌色の白色に近い周辺のハイライトのグラデーションが驚くほど自然でリアリティを感じる。新REGZAの肌色はきれいだと聞いていたが、ここまでとは思わなかった。お見事。 画素開口率に関してはプラズマよりも高く、かなり寄って見ても画素の格子感はないし、サブピクセルの分離感、偽色の知覚もない。 レグザの映像エンジン「メタブレイン」の各高画質化機能は相互連係動作してしまっているので機能項目別に評価することは難しい。しかし、いくつかの高画質化処理のパラメータはユーザーカスタマイズができるようになっているので、以下にそのインプレッションを記しておこう。 ・ノイズリダクション設定(MPEG NR/ダイナミックNR) MPEG NRはモスキートノイズとブロックノイズの低減、ダイナミックNRは時間方向のざわつきノイズを低減するものになる。MPEG NRはDVDビデオやデジタル放送の視聴には少しかけておくと適度にソフトネスがかかり、モスキートノイズが特に低減され好印象。しかしBlu-rayやゲームソースでは不要と感じる。ダイナミックNRはアナログ放送で使えばよし。普段はオフの常用でいいだろう ・ヒストグラムバックライト制御 動的バックライト駆動の動作をオンかオフにするもの。暗いシーンでのバックライト輝度低減は液晶テレビにおけるコントラスト稼ぎには欠かせないものなので絶対オンだろう。 ・モーションクリアとオートファインシネマ モーションクリアはいわゆる「倍速駆動技術」に相当するものだ。 倍速駆動技術は動き予測の精度の技術が根幹であり、この技術の登場当初はあまりよいものが少なかった。 メタブレインのモーションクリアはこの技術に関して優れていて上下左右だけでなく斜め方向を含めた全方位の動き予測を高精度に行なう。特に面倒な縞模様が画面内を移動するようなシーンでも的確に捉え高精度な補間フレームを生成する。 46ZH500ではこのモーションクリアの動作をオン/オフできるが、1フレーム遅延をキャンセルさせるゲーム用途でない限りは常時オンでいいだろう。元フレームとの合成割合が他社の同種技術と比較すると控えめで、他社製テレビからの移行組は物足りないかもしれない。その代わり、万が一の、動き予測が失敗したときには、メタブレインのこの方式の方がエラーを視聴者に気づかせにくい。 ちなみに、昨年、PDP-5010HDのフレーム補間技術「ピュアシネマ」で確認した、BDビデオ「デジャヴ」のチャプター14(1:43:40~)でのカメラパンでの強いぶれ(予測エラー)は、46ZH500では起こらなかった。 オートファインシネマは、24fpsの取り扱いを決める設定で、倍速駆動技術と組み合わせて1コマを5回表示して120fpsとして表示する「5-5フィルムモード」と、倍速駆動技術で予測したフレームを間に挟み込む「スムーズモード」が選べる。誤フレーム確率が低いのと、予測フレームの合成割合を低くしているのもあるため、46ZH500では、「スムーズモード」常用を強く推したい。 次期モデルでは予測フレームの合成割合を3段階で設定できるなどの対応は欲しい気はする。
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