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株式会社東芝は、液晶テレビ「REGZA」の上位シリーズ「ZH500」と「ZV500」合計4製品を5月上旬より順次発売する。 最上位シリーズの「ZH500」は、52型の「52ZH500」と46型の「46ZH500」の2モデル、ZV500は42型「42ZV500」と37型「37ZV500」をラインナップ。ともに、LAN HDD録画やUSB HDDへのデジタル放送録画に対応し、ZH500のみ300GBのHDDも内蔵する。価格はいずれもオープンプライス。主な仕様や店頭予想価格は以下の通り。
■ 新「おまかせ」モードで“常に高画質を”
いずれも1,920×1,080ドットのフルHDパネルを搭載し、120Hzの倍速駆動に対応する。パネルメーカーは非公開だが、いずれも倍速10bit広色域パネルで、52/46型のZH500はVA系で「シャープ製ではない」(同社)。42/37型の「ZV500」はIPS系のパネルを採用する。 また、パネル前面の光拡散を従来のノングレアパネルよりも抑えた「ハーフグレア」とし、グレア(光沢)パネルに近い光透過効率と、映り込みの抑制の両立を図っている。 映像エンジン「パワー・メタブレイン」も第5世代となり、処理能力の向上とともに、アルゴリズムの改善などを図り、画質を向上した。シャープネスの制御の改良や、質感表現の向上などの画質面での多くの改善が図られているが、画質面の最大の特徴は映像モード「おまかせ」を搭載したこと。 ・「おまかせドンピシャ高画質」を新搭載
REGZAでは、「あざやか」、「標準」、「映画」、「映画プロ」、「テレビプロ」などの画質モードが用意されている。しかし、東芝の購入者アンケートにおける「映像モードを使ったことがありますか?」との質問には、23%が「知らなかった」、35%が「変えたことがない」と答えるなど、「約97%のユーザーが、視聴環境やコンテンツに応じて最適な画質に調整していない」という結果が出たという。 そのため、外部環境に応じて、最適な画質モードをREGZAが判別し、表示する「おまかせ」モードを新搭載。映像を解析し、ビデオ素材やフィルム素材などを判別して最適な画質で表示するだけでなく、視聴している時刻や、部屋の輝度、照明の色温度などの情報から、周囲の環境を把握。視聴環境に最適な画質を自動で判別し、表示する。前面の表示部の下に明るさセンサーを搭載。ユーザーが設定する項目は、周辺の照明の色の「蛍光灯色」と「電球色」の選択のみで、REGZAが環境に応じて、色温度や輝度など、画調モードなどを自動調整する。
たとえば、日中のリビングでは1,500ルクス程度の明るさになるため、「あざやか」モードに近いメリハリがあり、色鮮やかな映像に自動調整。夜のリビングでは50~400ルクス程度となるため、夜の照明色に色温度を最適して、「標準」モードに近い落ち着いた画調となる。さらに、20ルクス程度の暗いリビングでの映画視聴時には、「映画プロ」モードに近い、輝度を抑えたモードに切り替わる。また、映画/ビデオの自動判別など、映像素材の情報も解析し、ソースにあわせた最適な画調を再現するという。
具体的には、環境情報と映像素材情報をもとに、バックライトやG/Bドライブ、ガンマ制御、色の濃さ、色合い、シャープネス、Vエンハンサなどの各項目を適応的に制御。画調の切り替えも、視聴者に不自然と感じさせないよう、なだらかに切り替わる。なお、PC入力時については、バックライトのみを自動制御するという。 同社では、「おまかせ」モードに導入したこれらの技術/機能を総称し「おまかせドンピシャ高画質」と命名。「視聴環境を問わずに、常に高画質」とアピールしていく。 そのため、店頭でも積極的に訴求し、「ヤッターマン」の各キャラクターに起用した専用のプロモーションビデオを製作。「ドンピシャ高画質」をアピールする。同技術はZH/ZVシリーズだけでなく、同時に発表されているRH、CVシリーズでも採用されている。なお、製品出荷時の初期設定も、「おまかせ」モードとなる。
また、「明るさ調整画面」や「ヒストグラム/質感リアライザー特性画面」もおまかせモードから呼び出し可能。おまかせモードの映像設定画面で、リモコンの[赤ボタン]を押すと明るさセンサー調整画面が、[緑ボタン]を押すと輝度分布ヒストグラムが現れる。 ヒストグラム/質感リアライザー特性画面では、表示映像のヒストグラムや、ガンマ特性などが解析でき、これらの情報をもとに画質調整が行なえる。
・新シャープネス制御の導入などで画質も向上 おまかせモードの導入だけでなく、画質面でも向上も図った。最新パネルの採用によるコントラストの改善に加え、新機能としてシャープネス・オプティマイザーを搭載。映像製作側の過度なイコライジングによるギラつきの低減や、SD素材をアップコンバートした番組におけるボケ感の改善、カメラの水平パン時の撮像ボケなどを低減したという。 また、新パワー質感リアライザーも導入。最暗部から最明部までのダイナミックレンジをZ3500比で最大10%拡大したほか、ほの暗い映像での階調性向上や、人物の顔などの肌色の輝度感、階調性などを向上しているという。また、倍速駆動についても、アルゴリズムの見直しなどで最適化が図られている。
■ DTCP-IPムーブやワンセグ録画など録画機能も大幅強化
また、REGZA Zシリーズの大きな特徴といえる録画機能も大幅に強化。別売のUSB HDDやLAN HDDへの録画に加え、ZH500シリーズでは、容量300GBの2.5インチHDDも内蔵し、本体のみでデジタル放送録画が可能となっている。 同社によれば、Z3500シリーズ購入者への調査において、購入者の約36%が購入理由として「市販HDDに録画できる」と回答。また、外付けHDDを接続していますか? との問いには78%が「既に接続している」、14%が「これから接続する」と答えており、ほぼ9割がHDD録画機能を重視しているとの回答を得たという。こうした状況から、録画機能のさらなる強化を図っていく方針という。 チューナは地上/BS/110度CSデジタルを各2系統、地上アナログを1系統装備。番組表は組表は7チャンネル/6時間の番組表示が可能な「レグザ番組表・ファイン」で、新たに番組情報の表示量を拡充した。
また、録画機能の強化にあわせて、付属リモコンも改良。新たにダイレクト録画ボタンの追加など録画系のボタンの拡充が図られ、録画番組から直近のニュースをワンボタンで呼び出す「今すぐニュース」、視聴中の番組を一時停止して、あとで視聴できる[ちょっとタイムボタン]などを装備した。 さらに、録画リストボタンも備え、ワンボタンで録画番組リストを呼び出し可能とした。録画番組の1.5倍速早見再生にも新たに対応した。
USB HDD、LAN HDD、ZH500の内蔵HDDの相互のHDDの間でムーブが可能。また、6月に放送開始が予定されている「ダビング10」にも対応予定で、録画したダビング10番組は、デジタル放送録画出力端子を介してSD解像度で出力し、外部機器で録画できる。
また、「サーバーダビング」にも対応。DTCP-IP ver.1.2をサポートし、REGZAで録画したデジタル放送番組をアイ・オー・データ機器のレコーディングHDD「HVL4-G2.0(111,615円)」にムーブできる。 ムーブ速度は、「約1.1倍速(アイ・オー・データ機器)」で、ムーブ中はREGZAの録画はできない。なお、HVL4-Gへの直接録画は対応しない。HVL4-Gにムーブした番組は、他社製のDTCP-IP対応クライアント機器で視聴できる。 さらに、SDカードスロットを装備するZH500シリーズでは、録画時にフルセグだけでなく、ワンセグ番組もmicroSDカードに録画する「ワンセグ録画」機能を搭載。microSDカードを取り出して、Softbank 921Tなど「レグザケータイ」などにカードを入れて、ワンセグ番組を視聴できる。 なお、同社が正式サポートを謳う携帯電話は、auのW52T/W53T/W54T/W56T/W61Tとソフトバンクの912T/920T/921Tだが、SD-Video(ISDB-T Mobile Video Profile)形式で記録しているため、ワンセグ録画対応のSDスロット搭載ケータイの多くで視聴できる見込み。また、gigabeat V41/V81でもmicroSDに録画したワンセグ番組を視聴できる。
ネットワーク機能も強化し、MPEG-4 AVC/H.264デコーダを内蔵。新たに「アクトビラ・ビデオフル」が視聴可能となったほか、NTTぷららによる映像配信サービス「ひかりTV」にも対応する。 また、DLNAクライアント機能を搭載し、PCなどのDLNAサーバー上のビデオ、JPEG画像などをREGZAから再生できる。
■ HDMIは4系統搭載。ドルビーボリュームも初採用
全モデルで4系統のHDMI入力端子を装備。いずれも1080/60p、24p入力に対応するほか、x.v.ColorやDeepColorもサポートしている。また、レコーダ「VARDIA」やノートPC「Qosmio」や各社AVアンプ、オーディオシステムとの連携が可能な「レグザリンク」にも対応している。 新たに別売のUSB Bluetoothレシーバ接続時に、レグザケータイの撮影写真をBluetooth経由で視聴できる機能を搭載。また、USBメモリやネットワーク上の写真の表示機能も搭載した。 音響面では、ZH500シリーズに、2.5cmツイータと3.5×16cmフルレンジ、3×8cmウーファの3ウェイ6スピーカー構成の新スピーカーシステム「パワー・レグザオーディオ」を搭載。最大出力33Wのデジタルアンプを搭載し、引き締まった低域と伸びのある高音を実現したという。 ZV500シリーズは、竹繊維を使用した新スピーカーシステムを採用した「新レグザオーディオ・プロ」で、ユニット構成は3.5×16cmフルレンジユニット×2。竹繊維スピーカーの採用により、音速を約20%向上し、共振歪みの低減による伸びのあるクリアな音質を実現したという。
さらに、テレビとしては世界で初めて「ドルビーボリューム」を搭載。テレビのチャンネル間音量差や、映画音声の急峻な音量の変化などを抑えながら、楽曲やセリフなど、コンテンツ本来の迫力やニュアンスを正確に再現する。小音量でも聞き取りやすい音声を再現でき、快適な音量でテレビを楽しめるという。
□東芝のホームページ ( 2008年4月9日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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