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【新製品レビュー】
マニアックかつ使いやすいREGZA最上位機の録画機能
サーバーダビング/ワンセグ録画対応。東芝「46ZH500」


5月上旬より順次発売

標準価格:オープンプライス

実売価格:50万円前後


 液晶テレビ市場の中でも東芝「REGZA」の好調が目立っている。2007年12月からこの3月まで、26型以上の液晶テレビで台数シェア20%以上を記録し、国内2位の地位を獲得しており、8日の経営方針説明会でも、その好調ぶりについて西田社長より言及された。

 REGZAブランドになり、専用LSI「メタブレイン」の搭載以降、高画質化技術、特に際立った階調表現性能などが評判を呼び、他社製品にも大きな影響を与えた。さらに、最上位シリーズのREGZA Zでは、Z1000のLAN HDD録画、Z3500のUSB HDD録画などHDD録画機能を世代を追うごとに強化して続けている。この録画機能の充実も、機能重視のユーザーを中心に受け入れられている。

 そのREGZAシリーズがモデルチェンジ。新REGZAシリーズ共通の特徴は、「おまかせドンピシャ高画質」と呼ぶ、視聴環境適応型の自動画質調整機能。明るさや照明などの周辺環境にあわせて、最適な画質モードに調整する。

 さらに、フラッグシップシリーズの「Z」は、52/46型の「ZH」シリーズと、42/37型の「ZV」シリーズの2系統がラインナップされた。ZHとZVの違いはパネルサイズのほか、内蔵HDDの有無。上位シリーズのZHシリーズでは300GBのHDDを内蔵し、直接録画が可能となっている。

型番サイズ録画機能発売日店頭予想価格
52ZH50052型LAN HDD
USB HDD
内蔵HDD
5月上旬60万円前後
46ZH50046型50万円前後
42ZV50042型LAN HDD
USB HDD
6月中旬40万円前後
37ZV50037型35万円前後

 また、新たにDTCP-IP ver.1.2に対応し、対応ネットワークレコーダに録画番組をムーブできる「サーバーダビング」機能を搭載。さらに、リモコンの改良やワンセグ録画対応など、もはや「テレビ」という枠を大きく超えて、録画機能が強化されている。今回は録画機能を中心に新REGZA Zシリーズの実力を試した。


■ 光沢あるスクエアなデザインに一新

46ZH500とサーバーダビング対応のアイ・オー・データ機器「HVL4-G2.0」

 REGZA Zシリーズは、2006年発売のZ2000の頃からマットなブラックを基調とした、シンプルかつミニマムなデザインを取り入れてきたが、ZH/ZVシリーズではデザインイメージが一新されている。

 ベゼル部は、クリアパネルを配して光沢感のあるブラックとなり、印象はぐっと変わっている。また、従来モデルではブーメラン状の形をしていたスタンド部も、スクエアなデザインに変更された。

 ベゼルは黒からグレーにグラデーションがかかっているように見える。これはベゼルの塗装の色に対し、アクリルパネルの厚みを変えることで、グラデーションを表現しているのだという。近づいてみるとなかなか透明感と深みがあるグラデーションで面白い。

 チューナは地上/BS/110度CSデジタルを各2系統と、地上アナログ1系統。入力端子は、背面と側面にまとめられている。HDMIは4系統装備しており、1系統はビデオカメラなどとの接続を考慮し、側面に備えている。いずれも1080/60p、24p入力やHDMI CECに対応するほか、x.v.ColorやDeepColorもサポートする。

 D4や、S映像、コンポジットなどの各入力も4系統装備。また、USB端子はUSB HDD用と汎用USBを各1系統、EthernetはLAN HDD用とひかりTV用、インターネット用の合計3系統を備えている。i.LINKは2系統でいずれも、背面にまとめられている。

 側面にはSDカードスロットも装備。カード内のJPEG写真再生のほか、ZH500シリーズの特徴のひとつでもあるワンセグ録画を生かして、SDカードへのワンセグ番組ムーブが可能となっている。また、300GBの2.5インチHDDユニットを内蔵。HDDは交換も可能で、交換用ユニット「THH-30U5」は直販サイトShop 1048で販売する。

前面。ベゼル部は光沢を活かしたデザインに変更された 液晶下部に「おまかせドンピシャ高画質」用のセンサーを装備 ベゼルはアクリルの厚みでグラデーションを表現
背面に3系統のHDMIやi.LINK、USB HDD用端子、Ethernetなどを備えている 側面にUSBやHDMI×1、B-CASカードスロット、SDメモリーカードスロットのほか、電源ボタンやチャンネルボタンを装備する
右側面にはHDDを内蔵。本体のボタンで録画実行や再生などの操作も可能だ スタンド部 リモコン


■ 表面処理も改善。便利な「おまかせ」モードを搭載

 液晶パネルは10bit、120Hz倍速駆動対応のフルHDパネルを採用。パネルメーカーは非公開だが、「VA系でシャープ製ではない」ということなので、S-LCD製と思われる。表面処理も「ハーフグレア」とし、従来モデルより光の拡散を抑えながら、内部からの透過光を効率よく届けることで、画質の向上を図っているという。

 確かに正面に座ってみると、映り込む自分の姿がノングレアパネル搭載テレビよりハッキリでる。ただし、映像を見ている限りパネルの表面処理の違いを意識することはなかった。

入力切替画面

 チャンネル切り替えや入力切替のレスポンスもよく、不満は感じない。なお、REGZAの入力表示は、2006年のZ2000の頃から[HD DVD]が選択可能となっていたが、同社のHD DVD事業終息にあわせて、[DVD]に改められている。

 画質評価については、今後「大画面☆マニア」でレポートする予定なので、詳しくは触れないが、Z3500から肌色の輝度感や、暗部階調の表現を向上しているという。黒もしっかり沈み込んでおり、体感的なコントラスト感も高く、液晶テレビの進歩を感じさせてくれる。

 最大の特徴は、画質モード「おまかせ」を搭載したことだろう。これは、REGZA ZH/ZVシリーズだけでなく、新REGZAシリーズ全てで採用したもので、視聴する時間や環境、ソースに合わせて最適な画質での表示を行なうというものだ。おまかせモードを実現する技術を総称して「おまかせドンピシャ高画質」と命名している。

 「おまかせ」のほか、「あざやか」、「標準」、「映画」、「映画プロ」、「テレビプロ」の各モードも備えているが、東芝の実施したアンケートによれば、「97%のユーザーがこうした画質モードを積極的には活用していない」という。そのため、ソースにあわせて、常に最適な画質で視聴できるように、同機能を開発/搭載した。

 設定は、照明の色を「蛍光灯色」と「電球色」から選択するだけ。蛍光灯下の編集部内で視聴したが、BDビデオの再生時も、最初は“明るいな”と思っていても、徐々に見慣れた映画モードらしい色温度に移行し、輝度も落ち着いてくる。その変化をしっかりと知覚することはできない。自然な変化のため、ふと気づくと適したモードになっているという印象だ。「おまかせ」モード内で明るさの調整なども可能となっている。

 パイオニアのKUROシリーズの「リビング」モードでも、こうした視聴環境にあわせた画質モードを提案していたが、時間情報や照明情報を取り入れることで、精度の向上を図っているという。非常に便利で、多くの人にとって価値あるものだと思うので、各社のテレビでも是非取り入れてほしいところだ。

画質選択画面 おまかせモードを選択 おまかせモードから、明るさ調整値などを確認できる
明るさ調整やヒストグラム表示に対応する ヒストグラム表示


■ 柔軟なHDD録画機能。新リモコンが便利

・シンプルながら使いやすい録画機能

HDDはユーザーによる交換も可能となっている

 それでは、強化された録画機能をチェックしてみよう。ZV500シリーズでは、新たに本体左側面に300GB HDDを内蔵した。さらに、従来のZ3500シリーズと同様にLAN HDDやUSB HDD、i.LINK接続のHDD(Rec Potなど)への録画にも対応し、録画番組をそれぞれのHDD間でムーブ可能となっている。

 東芝が外付け/内蔵HDDのラインナップを強化してきているが、今回のHDD内蔵だけでなく、DTCP-IPムーブなど、レコーダだけでなくテレビにおける「録画」に力を入れているのがREGZAシリーズの大きな特徴といえるだろう。同様に、日立も2008年の薄型テレビ全モデルでHDD録画対応を目指している。テレビで「録画」をどう扱うかという点も、今後のテレビ選びの大きなポイントとなりそうだ。


レグザ番組表・ファイン

 チューナは地上/BS/110度CSデジタルを各2系統、地上アナログを1系統装備。番組表は7チャンネル/6時間の番組表示が可能な「レグザ番組表・ファイン」で、新たに番組情報の表示量を拡充している。

 内蔵HDDへの録画は、番組を選んで[録画予約]のボタンを押すだけ。内蔵HDD以外のLAN HDDやUSB HDDへの録画は、番組選択時の[詳細設定]から各HDDを選択して変更する。次回録画時には、前回録画したHDDが録画予約時に表示される。

 なお、録画予約はデジタル放送のストリーム録画のみで、VRモードへの変換録画などには対応していない。


録画予約画面 録画するHDDを選択する

 また、[連ドラ予約]機能も搭載。毎週決まった時間に放送される連続ドラマなどを録画予約する機能で、録画時間が延長された際にもEPGの時間情報を参照し、録画してくれる。指定曜日だけでなく、月~金曜日などの期間も指定できるため、幅広く活用できる機能だ。「レコーダ」としてZH500を使う場合は、一番活用しがいがある機能ともいえる。

[連ドラ予約]機能も搭載 毎週予約や更新録画などの設定も可能となっている

リモコンのボタンで[今すぐニュース]

 [今すぐニュース]機能もREGZA Z系では初搭載。HDD内蔵型のHシリーズで搭載していたものだが、録画した直近のニュース番組をリモコンのボタンでダイレクトに呼び出し可能とするもの。ちょっとニュースをチェックしたいときなどには重宝する機能だ。


画面中央に表示が出た後にニュースが再生される 今すぐニュースを利用して直近のニュースをワンボタンで確認

・新リモコンで使い勝手が向上した再生機能

新設された録画リストボタンが便利

 再生機能はシンプルながら充実している。録画機能の強化にあわせて、付属リモコンも改良されており、「今すぐニュース」ボタンや視聴中の番組を一時停止して、あとで視聴できる[ちょっとタイムボタン]、ダイレクト録画用ボタンや録画リストボタンを装備し、ワンボタンで録画実行や録画番組リスト呼び出しが可能となった。

 新採用の「録画リスト」ボタンで、ダイレクトに番組リストを呼び出せるのは、非常に便利。同ボタンでは、最後に使ったHDDの録画リストを呼び出し可能で、[青]ボタンを押すことで、HDDの切り替えが行なえる。また、番組リストでは、[曜日別]や[連ドラグループ]、[ジャンル別]など絞込み検索も可能でなっているなど、番組検索機能も非常に良くできている。

録画リスト 曜日ごとの絞り込み検索も可能 連ドラ予約で絞り込み検索

 従来と同様に[レグザリンク]ボタンや[クイック]ボタンから、機器を選んで録画リストを表示する操作系も備えている。機器を直接呼び出す場合はこちらを活用したい。

 また、リモコンの下部に操作系のボタンをまとめており、ダイレクト録画や再生/停止、スキップなどの各種操作が可能。番組の再生も柔軟で、最後の視聴ポイントを記憶して、次回再生時にその箇所から再開するレジューム機能も装備。さらに、1.5倍速早見再生にも対応した。この早見再生も、実際の利用時にはかなり重宝する機能といえるだろう。

レグザリンクボタンから再生機器を選択 LAN HDDやUSB HDD、DTCP-IPサーバーなどを選択できる

 従来からHDDレコーダを内蔵していたHシリーズのノウハウを生かしながら、Zシリーズの外部HDD録画機能にも対応したため、録画系の機能がうまくまとっている。シンプルなタイムシフト録画機としてとても使いやすい製品になっている。

 レコーダ側でもHDMIリンク機能を使ったテレビとの連携を積極的に進めているが、やはりテレビに内蔵したほうがわかりやすい。もちろん、2番組同時録画ができないのはヘビーユーザーには物足りないし、番組の編集などを活用する人にはもちろん単体レコーダのほうが向いている。

 ただ、それらを求めない人にとっては十分に便利な「録画機」として利用できる。また、普段はテレビで録画し、レコーダはアーカイブ用に安価なシングルチューナモデルを購入するなど、選択肢は広がりそうだ。



■ 注目のムーブ機能。DTCP-IPムーブに対応

内蔵HDDやLAN HDDやUSB HDD、DTCP-IPサーバーの各機器間でのムーブに対応する

 録画した番組は内蔵HDD、LAN HDD、USB HDDの各HDD間でムーブ可能となっている。

 今回は、バッファローのUSB HDD「HD-PSG160U2(2.5インチHDD)」と、LAN HDD「LS-320GL」を利用したが、55分の地上デジタル番組を内蔵HDDから、LAN HDDへのムーブ時間した際の転送時間は19分13秒。内蔵HDDからUSB HDDへのムーブは約12分46秒となった。なお、ムーブ中はREGZAの録画予約が実行されないので注意したい。ムーブ開始時に、重複録画などがある場合は、REGZAから警告メッセージが表示される。

 LAN HDDやUSB HDDにムーブした場合も、REGZAの内蔵HDDの録画番組再生時とほぼ同様にあつかえる。早送り/戻しや、停止、音声付早見などが可能となっている。レジュームにも対応する。


番組選択後、機器を選択してムーブ

アイ・オー・データのレコーディングHDD「HVL4-G2.0」

 そして、今回の録画/ムーブ機能の最大の特徴といえるのが「サーバーダビング」機能だ。ZH/ZV500シリーズがDTCP-IP ver.1.2をサポートし、REGZAで録画したデジタル放送番組をアイ・オー・データ機器のレコーディングHDD「HVL4-G2.0(111,615円)」にムーブできるのだ。

 ムーブできるだけでは通常のLAN HDDと変わらないように思えるが、大きく異なっているのは、HVL4-G2.0にムーブした番組に、他のDTCP-IP対応機器からアクセスして、再生できるという点。つまり、通常のLAN HDDやUSB HDDへのムーブでは「録画したREGZAでだけ」再生できるというものだったが、HVL4-G2.0を利用することで、REGZA以外の機器からも録画番組を再生できるようになるのだ。


HVL4-G2.0の背面。Gigabit EthernetやUSB端子を装備する ACアダプタはかなり大きい
番組選択して、DTCP-IPサーバー「HVL4-G2.0」にムーブ。複数選択も可能

 ただし、問題がないわけではない。大きな制限といえるのは、ムーブした後にREGZAに書き戻せないこと。つまり、LAN HDDやUSB HDDと異なり、転送した後にREGZAに書き戻すことはできず、さらに現時点ではHVL4-G2.0から他の外部機器にムーブすることもできない。

 転送速度の遅さもやや気になるところ。HVL4-G2.0へのムーブ時間は、地上デジタルの15分番組で約9分10秒。LAN HDDへのムーブ(同番組で約5分5秒)よりかなり転送速度が遅い。これは、ムーブ時に、REGZAでローカル暗号化していたものを解除しながらDTCP-IPで暗号化して伝送し、HVL4-G2.0でDTCPを解きながら再度専用の暗号化を行なうという複雑なプロセスが伴うからだという。

 また、LAN HDDやUSB HDDで対応しているレジューム再生に対応していないほか、音声付早見もできない。レジュームの使い勝手がいいだけに、これは残念な制限だ。さらに、通常のLAN HDDとは異なり、HVL4-G2.0へのREGZAからの直接録画が行なえないというのも、大きな制限である。これも複雑な暗号化処理を伴うために、今回は実現できなかったのだという。直接録画できればホームサーバーとしての価値はさらに広がるので、できれば対応してほしかった。また、HVL4-G2.0はHDDのファイルシステムが専用形式となっているため、通常のLAN HDDとしては利用できない点も注意点だ。

 しかし、現状こうした制限があるとはいえ、ホームサーバーを活用した、家庭内の様々な機器への映像配信という可能性を感じさせてくれる。今後、更なる使い勝手の向上により、新しいホームネットワークの利用シーンを拡大してくれそうな、期待できるソリューションの登場であることは疑いない。他社のテレビやレコーダ機器でもぜひDTCP-IP対応を拡充してほしい。


■ 案外使いやすい「ワンセグ録画」

録画時にワンセグ録画を選択

 さらに、録画時にワンセグ番組も録画する「ワンセグ録画」機能も搭載している。これはZH500シリーズのみの機能だ。

 番組の予約時に、詳細設定で[ワンセグ録画]を[する]に指定しておけば、通常のデジタル放送番組(12セグ)のほか、ワンセグ番組を自動的に録画してくれる。このワンセグ番組をSDカードスロットのSDカードにムーブすることで、対応の携帯電話やgigabeatなどの機器でワンセグ番組を再生できる。

 ワンセグ番組のムーブは、「レグザリンク」の「ワンセグ録画リスト」を選択し、緑ボタンを押すと開始される。10分番組のムーブ時間は約1分38秒だった。なお、ワンセグ録画リストだけでなく、通常の「録画リスト」においても、ワンセグ録画番組がある場合はワンセグを示すアイコンが表示されているため、LAN HDDやUSB HDDへのムーブと同様に、ムーブ先に[SDカードスロット]を指定してワンセグ番組を転送できる。

ワンセグ録画リストから番組を選択 SDカードを選んでムーブを実行。複数選択も可能

 東芝によるサポート対象機器は、携帯電話はauのW61T/W56T/W54T/W53T/W52Tと、ソフトバンクの921T/920T/912T。gigabeatはV41とV81。ただし、基本的にはSD-Video(ISDB-T Mobile Video Profile)形式で記録しているため、SD記録対応の多くのワンセグケータイで再生できるはずだ。

ムーブしたワンセグ録画番組をW51CAで再生してみた

 今回は、auの「W51CA」で試してみたところmicroSDメニューの[SDビデオフォルダ]内に転送されており、問題なく再生や早送りなどの操作が行なえた。安定した受信環境で録画しているため、携帯電話で見ると精細感があり、画質に不満は全く感じない。テレビ番組の持ち運びを考えている人にはかなり魅力的な機能だといえる。

 ただ、最近の携帯電話の多くが、背面の電池をはずしてmicroSDを挿入する形になっているため、カードの出し入れが面倒だ。この機能を生かすためには外側にカードスロットを備えた携帯電話を選択したい。

 なお、ムーブしたワンセグ番組をREGZAの内蔵HDDやUSB HDDなどに書き戻すことはできない。ただし、ワンセグ番組を12セグ番組とは別のストリームとして録画しているため、SDカードにムーブした場合も、番組自体は消去されない。例えば、ソニーのBDレコーダ「BDZ-A70」では、12セグ番組を元にPSP/ウォークマン用の番組を生成するが、REGZAのワンセグ録画では単純に12セグとワンセグをそれぞれストリームで記録しているため、こうしたことが可能なのだ。

 また、このワンセグ番組をREGZAで視聴することも可能だ。「レグザリンク]の「ワンセグ録画リスト」から番組を選択すると再生が開始される。画面サイズは小、中、大の3種類が選択できるが、特に「小」はあまりの映像の小ささに笑ってしまった。

 ワンセグ番組も早送りなどの一通りの操作が可能だ。正直、46型以上のREGZAでわざわざワンセグ番組を見る必要は全くないのだが、ワンセグに対し、12セグの地上デジタル放送がいかに高精細で情報量豊かなのか実感できるという点では面白い。REGZA購入者にはぜひ一度見てみることをお勧めする。

ワンセグ録画番組をREGZAで再生。画面サイズも変更できる


■ ドルビーボリュームを初搭載。レグザリンクも

ドルビーボリュームも搭載

 スピーカーは、2.5cmツイータと3.5×16cmフルレンジ、3×8cmウーファの3ウェイ6スピーカー構成の「パワー・レグザオーディオ」を搭載。最大出力は33W。出力も大きく、音像がしっかりと目の前に感じられるが、低音はかなり下まで感じられるものの、少々鈍い印象も残った。

 また、テレビとして世界で初めて「ドルビーボリューム」を搭載。テレビのチャンネル間音量差や、映画音声の急峻な音量の変化などを抑えながら、楽曲やセリフなど、コンテンツ本来の迫力やニュアンスを正確に再現するというもの。

 ドルビーボリュームをONにしてテレビ放送を見てみたが、あまり効果を体験できない。効果がないわけでなく、違和感なく使えているので、存在を意識することがほとんどないということだ。OFFにしてみると、確かにチャンネル間音量差などが抑えられているように感じられる。技術的には非常におもしろいのだが、機能として実感があまりないのが残念。ただし、「おまかせモード」と同様に多くの人が手軽に高画質/音質や安心できる視聴環境を作れるという意味では、非常に意義深い機能だろう。

 従来モデルと同様に「レグザリンク」も搭載。VARDIAとの連携だけでなく、ヤマハやオンキヨーのサラウンド機器との連携も図っている。また、別売のUSB Bluetoothレシーバ接続時に、レグザケータイの撮影写真をBluetooth経由で視聴できる機能を搭載したほか、USBメモリやネットワーク上の写真の表示機能も追加されている。

レグザリンクで各社機器と連携 VARDIAへの録画予約や再生操作が可能

 NTT東西の「フレッツ光」加入者向けの映像配信サービス「ひかりTV」にも対応。アクトビラもフル画面表示のVODサービス「アクトビラ・ビデオフル」に対応した。実際に矢沢永吉のライブを見てみたが、画質もかなり良く、DVDよりはるかに高解像度で迫力も十分。今後、コンテンツが拡充されれば、さらに魅力的になるだろう。

アクトビラは、ビデオフルに対応する ひかりTVにも対応する


■ マニアックながら使いやすいテレビ+レコーダ

 画質の向上やおまかせモードの搭載など、テレビ受像機としての機能向上に加え、録画機能も大幅に拡充。2番組同時録画やアーカイブ化を前提としなければ、レコーダはいらないといっていい。

 特にDTCP-IPムーブ対応は新しい可能性を感じさせてくれる。アイ・オー・データと東芝だけでなく、他社のレコーダへのDTCP-IPムーブなど、メーカーの垣根を越えた新しい広がりが構築されるととても面白くなる。また、おまけ程度に考えていたワンセグ録画も案外使い勝手が良く、対応機器のユーザーにとっては魅力的な付加機能といえる。

 もはや単に「テレビ」と呼ぶには付加機能が多すぎて、マニアックにも思えるが、操作系はきれいにまとめられており、戸惑うことなく使えるという点も重要なポイントだ。シンプルなテレビとして普通に使うための「おまかせ」の進化と、録画機能の進化を両立したユニークな製品だ。

□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm
□ニュースリリース
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2008_04/pr_j0902.htm
□製品情報(ZH500)
http://www.regza.jp/product/tv/lineup/zh500/concept.html
□製品情報(ZV500)
http://www.regza.jp/product/tv/lineup/zv500/concept.html
□REGZAのホームページ
http://www.regza.jp/product/tv/top.html
□関連記事
【4月9日】自動画質調整/サーバーダビング対応の新REGZA
-「ドンピシャ高画質」。300GB HDD/ワンセグ録画対応も
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080409/toshiba1.htm
【4月9日】アイ・オー、DTCP-IPムーブ対応のネットワークHDD
-「REGZA ZH500/ZV500」からネット経由でムーブ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080409/iodata1.htm
【2007年11月9日】【新レ】画質も録画機能も進化した「REGZA」最上位機
こだわりの高付加価値テレビ。東芝「42Z3500」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20071109/np028.htm
【新製品レビューバックナンバー】
http://av.watch.impress.co.jp/docs/backno/npback.htm

(2008年5月9日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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