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真空管を気軽に交換、エレキット初の本格的プッシュプルアンプキット「TU-8340」

 イーケイジャパンは、電子工作キット「エレキット」の新製品として、真空管を採用した初の本格的プッシュプルアンプキット「TU-8340」を11月下旬に発売する。価格は118,000円。

TU-8340

 真空管のバイアス方式には大きく分けて「固定バイアス式」と「自己バイアス式」があり、AB級プッシュプルアンプでは固定の方が効率が良く、また特性が異なる真空管にも対応できるというメリットがある。しかし、通常は真空管1本1本に対してメーターを見ながら手動で調整する必要があり、手間がかかる。

 「TU-8340」は、固定バイアス方式ながら、真空管の差し替え時のバイアス調整がワンタッチでできるという「半自動バイアス調整システム」を搭載。真空管の差し替えが簡単かつ安全にでき、真空管による音色の違いを手軽に楽しめるという。

 具体的には、新しい真空管を使用する時や真空管を差し替えた際、電源投入後に「SAFETY RESET」ボタンを押し出力管のカソード電流が小さい安全なポジションに移動させ「調整待ち」の状態にする。真空管が十分に温まった後に「ADJUST START」ボタンを押すとバイアス電流を自動調整。この状態がメモリされ、その後は電源を投入するだけで所定のバイアス電流になる。エラーの場合は、LEDの色と点滅で知らせる機能も備えている。

 なお、バイアス調整を行なう重要なブロックは多くの部品によって構成されるため、完成済のモジュールとし、組み立てを容易にしている。

左半分がKT88装着時、右はKT150装着時

 付属の真空管はEL34×4本、12AT7×4本。このEL34系(6CA7, KT77など)以外にも、6L6GC系(5881, KT66など)、KT88系(6551, KT90など)にも交換できる。電源トランスの容量にも余裕を持たせ、KT88系の中でも近年人気が高い「KT120」や「KT150」などヒーター電流が大きな真空管も使用可能。

 また、基本的にUL(ウルトラリニア)結線だが、ワンタッチで三極管結線(三結)に切り換えるモードスイッチも搭載する。定格出力はEL34利用時で、UL結線時は45W×2ch、三極管結線時は24W×2ch。スピーカは4~6.3Ω、8~16Ωまで対応する。

 カップリングコンデンサには、無誘導構造で高周波の特性も良好というPP(ポリプロピレン)フィルムコンデンサを採用。ユーザーによる交換も考慮し、周囲に十分なスペースも確保している。チューブラー形のコンデンサの場合、胴体寸法で直径31mm、長さ57mm程度のものまで取り付けられる。

ユーザーが交換しやすいよう、カップリングコンデンサの周囲に十分なスペースを用意

 高効率、低リーケージフラックスのRコアトランスを採用。一次巻線は100V、115V、200V、230Vに対応。対応電圧は組み立て時にコネクタを取り付ける位置で選択する。B電源には、パワーMOSFETによるリップルフィルタを左右チャンネル独立で、電圧増幅部と出力管部の合計4系統を搭載。ハム対策と、セパレーションや解像度の向上を図っている。

 入力端子はアナログライン×1。消費電力はEL34使用時で130W(無信号時)、190W(最大出力時)。外形寸法は450×336×200mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約17kg。

背面