ルネサス、携帯電話でフルHD記録/再生可能なLSI

-従来比6倍の性能。5.1ch音声やHDMI出力にも対応可能


SH-MobileHD1

4月23日サンプル出荷開始

サンプル価格:4,000円


 株式会社ルネサス テクノロジは24日、携帯電話向けのアプリケーションプロセッサ新製品として、フルHD映像の録画や再生に対応したLSI「SH-MobileHD1」(SH7370)を発表。同日よりサンプル出荷を開始する。サンプル価格は4,000円(1万個ロット時の単価)。

 携帯電話などのカメラで撮影した高画質の動画を処理可能なLSI。従来の携帯電話において、静止画用アプリに比べ高画素化への対応が遅れていたとする動画アプリについて「デジタル家電の普及や動画投稿サイトの高画質化に伴い、携帯電話でもHD/フルHDコンテンツを録画/再生するニーズが見込める」とし、携帯電話または動画対応のポータブルプレーヤーなどの用途を想定する。

 1,500万画素のカメラモジュールを直結接続可能なインターフェイスを搭載。大容量のデータを高速に取り込み、画像のデジタルズームやOSD表示、ハードウェアカーソル機能などの多層表示などが行なえる。ワンセグ放送向けに、BT.709形式のYUVデータに対応し、画質劣化なくテレビ放送のデータを切り出してJPEGで保存することも可能。

  携帯電話向けアプリケーションプロセッサで業界初という、MPEG-4 AVC/H.264形式で1,920×1,080ドット/30fps/40Mbpsの動画を記録/再生可能。動画処理性能を従来比約6倍まで向上し、1チップでフルHD映像の処理に対応した。10×11mmの407ピンBGAパッケージを採用し、携帯電話の画像/音声処理システムの小型化が図れるという。

 最大動作周波数は500MHzで、同社の従来製品比で約2倍を達成。カメラモジュールからの動画入力インターフェイスに標準規格のMIPI(Mobile Industry Processor Interface)-CSI2を搭載したことや、内部バス構造の改善などで動画処理能力の向上を実現している。

 また、24bit音声専用DSPを2個搭載。AACやAC3などのステレオ音声の場合は片方のDSPで処理、もう一方でイコライザやSRC(Sampling Rate Converter)を同時に処理できる。さらに、5.1chなどの場合は2個とも処理に割り当てられる。

 HDMI用トランスミッタLSIとの接続インターフェイスも搭載。テレビやBlu-ray DiscレコーダなどにフルHD動画を出力できる。さらに、SDカードや無線LANモジュールとの接続にも対応。MPEG-2 TSとMP4での多重化にも対応し、家庭用機器での利用時はMPEG-2 TS、携帯電話とのネットワーク共有ではMP4を利用するといったユーザービリティの向上も見込めるとしている。


(2009年 4月 23日)

[AV Watch編集部 中林暁]