アップル、iPhone向け最新OS「iOS 4」を提供開始

-3GSはマルチタスクに。iPod機能も強化、5倍ズームも


iOS 4を適用したiPhone 3GS

6月22日公開


 アップルは22日、iPhone/iPod touch用のOS最新バージョン「iOS 4」を公開した。

 アップデートには、6月17日公開のiTunes 9.2がインストールされたパソコンが必要で、アップデートは無償で行なえる。対応製品はiPhone 3G/3GSとiPod touch。ただし、マルチタスク機能については、iPhone 3Gや最新の第3世代以外のiPod touchではマルチタスクに対応しないなど、機種によって対応する機能が限定される場合がある。

 なお、iOS 4は6月24日に発売される新型スマートフォン「iPhone 4」には最初から搭載される。iPad向けのiOS 4は今秋提供開始予定としている。

 


■ マルチタスク対応。本体プレイリスト作成などiPod機能も強化

iPhone 3GSにiOS4を適用

 iOS 4は100以上の新機能を搭載する大幅なバージョンアップ。最大の特徴は、iOS 4対応アプリの場合マルチタスクが可能になり、複数のアプリケーションを瞬時に切り替えられる。例えばプッシュ機能やローカル通知に対応したアプリに通知やメッセージをプッシュ送信できるほか、アプリのタスクをバックグラウンドで完了するなどが可能になった。

 マルチタスク機能の利用にはアプリ側の対応も必要。マルチタスク動作の呼び出しはホームボタンのダブルクリックで行ない、そこから任意のアプリを選択する。アプリのアイコンを長押しするとアイコンの左上に終了を促す表示が現れるので、その部分を押すことで終了できる。なお、radikoアプリは現時点ではマルチタスクには対応していない。

 また、ホーム画面にユーザーが壁紙を設定できるようになったほか、アプリの管理を行なうフォルダ機能を搭載。ジャンル毎など、ドラッグアンドドロップでアプリをフォルダの中にまとめる事ができるようになり、最大2,160個のアプリを一度に管理できる。

任意のアプリアイコンを選択し、ほかのアプリと重ねることで、フォルダが自動生成される。作成されたフォルダの名称も設定可能となっているので、同ジャンルのアプリを集約して管理できる。

マルチタスクに対応。ホームボタンダブルクリックで各タスクを呼び出せるアプリ長押しでマルチタスクを終了フォルダ機能に対応

 音楽/映像再生の「iPod」機能も強化。本体からプレイリスト作成が可能になった。プレイリスト名の設定や、曲順の編集などが行なえる。

本体内でのプレイリスト作成に対応曲を選んでプレイリストを作成。名称の設定や曲順の編集などもiPhoneだけで行なえる
マルチタスクに対応。ホームボタンダブルクリックで各タスクを呼び出せるビデオ撮影機能はタップでピントあわせが可能に

 さらに、ビデオ撮影機能では、撮影中にディスプレイをタップする事で、任意の場所にピントを合わせられるようになった。

 静止画撮影機能では5倍のデジタルズーム機能も装備。また、撮影写真を撮影場所情報を元に表示するモードや、MacのiPhotoと連携し、写っている人達別に表示する機能も搭載した。なお、従来はイヤフォンを接続しての音楽再生中に、カメラやスクリーンショット(ホームボタン+電源ボタン)を押した際、シャッター音が鳴らなかった。しかし、iOS 4では音楽再生中でも本体スピーカーからシャッター音が鳴るように変更されている。


 


■ 電子ブックやメールも大幅強化

iBooksに対応

 電子ブックアプリの「iBooks」にも対応し、同日付でiPhone用アプリがApp Storeで公開されている。

 メール機能も強化。全てのメールアカウントのメッセージをひとつの受信ボックスにまとめて表示できるようになった。また、メッセージをスレッドで整理したり、メールの添付ファイルを他社製アプリから開く事も可能。SMS/MMSのメッセージ検索にも対応している。

 Bluetoothキーボードもサポートし、キーボードを用いてiPhoneの文字入力が可能になった。他にも、メールやメモなどのスペルチェック機能、アプリケーションを友人や家族に電子メールを介してプレゼントする機能なども追加されている。

 画面の向きのロック機能も新搭載し、縦/横位置の方向を固定可能になった。ホームボタンをダブルクリックした後、左画面に遷移し、回転ロックのアイコンを選択することで、縦/横の画面固定が行なえる。例えば寝転がりながらSafariでWebブラウズする際に、従来はジャイロセンサーが動きを検知し、勝手に方向が変わってしまうことがあったが、ここで位置を固定しておくことで、縦方向など方向を固定したままのWebブラウズが可能となる。

画面向きのロック機能を新搭載メール機能も強化

 そのほか、無線LAN接続の安定化や、位置情報のプライバシー保護機能の強化など多数の機能強化が図られている。

 Appleが公表しているiOS 4の主な機能強化、修正内容は以下のとおり。

  • マルチタスキング機能が他社製アプリケーションに対応*1
  • フォルダ機能によりAppの整理に対応
  • 「メール」の機能向上
    • 全受信メールボックスで、複数アカウントのメールをまとめて表示
    • 受信メールボックスの簡易切り替え表示で、複数のメールアカウントの受信メールボックスを一瞬で切り替え
    • メッセージのスレッド表示で、同じトピックのやりとりをまとめて表示
    • 添付書類を互換性のある他社製Appで開ける
    • 検索結果のメールのフォルダ移動や削除に対応
    • 写真の添付時にサイズを選択できる
    • 送信メールボックス内のメッセージを編集/削除に対応
  • iBooksとiBookstoreをサポート(App Store から入手可能)
  • 「写真」と「カメラ」の機能向上
    • 写真撮影時の5倍デジタルズーム*2
    • ビデオ撮影時のタップフォーカス機能*2
    • iPhotoの「人々」データを同期
    • 位置情報が記録された写真が「写真」の「撮影地」で地図上に表示
  • デバイス上でプレイリストの作成と編集に対応
  • 「カレンダー」の参加依頼を、サポートされているCalDAVサーバーとの間でワイヤレスで送受信可能に
  • MobileMeのカレンダー共有をサポート
  • Web検索時に候補と最近の検索結果が表示されるようになった
  • SMS/MMSのメッセージ検索に対応*2
  • Spotlight検索で、検索結果から引き続きWebやWikipediaで検索可能に
  • 位置情報のプライバシー保護機能の向上
    • 新しい「位置情報サービス」アイコンがステータスバーに表示
    • 過去24時間以内に位置情報を要求したアプリを確認
    • 置情報サービス機能のオン/オフをアプリ別に設定
  • 自動スペルチェック機能
  • Bluetoothキーボードをサポート*1
  • 「iPod out」により、互換性のある車でミュージック、PodcastおよびオーディオブックをiPodインターフェイスで操作できるようになった
  • iTunesギフトでAppを贈れるようになった
  • IMAPメールアカウントで、メモをワイヤレスで同期できるようになった
  • WiFi接続がさらに安定し、より確実にプッシュ通知を受信できるようになった*1
  • 新しい設定で、モバイルデータ通信機能のみオン/オフ可能に*2
  • 新規SMS/MMSメッセージ作成中の文字数表示オプションを追加*2
  • Visual Voicemailメッセージを、サーバからの削除後もローカルで保存できるようになった*2
  • 画面の向きを縦方向でロックできるようになった*1
  • オーディオ再生コントロールで、iPodおよび他社製オーディオ用Appがコントロール可能に*1
  • 言語環境設定、ユーザ辞書、キーボードが新しくなった*1
  • 編集可能なユーザ辞書が搭載され、日本語入力機能が向上
  • 日本語のASCII顔文字をサポート
  • アクセシビリティ機能を拡張*1
  • Bluetooth機能が向上
  • デバイスのパスコードを暗号化鍵として使用することによりデータ保護機能が向上*1
  • 他社製モバイルデバイス管理ツールをサポート
  • エンタープライズ向けAppをワイヤレスで配布可能に
  • Exchange Server 2010 との互換性を実現
  • 複数のExchange ActiveSyncのアカウントをサポート
  • JuniperのJunos Pulse AppおよびCiscoのAnyConnect SSL VPN Appをサポート
  • 1,500を超える新しいデベロッパー API
  • 問題の修正

*1 iPhone 3GS、iPhone 4、iPod touch(第3世代)が対応
*2 iPhone 3/3GS、iPhone 4が対応


(2010年 6月 22日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]