【CEATEC 2010】ソニーは3D対応超大型LEDを設置

-パイオニアはスマートフォンナビなど車載強化


 10月5日~9日までの日程で、幕張メッセで開幕した「CEATEC JAPAN 2010」。ここではソニーとパイオニアのブースをレポートする。


■ ソニー

ソニーブース。壁のような超大型の3D対応LEDディスプレイが目を引く

 ソニーブースで目を引くのは、横21.7m、縦4.8mという超大型の3D対応LEDディスプレイ。

 ディスプレイと言うよりもブースの“壁”というサイズで、このディスプレイに様々な3D映像や3Dゲームのプレイ画面を表示。同時に、それらを撮影、制御、送り出す3D対応の放送・業務用機器も含めて展示。同社の3Dにおける総合力をアピールする展示になっている。

LEDディスプレイを近くで撮影した写真ブースを横から見たところ3D対応の放送・業務用機器も含めて展示

 超大型ディスプレイの背面には、民生用機器の最新モデルを一挙に展示。3D対応液晶テレビBRAVIAのLX900や、3D対応かつBDレコーダ機能も内蔵した“全部入り”のHX80Rシリーズを展示するとともに、4倍速駆動やLEDバックライトといった搭載技術の紹介も行なわれている。また、「BDZ-AX2000」などの新BDレコーダラインナップも展示している。

 さらに、PlayStation 3用の3D表示対応ゲーム「グランツーリスモ5」の試遊台も設置。3D静止画表示・管理用のPS3向けソフト「PlayMemories」の紹介も行なわれていた。

BRAVIAのLX900やHX80Rシリーズなどの新モデルを展示グランツーリスモ5の試遊台も設置された

 参考展示はPC VAIOの3D表示対応モデルで、現行ハイエンドクラスをベースとした試作機。IFA 2010やディーラーコンベンションで展示されたものと同じで、16型のフルHD液晶で、フレームシーケンシャル方式で3D表示。アクティブシャッター式の3Dメガネで視聴する。バックライトはLED。4倍速駆動の240Hzモーションフローに対応し、残像感の少ない立体視が行なえるという。BDドライブを搭載し、付属ソフトでBlu-ray 3Dソフトが3D再生可能。2D→3D変換機能も用意し、専用の切り替えボタンも装備。HDMI出力から3Dテレビに出力する事もできる。

 ほかにも、11月20日発売予定の、フルHD 3D投写に対応したSXRDのフロントプロジェクタ「VPL-VW90ES」も展示された。価格は724,500円。

PC VAIOの3D表示対応モデルが参考展示フルHD 3D投写に対応したSXRDのフロントプロジェクタ「VPL-VW90ES」

■ パイオニア

 パイオニアブースのAVコーナーでは、世界初のステルススピーカーとしてカロッツェリアブランドから2月に発売された「TS-STH1000」と共に、同スピーカーで採用されている“HVT(Horizontal-Vertical Transforming)方式”を解説している。

 通常のダイナミックスピーカーは、振動板が前後に振幅して音を出す。だが、そのために振動板が前後に振幅するためのスペース(クリアランス)を設け、その背後にボイスコイルの巻幅、ボイスコイルのクリアランス、磁気回路と、様々なパーツや空間が必要になり、結果としてユニット全体が分厚くなる。

 HVT方式では、磁気回路とボイスコイルを振動板の背後に置かず、横に持ってきているのが特徴。ボイスコイルは左右に動くのだが、それを「スコット・ラッセルのリンク機構」という機構を介して、上下の動きに変換。振動板に伝え、音を出すという仕組みになっている。詳細は既報の通り。

 ブースでは、2月の発表時に展示されたPC用の小型タイプや、スタックが可能なモバイルスピーカー、薄型のフロア型スピーカーなどの試作機を展示。さらに、新しい試作機として、壁掛けできるAVシステムも展示。HVT方式の可能性をアピールしている。

HVT方式を使ったスピーカーの試作機が展示。外側にあるのがスタックが可能なモバイルスピーカー、PCの両脇にあるのが小型タイプ薄型のフロア型スピーカー
壁掛け用AVシステムにHVTを用いた試作機も登場ビルトインオーディオシステム「A-IW001」(ACCO)の新しいカラーバリエーション、ホワイトモデルも参考展示。ブラックの現行モデルに対し、ホワイトを求めるユーザーの声が多かったという

 さらに、HVTユニットを用いた車載用センタースピーカーとサテライトスピーカーも参考展示。ブース内に設置した電気自動車に設置し、デモを行なっている。

HVTユニットを用いた車載用センタースピーカーとサテライトスピーカーも参考展示。ブース内に設置した電気自動車に設置している

 また、車関連の新しい展開として、5日にはNTTドコモとの協業を発表。ドコモの車載機器向け情報サービス「ドライブネット」とパイオニアのハードウェア・Android OS用アプリなどを組み合わせて実現するもので、ドライブネットを通じて最新の地図情報、観光情報、駐車場の満空情報などを配信。それを、パイオニアが開発するスマートフォン用クレードル「スマートクレイドル」で受信する。

 クレードルには、Android端末を搭載でき、クレードル内にGPSや加速度センサー、ジャイロセンサーなどを内蔵。Android端末にはパイオニアが開発したナビアプリ「ドコモ ドライブネット powered by カロッツェリア」をインストールして使用。通信とクレードルのセンサーを用い、さらにパイオニアのスマートループ渋滞情報も取り込むことで、従来のスマートフォンのナビアプリを超える精度や機能を実現しているのが特徴だという。具体的なサービスは2010年度第4四半期開始を目処としている。

スマートフォン用クレードル「スマートクレイドル」にXperiaを設置したところ

 ブースでは、こうしたスマートフォンとの連携の一例として、次世代車載ディスプレイ「ネットワーク・ビジョン・ヘッド・アップ・ディスプレイ」も参考展示。RGBのレーザーを光源として使い、フロントガラス前方の空間に鮮明な情報コンテンツを浮かびあがるように表示できるもので、スマートフォンと連携してネットワークから渋滞情報などの最新情報を取得して表示。従来の車載HUDには無い、高輝度、高コントラスト、大画面化による視認性の改善などが特徴だという。

ネットワーク・ビジョン・ヘッド・アップ・ディスプレイデモではフロントガラスを模した透明パネルに投写していた

(2010年 10月 5日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]