パナソニック、電動ズーム搭載の「Xレンズ」

-「パンケーキ並み」。動画の像ユレを低減


H-PS14042(DMC-GF3に装着/鏡筒収納時)

 パナソニックは、マイクロフォーサーズ規格のデジタル一眼カメラ用交換レンズとして、電動ズーム機構を備えた「Xレンズ」2モデルを10月13日に発売する。

 価格は、14-42mmの「LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm/F3.5-5.6 ASPH./ POWER O.I.S.」(H-PS14042)が49,875円、45-175mmの「LUMIX G X VARIO PZ 45-175mm/F4.0-5.6 ASPH./ POWER O.I.S.」(H-PS45175)が56,175円。それぞれ、ブラック(K)とシルバー(S)を用意する。同社DMC-GF3/G3など、フォーサーズマウント対応のデジタル一眼カメラに装着可能。

 いずれも、現行「LUMIX Gレンズ」の上位レンズ群として新たにシリーズを展開、今後もラインナップを強化予定で、2012年度には大口径モデルも発売する。


H-PS14042(左)とH-PS45175(右)H-PS14042(カメラ電源ON時)H-PS45175
H-PS45175のブラックとシルバーH-PS14042のブラックとシルバーXレンズのコンセプト

 今回発表された2モデルの最大の特徴は、デジタル一眼カメラ専用交換レンズで世界初となる電動ズーム機構の採用。レンズ鏡筒部(カメラ装着時の左側)に備えたレバーでズーム操作が行なえる。多段速ズームで、構図合わせのための細かいズーム調整が快適に行なえるとしているほか、ズームレバーの採用により、手持ちの動画撮影時もズームリング操作時に比べて像ユレを低減できるという。

 45-175mmモデルは手動のズームリングも備え、電動ズームと併用可能。14-42mmモデルは沈胴式で、“パンケーキ並み”とする長さ約26.8mm(鏡筒収納時)を実現。ズームは電動のみだが、このモデルのみ、電動フォーカスレバーも装備する。

各モデルの搭載レンズ

 35mm換算の焦点距離は、14-42mmモデルが28~84mm、45-175mmモデルが90~350mm。最大撮影倍率はそれぞれ0.17倍(35mm判換算 0.34倍)、0.2倍(35mm判換算 0.4倍)。絞りはいずれも7枚羽根の円形虹彩絞り。F値は14-42mmモデルがF3.5~22、45-175mmモデルがF4~22。フィルタ径はそれぞれ37mm、46mm。

 電動ズームにより小型化を実現しつつ、高画質化も追求。両モデルとも独自技術「ナノサーフェスコーティング」によりゴースト/フレアを大幅に低減するほか、EDレンズを2枚使用して色収差を低減、非球面レンズの効果的な配置でコントラスト性能の向上を図っている。レンズ構成は、14-42mmモデルが8群9枚(非球面レンズ4枚、EDレンズ2枚)、45-175mmモデルが10群14枚(非球面レンズ2枚、EDレンズ2枚)。


側面にズームレバー(45-175mmモデル)14-42mmモデルはズームとフォーカスのレバーを個別に設けている「ナノサーフェスコーティング」によりゴースト/フレアを低減

 45-175mmモデルには像の平坦性を高めるという「マルチ アクチュエータ フローティング インナーフォーカス」も採用。2枚の非球面レンズと2枚のEDレンズを効果的に配置することで、最至近での周辺解像性能の改善と、小型化を両立させたという。

 LUMIXでの動画撮影時のAF制御にも対応。静止画のスキャン方式とは異なる「ムービーウォブリング」により、動画撮影時にスムーズかつ素早い追従を実現。静音設計も採用し「ハイビジョン撮影にも最適」としている。

 コンパクトデジカメで採用していた手ブレ補正機構「POWER O.I.S.」を、交換レンズにも初めて搭載。毎秒4,000回のブレ検知を行ない、高周波域(早く、小刻みな手振れ)だけでなく、高周波域(大きく、ゆっくりとした手ブレ)に対しての手ブレの検知精度も向上。最大でシャッタースピード1~2段分の改善が見込めるという。ズーム使用時(テレ端)の大きなブレにも効果を発揮し、手持ち撮影でもブレを抑制できるとしている。

 14-42mmモデルは既存の標準キットレンズである「FS014042」に比べて体積で57%減、重量は43%減とし、消費電力は70mW削減している。45-175mmモデルは望遠ズーム「FS045200」に比べ体積を30%減、重量を45%減、消費電力を85mW減とした。


45-175mmモデルに「マルチ アクチュエータ フローティング インナーフォーカス」を採用14-42mmモデルの仕様と既存レンズとの比較45-175mmモデルの仕様と既存レンズとの比較
手ブレ補正の「POWER O.I.S.」を、交換レンズにも初めて搭載動画専用のAF制御にも対応AF精度も向上したという


カメラのファームアップにより、焦点距離表示や電動ズームの速度選択なども可能になる予定

 電動ズームや手ブレ補正などの機能はカメラボディに依存しないもので、オリンパス「PENシリーズ」など他社製のフォーサーズ一眼デジタルカメラに装着した場合でも同様に利用できるという。

 なお、10月上旬にはLUMIXシリーズのカメラ本体でファームアップデートを予定しており、Xレンズ装着時の機能強化を予定。対象モデルはDMC-GF2/GF3/G3/GH2の4機種で、主に下記の4つの機能強化が行なわれる。これらの内容については、他社製カメラでは対応しない。


    ・液晶画面でズーム位置を確認できる「焦点距離表示」機能を追加
    ・決められた各焦点距離までズームする「ステップズーム」機能を追加
    ・電源OFF時のズーム位置を覚える「ズーム位置メモリー」機能を追加
    ・電動ズームの速度を選択できる「ズーム速度」機能を追加

 外形寸法と重量は、14-42mmモデルが約61×26.8mm(直径×長さ/鏡筒収納時)、約95g、45-175mmモデルが約61.6mm×90mm(直径×長さ)、約210g。

会場には、展示用のスケルトンモデルも用意された。ズーム時の内部レンズの位置が見える
オリンパスPEN E-P3に各レンズを装着(左が45-175mmモデル、右が14-42mmモデル)


■ 交換レンズに新たな楽しみを提供。大口径ズームも投入予定

パナソニックの北尾一朗氏

 パナソニック AVCネットワークス社 コンシューマープロダクツ事業グループ DSCビジネスユニットの北尾一朗ビジネスユニット長は、デジタルカメラの市場動向について「ミラーレス一眼の成長が一眼全体を牽引し、ミラーレスの普及拡大に伴い、交換レンズの需要も立ち上がり始めた。先々には、従来の一眼レフよりも大きなマーケットになっていくだろう」との認識を示した。

 新製品のXレンズについては「ライカのDNAを持つGレンズに、ブラックボックス技術を加え、妥協することなく高性能と小型化を両立させた」とアピール。

 新シリーズ投入の狙いとして「より高性能でプレミアム感のあるレンズを加えることで、レンズを交換して楽しみたいというニーズに応えていく。来年度には、これまでなかった大口径ズームも発売する」とした。

 現在、LUMIX Gレンズ製品群は14~600㎜相当まで12本がラインナップされており、今回のXレンズ2本を加え計14本となる。北尾氏は「交換レンズの新たな楽しみを提供できると確信している」と述べた。

デジタル一眼カメラの出荷数の推移(CIPA調査とパナソニックの推定)。グラフの黄色がミラーレス交換用レンズ市場の推移(同)LUMIX GレンズとXレンズのラインナップ
2012年度に発売予定の大口径ズームレンズ2本のデザインモックも展示


(2011年 8月 26日)

[AV Watch編集部 中林暁]