【IFA 2011】Audyssey、テレビ/PC向けの小型スピーカー
-ヘッドフォン/スピーカーを併用するサラウンド技術も
ドイツ・ベルリンで9月7日まで開催されている「IFA 2011」に合わせて、近隣のホテルでプライベート展示を行なっていたAudysseyの新スピーカーと、テレビ音声向け新技術を紹介する。
■ テレビ/PC向けアクティブスピーカー「Lower East Side Media Speakers」
Lower East Side Media Speakers |
既発売のiPhone/iPodドック搭載スピーカー「South of Market Audio Dock」に続くアクティブスピーカー新モデルとして、テレビやパソコンとの接続を想定した小型モデル「Lower East Side Media Speakers」を北米のApple Storeにおいて199ドルで発売開始した。日本でも10~11月に発売予定としている。
0.75インチ径のツイータと3.5インチ径のウーファで構成する2ウェイアクティブスピーカーで、同社の音響技術である「DynamicEQ」や「BassXT」の採用により、重さ約3.2kgの小型筐体ながら高音質化したことが特徴。4インチ径のパッシブラジエータも搭載し、低域強化を図っている。音声入力は光デジタルと、ステレオミニのアナログが各1系統。
前面にステレオミニのヘッドフォン出力も装備。外形寸法は12.5×15.5×23.5mm(幅×奥行き×高さ)。スピーカーの脚の部分は金属とラバーを組み合わせたもので、振動の低減を図っている。
テレビとの組み合わせ例。手持ちのiPhoneをステレオミニで接続して試聴したところ、小型筐体ながらワイドレンジな再生音で、ボリュームを最大近くまで上げても歪みはほとんど感じられなかった |
前述の「South of Market Audio Dock」と同様に、スピーカーユニットのカスタマイズなどハードウェアの設計から同社が手掛けている。なお、「South of Market」はiPhoneでイコライザなどソフトウェア上のカスタマイズが可能だったが、「Lower East Side」はこうした機能には対応せず、あらかじめ搭載された機能がそのまま音声に適用される。
South of Marketという製品名はサンフランシスコにある地域を指すものだったが、新モデルの「Lower East Side」はニューヨークに存在する地域の名前に由来している。今後も、同様に地域名を冠した製品を投入予定だという。
側面。聴き取りやすくするため、やや上方への傾斜が設けられている | 背面にパッシブラジエータを搭載。スピーカー端子はバネ式 | パッケージ |
■ テレビのスピーカーとヘッドフォンを同時に鳴らす仮想サラウンド技術
現在開発している技術としては、テレビのスピーカーとオープン型のステレオヘッドフォンを同時に使うという、ユニークなバーチャルサラウンド技術の「Audyssey Personal Surround」が紹介された。
これは、Blu-ray Discビデオなどのマルチチャンネル音声の再生時に、複数台のスピーカーを置けない環境でも手軽にサラウンド感が得られるというもの。独自のバーチャルサラウンド技術により、映画のセリフなどはテレビ(またはサウンドバーなどのセンタースピーカー)から、BGMやサラウンドチャンネルの効果音などはヘッドフォンから聴こえることが特徴で、オープン型のヘッドフォンを使うことにより、スピーカーとヘッドフォンの両方の音を組み合わせた形でサラウンド再生を実現する。
ヘッドフォンとスピーカーの音声を同時に聴くという手法を用いる |
デモでは、センタースピーカーと市販のステレオヘッドフォンを使用。今回は有線のヘッドフォンを使っていたが、製品化の際はワイヤレスヘッドフォンとし、「3Dメガネと組み合わせて使用することで、簡単に音声も3D化できる」としている。ワイヤレス化の方法としては、無線LANまたはIR(赤外線)などの利用を想定し、2012年の製品化を予定している。
また、合わせて紹介された「Premium Television Suite」は、テレビに内蔵された小型スピーカーでも音の“こもり”を防ぎ、歪みを抑えつつ低域を拡張するという技術。
同社が持つ低域強化機能「BassXT」や自動ボリューム調整機能「Dynamic Volume」など複数の技術をセットにした形でテレビメーカーに提供され、2012年第1四半期に発売されるテレビへの搭載が見込まれている。
(2011年 9月 8日)
[AV Watch編集部 中林暁]