地デジ保護新方式、'12年7月末に関東から開始

-進捗を報告。'13年4月に全国で運用開始へ


新方式導入スケジュール。'12年7月に関東広域でスタート

 新しい地上デジタル放送用の権利保護システムが2012年7月末に関東広域でスタート、2013年4月に全国で運用開始される。31日開催の総務省 情報通信審議会「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 第60回」で報告された。

 新方式ではスクランブル解除をソフトウエアで行なうことで、物理的なカードを不要にする。これにより、携帯電話などの小型機器へのフルセグ対応を容易にするほか、コンテンツ権利保護についての社会コスト全体の圧縮を目指すもの。ダビング10のルールに変更はない。当初は地上デジタル放送専用となり、BS/110度CSデジタルなど3波対応製品についてはB-CASを利用することとなる。

 NHKと民放キー局の6社による「新コンテンツ権利保護方式推進委員会」が検討を行なっており、6月には、新方式運用のためのライセンス発行・管理機関「一般社団法人地上放送RMP管理センター」を6社で設立。12月1日には民放地上テレビ各社(127社)が同センターに入会予定となっている。


新方式の導入目的関係者相関図前回委員会での指摘を反映
フェーズ2に向けた組織ガバナンス

 今回のデジコン委員会では、過去の議論をもとに、新コンテンツ権利保護方式推進委員会が進捗を報告した。

 新コンテンツ権利保護方式推進委員会で共同委員長を務めるNHK 土屋円 経営企画局専任局長が新方式導入スケジュールや、地上放送RMP管理センターの概要について説明。RMPセンターは、6月に設立しており、現在は鍵管理システムの開発、整備に着手。12月の民放地上局の参入による本格始動を「フェーズ2」と位置付け、2012年初頭にテストストリームを放送、'12年6月の鍵データ発行を計画している。

 送出環境については、既に設備改修に着手しており、仕様検討や開発、テストなどを順次実施。'12年7月末に関東広域での運用開始以降、順次拡大し、'13年4月の全国運用開始を目指す。

 対応機器の発売については、「メーカーが決めること」としながらも、「関東、中京、近畿で放送局運用が始まると導入に拍車がかかる。こうしたスケジュール感で期待している」とした。

 地上放送RMP管理センターの事業内容や、フェーズ2(12月1日以降)における組織ガバナンスについても説明。中間答申や、前回会合の指摘を盛り込み改善していることなどを説明した。

補完的制度の状況について

 また、事務局からは、法制度との組み合わせによる保護(補完的制度)についても状況説明。著作権法、不正競争防止法、関税法の3点からアクセスコントロールに係る制度見直しが行なわれていることが報告された。

 委員からは、理事の選任方法や定款の内容など、組織ガバナンスについての質問などが出たものの、基本的な方針自体については大きな異論はなく、予定時刻を前倒しで終了。デジコン委員会の主査を務める慶應義塾大学 村井純教授は、「基本的な枠組み、骨格をもって組織をスタートできた。これから運用や機器開発などをスケジュールに沿って進めていただきたい。現行方式に対するいろいろな関心もあるので、国民視聴者の周知もあわせて進めて欲しい。ライセンス発行機関のガバナンスの指摘についても、今後も情報共有して進めていただきたい。新方式実現の工程が明らかになった。この方式を導入するにあたり、“デバイスの多様性”という話があったが、リアリティが高まってきた。急ピッチに進める必要性があり、最終段階にかかっている。いかに実現して進めるか、本委員会としても今後の進捗をフォローする役割がある」とまとめた。


(2011年 10月 31日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]