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地デジ著作権保護の新方式導入目標は2012年7月

−ソフトウェア使用の新方式。デジコン委員会開催


 総務相の諮問機関である情報通信審議会は26日、「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 第59回」を開催。“2012年7月より前”を目標に、B-CASと併存する新しい地上デジタル放送用のライセンス発行/管理機関を設立する方針について議論した。

 情報通信審議会では、2009年7月に「第6次中間答申」をまとめ、地上デジタル放送の著作権保護について新しい技術仕様や制度的な保護も含めて、「B-CASと並ぶ新たな選択肢」の立ち上げを求めていた。今回の新ライセンス発行・管理機関もその方針に基づいて計画された。

 新保護方式は、現行のB-CAS方式と併存し、NHKと民放キー局の6社による「新コンテンツ権利保護方式推進委員会」が検討を行なっており、2010年12月のデジコン委員会第58回で報告されていた。中間答申では2009年内に技術仕様をまとめて具体化する予定だったものの、実際に技術仕様がまとまったのは約1年遅れとなった。

 B-CASでは、「テレビの小型化が困難」や「低価格化の障害」など、製品の選択肢を狭めているという指摘や、一社独占による透明性に疑問を呈す声が増えていた。

 新方式ではスクランブル解除をソフトウエアで行なうことで、物理的なカードを不要にする。これにより、携帯電話などの小型機器へのフルセグ対応を容易にするほか、コンテンツ権利保護についての社会コスト全体の圧縮を目指す。2011年3月には、ARIBにおける標準規格(STD)が承認/公開されており、技術資料(TR)についても、震災の影響により遅れているが、内容は固まっており、承認を待つ段階となっている。

新方式の導入目的(2010年12月の第58回会合配布資料から) 新方式の技術的検討および特徴(2010年12月の第58回会合配布資料から)

 なお、新方式は、当初は地上デジタル放送専用となり、BS/110度CSデジタルなど3波対応製品についてはB-CASを利用することとなる。

 今回のデジコン委員会では、新方式運用のための「ライセンス発行・管理機関」を早期に立ち上げ、2011年7月から1年以内(2012年7月まで)に導入するという方針を、新コンテンツ権利保護方式推進委員会が報告。同機関の立ち上げ案について、議論した。

 


■ 早期の新方式導入に向けて社団法人化へ

 新コンテンツ権利保護方式推進委員会からは、共同委員長の大塚隆広氏(テレビ朝日取締役)と運用WG主査の和知隆寿氏(テレビ朝日)が参加し、概要を説明した。

 ライセンス発行・管理機関は、地デジコンテンツ保護のための新権利方式の運用や管理を担当。一般社団法人として新設し、社員総会や理事会、運営委員会などを立ち上げる方針。名称については検討中だが、「できるだけ、わかりやすいものを考えている」という。当初会員はNHKとTBS、日本テレビ、テレビ朝日、フジテレビ、テレビ東京の6社で設立当初の半年間に改めて会員募集を行なう。

 新方式の対象は、当面は地デジのみで、BS/CSは対象外。B-CASと併存して運用することとなり、「B-CASと新方式のどちらを選択するかは、メーカーが選択する。どちらの仕様も選べる提供の仕方を前提にしている」(和知氏)という。

 新団体では、新権利保護方式に関わる鍵情報のライセンス発行や、鍵情報管理、更新、データベースの運用、周知広報などを行なう。また、新方式に関わる秘密情報漏えいや不正受信機の調査、検証、対策なども担当する。なお、鍵情報については、Ks(スクランブル鍵)をB-CAS鍵管理センターと共用するという。

 収入想定は、会費やライセンス契約事務手数料、動作確認テスト、テストストリーム提供などで、ライセンス契約に基づく方式利用許諾への対価は求めない予定。システム構築以外の当面の運営費は在京6社で負担する。

 当初、この新方式導入は地上デジタル放送完全移行を加速するための促進策として検討されていたが、実際には停波(東北3県を除く)の2011年7月から1年内を目途に導入予定となった。今後も難度が高いという鍵管理システムの開発に取り組むほか、送信側での必要な対応の洗い出しや、受信機開発メーカーの対応も必要となるため、協調して導入を進める計画。

 委員からは、「結局、ほとんどのテレビにB-CASが必要なままなのでは?」、「地デジのみでは、新規参入を促す効果が薄い」との意見もでたが、「すでにB-CASが1億台市場に出ているのでフォローはする。3波共用についてはまとめる時間がないし、ニーズを把握できない。関係者の合意を得やすい地デジのみでスタートし、状況をみながら判断する」とした。また、「組織体制について透明性を高めるべき」といった指摘も多くなされた。

 メーカーの代表からは開始時期を明確にするよう求める声も上がったが、「時期が重要ということは認識しているが、任意団体では契約も約束もできないので、早く一般法人になって、調達、契約行為をできるようにすすめたい(和知氏)」という。

 法制度との組み合わせによる著作権保護については、「補完的制度は、第6次答申からの進捗として、アクセス/コピーコントロールについては、著作権法は文化庁文化審議会、不正競争防止法は経済産業省で検討されている。アクセスコントロール強化は不正競争防止法が閣議決定され、著作権法についても、国会提出に向け準備が進んでおり、状況は変わっている。こうした動向を見ながら検討していく」(新井コンテンツ振興課長)とした。

 デジコン委員会の主査を務める慶應義塾大学の村井純教授は、「基本的な考え方は、6次中間答申と、前の会合で認めていただいた技術的方針を踏襲している。関係者の皆さんは、今回の議論を踏まえて、改善やライセンス発行機関の速やかな立ち上げに向け、準備を進めてほしい」と要望。さらに、「法人ができればいろいろと進められる。送出設備の改修、製品企画などを確認し、前倒し、早期実現も含めた計画を出していただけると期待している。新方式を議論を始めた時から時間が経ち、デバイスの性能も上がっているので、フルセグモバイルデバイスへの期待感もドラスティックに上がっていると考える。できるだけ速やかに実現することは、皆の総意である。ステップを踏みながら、早期の実現、立ち上げをはかりたい」とまとめた。


(2011年 4月 26日)

[ AV Watch編集部 臼田勤哉]